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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十四章
  三国の主

「ぬぁっ!?」

「初めまして。織田久遠殿」

「・・・・・殿」

「睦み合いの最中で申し訳ないんだけど、そろそろご挨拶をさせてもらっても良いかしら?」

「・・・・その前に一真から離れる」

珍しくむくれたような口調で言いながら、光璃は俺の胸にいた久遠をグイっと引っ張ったのだった。

「う、あ、い、いつ、から・・・・・?」

「最初からいたよ、久遠」

「一真の言う通り、最初から居たわよ」

「・・・・(コクッ)」

「あ、ああ、ああああああ・・・・・・」

俺から言ってからの二人による同時攻撃で我に返ったのか、恥ずかしさのあまり、久遠は頭を抱えてしゃがみこむ。そんな久遠に構わず、二人は静かに名乗りを上げたのだったけど。

「越後国主、及び関東管領、長尾美空景虎よ」

「甲斐、信濃国主、武田光璃晴信・・・・・」

「ついでに俺、いや我の名は創造神。この日の本から、神仏、人間を創った神の頂点である」

ついでに我も大天使化となり、我も名乗った。まあこれについてはいらないとは思うけど、ここには三国の国主がいるからなのか一応名乗らないと思ったからである。堂々と名乗った二人とついでに名乗った我とは対象的に、恥ずかしさからか顔から火が噴きそうだったけど。それを堪えての名乗りを上げた久遠だった。背筋を伸ばして立ち上がりからの堂々ではなかったけど、二人に名乗りを返したのだった。

「お、尾張、美濃国主、織田上総介久遠信長だ」

「お初にお目に掛かる」

「初めまして・・・・」

「うむ。・・・・」

「「・・・・・」」

三人とも黙ってしまったので、俺はとりあえず大天使化を解いたけど。あとで大人数を転移魔法にてしなければならない大仕事があるのでな。何か三角形のような立ち位置で三人の間に、びみょーな空気が流れるのだった。漢字の微妙ではなく平仮名のびみょーだ。まあ見たら誰でも分かるような感じではあったけど、確認だが三人とも愛妾で別に正室ではないからな。

「さて、立ち話もなんだから。屋敷の中にでも入ろうや」

「屋敷だと?・・・・躑躅ヶ崎館の主は武田光璃ではないのか?なぜ貴様が指図するのだ?」

「・・・・一真が光璃の未来の良人。躑躅ヶ崎館の主の良人だから別に構わない」

「・・・・ほーお」

「あっらー、面白い事になっちゃってるわねぇ。・・・・けど二人とも。ここにも一真の恋人がいるって事、忘れちゃってないかしら?」

まあこれはこれで面白くなってきたから、まあいいか。ほっとくのが一番いいし、久遠と美空と光璃の背後には何かしらの獣を感じるんだが。あれは何だろうなー、あとは忘れては困るのが、俺には本妻がいることをな。三人の間には火花が出ているけどこれはこれで見たことない光景だな~。というかトレミーにいる奏から偵察機で録画しろとか言ったそうで、今も録画中なわけだけど。原因は俺だとは理解はしているけど、今更愛妾が増えたって俺の妻たちは小さな事は気にしないよーとか言っていたと後ほど聞いたけど。

「あはは・・・・お兄ちゃんの取り合いになっちゃったね」

「予想はしていたよ・・・・。でもこれで連合軍とかやれるのかが心配になってきたな」

「そこは大丈夫だと思うし、みんな目指すところは見失ってないし(あとは上空からお兄ちゃんの奥さんたちが見ているだなんて思ってなさそう)けど・・・・」

「けど・・・・?」

「・・・・お兄ちゃんの事が大好きだから、私的な時間ではみんなお兄ちゃんの一番になりたいんだよ、きっと」

「一番、ねえ。・・・・それは後々分かることだな、それは」

今ここにいる者で、一番というのは決められないと思うな。一般男子から見れば。でも俺には一番というのは決めているし、時間を一番長く過ごしてきた人物はヒトなら奏だろうな。物で言うなら、トレミーか月中基地本部だと思うなー。最初は一人だったから、でもまあ今は本部にも結構人がたくさんいる。

「俺には一番というのはすぐにでも選べるけど、今は序列なんて関係ないからなのか。余裕はある」

「まあお兄ちゃんには、本妻がいるからねー。でもこの中で一番を決めるとしたら、誰を選ぶの?」

「この中というと、この世界そのものか?難しいなー、神仏の中には妻になった神仏もいるからなー。難問だよ、それは」

「そうだったね。お兄ちゃんと同じ器量を持った者はたぶん奏さんくらいかもって、今は愛妾でも側室となって妻の一人になったら相応しい奥さんになるためにもとね」

「まあ薫が言いたい事は理解はしている。それに・・・・」

言おうとしたが、薫にはもう分かっていることなのか口に人差し指で口を閉じろという合図が出たので、これ以上喋らないことにした。他人の気持ちというのは、自分ではどうにもならないと思うけど、相手の事をどれだけ想えるかという問題だけだ。

「だからね、お兄ちゃんの事をたーくさん想っている薫も、お兄ちゃんのお嫁さんになる!お兄ちゃんがどれだけのお嫁さんがいるかは分からないけど、薫は気にしないから安心してね♪」

「な・・・・・!?」←美空

「ん・・・・・!?」←光璃

「と・・・・・!?」←久遠

何か太鼓の音が鳴ったと思ったら、三人で一文字ずつ言ったのだった。

「それじゃお兄ちゃん、先にお屋敷に入っとこ♪(それに色々と準備もあるでしょ?)」

「おう。こいつらはほっといて入ろうか。今の所愛妾止まりなのは、事実なのだからな♪(ああ。それに集中する事もあるんでな)」

と言って、俺と薫はこの三人は無視して屋敷の中に入って行った。事実、集中しての転移魔法だからというのは知っている薫でもある。

「・・・・織田の」

「・・・・長尾、武田よ」

「・・・・ん」

「牽制しあうのはこれで終わりにしとかないと、際限なく恋人が増えていくわよ、これ」

「うむ。我らはもはや一心同体。仲良く一真を共有しようではないか」

「・・・・賛成する。でも一真は光璃たちのモノでもない」

「しれっと言ってるけどさ。あんたの妹の変化ぐらい、見抜きなさいよ。それとそうね、別に一真は私たちのモノでもなさそうだからね」

「・・・・見抜いていたけど、止められない」

「まぁ久遠の例の宣言もあるから、仕方ないけどね」

「ぐぬっ・・・・ち、ちなみに、長尾、武田家中で、一真の妾になっている、もしくはなりそうな者は何人居る?」

「うちは私一人だと思うけど。・・・・・あ」

「な、なんだっ!?」

「まだ子供だけど、一人か・・・・もしかしたら二人追加になるかもしれないわ」

「子供だとっ!?あやつは子供にまで手を出しているのかっ!?」

「手を出すというのが、惚れさせたという意味なら、まあ出しているわね。あいつは意識あるし」

「くっ・・・・た、武田はどうなのだ?」

「・・・・私たち姉妹の他に、六人ぐらい?」

「姉妹が三人だから・・・・きゅ、九人もなのっ!?くっ・・・・やっぱり武田に身柄を渡すのは止めた方がよかったわね・・・・!」

「・・・・織田は?」

「わ・・・・我だけ!だぞ・・・・」

『嘘を付くな嘘を。武田家には歩き巫女がいるからな、家老二人に三若、それと森親子もいるぞ?久遠だけじゃないだろうに、あとは一真隊全員だな。たぶん』

と三人の頭の中にダイレクトコールしてみたあとに、久遠たち三人は固まった。

「ちょっと久遠!一真がこう言っているけど、嘘ついたのっ!?」

「なぜ一真がいないのに、声が聞こえる!それと歩き巫女とは何だ?」

「一真曰く私たちの頭の中に直接語っていると聞いたわ、それと歩き巫女というのは武田家の諜報部隊の一つよ。日の本全土を旅して諜報活動をしている巫女たちの総称」

「なんと・・・・・」

「一真隊は言うに及ばず、織田家中においても一真が言った通りとなる。他にも公方姉妹に浅井の二人も可能性があると報告を受けている『あー、それはホントな』やはり」

「ぐぬ・・・・み、認めよう!確かに歩き巫女の報告通りだ、それと一真はいらない事を言うな!」

『嘘より事実を言った方が良いと思ってなー。それに俺の妻たちには嘘なんて言わないから、今のは久遠が悪い事だ』

「ということは、一体何人妾いるのよ・・・・」

『さあ?ここら辺は数えたことはないから、まあ側室だけで三ケタはあることはもう知っているだろうに』

「三桁!!!一真、貴様その話は聞いていないぞ!」

もう俺は言う事も言い切ったので黙ったけど。それに奥なんて仕切っていないし、今は増えるかはもう無いと思うけど。美空もどうしてあんな男に惚れちゃったのかしら?とか言っていたが、そこは俺は知らんけど。そこらへんはお前らが勝手に惚れたのだろうよ。光璃は運命と言うけど、それは面白いとか言っていた久遠。

「面白いって何がよ?」

「なに・・・・安心したのだ。一真を勢力糾合の道具として見ているのかと、案じておったのだが・・・・どうやら二人とも、心底、あやつに惚れているのだな」

「な・・・・。そ・・・・そ、そこまでじゃないけどね!まぁ?男としてはなかなか見所はあるから『何を言ってんだ?護法五神もそれは嘘だと言っているぞ』ちょっ!何勝手に言っているのよ、私の妹たちは」

「・・・・私は心底惚れている」

そこで裏切られた美空であったけど、素直じゃないのは確かに良くない事だ。それに天下統一を狙う勢力の当主たちを虜にするなどと言っていたが、それは違うと言っといたけど。久遠の言葉を否定はしないが俺がそうさせたのではなく、あちらから仕掛けてきたとでも言っておこう。 
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