旧エクリプス(ゼロの使い魔編)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第35話 使い魔品評会
■皇紀2800年 5月 6日
光輝はキャッツ・アイ事件を受けて、日本帝国の組織制度を模範として、立憲君主制の草案をまとめて、各王家に提出した。
各王家は立憲君主制に向けて、組織再編の検討に入る。
ブリミル暦6242年 ウルの月 ヘイムダルの週 ユルの曜日
皇紀2800年 5月10日 トリステイン王国 トリステイン魔法学院
この日、トリステイン魔法学院で使い魔品評会が行なわれる。
トリステイン姫君が特別に行幸される為、準備に余念がない。
教師や生徒達が門の前整列していた。
Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
「アンリエッタ姫様にお会いするのは久しぶりね。最後に会ったのは、3年前のラグドリアン湖での園遊会だったはね。」
「俺も夢と一緒に、出席したからな。」
「光輝のおじ様が会場の設置したのよね。あまりに立派すぎて、取り壊すのが勿体ないと、今ではリゾート地になっているものね。」
「そんな話も有ったな。じいさん(光輝のこと)も手加減しないからな・・・。アルビオンのウェールズ皇太子とアンリエッタ姫の案内役は、俺だったからな。ルイズや夢も参加してきて、大変だった。」
「タバサちゃんとジョゼちゃんを、光輝のおじ様から紹介して貰ったのも園遊会だったわ。それから友達になって、タバサちゃん達の両親が新領土の総統府を任されてからは、夢ちゃんと一緒に家へ居候して来たもの。」
ルイズと司が昔話を咲かしていた。
そこへ白塗りのロールスロイス型の自動車が正門から入って来た。車の横にはトリステイン王家の紋章の白百合が金縁で描かれている。前後を護衛のグリフォン隊に護られている。
整列した生徒達は一斉に杖を揚げた。しゃん!と小気味よく杖の音が重なった。
正門をくぐった先に、本塔の玄関があった。そこに立ち、王女の一行を迎えるのは、学院長のオールド・オスマンであった。
車が止まると、召使達が駆け寄り、車の扉まで緋毛氈の絨毯を敷き詰めた。
呼び出しの衛士が、緊張した声で、王女の登場を告げる。
「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおな〜り〜ッ!」
車の扉が開くと最初に現れたのは枢機卿のマザリー二であった。
マザリー二は車の横に立つと、続いて降りてくる王女の手を取った。
生徒の間から歓声があがる。王女はにこっこりと白百合のような微笑みを浮かべると、優雅に手を振った。
「あれがトリステインの王女?ふん、あたしの方が美人じゃないの。」
キュルケがつまらなそうに呟く。
「ねえ、ダーリンはどっちが綺麗だとおもう?」
キュルケは司に尋ねた。
「人の主観によるな、可憐と言ったらアンリエッタ姫であろう。キュルケは野性味を帯びた美人ではある。黒ひょうの様な凛々しさを持っている。」
「流石はダーリン、どこぞの八方美人のギーシュと違って、ボキャブラリが豊富なのね!」
それを聞いたギーシュは落ち込む。隣で友達のマリコルヌか肩を叩いて、慰めている。
無事に王女の向かい入れを終えた一行は、中庭に設けられた使い魔品評会の会場に向かった。
特設ステージでは2年生の使い魔達が披露される。
各々がこの日に合わせて、使い魔達に仕込んだ芸を見せる。
「我が名はギーシュ・ド・グラモン、二つ名は青銅、使い魔はジャイアントモールのヴェルダンデです。」
ギーシュはその場で沢山の薔薇の造花を錬金して、ジャイアントモールを飾って自分もジャイアントモールの前で横になった。
ナルシストのギーシュは、ヴェルダンデの可愛さを強調したつもりである。
「我が名はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ、二つ名は香水、使い魔はカエルのロビンです。」
モンモランシーはカエルを赤いリボンで飾って、片手で逆立ちさせる器用な芸を見せた。
この品評会でトリを務めるのはルイズ達のスクウェア・メイジである。
「我が名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー、二つ名は微熱、使い魔はサラマンダーのフレイムです。」
キュルケはサラマンダーに炎を吐かせたり、擬人化させて魔術を演出させていた。
フレイムは擬人化すると火成岩の黒褐色の甲冑を身に着けており、尻尾の先から炎を出している。
「我が名はジョゼ、二つ名は虹、使い魔はフェンリルのルリです。」
子犬ぐらいの大きさで、真っ白い毛で覆われている。
女生徒からは、可愛いと歓声があがる。
ジョゼはフェンリルに冷たい息を出させる。大気中の水蒸気が昇華してダイヤモンドダストが降ってくる。ダイヤモンドダストが日光を反射させて虹色に輝く。ルリは擬人化すると白い犬耳に白いふさふさの尻尾をした10歳ぐらいの女の子になる。それを見て、再び女生徒の歓声が沸いた。この時、ハルケギニアに萌の文化が生まれた瞬間であった。
「我が名はタバサ、二つ名は雪風、使い魔は風竜のシルフィードです。」
タバサは風韻竜とは名乗らなかった。ハルケギニアでは風韻竜は、絶滅したと思われていたのだ。
シルフィードは華麗に空を舞った。それだけで絵になった。
擬人化するとエメラルドグリーンの甲冑を身に着けており、尻尾は鱗で覆われていた。
「我が名は夢・一条、二つ名は星屑、使い魔は白竜のハクオウです。」
夢も始祖竜とは名乗らなかった。始祖竜は風韻竜を統べる古代竜の一種で、ハルケギニアではその存在を知られていない。
今のハクオウは肩に乗れる程度の姿をしていたが、姿を本来の大きさにすると、シルフィードより一回り小さいが、見事な白の竜として、空を舞った。
擬人化すると白の甲冑を身に着けており、尻尾は鱗で覆われていた。
シルフィードが18歳ぐらいの美少女なら、ハクオウは15歳ぐらいの美少年である。
最後にルイズと司がステージに上がった。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、二つ名は虚無、使い魔は司・一条です。」
司はデルフリンガーを抜くと、華麗な剣舞をして見せた。そして10体のゴーレムを出すと、居合抜きでゴーレムを斬り伏せた。
勿論、ルイズが優勝であった。アンリエッタ姫からティアラを直接に賜る栄誉を貰った。
Sideout
因みにアンリエッタも12歳でスクウェア・メイジとなっており、その時に使い魔召喚を行っており、虹色に輝くスライムを呼び出している。
名前はスラくんと付けられたが、中性体で男女の区別はない。
擬人化で透明なジェル状の姿をしており、中性的な美少年である。
光輝達もスライムの存在を知らなかった。
後日、ラグドリアン湖の水位が僅かに上昇している事に気付いて、モンモランシ伯爵に頼んで水の精霊を呼び出して貰った。
事情を聞き、スライムが一個体が行方不明と聞いて、アンリエッタ姫が召喚してしまったことを話すと、これも大いなる意思の思召しと、水位を戻してくれた。
その後、トリスタニア王宮に大きな池を創り、ラグドリアン湖に祭壇を建てた。また、ラグドリアン湖の水底にクリスタルの王宮を建てた。これに喜んだ水の精霊と一条家は友誼を結んでいる。
スライムは水の精霊の原種であることも分かった。それ以降、スライムを大切に扱っている。
後書き
使い魔品評会の話でした。
モンモランシ伯爵は光輝が祭壇を建てたり、水の精霊をあまりに敬う姿を見て、水の精霊に対する認識を改めた為、水の精霊を怒らすイベントを回避できた。
ページ上へ戻る