アニメにおけるOCGデッキの可能性
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無慈悲なる全弾射出
前書き
最初に謝っておきます。
話の最後にいつも付けているカード説明ですが、モチベーションの関係で省かせていただきます。
本文に、わかりやすいように効果を説明していますがそれでもわからなければWikiなどでお調べになってください。
私事で御迷惑をおかけすることを謝罪いたします。
就寝時間も近い時間。明日香に呼びだされてブルー寮の女子寮付近にある湖へ。
正直バックレたかったが、恵を引き合いに出されたらしょうがない。
せっかくなので作ったばかりのこのデッキを持っていくとしよう。
そんなわけで寮を抜け出し、月明かりの中をデュエルディスクを付けて歩くこと十数分。何やら邪念のような雰囲気ただよう湖畔に到着した。……怖い。
「……ん、逢魔」
「よう。呼び出されたから来たぞ」
真っ先に俺に気づいた恵はいつも通りの表情でこちらに手を振る。
「来たわね」
「こんばんは……だな。こんな時間に呼び出したのはなんでだ?」
理由は知っているけれども。
リスペクト信者、丸藤翔。丸眼鏡が特徴の典型的なイヤなやつ。とりあえず、自分に不利なことがあったらすぐにインチキだと非難する嫌いなタイプ。
「この男が女子寮の風呂を覗いていてね。それで恵の保護者であるあなたを呼んだのよ。他にもこの男の保護者である遊代十代も呼んであるわ」
明日香も決闘中毒者(デュエルジャンキー)のようで目が言っている。十代と俺を呼んだのはデュエルをするためであると。
……恵。抱き着くのをそろそろやめてくれ。明日香の取り巻きである枕田ジュンコと浜口ももえの目線が痛い。最初は明日香と話す俺が気に入らないようで、鋭い目で睨んできていたが、恵に抱き着かれてからは徐々に呆れた目になってきているから。
「え、冤罪っス!」
知らんな。黙れ眼鏡。
「……明日香にしては回りくどいな。俺はともかく、十代の性格なら正面からデュエルして欲しいと言えばいいだろうに」
「私にも立場があるのよ……」
疲れたようにため息をつく明日香。女王だかなんだか言われてるらしいので同情しよう。
「まあ……やるか?」
せっかく持ってきたのだし。
「ええ……そうね。あなたが勝てたらこの男の覗きは無かったことにしてあげましょう」
「別に必要ない。罪は罪だ。さっさと退学にでもすればいい」
眼鏡の頭の上に!?マークが浮かぶ。別に間違ったことは言ってないと思うのだが。それにそれは俺ではなく十代の役目だ。俺はこいつ、嫌いだし。
「……えっと……」
困ったように視線をさ迷わせる明日香。俺は苦笑しつつジュンコとももえに向かってあちらを向くようにとジェスチャー。ジュンコとももえが苦笑し、あちらを向いたのを確認する。
「明日香。誰も見てないから素直になれ」
明日香はジュンコとももえの様子を見てから恥ずかしそうに。
「……デュエルして欲しいのよ」
「受けて立とう」
なにやら眼鏡が騒いでいるが無視だ無視。
「デュエル」
原作のように船には乗らない。……なぜ乗ったんだろう?
「私のターン! 荒野の女戦士を守備表示で召喚! カードを二枚伏せてターンエンド!」
リクルートモンスターを守備表示で召喚し、バックを二枚か。原作キャラにしては珍しく堅実だ。
「あなたとのデュエルで気づいたの。慢心していた自分に。だから……今度こそあなたに勝ってみせる!」
「まあ、頑張れ。俺のターン、ドロー」
相手がやる気満々だと萎えるのはなぜだろうか。
「ヴォルカニック・ロケットを攻撃表示で召喚。効果でデッキからブレイズ・キャノン・マガジンを手札に加える」
初期ライフが4000のこのデュエルでは非常に不利なこのデッキであるが、さっさとケリをつければ問題ない。
「バトルだ。ヴォルカニック・ロケットで荒野の女戦士を攻撃する」
「戦闘で破壊された荒野の女戦士の効果発動! 攻撃力1500以下の地属性戦士族モンスターをデッキから特殊できる! これで私は攻撃力1200のエトワール・サイバーを特殊召喚するわ!」
手札に融合素材でもあるのだろうか。まあ、いい。
「カードを一枚伏せ、ターンエンド」
「私のターン、ドロー! 手札から融合を発動! 手札のブレード・スケーターとフィールド上のエトワール・サイバーを融合し、融合モンスター、サイバー・ブレイダーを融合召喚するわ!」
さすがはアニメのメインキャラクター。すぐさまエースモンスターを呼んでくるのはもはや定番となっているな。
明日香の取り巻きは終わった、とかほざいて騒いでるが明日香の顔はまだ真剣。それもそのはず。前回、サイバー・ブレイダーを出して負けているからな。
しかも使っているカードは本来この時期には存在していないカードで、当然明日香も知らないカード。前回の慢心明日香様なら警戒すらしないだろうが、本来の明日香ならば……。
「マガジンがどんなカードか知らない……。でも、ここは攻める! サイバー・ブレイダーでヴォルカニック・ロケットを攻撃するわ!」
「だが、そのバトルフェイズに入る直前に永続トラップ、ブレイズ・キャノン・マガジンの効果を発動する。手札のヴォルカニックと名の付いたカードを一枚墓地に送り、一枚ドローする」
「え?そんな効果じゃ攻撃は防げないけれど……」
「手札のヴォルカニック・バックショットを墓地に送り、一枚ドロー」
周りの連中が馬鹿にしてきて非常にウザい。
明日香は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながらもこちらに注視している。
「ヴォルカニック・バックショットの一つ目の効果。相手プレイヤーに500ポイントのダメージを与える」
4000→3500
「くっ……でも、サイバー・ブレイダーの攻撃が……」
「またバーン!?卑怯っス!」
うるさいぞ、丸眼鏡。というか豚箱にぶち込まれるか否かの瀬戸際なのに余裕だな。
「まあ、焦るな。ヴォルカニック・バックショットにはもう一つ、効果がある」
「もう……一つ!?」
「このカードがブレイズ・キャノンと名の付いたカードの効果で墓地に送られたとき、同名カードを手札、デッキから二枚墓地に送ることで相手フィールド上のモンスターをすべて破壊する」
「なっ……」
「チ、チートっス! そんな、禁止カードみたいな効果!」
サンダー・ボルトのことを言っているのだろうか?
それにしてもお前は批判しかできんのか。
「そしてヴォルカニック・バックショットの効果が発動。追加で1000ダメージだ」
3500→2500
「くっ……まだ! トラップ発動! リビングデッドの呼び声!」
まさかの汎用カード使用に驚愕した。
蘇るのはもちろん、サイバー・ブレイダー。
「今度こそバトル! サイバー・ブレイダーでヴォルカニック・ロケットに攻撃! これでターンを終了するわ」
4000→3800
「俺のターン、ドロー」
「一矢は報いたわ。ここから一気に畳み掛ける!」
「できるものなら、な。俺は炎帝近衛兵を召喚し、墓地のヴォルカニック・バックショット三枚とヴォルカニック・ロケットを選択して効果を発動する。選択したモンスターをデッキに戻して二枚ドロー」
これで手札は七枚。
「手札のヴォルカニック・バレットを墓地に送り、デッキから一枚ドロー。ヴォルカニック・バレットの効果。ライフを500払い、デッキからヴォルカニック・バレットを手札に加える」
3800→3300
「フィールド上のブレイズ・キャノン・マガジンはブレイズ・キャノン-トライデントとしても扱う。そして手札のヴォルカニック・デビルはフィールド上のブレイズ・キャノン-トライデントを墓地に送ることで特殊召喚できる」
ヴォルカニック・デビルを特殊召喚。その攻撃力は3000。登場した瞬間に莫大な威圧感を放った。
「攻撃力3000を簡単に……。でも、サイバー・ブレイダーの攻撃力は今4200!」
「墓地のブレイズ・キャノン・マガジンの効果発動。このカードをゲームから除外し、デッキからヴォルカニックと名の付いたカードを一枚墓地に送る」
「そんな効果……まさか……」
先程も似たような効果を使ったし、さすがにわかるか。
「御明察の通りだ。デッキからヴォルカニック・バックショットを墓地に送る。追加で二枚のヴォルカニック・バックショットを墓地に送って相手フィールド上のモンスターをすべて破壊する。さらに計1500のダメージを与える」
2500→1000
「バトル、ヴォルカニック・デビルでダイレクトアタック」
「まだ! まだ負けない……トラップ発動、聖なるバリア、ミラーフォース!」
また汎用カード。この明日香、原作よりも強い……。まさかタッグフォースの明日香か?
「魔法カード、貪欲な壺を発動。墓地のヴォルカニック・バックショット三枚、ヴォルカニック・バレット、炎帝近衛兵をデッキに戻して二枚ドロー。カードを二枚伏せてターン、エンド」
「私の、ターン!」
今までで一番強く叫んだ明日香はいいカードを引いたようで不敵な笑みを浮かべた。
「私は手札から死者蘇生を発動! 蘇らせるのは当然、サイバー・ブレイダー!」
本日三回目の御登場。今日の過労死MVPは君だ! ……いや、それを言うなら二回も墓地に叩き込まれたヴォルカニック・バックショット三兄弟の方がMVPか?
「そしてエトワール・サイバーを通常召喚! バトルよ! エトワール・サイバーでダイレクトアタック!」
3300→2100
うん、攻撃をすべて通したらライフがちょうど消える辺り、なんか御都合主義的なものを感じるな。
「ダメージを受けたこの瞬間、手札のBK-ベイルの効果発動。このカードを特殊召喚し、受けたダメージ分ライフを回復する」
2100→3300
「……サイバー・ブレイダーでBK-ベイルに攻撃。ターンエンド。……さすが逢魔。簡単には勝たせてくれないわね」
「俺のターン、ドロー。魔法カード、死者蘇生を発動。墓地からBK-ベイルを特殊召喚。そしてマジック・キャプチャーを発動。手札のヴォルカニック・デビルを墓地に送り、死者蘇生を手札に戻す。炎王炎環を発動。BK-ベイルを破壊し、ヴォルカニック・デビルを特殊召喚する」
「……また勝てなかったわね」
「ヴォルカニック・デビルでエトワール・サイバーを攻撃。効果でサイバー・ブレイダーを破壊し500ダメージ」
1000→-800→-1300
最後の500ダメージは蛇足だったな。まあ、某動画曰くオーバーキスは基本らしいし構わないか。
「……まだ勝てないわね。また、機会があればお願いできるかしら?」
「ああ、もちろんだ」
暇ならな。暇なら。
「すっげー! お前、強ええんだな!」
「ん?」
いつの間にかクラゲ(十代)御一行が到着していたらしい。
目をキラキラさせてこちらを見ている。
「俺の名前は遊城十代。よろしくな!」
歴代で最もメンタルの強いと言われたクラゲこと遊城十代か。眼鏡を助けに来たであろうに、もはや眼中にないらしい。
「ああ、尾上逢魔だ。こちらこそよろしく頼む……と、こんなことしてていいのか?」
「ん?あ、ああ。そういえば翔のことを助けに来たんだった! じゃ、また今度デュエルしようぜ!」
今思い出した感じだな、あれは。
これが原作主人公との初めての邂逅だった。
後書き
ヴォルカニックでした。
書いてから気づきました。GXってヴォルカニック使いが居るじゃん……ごめん、オースなんたら……。
マガジンが出たのがいけなかったんや。
除去&1500バーンは強いですね。ちなみに純ヴォルカニックでした。
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