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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十四章
  大評定終了後からの密談×決着話×理解と納得

再び光輝いて、再び目を開けるとそこには船内ではなく躑躅ヶ崎館の評定の間に戻っていたのだった。しかもここで座っていた位置通りとなっていた事に終始驚く面々だったが激しく息を荒々しくしていた者がいたので、その者を見るとそこにいたのは大天使化を解いた一真だった。

「おい!一真、しっかりしろ!」

「・・・・恐らく大規模な魔法術式を使っていたから、相当力を使ったんだと思う。『その通りでございます』・・・・沙紀」

そこにいたのは、桜花・結衣・沙紀だった。そして過呼吸になりながら、桜花と結衣はストレッチャーで一真を運び、空間切断によりトレミーの医療施設のところに運び込まれた。残った沙紀によると、相当魔力というのを使ったそうな。久遠たちでいうなら気力とでも言おうか、大天使化の長時間はいいがこの大人数を正確な位置にトレミーの船内にある大評定を行うためのだったから。

「隊長なら心配いりませんよ、それと隊長率いる奥方衆については私が仕切りをしますので、よろしくお願いします」

「それならいいな。それと沙紀よ、一真に伝えておいてほしい事がある」

沙紀に一真への伝言の最中に大評定が終わったので、皆が部屋を出て行くのだった。そして久遠の伝言については、無事に伝えられた。内容は後で話があるとのこと、今夜に美空、光璃、一葉も一緒だと。この事は一真以外には知らせないようにとのことだったけど。一方船内の治療室では、桃香たち回復組が一真の治療をしていた。

「はあはあはあ、助かるよ。桃香たち」

「そりゃそうだよ。あれほどの術式を一人でやったのですから、いくら神様でも無理があるよ」

「それより沙紀から、ご主人様に秘匿通信がございます」

と言ってから、耳元に通信機を付けてから聞いたら今夜話があるらしい。沙紀も何かを察知したのか、理由も聞かずに頷いたと言った。まあそれについては、知っているとでも言っておこうか。で、回復魔法にフェニックスの涙改を飲んでから、少し睡眠をしたのだった。沙紀は夜が来るまで俺の代わりとして居たわけだけど。聞いたところによると広さは結構ある躑躅ヶ崎館であったけど連合将兵全て収容することは出来なかったと聞く。主要な将以外は躑躅ヶ崎館周辺の小城や砦に配置されているそうだと。それぞれの陣営の侍大将が、所狭しと忙しくなく動く様子を見ていた沙紀ではあった。そんで夜になった俺は奏と共に戻った。奏は奥方衆のリーダーとして沙紀はその補佐として残っていたのだった。そんで今は自分の剣を抜いて見ていたのだった。

「ふむ。この世界に来てから能力が追加されたのは知っていたが、この剣が鬼の滅ぼす剣になるとは」

「まあしょうがないと思うわ、この世界に来る前から聖剣は魔を滅する剣だもの。それに私の焔月はあなたと出会ってから悪魔の炎から神の炎になるなんてね」

「私もそう思います。全ては隊長と出会ってから、武器が変わる者もおりますし。私達ブラック・シャーク隊は元々1万はいたはずなのに、今では数百人となりましたからね。次は元部下の方が記憶共有者として、隊長をバックアップしますけど」

その通りだと思う、奏は元々高位の悪魔一族である花鳥風月の四名家・嵩月家の令嬢で、自身の血液を2千度以上の紅蓮地獄(パイロクラズム)の業火に変えることができる。懐剣を媒介に繰り出す、全長数十メートルにもなる巨大な炎の剣である一族の護り刀「焔月」と「炎舞」という嵩月家独自の武術を使い、高い戦闘能力を誇る。擬態を解き悪魔の力を行使する際には左目が緑色になる。それが俺と出会う前ならではの話で、今では神と悪魔のハーフとなっているので目は緑ではなく金色になる。

まあ俺もこの世界に来るのは二度目であるからか、この外史が滅ぶというのはもう分かっていたことだ。それに一度目はエーリカの中にある明智光秀の魂と鎖から解き放つ事が出来たが、今回もその方法では出来ないと思った。今回は久遠が来ても拉致られないようにしてから本能寺の中で決着をつけるつもりだ。それについては奏も知っている。前回と同じ方法で解き放つ事は不可能に近いと思ったと聞いたからな。俺ら次元パトロール隊は外史の始まりと終幕を見届ける事でもあると俺は思う。俺がかつていた外史でも救えた外史が数多くある。それでも救えない外史もあるからこそ、消滅の道となれば月中基地本部にと運ぶという選択が生まれた。お陰で仲間はたくさんいるし、桃香たちもかつては本部の中で暮らしていた。

とまあ今更考えてもしょうがない俺だったので、部屋の中にいた。奏は沙紀と話していたけど、この先についてをだった。まあいいとして俺は俺で出来る事を拠点の中にある異空間に4つの地球にもしかしたら救援が必要だとメールとして打ったのだった。それを送信してから襖の向こうから声が聞こえたので、ノーパソを空間にしまい奏と沙紀は喋るのをやめたのだった。

「一真・・・・いけるか?」

「ああ。入って来いよ」

「うむ。・・・・・」

襖が開くと、そこには久遠を先頭に、美空、光璃、一葉の四人がいたけど。その四人が部屋に入って来ようとしたら奏と沙紀の存在に気付いたようだった。気配は感じないのにいたとは思わなかったらしいが、正室として来た奏に側室代表として来た沙紀だったけど。

「まさか奏さんと沙紀もいるとは、思わなかった」

「お前らはあくまで愛妾だ、奏は正室として、沙紀は側室代表な。聞く権利はあるだろうに」

「そうだったわね、側室だけで三桁いるのはホントらしいし」

「・・・・光璃は最初からいた事は知っていた」

「余は将軍だが、そちらは神だからのぅ。格が違う」

とまあそんな感じだったけど、本来なら正室としての久遠たちによる密談が始まったのだった。けど、まとまっていないから俺が質問していいかと聞いたので、俺からになったけど。

「では聞くが、久遠と美空に光璃はいつ頃から繋ぎを持っていたんだ?」

「ほお。なぜそう思える?」

「いくらなんでも不自然に思えるからだ。川中島に来る前に、美空と久遠が繋ぎを持ったとは聞いた。長尾衆と織田連合の繋がりについては納得いく点がある」

葵たちを三河に戻すために、桐琴&小夜叉率いる森一家が越前を突っ切るときに神の加護を入れておいた。お陰で鬼とは出くわさないで、無事に帰れたと聞く。そん時に織田と長尾が繋ぎを持つと考えていいんだが・・・・。

「それなら私もそう思いました。川中島戦後に武田との合流がすんなりと行けたことです、それで私たちや一真は不思議がっていました」

「・・・・さすが一真に奏たち」

「うむ。聡いなというより予感と推測か」

「そう言うならやはり・・・・・とでもいう気だな」

「うん・・・・金ヶ崎の退き口から戻った久遠に、武田から接触した」

「そんなに前かよ!」

「うむ。・・・・あの時は同じ驚きであったし、面食らった」

「まあそうだな・・・・・」

金ヶ崎の退き口での畿内連合に多大な犠牲を払ったが、あの後の退却戦のあとにこっそりと蘇生はさせたことはあった。その瞬間に甲斐の実力者である武田から使者が来たという報告は聞いていない。あとこっそり蘇生させたあとに、主要な将たちには死んだ者が生き返った者になったという事消去させる作業をしていたからである。多大な人の記憶を消去なら簡単であるが将の者が把握している死者が無かったことにするのは骨が折れる作業であった。その途中での退却戦後に来たのなら驚きはするさ。

「で、なぜ武田からなんだ?」

「砥石崩れで鬼と遭遇したあと、歩き巫女たちから、鬼に関する情報が頻繁に報告されるようになった・・・・。報告は特に畿内からが多かったけれど、時間と共に全国に伝播しているように思えた」

「そして光璃はある事に気が付いたのだ」

「・・・・・(コクッ)」

「ああ・・・・そういうことね」

「一真の考えている通りよ。あなたの周りに鬼が集まっている、まあドウターもそうなのかもしれないけど、あなたを中心に鬼が活性化しているようなの」

「三好衆との戦い然り、金ヶ崎の退き口然り。確かに主様の居る所に鬼の影あり、となっておるな」

「尾張でも、小谷でも現れおったからな」

「だから、光璃は久遠に尋ねた」

「なるほど・・・・。つまりだ、身内の中に鬼に近いヤツはいないか?とか」

俺が久遠が言いそうだったことを言ったら、久遠はまるで驚いた顔をしていたけど。美空も一葉も納得するような感じではあった、まあ近くに鬼を従える者がいれば俺らの所がまる分かりのようなもんだし。そういうのは四六時中GPSを付けられたようなもんだと思う。奏も沙紀も納得というより、俺の推論が当たったようだったのであまり驚かないけど。

「鬼が俺を襲うなら、鬼を従わせる者が近くにいると、俺の側で機会を窺うのが手っ取り早い」

「一真の言う通りだ。そして光璃の書状を読み、我は考えた。・・・・織田家中において鬼に近しい者は誰かと」

「宿老、鬼柴田に米五郎左はあり得ん。三若たちも可能性は薄い。可能性が一番高いのは・・・・」

鬼が蠢動を始めた頃に久遠の側にいて、俺に鬼をけしかける事が容易かった者なんて俺にはすぐに分かる。それに前回もそうだったから、今回もヤツなんだろうと俺は考えたけど。

「俺の推論はエーリカだと思うが、当たっているか?」

「・・・・うむ。一真の推論はよく当たるな、いやそれは直勘か。振り返ってみたとき、エーリカは鬼が出現する、その殆どの場面で一真の近くにいた」

「二条館への鬼の襲撃、金ヶ崎の退き口。そして聞くところによれば小谷城でもそうだったらしいな」

「そして今。越後に居る時も、甲斐に居る時も、一真は鬼襲われてはいない」

「当然よね。野良の鬼ならいざ知らず、一真を襲えと命令するヤツが居ないんだもの」

「そして・・・・砥石城に籠った村上勢に鬼をもたらしたのは・・・・・」

なるほどなー。確かにそん時現れたのは日本人には見えない者で南蛮人=外国人だ。

「武田が砥石崩れを経験したときは、まだあなたはまだエーリカさんと会っていないわよね?」

「そうだな・・・・。南蛮人がザビエルという事だけを考えていたのが、そもそも間違いだった可能性もあるな。俺達は裏をかかれたということだ」

「うむ。三好衆のときも、砥石崩れのときも、鬼の側にいる南蛮人がザビエルだと思い込ませたのも、エーリカだ。それに一真は言ったな、ザビエルというのは歴史に存在する名前だと」

「ああ。ザビエルについては、歴史で学んでいるから知っていた。で、鬼を操っているのがザビエルだと俺達は聞かされていた。ちょっとした洗脳になる、いや操作しているのを誘導されていたということか」

まあ確かに砥石崩れのときはまだ会っていないし、活発化になったのはエーリカと会ってからとなる。そして俺達に語ってきたのは全てが嘘で出鱈目となる。そう考えると何かしらの目的で俺達に近付いてきたのだろうな。

「そう考えますと、目的が何なのかですよね」

「沙紀の言う通りとなる、我は一真が狙いなのでは?と考えている」

「・・・・俺、ねえ」

まあ確かにこの世界にはない知識や技術を持っているし、おまけに神様だ。そしてエーリカのもう一つの名前があってその名の意味を知っているのは、俺と奏と沙紀だけだ。本来なら俺が降臨する前からいたはずの人物が、堺で会うなんて思わなかった。明智十兵衛と聞いたときは俺と沙紀は一瞬で明智光秀だと悟ったからだ。

「まあ確かに俺は人間にはない力、知識、技術を持っている。俺を殺したら何かが変わるかは、知らんけど」

「確かに一真が人間を越えた力を持っているし、例え死んだとしても生き返るんでしょ?でも生き返る事を知りながら一真を殺すなんて出来ないと思うわ、もしだけど一真を排除して、そのエーリカって奴は何が目的なの?」

「ふむ・・・・悔しいが、余には分からんの。・・・・久遠、光璃と奏と沙紀はどうだ?」

「・・・・我も分からん」

「・・・・・・・」

「私と沙紀は何となくですが、分かりますよ。・・・・光璃はどうなのです?」

「・・・・何となくだけど、まだまとまっていない。奏や沙紀の方が分かってそう」

「では、未来から来た一真の妻に聞こうか」

「まあ私たちでさえ、本当かどうかは分かりませんが・・・・・」

「奏・・・・。情報は足りなくとも、今言う事なのかもしれない。まあ奏と俺はどう意見だから、夫である俺が言おうか?」

まあ俺も考えながらだけど、一度目を瞑ってからだったけど考えが纏ったから言った俺であった。

「エーリカを久遠たちと同じと考えるのなら、それはやめたほういい。目的の推測がそちらとこちらでは違って見えてくる」

「それはどういうことじゃ?主様」

「俺や奏達がこの時代の人間じゃないのなら、エーリカにだってそれの可能性があるってこと。まあエーリカもこの時代の終幕は知っていると思うし」

「じゃあ一真たちと同じ時代から来たということ?」

「そういう意味ではない。つまりだ、俺と対になる存在と言う可能性だ。そちらでは想像を超える範囲だと俺は思う」

「光璃もそう思う。だけどエーリカが一真と同方向の存在なのかは、その目的としてはやっぱり・・・・・」

「同じ性質のもの。もしくは逆の性質を持つものを排除するのが目的、そういえばドウターもそうだったな?一真」

「ああ。ドウターの存在はこの世界そのもの、俺が光でヤツは闇、そう考えるとと言う感じか」

まあそう考えるのが妥当だろうな。

「俺はもう一つ気になる事がある、ルイス・エーリカ・フロイスという名を持ちながら、明智光秀というもう一つの名を持っているという事を」

「・・・・一真。エーリカのもう一つの名は明智十兵衛のはず・・・・。なぜ一真は光璃の知らない名を知っている?二つの名前がある以上は何らかの意図が籠められているのかまでは考えていた」

「隊長と奏さんと私はどこから来たと思いますか?この時代から四百年後の未来から来たのですよ?」

「そうそう、明智光秀というのは本来だったら、ここにいる久遠の重臣になるはずの人間の名前。そして十兵衛という名は別名に当たるのですよ」

とか語っていたけど、久遠は驚愕していたからな。本来なら重臣でいたとされたのに、久遠のところに降臨したらまだいなかったのだから。そんでいつ現れるのかと思ったらルイス・エーリカ・フロイスの別名として現れた存在。

「ところで、エーリカは今どこにいんの?」

「京都所司代という名目で、山城国の守護を命じている。・・・・叙任のとき、固辞しておったが押し付けた」

「ふむ。動きやすい状況を作ったということか」

「そういうことだ」

でもなあ、あいつは恐らく俺の推論でしかないけど前回の外史のときに砕いたはずの魂と鎖の残りがある可能性が高い。それに前回はいなかったが、今回はドウターまでいるとなるとドウターに侵食されている可能性が高いなー。エーリカ自身ではなく、ここ外史での終幕となるはずがたぶんゼットン級に侵食されたか悪神となって化けて出たか。

「久遠らの目があれば、大胆な動きは取れないかもしれんからな。隙を見せて、魚が食いつくのを待つわけか」

「一真を中心とする畿内連合に長尾、武田が合流し、さらに黒鮫隊という大きな組織までもが合流したからか、一大勢力となった今・・・・」

「これ以上、時間を許せば、目的を達する障害になると考えても不思議じゃないわね・・・・」

「うむ。・・・・恐らく、そろそろ・・・・・」

そろそろと言おうとしたら変な音が鳴った。

「誰だっ!!」

鳴り響いた異音と共に、音を聞いた瞬間に刀を抜きながら襖を開き、外に飛び出たが。やっとお出ましのようだな、明智光秀。

「・・・・やはりお出ましのようだな。エーリカ」

「ふふっ・・・・お久しぶりですね、一真様」

エーリカはそう言いながら、慇懃な一礼をするが。俺には分かる、やはり前回のがエーリカの中にいるという事を。

「そうだな、久しぶりとでも言おうかな。いや随分前にも会ったよな?前回の外史で」

前回の外史でと言ったら、空中に浮かぶエーリカは笑って見せた。

「そうですね・・・・。私の中にいるもう一人の私がそう言ってますよ、この恨みを果たすときがきたと。そしてあなたも私も運命なのですよ」

「運命というのは人間が決めたもんだ、俺はそんなのでは縛られないぞ。エーリカはそれを従うと?」

「運命とは決められた道ではなく、一秒一秒流れていく時計の針のことでしかない、そう考えれば、従う従わないという行為はそもそも無意味ではないでしょうか」

「一秒という時間の過ごし方を含めて、自分の生き方が運命となるとでも?生憎俺は自分で決めている道なのでね、運命というのはいまいち良く分からないもんだ。だが、俺には分かる。運命というより宿命の方が近いのではないのか?」

「そうですね・・・・。私の中にいるもう一人の私が言っています。前回の恨み、またこの外史で果たせることができることをとても嬉しがっていますよ」

「その鎖をぶっ壊したのはこの俺だ、恨まれる義理はないがそっちにはあるんだろうな。そんで?お前の道理ってんのは何なのさ」

「私の道理は一つ。狂言回しの役目を果たすこと」

「役目、ねえ。それはどんな役目なのかな?」

「私の役目を、私が本当に正しく知っているかどうか。解は私の中にはないのか?私は知っているのか・・・・。否。ただあるのは、役目を果たさなければ私という存在は成立しないという、この外史で決められた、私に課せられたルールのみ。私は、この外史のルールに則る事で成立し、その存在を確立させる。そも存在とはなんぞや?存在とは、あると認識されてこそ、世に存在することができる儚き観念。ルイス・エーリカ・フロイスという存在を支える普遍的観念はいかに?明智十兵衛光秀という二つ名の、その存在を支える普遍的観念はいかに?存在する名。外史が正史に影響を与えるように、正史が外史に影響を与えるのは必然。二つ名に求められた観念に従うしかない、創作された存在。そんな荒唐無稽な存在の私が従うべき役目とは。果たして何なのでしょう・・・・・」

「ほう・・・・。確かに正史から切り離された外史は多く存在する、同じように正史が外史に影響を与えるのは当たり前だと俺は思う。何たってその外史を見届けるのが俺の使命であり、破滅させた外史から保護するのも俺の役目だ。そして俺は創造神としての役目を与えられた存在でもある、ここを創造して創られたのなら俺が創った訳ねえからだ。ここは前代の創造主が創ったと同時に前回の外史で俺に粉々にされた鎖と魂が何らかの理由により、おめえの中に存在するというカタチとなった。が、俺の真実の目だとお前自身は助けてとも聞こえるな。今出ている人格が、前回外史での役目であった明智光秀だな?」

「そうです・・・・。今の私は貴方に粉々にされた魂とその鎖となる存在。偶然この外史に来れて私はラッキーだと思いました。これで今回は恨みを果たせます、まあ役目は変わらずでしたけどあなたを見た瞬間に私というのが覚醒をしたときは驚きましたよ。私は消滅したはずなのに、またここにいるということをね。ですが、今回は少々イレギュラーがいるようですね」

「やはりそうか!貴様、またルイス・エーリカ・フロイスの魂と同化しているのか?それとそれは当然だ、俺がいるのなら必ずドウターも出現する事も!そしてお前も理解してんだろ!この外史はまもなく終幕を終える事と共に消滅への道となるということをな!」

「ふふふ、あの時みたいにまた鎖と私の魂を破壊させないためにそうさせてもらいました。お陰で本来の役目を書き換えた私がここにいるのです、そしてドウターをも操作する事をね」

「なるほど・・・・。道理で小型ゼットンが多い訳か、それで納得したぜ。なぜ二条館からドウターが出現をするのか、考えていたが結局の所分からなかったが今なら分かるな。貴様は前回外史で破壊された明智光秀の魂と役目をゼットンそのものとなり書き換えられた、それで消滅した外史からブラックホールに吸い込まれてから消滅しつつのゼットンと出会い同化した。そしてホワイトホールから出てから、この新しい外史にて消滅の道にしようとそう考えたところでエーリカがそこにいたので、憑りついたという訳なのか!」

「あなたの推測はホントに当たりますねぇ、ええそうです。今の私は、人間を越えた存在として鬼以上の者となりました。あなたには感謝しなければなりません、再びあなたと出会い復習という別の役目ができたのですから」

「ああそうだな。お前をそう変えたのは、この俺であり次元パトロール隊の織斑一真だ。まさかそうなったのも俺の責任だ、だからさ。お前がいるところまで行って、俺の手で決着を付けようか?」

「そうですね・・・・。お待ちしておりましょう。では皆様。京の都にてお会いする日を、楽しみにお待ちしております。またお会いしましょう、北郷いえ、・・・・織斑に連なる者よ」

と言って消えてしまった。トレミーによるとあれは一種の映像のようだ、トレミーではやはりというかエーリカの中には本来のエーリカの魂にこの外史で生まれた明智光秀の魂ではなく、前回外史で握りつぶした者の魂が憑依している感じのようだった。奏と沙紀は静かに俺とエーリカの会話を聞いていたが、久遠達はというと。

「「「・・・・・・・」」」

「ふむ・・・・。こいつはややこしい事態となるな」

「一真、心眼で見たらそうだったのよね?」

「ああ、沙紀たちの端末に送っといたけど、あれはまさしく前回外史でのあいつだったぞ。それも本当のエーリカを鎖で縛っている状態の中にいる、前回のような助け方では不可能だな。俺が精神世界に行かないと行けないが戦力が足りないな、仕方がないから拠点からさらに援軍を呼び出すか」

「そのようですね、私の端末にもあのエーリカさんの中には本当のエーリカさんを鎖で封じているようでした。そして二度と空間切断で魂を両断されないようになっていましたね。隊長の言う通りややこしい事態ですねー」

と俺達次元パトロール隊が前回について語っていると、緊張に身を固くした久遠達が一斉に力を抜いたのだった。そういえば久遠もいたなーと思ったけど、あの会話で付いていけたのは奏と沙紀、それとトレミーで聞いていてクルーにブラック・シャーク隊の者たちに黒神眷属の者たちだけだった。

「・・・・大胆不敵な奴ね、あのエーリカって女」

「でもあれは本人じゃない気がする」

「光璃の言う通り、あれが幻術か何かだと思う。エーリカに俺達の技術はないけど、幻術とか仙術とかは使えると思う」

「主様の通りじゃろうて。戦艦の中で見た映像よりも鮮明ではなかったが、幻術の類じゃろう」

で、光璃は美空のお家流に近い感じだとか言ってたが、そんで美空は妖の類じゃないわよね?とか聞いたら頷いたので、そこに直って頸を刎ねて上げるとか物騒な事を言ったのと妖だと言った光璃にハリセン一発をしたのだったけど。

「それにしても・・・・あやつは一体、何の話をしておったのだ?余には全く分からん話であったが・・・・?」

「韜晦趣味、ここに極まれりって感じだったわね」

「一真。一真は理解して話し合っていたようだが・・・・?」

「分かったというよりも、納得と理解をしたと言う感じだ。もちろん俺だけじゃない、ここにいる奏と沙紀そして戦艦にいる全ての者たちは、会話の意味を理解してるよ」

「・・・・理解と納得?」

「一真が話していたのは、この世界でのエーリカではないと言うべき存在。私たちはよく知っている・・・・。そしてここの本来のエーリカに過ちを犯してしまったということをね」

「どういうこと?まるで一真がこの世界に来た事あるとでも、言っている気がする・・・・」

「その答えは当たりです。私たちは前にもこの世界に来た事があるのですよ、そしてその決着をこの世界で果たそうとしている悪霊となった者の魂が」

その魂が今のエーリカにいることなら、俺は前回の外史でちゃんと滅んだと確認をすればよかった。だが、エーリカの本来の魂に浄化をする余裕がなかったからだ。あの超巨大な鬼に阻められてからの一刀両断をしてから、剣丞たちを保護をしてからの最大出力で脱出をしたからだ。まああの時は思わなかったであろう、魂が悪霊となった上での化け物になりがちなことだ。

「一真・・・・。死ぬ気ではないだろうな?」

そんなのを考えていると、俺の後ろにいた久遠が話しかけてきた。奏と沙紀は俺の横にいるけど。

「まさかな・・・・。そんなワケないだろうに、ここにはまた嫁さんが増える事を嬉しがっているんだから。な、奏?」

「そうねぇ・・・・。まあアグニたちのような感じになると思うけど、私たちは心と心で繋がっている。だから、離ればなれになっても私は悲しくはならない。その代りとして増える予定の子を可愛がるという約束をしているのだから」

「なっ・・・・・!!!!」

「そんな約束をしておるから、お主は平気なのだな『平気ではありませんが、他の子たちからの報告を聞くだけでも十分です。一生愛すという盟約なのですから』なるほどのぅ・・・・。だからなのか」

まあそういう訳だし、今更あんな出方をしても俺らにか変わりが無い目的があるということ。

「決まっていると思うが、俺を旗頭としてこの集まった連合と俺ら黒鮫隊と黒神眷属の嫁達と共に、魔性となったエーリカを討つ。だろう、久遠?」

「全て言われてしまったが、そうだ」

「まあお前らに守ってもらっても構わんがな、強さは分かっているだろ?」

「例え主様より弱い存在としてでも、主様を守るために」

「・・・・頑張る」

力強く頷いた嫁(予定)たちの姿に奏も沙紀もそしてトレミー内にいる全てのクルーが、やってやるという意気込みであった。

「まあ俺と同じ速さで行けるかどうかは楽しみだが、まあいい。俺らの強さを見せるのみだ!」

「その言葉待っておった!では今晩の主様の伽は、この余が・・・・・」

「待て。待ち焦がれていたのは我も同じだ。今晩は我に譲っても罰が当たらんのではないか?」

「ちょっと待ちなさいよ。私だって一真と久しぶりに過ごしたいんだけど?ここは私が・・・・・・」

「・・・・一真、一緒にお風呂に行こう?近くに良い露天風呂があるから・・・・」

「ちょっと待て、そこの小娘。何を抜け駆けしようとしておる!」

「・・・・ここは躑躅ヶ崎。武田の館。主である光璃こそ、一真の相手をするのが相応しい」

「はぁ?何、勝手なこと言ってんのよ?あんたはつい最近まで一真と一緒に居たじゃない」

「全くだ。だから今日は我が・・・・」

「だから余だと言っておるであろう!」

「私に譲ってくれる気はさらさら無いって訳。あっ、そぉ~・・・・」

「・・・・ほお。やるか越後の」

「ふむ・・・・余の斬鉄剣の餌食になるが良いわ」

「・・・・・・・・・・・・」

「準備は良いわね・・・・」

「・・・・いざ」

「尋常に・・・・・」

「勝負っ!」

で、忘れ去られた俺達であった。勝手に勝負始めちゃったけど、今日は疲れたなー。そういえば奏がここに到着してから、あまり一緒になる時間はなかったなと思ったら奏はあの子たちは放っておいて今日は久し振りに家族揃って食事会でもしましょうという案に賛成した。なので、俺がいるというところに置手紙を置いてから奏と沙紀と一緒にトレミーに帰還したのだった。そして置手紙にはこう書いてあった。

『あなたたちは居た時間が長くとも愛妾で妾、私という存在がいながら無視するとはいい度胸ですねぇ小娘たち。今夜は私と一緒なので例え勝負が着いたとしても諦めて下さいね。私は貴女たちよりも格上で、一真の真なる妻なのだから。正室の織斑奏より』

とね、それを見た四人は後悔をしたのだった。こうなる前に奏さんにお許しをもらえば良かったと思ったそうだけど、それでも駄目と言いそうだった。一方俺達は奏と優斗に深雪と共に神界に来ていた。奏と優斗と深雪は俺と同じ神の一員というか種族は神族に近い存在、なので神界に行っては各神話の男神と女神たちと会っての食事会をしたのだった。各神話の女神たちは多いので、抽選となった訳だが護法五神や武田の精霊たちもいたけど見事抽選に当たったそうな。あと護法善神のメンツも抽選に当たって人格が女は主に奏や深雪と話しかけて男の方は俺と優斗による宴会となった。そのあと神界にある全神話が来れるスーパー銭湯に行ってから、護法五神に案内された我の部屋で家族四人で寝たのだった。 
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