旧エクリプス(銀河英雄伝説編)
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第10話 第5次イゼルローン要塞攻防戦
■帝国暦483年 1月16日
ハイドロメタル鉱山の利権を狙って、リッテンハイム侯爵の一門に連なるヘルクスハイマー伯爵がシャフハウゼン子爵に決闘を申し込んだ。
光輝の手の者がシャフハウゼン子爵の代理人となり、勝負に勝った。
以後、この代理人は事あるごとに弱者の代理人になり、決闘に勝って行く。これで決闘で解決する門閥貴族はいなくなった。
■帝国暦483年 2月21日
ラインハルトはイゼルローン要塞に赴任する。
■帝国暦483年 、宇宙暦792年 3月12日
アルレスハイム星域会戦。
帝国軍のカイザーリング中将の艦隊がアルレスハイム星域で同盟軍に奇襲をかける。数で同盟軍に劣っていたが、奇襲により帝国軍の勝利となった。
原作ではサイオキシン麻薬の気化により統制が取れなくなり、6割の損傷を出して敗走している。
■帝国暦483年 、宇宙暦792年 5月 6日
第5次イゼルローン要塞攻防戦が開始される。
帝国軍は宇宙艦隊司令長官のミュッケンベルガー元帥が増援部隊として三個艦隊が派遣されており、要塞駐留艦隊と合わせて約46,000隻。
対する同盟軍は総司令官のシトレ大将が率いる第8艦隊、第4艦隊、第5艦隊の約51,400隻が相対した。
帝国軍はイゼルローン要塞のトールハンマーの射程内に留まり、同盟軍は数の有利差を生かせないでいた。
帝国暦483年 、宇宙暦792年 5月 7日 帝国軍 新型駆逐艦ハーメルンⅢ(ドライ)
イゼルローン要塞のトールハンマーの射程内外で睨み合いが続いていた。この艦にはラインハルトが航海長、キルヒアイスが水雷長として乗り込んでいる。
Side ラインハルト・フォン・ミューゼル
「航海長、訓練通りやれば勝てる。この作戦の肝は航海長と水雷長の阿吽の呼吸だ。それでは出航用意。」
艦長がラインハルトに語り掛ける。
「出航用意。艦が離艦したと同時に熱光学迷彩システム起動する。」
「航海長、航路は敵を迂回しつつ背後の補給艦隊を攻撃する。呉々も旗艦と離れるな。ビーコンに注意せよ。」
「了解しました。」
ラインハルトは艦長の指示に従い。ビーコンを頼りに仲間の200隻の小艦隊と一定の距離を保ち航行する。熱光学迷彩を施しているので視認出来ないのだ。
目的の補給艦隊の背後に回り、自動追尾機雷を投下する。砲撃では敵に感付かれる恐れが有る為、使用が制限されているのだ。
ラインハルトとキルヒアイスは的確な航路とタイミングで機雷を投下して行く。
Sideout
帝国暦483年 、宇宙暦792年 5月 7日 同盟軍 総旗艦ヘクトル
Side ヤン・ウェンリー
「敵は戦場に機雷を設置していたと思われます。消極的戦闘はこの目的の為です。敵は態と撃沈していません。味方の救出のタイミングで攻撃しています。ここは味方を放置してでも後退して、艦隊を再編しなければ全軍崩壊します。」
「どういう事だ?」
「故に我、戦わんと欲すれば、敵、塁を高くし、溝を深くすと雖も、我と戦わざるを得ざるは、其の必ず救う所を攻むればなり。
過去の兵法の一編です。即ち敵は味方を態と生かして、それを助ける為に救出しに行った所を急撃しようと狙っています。このまま再編せずに戦えば敵の思う壺となります。その為に機雷の炸薬を減らして撃沈しないようにしています。」
別の参謀もヤンの意見に賛同した。
「分かった。ここは速やかに後退しよう。」
シトレは決断したが、それでも味方を救う為に戦場に留まる艦艇がある。その艦艇も態とエンジン部分を攻撃して、撃沈しないようにする。
戦場に取り残された艦艇は白旗を上げるしかない。
同盟軍は味方を見捨てて後退せざるを得なかった。
「敵の作戦にまんまと乗せられました。」
艦隊を再編して攻撃しようにも味方艦が戦場に取り残されている。敵はそれを盾にした陣形を取っている。
同盟軍は被害を増やさないように撤退するしか道は残されていなかった。
イゼルローン要塞攻防戦に置いて、トールハンマーを使用せずに艦艇の少ない帝国軍が勝利した初めての戦いとなった。
Sideout
帝国暦483年 、宇宙暦792年 5月 7日 帝国軍 新型駆逐艦ハーメルンⅢ(ドライ)
Side ラインハルト・フォン・ミューゼル
「航海長、水雷長、見事だ。航路の選定も機雷の投下タイミングも、初めての実戦とは思えないぐらい完璧であった。しかし、敵もこちらの意図を読んで撤退した。撤退のタイミングがもう少し遅ければ、戦果を増やせたに違いない。」
「「はい、ありがとうございます。」敵にも優れた参謀がいるようですね。」
「ああ、その通りだ。」
Sideout
第5次イゼルローン要塞攻防戦は帝国の勝利となった。
帝国軍の戦死者及び行方不明者14万8200人。
同盟軍の戦死者及び行方不明者18万2100人。捕虜8万2500人。
両軍共に光輝の手の者が参加しており、それらは無人艦を操作しており、実際の戦死者はずっと少ない。
■帝国暦483年 5月24日
ラインハルトとキルヒアイスは、第5次イゼルローン要塞攻防戦に功績があったとして、それぞれ少佐と大尉に昇進した。
■帝国暦483年 7月12日
ミッターマイヤーとエヴァンゼリンが結婚した。
■帝国暦483年 、宇宙暦792年12月19日
同盟軍がヴァンフリート4=2の南半球に後方基地を建設する。
後書き
原作まで、後4年です。
第5次イゼルローン要塞攻防戦は並行追撃戦は、起こりませんでした。
平和にするのが目標なので死者を少なくしています。無人艦通しで相手を破壊して、戦火を大きく見せています。あくまでバイオロイドやコーディネーター達の昇進、政府の中枢にもぐり込ませるのが目的です。
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