ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十四話
エストSIDE
この世ならざるものを消し去った後、白龍皇に何か言った後、イッセーは気絶してしまいました。
「闇精霊、わかってますよね」
「ええ、わかってるわ」
私は闇精霊にそう言うと闇精霊もわかっているようで互いに頷き合います。
そしてほぼ同時にイッセーの下に駆け寄ります。
「イッセー君、大丈夫!?」
白龍皇がイッセーに呼びかけていますがそれは逆効果なので止めます。
「白龍皇さん、ちょっとどいててくれる?」
「その通りです。どいていてください」
「ダメだよ、私のせいでイッセー君が……!」
しかし、白龍皇は梃子でも動きそうにありません。
そしてその時、イッセーの体に異変が起こり始めていました。
イッセーの手の先から……赤い龍になりはじめてきていたのです。
「っ、聖剣さん!急いで!」
「わかってますっ」
そう言って私は白龍皇を強引に退かしてその手を握る。
すると、龍となっていっている現象は少しだけ収まった。でも少しだけだ。
このままじゃ……。
「エスト、まさかあの現象なの!?」
と、そこに異変を知って駆けつけてきてくれたのかクレア達がやってきました。
「その通りです。今回はスリークォーターで恐らく限界を少しだけ越したのでしょう。その証拠に龍化の進行が遅いですから」
「ドラグ、ナイズ……?」
白龍皇には聞きなれない言葉だったんでしょう。意味がわかっていないようでした。
「みんな、イッセーの手を握ってちょうだい。もしくは龍化しようとしている箇所を触っていて頂戴」
「わかったわ」
「わかりましたわ」
「了解した」
「ええ、わかったわ」
「わかった」
みんな、それぞれ思い思いの箇所を触ったり握っている。
「イッセー君は……一体どうしたんだい?」
と、確かサーゼクスさんがやってきました。
「今、説明している時間はないわ。一刻も早く龍化を止めないと」
闇精霊がそういうので私達はイッセーの治癒に全意識を集中します。
「ぐ……ぐぅ…………!」
と、イッセーが苦しみ始めました。
イッセー自身の意識がまだ抵抗をしている証です。
「イッセー、戻ってきて頂戴!」
「イッセーさん、戻ってきてください!」
「イッセー、戻ってくるんだ!」
「イッセー君、戻ってきて!」
「イッセー、戻ってこい!」
「イッセー、帰ってきて!」
クレア、リンスレット、エリス、フィアナ、ルビア、そして意外にも闇精霊までもが声を荒げてイッセーの帰りを望んでいる。
「イッセー、帰ってきてください……!」
私も小声でそうイッセーに呼びかけます。
「ぐっ…………!」
と、イッセーの龍化がどんどん引いていきました。
何とかなったようです。
「い、イッセー君……?」
白龍皇はイッセーの事が心配なようです。その態度もどことなく先ほどまでの白龍皇とは違うような気がします。
「イッセーは大丈夫です。聞こえていますか、赤龍?」
私はもう意識を取り戻しているであろうドライグに呼びかけます。
『ああ、聞こえている。済まんな、予想よりも多く負担が掛かってしまった』
どうやらドライグの意識も回復していたみたいです。
「それで、何がどうなっているのか説明してくれるんだよね?」
セラフォルーさんでしたか?が私たちに説明を求めて来ました。
「そうね、私が説明するわ。聖剣さん、それと他のみんなもイッセーをお願いね」
そう言って闇精霊が彼らの下に歩み寄っていきます。
私はその後ろ姿を見ながら、未だ予断を許さない状況にあるイッセーの手を握り締め続けます。
SIDE OUT
レスティアSIDE
さて、私は今現在イッセーの状況を説明しないとね。みんな気になっているでしょうし。
「それじゃあ、単刀直入に言うわ。イッセーは今、何とか龍化を抑え込んだのよ」
「龍化、ですか……?」
イッセーの通っている学園の生徒会長が復唱している。
「ええ、名前の通り……イッセーの体そのものが龍となってしまう現象よ」
「っ!そんな事が起こり得るのか!?」
確か……匙だったかしら?匙がそう聞いてくる。
「ええ、イッセーの禁手はドライグ自身をその身に宿し、ドライグ自身の力を一時的にではあるけど使えるようになる力よ」
「んな力を持ってやがったのか……で?それにも何かしらの代償があるんだろ?」
あら、さすがは神器研究の第一人者アザゼルね。
「アザゼルの言う通りよ。確かにリスクは存在する……それこそが龍化。ドライグ自身を宿す為にその身を龍そのものに変えようとする神器の力が龍化を起こしてしまうのよ」
「という事は……あのままだったらイッセー君は、龍になってたって事っ?」
白龍皇はさすがにドラゴンの神器を宿しているからかすぐにわかったようね。
「その通り。あのままだったらイッセーの龍化は止まらずに龍そのものになってしまう所だったわ。だからこそイッセーはこの禁手を毛嫌いしているのだしね」
「自身のスペックを大きく上回る物を作っちまったって事か……」
アザゼルの言う通り、イッセーの作った神器は自身の手には負えないような代物になってしまった。
それでも、イッセーは後悔していない。それが、私たちを救える力となるんだから。
「でも、もう問題はないわ。ドライグの意識も戻っているみたいだし、時間が経てばイッセーの意識も戻るでしょう」
「あ、あの!」
「ん?」
話を終えてイッセーの下に行こうとしたら白龍皇に呼び止められた。
「い、イッセー君、大丈夫なんですよね……また、会えますよね?」
「…………ふふっ、会えるわよ。あなたが会いたいと願っていればね」
私はそう言って少しだけ微笑む。
白龍皇……いや、ヴァーリと呼びましょうか。彼女もまた……イッセーに惹かれたのね。
イッセーは誰でも救う。文字通りその子に何も負い目がなければ。ヴァーリの件に関してもそう。
まあでも……ヴァーリには、負けないけどね♪
SIDE OUT
守りきれたよな?俺……カミトさん……?
「ああ、お前は守りきったよイッセー。だから……安心して寝てろ」
ああ、お休み……カミトさん……。
「ん……んぁ……」
意識を浮上させる。
あれから、何時間経ってんだ……?外が明るいから少なくとも昼だっていうのはわかるけど……。
「ふわぁ……ん?」
俺が寝ているベッドに何かしら違和感がある……?
俺は被っている布団を引き剥がしてみる。
「すぅ……すぅ……」
そこには……なぜか、銀髪の美少女が寝ていた。恐らく、俺のYシャツを着て。
「というか、ヴァーリじゃねぇか……おい、起きろヴァーリっ!?」
俺は起こそうとしたらヴァーリが寝返りをうつ。そして気づいた。気づいてしまった。
ヴァーリの奴、Yシャツの下には何も着ていやがらねぇ……!
「ちょっと待て!?何がどうなってんだ!?」
「イッセー起きたの!?」
と、俺の声を聞いたのかクレアが俺の部屋にやってきた。
そして、俺の状況を凝視する。
「……………………」
何だか、どんどん顔に陰りが出てきてませんかね?クレアさん……?
「イッセー……あんたって奴は……!」
そしてなぜかその手には鞭が……って、炎の鞭じゃねぇか!
「待て待て待て!俺の意識がさっきまで無かったのはお前だって知ってるだろ!?」
「うるさい!そんな恰好になってるのを見て普通にしている事があんたが変態だっていう証拠じゃない!」
「おかしいだろ!?俺だって混乱してんだぞ!?」
「口答えは許さないわ!イッセー……消し炭にするわよ!」
「だから、何でだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」
『はぁ……相棒の回りはいつも騒がしいな。まあ、アルビオンと一緒に寝れて俺としては万々歳だが』
お前の仕業か、ドライグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!??
しかし、今のクレアは俺の話なんて聞いてくれそうにない。
「ああ、もぅ!俺に安らぎの時間をくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
俺はそう叫んだ。
その時、ヴァーリの寝顔に満面の笑みがあるのが見えた。
俺はやはり救えたんだと思える瞬間だった。
「待ちなさい、イッセー!!」
しかし、死ぬ方が早いんじゃないかと思ってしまう俺であった……。
ページ上へ戻る