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ドリトル先生と学園の動物達

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第三幕その十一

「そして今は食事もです」
「そちらもですか」
「はい、好きです」
「そうなのですね」
「いや、イギリスの食事は有名ですよね」
「私も聞いています」
 そのイギリス料理についてというのです。
「お世辞にも、ですよね」
「はい、評判がいいものではないですね」
「私も一度イギリスに行きましたが」
「観光でしょうか、それともお仕事でしょうか」
「観光で行きました、オリンピックの時に」
 ロンドンオリンピックです、その時にイギリスに行ったというのです。
「噂には聞いていましたが」
「その味が、ですか」
「私には合いませんでした」
 言葉を選んで言う日笠さんでした。
「どうにも」
「左様でしたか」
「はい、どうにも」
 先生にまた言いました。
「あくまで私にはですが」
「いえ、そのお言葉は」
 先生はその日笠さんに言うのでした。
「よく言われます」
「今もですか」
「イギリスにいた時もそうですが」
「今もですか」
「はい、言われます」
 そうだというのです。
「イギリスの料理はどうしたものかと」
「左様ですか」
「実際私もイギリスにいた時はただ食べるだけでした」
 つまり健康の為だけに食べていたというのです。
「その栄養バランスもどうにも」
「よくなかったのですね」
「和食と比べますと」
 どうしても、という口調でのお言葉でした。
「そちらもです」
「よくないのですね」
「日本の食べものはただ味がいいだけではないです」
「栄養バランスもですね」
「見事です、ですから来日してから」
 その時からというのです。
「食事も楽しみになりました」
「そうなられたのですね」
「いや、和食も最高ですね」
 にこにことしてお話する先生でした。
「勿論洋食も中華も」
「日本で食べるお料理はどれもですか」
「素晴らしいものばかりです、全て」
「本当にお気に召されたのですね」
「日本に来て知りました」
 料理の素晴らしさをというのです。
「本当に」
「だからですか」
「食事も趣味になりました」
 こちらもというのです。
「食べ歩きも好きです」
「そうなられましたか」
「最初からティータイムは趣味でした」
 先生が毎日欠かさないこれは言うまでもありません。
「そちらも。ですが」
「ですが?」
「その紅茶もお菓子も」
 先生はいつも三段セットです、このティーセットも欠かせません。
「日本のものの方がです」
「いいのですか」
「僕はそう思います」
「日本の紅茶やお菓子の方が美味しいのですか」
「特に紅茶は」
 ティータイムにおいて最も重要なこれが、というのです。
「日本のものがですね」
「一番いいのですか」
「はい、そうです」
 こう言うのでした。
「日本のものの方が美味しいですよ」
「それは何よりですね」
「日本の方としてもですね」
「はい、とても」
「そうですか」
「特にお水がいいですから」
 日本のものが、というのです。先生はここで今診ているアナグマに対してこう言いました。
「ふむ、君の歯は治療で済むよ」
「抜かなくていいんだ」
「うん、そうだよ」
 にこりと笑ってアナグマに答えます。
「だから安心してね」
「それじゃあね」
「しかしこの子の歯にも」
 どうかといいますと。
「お菓子があるね」
「そうそう、驚く位甘いね」
 アナグマ達もでした、先生にこう言うのでした。
「そうしたお菓子あったよね」
「そうよね」
「お菓子の中にね」
「普段投げ込まれるお菓子とは違って」
「もう凄く甘いのが」
「それがあったよね」
「それのせいかな」
 こう先生にお話するのでした、そしてです。
 先生もでした、ここまで聞いてあらためて言いました。
「やはりお菓子だね、今回の原因だ」
「そのことは間違いないですね」
「はい、そこから調べていきましょう」
 日笠さんにも応えます、そして。
 三時になるとです、先生はこう言うのでした。
「ではお茶の時間ですので」
「一時休憩ですね」
「そうさせてもらいます」
 このことは絶対に忘れないのでした、先生にとってティータイムだけは欠かしてはいけないものなのです。 
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