ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-7 二人の優しさ
Story7-4 かつてない危機
第3者side
ダンジョン『猛撃の館』に入り、すでに20時間が経過していた。
9フロアはボスだけだと思いきやその後にまだフロアがあったため「ないわー……」を連発しつつもシャオンは迷いながら進んでいった。
少したったころ、シャオンは時間が気になった。
それもそのはず、シャオンはダンジョンに入ってからまだ一度も時計を見ていない。
「……入ってからもうこんなに経ってたのか……
そりゃ集中力欠けるな」
9フロアのだいたい3/4程度進んでいたシャオン。
疲労の色が見える。
「眠気覚ましに走るか……速くクリアしたいし」
シャオンは疲れを無視して敏捷力全開で走り出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シャオンの足でラストの10フロアまで行くのはそう難しいことではなく、すでに10フロア手前の扉の前だった。
シャオンがその両手で扉を開いた。
キィィィ
不気味な音をたてて開いた扉の先には……
迷宮区のボス部屋ぐらいの大きさがある部屋。
その奥に居座る、ドラゴンのようなモンスター。
『The Strikeaccel Dragon』
ストライクアクセルドラゴン。
どういう意味なのかは分からない。
ただ、このモンスターこそがクエストの討伐対象なのは間違いなかった。
「……こいつを倒してさっさと帰るか。
さあ、ひとっ走り付き合えよ!!」
ストライクアクセルドラゴンがブレスを吐く。
「おっと」
シャオンはSEEDを発動し、ブレスを横っ飛びで回避。
「これで!」
そこから神速剣スキル13連撃技〔ドライブレード・フルスロットル〕を足に当てる。
踏みつけの攻撃をギリギリで回避。
さらに広範囲型のブレスを上に飛んで回避。
「ここから……シューティング!」
そこから頭めがけて連二刀流スキル単発技〔シューティングスター〕を放つ。
だが……
ガァァァ!!
ガシュ!
「ぐっ……!」
鉤爪による攻撃を受け、壁の方へぶっとばされる。
そこで器用に回転し、壁を蹴って連二刀流スキル12連撃技〔バスター・ライドエンド〕を発動。
HPゲージ3本中1本が1/4まで減った。
そこに連二刀流スキル21連撃技〔アイソレイト・イグニッション〕を合わせて放ち、1本目のHPゲージを削り取る。
すると、モンスターの体が赤から黄色に変わり、移動速度が上昇した。
「まだまだ俺の速さに追いつけねぇな」
連二刀流スキル20連撃技〔エクスパート・ドライバー〕を放ち、その衝撃を使ってバックステップ。
突風攻撃を受けるもすぐに硬直が治り、そこからサイドステップして、ストライクアクセルドラゴンの真下に向かう。
「おっと」
踏みつけ攻撃をスライディングで避け、そのまま真下から連二刀流スキル10連撃技〔ツイン・ファントムレイブ〕を真上に向かって放つ。
ストライクアクセルドラゴンがまだシャオンを見失っているので、シャオンは硬直から回復したあとに連二刀流スキル21連撃技〔アイソレイト・イグニッション〕
〔フラッシング・ツインブレイド〕をたて続けに放ち、2本目のHPゲージを削り取る。
今度はモンスターの体が黄色から青に変わり、さらに速度が上昇した。
その速さはシャオンのSEEDと同じぐらい。
「は、速い……無茶苦茶だろ……
てか、信号機かこいつは」
ストライクアクセルドラゴンはその場から飛翔し、空中からシャオンを見下ろしていた。
滑空攻撃をしてくる。
が、そこはシャオンのこと。
壁を蹴って避ける。
が……
ガクン
「!?
こんなとこで……」
長時間の探索により、疲労が足に来たシャオン。
ガスッ
「ぐあっ……」
不快感が左肩を襲う。
一瞬、止まったシャオンの左肩にストライクアクセルドラゴンの噛みつき攻撃。
HPバーに状態異常を示すアイコンが2つ並ぶ。
「出血と毒……やっかいだな……
結晶持ってないし、持ってても結晶無効化空間だしな……治せない」
壁にへたりこむシャオン。
――少しでいい、何かきっかけがあれば……
スキルを開いたシャオンの目に見慣れない文字があった。
――SEED Mode-Acceleration?
一か八かだ。かけるしかない!
AGIを最大+150。
髪のメッシュの量が少し増え、瞳が暗い蒼、コートの青黒が反転する。
ただし、VIT-25される。
「ある意味諸刃の剣だな……HPが長く持たない以上、短期決着だ!」
シャオンは新たに連二刀流スキルにセットされたスキルを確認する。
「ソードダンス・オーバースピード、ルナティック・スターブラスト、ツインソード・トランズレイド……
うん、使えるな」
シャオンは地面を蹴り、ストライクアクセルドラゴンに向かって連二刀流スキル単発技〔シューティングスター〕を放つ。
スキルの硬直時間が短くなったため、そこから新たなスキル、連二刀流スキル35連撃技〔ルナティック・スターブラスト〕を放つ。
どうやらの暗闇ステータス異常つきで、視界を奪うことができた。
「まだだ!」
ストライクアクセルドラゴンが放つブレスを斬り裂き、
連二刀流スキル35連撃技〔ソードダンス・オーバースピード〕を加速しながらぶちこむ。
加速の度合いもあってか、異常なペースでHPを削る。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
パリーン
シャオンの剣が斬り裂いた。
クエストクリア。
「よし……あとは入り口まで戻るだけだ」
シャオンは結晶が使えず、HP減少のタイムリミットがあるなか、SEED Mode-Accelerationのままで移動しようとした。
すると、ストライクアクセルドラゴンのいた部屋の後ろに扉があった。
そこを開けると、地上までの階段らしきものと、その前にいる、10体の通常モンスター。
「ステータスに合うどころか、異常過ぎるだろ」
シャオンは連二刀流スキル広範囲単発技〔ラウンドサークル・スレッジ〕の連発で押しきり、追ってくるモンスターに背を向けて地上までの階段をかけ上がった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シャオンが地上まで上がってきたころには、もう日が暮れていた。
シャオンはクエスト受諾した場所で報告し、報酬を受け取った。
「『加速の種子』手に入れた。帰ろう……
っ!?」
アイテム欄を見て驚愕するシャオン。
「……転移結晶が破壊されてる」
シャオンの手持ちの転移結晶は一つだけ。
その一つが、先ほどの噛みつきで砕かれていた。
さらに、精神的疲労が襲い……
「つっ……やばっ……視界が霞む……
こんなとこで……倒れるわけには……」
バタン
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一方、フローラは1日経ってもホームに帰ってこないシャオンを心配し、探し回っていた。
まさか、あのシャオンがダンジョン攻略に1日以上かかっているとは思ってもいなかったのだ。
「シャオン君、どこにいるか知りませんか!?」
その言葉を最前線の層から1層ずつ下りながらいろんなプレイヤーに聞いている。
そして、48層。
リンダースのリズベットの店にまでおしかけた。
ガチャ バタン
「ちょっと!ノッ「リズ!シャオン君見なかった!?」
え……!?」
リズベットは言葉に詰まった。
フローラが両目から涙を流して聞いてきたのだ。
「落ち着きな「落ち着いてなんかいられないよ!!
シャオン君が1日以上ホームを空けるなんておかしいもん!!」
………………」
「シャオン君に……何かあったら……どうしようって……」
大量の涙がフローラの両目からあふれでる。
すると、フローラの元に一通のメールが。
シャオンからだった。
本文は短く『Help me』とだけ。
「シャオン君……!!」
フローラはシャオンの所在を確認すると、リズベットの店を飛び出して行った。
「ちょっ、フローラ!?どこいくの!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
フローラはシャオンのところまで全力で走っていった。
そして、フローラが見たのは……
ダンジョン入り口で倒れているシャオンだった。
「シャオン君!!」
シャオンが最後の力で可視化したステータスにフローラは驚愕の色を隠せない。
「HP417/26154……状態異常、出血、毒……
私、結晶アイテム持ってない……
あ、そ、それより、早く圏内に!」
フローラは慌てかけた思考を元に戻し、走って10分かかる道を、シャオンを支えながら戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リズベットは48層リンダースの入り口の光景を見ていた。
フローラが帰ってくるのを待ちながら。
すると入り口から、フローラと支えられたシャオンが帰ってきた。
「フローラ!シャオン!」
フローラはシャオンを見て安堵の息をもらしていた。
「よかった……シャオン君生きてる……」
「シャオンがそんなになるなんて……」
「リズ、シャオン君が起きるまで、店のベッド貸して」
「どうぞ」
Story7-4 END
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