アニメにおけるOCGデッキの可能性
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天使の反射防壁
校長室に呼ばれました。
なぜだ……と落ち込みたいものの、残念ながら心当たりがあり過ぎる。
ぶっちしたいのにできない悲しさ。本当にやるせない。
というわけでドナドナを心の中で歌いながら明日香に恵を任せ、足早に校長室へと足を運んだのだった。
前世でも職員室はともかく校長室に入ったことはない。なんかこう……威圧感がヤバい。
呼び出しとか初めての経験だし。
焦る内心をポーカーフェースで押し込めて、重厚な威圧感を放つ扉をノックする。……何回が正しいノック回数だっけ?
「どうぞ」
「失礼します」
扉を開けると、原作でもたびたび登場した校長室があった。正面にはハゲた校長が座り、来賓用と思われるソファーにはなぜかカイザー亮がいた。
……サイバー流ェ。
「ラー・イエローの尾上逢魔君だね?」
違うと言いたい。そんな衝動が沸き上がる。
「……はい。その通りです」
「ふむ……君を呼んだのは他でもない。君の使ったサイバー流のデッキについてだ」
メインはエアトスだって。残念ながらサイバー流なんかじゃない。
……面倒だから否定はしないけど。
「私と彼はサイバー流で、しかもかなりの知識量があると自負しているんだ。しかし、君の使ったカードの内にいくつか知らないカードが存在する。……どこで手に入れたのかね」
前世のストラクチャーデッキです。……なんて言えるわけないよなぁ。
「申し訳ありませんがお答えかねます」
「確かに自身のアドバンテージを捨てるのを躊躇う気持ちはわかります。……ならばこうしましょう。その情報を我々サイバー流二人を相手に戦う際の賭けにしてもらえるかな?」
……えぇー。そこでそんな展開になるの?
「しかし、それでは賭けにならないのでは?こちらが勝った場合はどうするのです?」
「君の願いを我々の可能な範囲で叶えようと思う。どうかな?」
負けを想定してないのか大風呂敷を広げる校長。カイザー亮も同じ考えなのか特に口を挟まない。
「いいでしょう。カードで語れと言うならば望むところです。デュエルで決着をつけましょう」
カードを剣に変えたら黒の剣士。言えた!言えたよ俺!
盛り上がって参りました。
「ならば明日、パートナーをつれて第二アリーナまで来てください。そこでデュエルといきましょう」
「わかりました。では失礼します」
パートナーは迷う余地なく恵だな。そして使うデッキは恵のアンデットデッキとも相性のよく、対ワンキルデッキにも対応が可能なあのデッキ。
……負ける気がしないな。
そう考えながら校長室をあとにした。
「あのカイザー亮と校長のタッグに挑むの!?」
「だからそう言ってるだろ、明日香」
耳元で叫ぶな。騒がしい。
校長室を出て寮に帰る道すがら、待ち伏せしていた明日香と恵に拉致された。
現在外にあるベンチで取り調べ中である。
「逢魔。あなたが強いのは知ってるわ。でもカイザー亮と校長は格が違うのよ。私なんて足元にも及ばないくらいに」
「問題ない。やるからには勝つ。それだけだ」
正直この時代のサイバー流なんて弱点だらけで、ガチになれないファン扱いだもんなぁ。相性の悪いデッキでワンショットキルされるならともかく、相手のデッキがサイバーだとわかってる状態で負けるやつは稀だろう。
「あ、恵。明日のデュエル、パートナーを頼みたいんだが」
「ん……わかった」
「……はぁ……なんでこんなに余裕そうなのかしら」
いや、実際に余裕だし。
さてと……キングクリム(ry
具体的な時間の通達を忘れた校長のせいで再び呼び出しを食らったのだった。しかもその副次効果で生徒が大集合。アリーナは満員御礼と言った様相を示している。
「……人が多い……目立ちたくないのにどうしてこうなった」
肩にポンと軽い衝撃が走ったので振り返ると恵がいつもの無表情でこちらを見ていた。
「……手遅れ」
そうボソッと言うのはやめてくれ……。
「パートナーはオベリスク・ブルーのレイン恵さん……でしたか?」
「……ん……」
校長の問いに頷く恵。やはり首席合格だったからか知っていたらしい。
「では、よいデュエルにしましょう。先攻はそちらに譲りますよ」
抜かせ、狸。サイバーデッキは後攻向きのデッキだからだろうが。
……そういういえばカイザー亮の声をまだ一度も聞いてない。
ちなみにルールだがライフは個別で4000ずつ。手札、デッキも同じく個別でフィールドと墓地は共通なんだと。
……アニメってフィールドは個別じゃなかったっけ?まあ、いいか。
「デュエル」
「……」
三人のデュエルという声でデュエルが始まった。言ってないのは当然恵。……というか、カイザー亮の台詞を初めて聞いた。
「俺のターン、豊穣のアルテミスを召喚。カードを三枚伏せてターンエンド」
俺のデッキがわかった人は苦笑いしていればいいと思うよ。どう足掻いてもサイバーじゃ勝てないだろうし。
「俺のターン、ドロー」
「この瞬間、カウンタートラップ、強烈なはたき落としを発動。ドローしたそのカードを墓地に送る。そしてカウンタートラップを使用したことで豊穣のアルテミスの効果発動。デッキからカードを一枚ドローする」
……カイザー亮が睨んでくる。なんでキレてんの!?
それとも目つきが悪いだけ?
「……プロト・サイバー・ドラゴンを攻撃表示で召喚。カードを一枚伏せてターンエンドだ」
「私……ドロー」
一ターン目は誰も攻撃できないのがこのタッグデュエルのルール。……余裕与えると恵は手がつけられなくなるぞ……。
「これ……」
苦渋の選択……っておいおい、最初から飛ばすな。
選択したカードはゾンビ・キャリア×3に馬頭鬼にコブリンゾンビ。
「……逢魔」
「ん?」
「……選んで」
タッグデュエルだとパートナーに選ばせることができるのか。……そういえば原作でも迷宮兄弟がやってたな。
「じゃあ、ゴブリンゾンビで」
「ん……出す」
恵は一つ頷くと手札に加えたゴブリンゾンビを守備表示で召喚。
「発動……伏せ……エンド」
生還の宝札を発動し、一枚伏せてターンエンドした。
「では私のターンですね。手札から魔法カード、パワー・ボンドを発動します。手札のサイバー・ドラゴンとフィールド上のプロト・サイバー・ドラゴンを融合し、サイバー・ツイン・ドラゴンを融合召喚します。パワー・ボンドの効果で攻撃力は二倍となりますね」
「残念ですがカウンタートラップ、昇天の黒角笛を発動します。特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する」
二つの頭を持った機械竜が登場するも、黒角笛の音響に共振したのか一瞬でひび割れ、崩壊していく。
「そしてカウンタートラップが発動したので豊穣のアルテミスの効果が発動。デッキからカードを一枚ドローする」
俺がカードを一枚ドローすると恵も一枚カードをドローする。フィールド共有だからなぁ。
「……ならば私は手札からサイバー・ヴァリーを攻撃表示で召喚します。カードを三枚伏せてターンエンドです」
リカバーするカードがあるのはさすがだと思う。まあ、もう布陣は整ったけど。
「俺のターン、ドロー。手札の天空の使者 ゼラディアスの効果発動。このカードを手札から墓地に捨て、デッキから天空の聖域を手札に加え、そのまま発動します」
場に光が満ち、どこか暖かいフィールドが顕現した。……ソリッドビジョンすげー。
「ゴブリンゾンビを攻撃表示に変更し、バトル。豊穣のアルテミスでサイバー・ヴァリーを攻撃」
「サイバー・ヴァリーの効果を発動します」
「残念ですがカウンタートラップ、天罰を発動。手札を一枚捨て、モンスター効果を無効にし、破壊します。そして豊穣のアルテミスの効果で一枚ドロー。さらに手札の冥王竜ヴァンダルギオンの効果発動。手札から特殊召喚し、この召喚に関わったカウンタートラップが無効にした効果の種類に応じて効果を発動します。今回無効にしたのはモンスター効果。なので墓地の馬頭鬼を攻撃表示で復活させます。墓地からモンスターが特殊召喚されたため、生還の宝札で三枚ドロー」
ここまでがワンモーション。長い。
「くっ、させん! トラップカード、激流葬を発動する。フィールド上のモンスターをすべて破壊させてもらう」
「ん……効果」
ゴブリンゾンビの効果でゾンビマスターを手札に加える恵。
カイザー亮の発動した激流葬によりフィールド上が綺麗になる。
ふむ……。
「天空聖者メルティウスを召喚。カードを三枚伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー。俺は手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚する!」
「……ダメ」
恵の発動した奈落の落とし穴によってサイバー・ドラゴンが落ちていく。
「させませんよ。トラップカード、トラップ・スタンを発動します。これによりフィールド上に存在するすべてのトラップカードの効果を無効になりますね」
「残念ですがカウンタートラップ、神罰を発動。その効果を無効にし破壊します」
残念ですがーって癖になりそう。
神罰によって校長のトラスタは無効になり、恵の奈落が通る。結果的にサイバー・ドラゴンはゲームから除外された。
「カウンタートラップが発動したことにより天空聖者メルティウスの効果が発動。ライフを1000ポイント回復し、さらに天空の聖域があるので相手フィールド上のカードを一枚破壊できます。よって校長の向かって右側の伏せカードを破壊」
逢魔
4000→5000
恵
4000→5000
リミッター解除か。まあいい方じゃないかな?
「くっ……ならばサイバー・ラーバァを攻撃表示で召喚。カードを一枚伏せてターンエンド」
こちらもリカバーしてくるなぁ。サポートカードも乏しいこの時代によく回してくる。
「私……ドロー」
恵の手札が大変なことになってる。枚数が……。
「これ……効果」
ゾンビマスターが召喚され、墓地の馬頭鬼が復活する。そして三枚ドロー。……俺も。
「さらに……効果」
ゾンビキャリアが自身の効果で復活。一枚戻して三枚ドロー。
出た、強欲なゾンキャリ!
「……使う」
恵が使用したのは二重召喚。普通ならあまりアンデットには合わないのだが、生還の宝札の大量ドローのせいで採用と相成ったのだ。
「……出す」
ゾンキャリをリリースして現れたのは茫漠の死者。……アニメ効果の。だから攻撃力4000。
「まだ……」
二体目の強欲なゾンキャリが登場。手札枚数があっという間に6枚を超えるんだが……。
「戦闘……これ」
ゾンキャリがラーバァに突撃。ラリアットで突っ込む。
「サイバー・ラーバァの効果を発動する!」
「残念ですがカウンタートラップ発動、天罰。手札を一枚捨て、その効果を無効にします」
「さらにカウンタートラップが発動したことにより天空聖者メルティウスの効果が発動。ライフを1000ポイント回復し、校長の最後の伏せカードを破壊します」
逢魔
5000→6000
恵
5000→6000
破壊されたのは融合解除。
あー……原作だと融合解除でパワー・ボンドのデメリット効果を打ち消せたもんな。
だから入ってるのか。
……現状では全く意味がないが。
「行く……大きいの」
「ぐあっ……バカな」
カイザー亮
4000→3600→0
ゾンキャリに加えて茫漠の死者の攻撃で死亡。カイザー……いいとこ無かったな。
「行く……攻撃」
「ぬう……」
校長
4000→2200→500→-1100
ゾンマス、馬頭鬼、メルティウスの攻撃を受け、校長のライフもゼロになった。
そしてなぜアリーナ内は静まり返っている。
「……君達の勝ちです。ですが逢魔君、あなたのデッキはリスペクトデュエルに反します。明日までに新たなデッキを組むようにしてください」
えー……。エンジェルパーミのどこが悪いんだよ、おい。
「相手のことを尊重し、敬意を持ってデッキとデッキをぶつけ合うのがデュエルです。相手の行動を阻害し、封じるのはデュエリスト精神に反します」
デュエリスト精神に反してるのはその考えだろうが。パーミもハンデスもロックもバーンもれっきとしたデッキの形態。それを否定するとかデュエリスト失格だよなぁ。
面倒だから口には出さないけれど、イラついたからさっきからボイスレコーダーで記録しています。
匿名で海馬社長に送ってやる。
「ですが今回は勝ちというにしておきましょう。後で校長室へ来て下さい」
おっと、聞き流していたら話が終わっていた。恵を見ると半分夢の中だったし。
「わかりました」
……棒読みになってないよね?
・豊穣のアルテミス
効果モンスター
レベル 4
属性 光
種族 天使族
攻撃力 1600
守備力 1700
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、カウンター罠が発動される度に自分のデッキからカードを1枚ドローする。
・強烈なはたき落とし
カウンター罠
相手がデッキからカードを手札に加えた時に発動できる。
相手は手札に加えたそのカード1枚を墓地へ捨てる。
・プロト・サイバー・ドラゴン
効果モンスター
レベル 3
属性 光
種族 機械族
攻撃力 1100
守備力 600
このカードのカード名は、フィールド上に表側表示で存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。
・苦渋の選択
通常魔法
自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。
相手はその中から1枚を選択する。
相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる。
・パワー・ボンド
通常魔法
自分の手札・フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、機械族のその融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。
このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、自分はこのカードの効果でアップした数値分のダメージを受ける。
・サイバー・ツイン・ドラゴン
融合・効果モンスター
レベル 8
属性 光
種族 機械族
攻撃力 2800
守備力 2100
「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」
このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。
このカードは一度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。
・昇天の黒角笛
カウンター罠
相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。
・サイバー・ヴァリー
効果モンスター
レベル 1
属性 光
種族 機械族
攻撃力 0
守備力 0
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、このカードを除外して発動できる。
デッキからカードを1枚ドローし、バトルフェイズを終了する。
●自分のメインフェイズ時に発動できる。
このカードと自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して除外し、その後デッキからカードを2枚ドローする。
●自分のメインフェイズ時に、自分の墓地のカード1枚を選択して発動できる。
このカードと手札1枚を除外し、その後選択したカードをデッキの一番上に戻す。
・天空の使者 ゼラディアス
効果モンスター
レベル 4
属性 光
種族 天使族
攻撃力 2100
守備力 800
このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。
デッキから「天空の聖域」1枚を手札に加える。
また、フィールド上に「天空の聖域」が存在しない場合、このカードを破壊する。
・天罰
カウンター罠
手札を1枚捨てて発動する。
効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。
・冥王竜ヴァンダルギオン
効果モンスター
レベル 8
属性 闇
種族 ドラゴン族
攻撃力 2800
守備力 2500
相手がコントロールするカードの発動をカウンター罠で無効にした場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
この方法で特殊召喚に成功した時、無効にしたカードの種類により以下の効果を発動する。
●魔法:相手ライフに1500ポイントダメージを与える。
●罠:相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。
●効果モンスター:自分の墓地からモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。
・天空聖者メルティウス
効果モンスター
レベル 4
属性 光
種族 天使族
攻撃力 1600
守備力 1200
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、カウンター罠が発動される度に自分は1000ライフポイント回復する。
さらに、フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
・神罰
カウンター罠
フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。
・サイバー・ラーバァ
効果モンスター
レベル 1
属性 光
種族 機械族
攻撃力 400
守備力 600
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時に発動する。
このターン、戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「サイバー・ラーバァ」1体を特殊召喚できる。
・神の警告
カウンター罠
2000LPを払って以下の効果を発動できる。
●モンスターを特殊召喚する効果を含む、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。
それを無効にし、そのモンスターを破壊する。
・融合解除
速攻魔法
フィールド上に表側表示で存在する融合モンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す。
さらに、エクストラデッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
後書き
聖域軸エンジェルパーミ&純アンデ(鬼畜)VSサイバー流(旧)×2
勝てるわけがなかったんや……。エンジェルパーミの弱点、手札切れが純アンデで完全にカバーされ、そのエンジェルパーミのバックアップを受けたアンデット……隙がない。
けなされるロックやバーンって完全にサイバー流の天敵なんですよね……。魔法の筒一発でさよならしますし……。嫌いなんでちょっと厭味なキャラに。好きな方はすみません。
次は……風呂場覗き辺りですかね?恵がいるのと明日香と知り合いなので予想がつくとは思いますが……呼び出しを喰らいます(笑)
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