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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第22話 止まない雨はない

 
前書き
どうも蛹です。
目の前で動かない豪を見て、その場に泣き崩れた雨。
全員もそれを見て悲しみに暮れていた。
果たして、どうなるのか?もう私にはこれしか言いようがありません。

それでは第22話、始まります!! 

 
「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」

雨は彼女の悲しみを表すようにどんどんひどくなっていった。

「豪さん‥‥‥‥‥‥グスッ‥‥‥‥あんなに頑張ったのに‥‥‥‥‥‥‥‥
 約束も破って‥‥‥‥死んじゃうなんて‥‥‥‥‥‥‥うぅ‥‥‥‥‥‥‥‥」

彼女は豪を抱きかかえて泣きじゃくった。

「アスラ‥‥‥‥‥‥‥豪さん死んじゃったの?」

マリーは涙を流しながらアスラに訊いた。
しかし、アスラはその質問だけはどうしても答えたくなかった。
それはすなわち、今のこの状況を認めることになってしまうからだ。

「豪さん‥‥‥‥‥‥‥すまねぇ」

アスラの目にも何か熱いものが溢れて来ていた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥豪」

迅は悔しそうな顔をして言った。

「オレが‥‥‥‥‥オレが″種″を落としたばっかりに‥‥‥‥‥‥ッッ」

迅はそれ以上口を開かなかった。

「もしかしたら、俺が凍らせたのも原因かもな‥‥‥‥‥‥‥」

リオさんは自分の行為を悔やんでいた。

「‥‥‥‥‥‥‥‥嘘つき」

雨は豪の顔を見ながら叫んだ。

「豪さんの嘘つきぃッ!!!!」


〖会わせてやろうか?〗
「!!!?」

全員は声のした方向を見た。

〖俺がお前を殺してやるよォォォォォォォォォォォァァァァァァァァァッッ!!〗

そこには目の焦点も合わずに雨を睨んでいるディーンがいた。
迅はディーンに向かい叫んだ。

「お前!まだ生きてたのかッ!!」
〖迅んん、お前はもうどーでもいい。それよりそいつだッ!!
 そいつは俺を殺そうとしたクソ野郎だからなぁ。
 俺がそいつを乗っ取って自殺させてやるよォォォォォォァァァァァァァァ!!〗

ディーンは雨に飛びかかった。

「やらせるかぁッ!!」

 ザンッ!

迅は剣でディーンを斬り裂いた。しかし、空を切っただけだった。

〖はHAはハHAハはHAHAハはHAはHAはハハHAハははハハHAHAははハはハはハハハ!!
 無駄だっつってんだろォがァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!〗

その手が雨に触れようとしていたその時だった。

 ドスッ!!

雨の前に影が立ちふさがり、ディーンの攻撃を受けた。

「ぐあっ!!」

その影は、なんとアスラだった。

「アスラぁッ!!」

マリーはアスラを見て叫んだ。

〖あぁん?何だお前?まぁいいや、まずコイツの身体を乗っ取ってやるッ!!
 そして殺してやるよ、はハハHAはハはハHAハHAHAはハはHAハハはハ!!!!〗

ディーンは笑いながら入り込んで行ったが、すぐに異変が起こった。

〖ウッ‥‥‥‥‥‥‥何だ?コイツ、俺に抵抗して‥‥‥‥うおおぉおおぉぉおぉぉッ!?〗

 ドパァァァァァァン!!

〖何でだぁぁぁぁああぁぁあああぁぁあぁぁぁぁああああぁあぁぁぁ!!!?〗

アスラの身体から、ディーンが弾き出された。

「決まってんだろ‥‥‥‥‥‥」

アスラは日本刀の柄を掴んで叫んだ。

「お前にはオレを乗っ取る価値がねぇって事だよッ!!」

 シャキンッ!

アスラは日本刀を引き抜いた。

〖馬鹿かテメェは!!そんなのが俺に効くわけ―――――――――〗

瞬間、ディーンは崩拳《ほうけん》を喰らったあの時を思い出した。
そして、反射的に体をのけ反らせた。

 ザクッ!!

 ブシュウウウゥゥウゥゥゥウウゥゥゥゥッ!!

〖ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁ!!!!〗

ディーンの身体に一筋の太刀傷が付き
そこからエネルギーが血の様に噴き出していた。

〖何で俺に攻撃できるんだよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
 くそがぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!〗

 シュウウウウゥゥゥ‥‥‥‥‥‥‥‥

そして、そのまま消滅していった。

「はぁ、はぁ、はぁ、何で斬れたんだ?」

アスラ自身、不思議がっていた。

「きっと彼のおかげさ」

迅は豪の方を見てつぶやいた。

「彼が雨を守る為に奇跡を起こしたのさ、きっと‥‥‥‥‥」

雨は豪を抱きしめた。感謝を伝えるために。

「ありがとう、豪さん‥‥‥‥‥‥‥」



「まだ死んでねぇよ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥えっ?」

彼女は抱きしめていた豪の顔を見た。

「さっきから起き上がろうにも抱きしめられてたら動けねぇだろ?」

豪が雨に話しかけていた。
彼女はその光景が信じられなかった。
心の中の絶望が希望色に染まっていった。

「‥‥‥‥‥‥やった‥‥‥‥‥‥豪さん‥‥‥豪さんが‥‥‥‥‥‥生きてる‥‥‥‥‥」

彼女の顔がまたくしゃくしゃになり始めた。
豪は雨の頬をつまんで言った。

「泣き虫には返事を教えねぇぞ?」

そう言われた雨は目を慌てて擦った。
彼女は笑顔でこう言った。

「泣いてないよ!嬉しいだけ!!」

豪も笑って言った。

「それならいいんだ」

雨はニコニコとして催促した。

「それより早くお返事お返事♪」

豪は少し顔を赤くして言った。

「それより先によ。‥‥‥‥‥‥‥お前に顔も声もそっくりの奴に伝えて欲しいことがあるんだ」

雨はうんうんと言いながら、細かくうなずいた。

「俺はお前みたいな長身のヤツが好みだとかいうのはないけどよ。
 森の中であった時から優しいお前のことが大好きだ、ってな」

雨は笑顔で言った。

「うん、伝えとくね。それより私のお返事は?」

豪は雨に我慢するように言うと、更に付け加えをした。

「あと、背を気にしてるんなら一つだけ良い方法を教えてやる」

そう言って体をゆっくりと起こした。
そして、雨にもう少しだけしゃがむように言った。
雨と豪の目線の高さが大体同じになった。
豪は雨に今までにない笑顔を見せて言った。

「こうやってな、相手に合わせてしゃがんでやればいいのさ‥‥‥‥‥‥」

 ドサッ

豪はそう言い終えるとまた倒れこんだ。
雨は倒れた豪を再び起き上げて言った。

「豪さん!死んじゃダメだよ!!」

豪は笑顔で雨につぶやいた。

「大丈夫、ちょっと疲れただけだ。とりあえず一寝入りさせてもらうぜ‥‥‥‥‥」

雨は豪の頬を引っ張って起こそうとしながら言った。

「ダメェ!まだお返事聞いてない~~!!」

雨の努力も空しく、豪の目は少しずつトローンとしてきていた。

「ごめんな。今は無理そうだ‥‥‥‥‥後で教えてやるから、な?」

豪にそう言われて、雨は素直に引き下がった。

「‥‥‥‥うん、分かった。でも、後で絶対だよ?」

雨は豪に約束させた。豪はゆっくりうなずいた。

「それじゃあ、よいしょ、よいしょっと」

雨は豪の頭を膝の上に置いた。

「豪さん好きだったよね。ひざ枕」

豪はまたゆっくりうなずいた。

「おやすみなさい、豪さん」
「‥‥‥‥‥‥‥‥おやすみ、雨」

そう言って豪は静かに寝息をたて始めた。

『前からずっと好きだったぜ。今のお前も‥‥‥‥‥昔のお前も』

豪は深い眠りに落ちながら、そう心の中でつぶやいた。
雨は豪の寝顔を見ながら少し笑ってから言った。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥おやすみなさい‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

彼女もそのまま眠りについてしまった。
あんなに降っていた雨が止み、雲の間からは
2人を照らすように日差しが射し込んでいた。



    **********



 ー翌朝 病院内ー

「‥‥‥‥‥ハッ!」

豪は目を覚ました。そして、体を起こして周りを見回した。
彼はあの時の事を覚えていた。この上なくはっきりと。

「‥‥‥‥‥言っちまったよ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ッッ!!」

豪は自分の言ったことを思い出して片手で顔を押さえ、赤面した。



 ー同時刻 病院内(別室)ー

「‥‥‥‥‥ふあぁーーーっ‥‥‥‥‥‥‥」

雨はあくびをしながらゆっくり起き上った。

「‥‥‥あれ、私‥‥‥‥どうして寝てるんだっけ?」

脳は完全に回復したらしく、頭痛もなかった。
意識もはっきりしていた。
雨は頭の中に残っている記憶を少しずつ思い出していった。

「‥‥‥‥あ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ッッ!!」

豪が言ったことを理解した雨は両手で顔を隠して赤面した。 
 

 
後書き
どんなに雨が降っていても、最後には必ず晴れる。 

理解できましたかね?彼の伝えた一言の意味。
私的には、いいんじゃないかな?と思ったので書きました。

次の話は久しぶりのプロフィール発表です!
この戦いで活躍した2人の事を説明します。

次回 第22.5話 二人の名前をそのまま呼んでしまう人いますか?私もです お楽しみに! 
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