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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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入学編〈下〉
  印象操作する輩のバック

「その事についてなのですが、どうも風紀委員会の活動は、生徒の反感を買っているらしいですね。前年度まではそうらしいですけど」

話を戻して俺は壬生先輩と話した内容についてを語ったけど。

「点数稼ぎに強引な摘発などというのは本当にあるのでしょうか?まあ前年度の考えであったらそう考えるでしょうけど、それを無くすのが俺らが派遣されたという理由でもありますが」

とまあ俺はそう言ったら、会長は顔を曇らせる。前年度だったら、そういう考えもあるかもしれないが。今年度の一年である俺らは、スパイみたいな感じで入ってきたもんのようだ。蒼い翼から派遣された社員でも見えない部分があるからと今までそうしなかった。この外史での行動が今年度なので、派遣されたわけだ。社長直々に見ているようなもんだが。

「それは壬生の勘違いだ。思い込み、なのかもしれんが。風紀委員会は全くの名誉職で、メリットはほとんどない。対抗戦の成績のように、演習の評価が加点されるというのも皆無だ。風紀委員を務めたことだけあって、多少は定性的な評価を得られるだけでもそれは学校内だけのこと。生徒会役員のように卒業後も高評価の要因となる、という事もない。まあ今年度は風紀以上に権限を持つ一真君がいるから、そういう思い込みは無くなると思う」

「・・・・だけど、校内では高い権力を持つのもまた事実。学校の現体制に不満を持っている生徒から見れば、学内秩序維持の実働部隊である風紀委員会は、権力を笠に着た走狗に見られる事もあるの。正確にはそういう風に印象を操作している何者かがいるけど、時期にそういうのは無くなると思っているわ。一真君はその実働部隊以上の権限を持っているから、そういう勘違いも無くせばいいのだけど」

何者という事にピンと来たのは俺と蒼太だけ。まだあれについては情報共有していないからな。

「正体は分かっているのですか?」

「え?ううん。噂の出所なんて、そう簡単に特定できていないわ・・・・」

「・・・・張本人を突き止めれば、止めさせる事も出来るんだがな」

会長と委員長にとっては予想外の質問に、答えたが俺的には気になる事が一点あることぐらいだ。チラリと蒼太の方を見たが、静かに頷く。会長の発言は明らかに動揺をしていたから、これほどハッキリしているのは初めてだが。

「俺が聞いているのは、末端やデマを流して印象操作している下っ端ではなく、そいつのバックにいる奴らの連中についての正体なのですが」

深雪が俺の袖を引っ張っていたが、それは踏み込み過ぎとでも言いたいのだろうか。でもこういうのは早めに言っといた方がいいし、俺の頭に浮かぶ赤と青のラインのリストバンドを脳裏に思い出す。

「例えばですが、『反魔法国際政治団体ブランシュ』とか?」

動揺が驚愕に変わったのと、蒼太は知っていたが沙紀は蒼太に質問をしていた。まあそうだろ、学内にそういう輩がいるということをまだ報告していなかったのだから。硬直する会長と委員長だが、中条先輩は詳しいことは知らないようで。

「なぜ、その名前を・・・・。報道規制されているのに」

「うちの情報網を舐めないでいただきたいですなぁ。いくら噂だけでも、出所は埋まらないほど数が多いのですから」

俺にとっては、会長がここまで驚くなんて予想外なんだが。俺らのバックには蒼い翼があるんだから、それぐらい知って当然だと認識していたけど違ったようだった。ブランシュというのは魔法師が政治的に優遇されている現代の行政システムに反対し、魔法能力による社会差別を根絶するのが目的で活動している、というのがこいつらの理念。だが、この国には魔法を使える者が政治的に優遇されている事自体が事実ではない事を俺らは知っている。魔法師を道具として使い潰す軍や行政機関のやり方に、非人道的という非難を浴びている。魔法師の軍人・行政官は、そうでない者より高い報酬を受けているが単純に労働の量に応じたからである。蒼い翼ではそういうのは無しで、魔法が使えようが使えないだろうが関係ない、全て平等で動いている。本社や支社、それと全世界の支社や傘下なども。魔法使用ありなし関係なく、政治的な事で口を挟まないようにはしているが。

この日本という国は、建前上は政治活動の自由が保障されているからか、単に政府を批判するだけなら取り締まられたり弾圧されることはない。反体制運動は犯罪行為として結びつつもある。ブランシュもだが、そういう反組織は公安当局からマークしているが、実は蒼い翼でも厳重にマークをしたりとしている。一企業がすることではないが、社長は零家当主で十師族をコントロールする役柄でもあり、政治の裏側では司法当局を凌駕する権勢を持っている。十師族の表ではそうなっているが、裏では零家が権力や権限を持っているから誰も逆らえる事ができない家柄だ。

それと俺が気になったのは、赤と青のリストバンドはブランシュの下部組織でエガリテと呼ばれている。エガリテとブランシュの直接的な繋がりは持っていないという風になっているが、実態はブランシュの一組織であり、政治色を嫌う若年層を吸収するために表向きではという看板に過ぎない。この事は知る人ぞ知る情報であり、蒼い翼にとってはこんなのは朝飯前だと言いたいくらいだ。一体どのくらいこの学内にいるかは、さすがの俺らでも知らんが。目撃した生徒が最初なのかもしれないが、数としたら数十人は入っていると思っている。

「こういうのは中途半端に隠しても仕方がないことですし、悪い結果にしか繋がりません。会長を非難しているのではなく、政府のやり方が問題視されているとのことなのですが」

「一真君の言う通りよ。魔法師を目の敵にする集団があるのは事実なんだから、彼らが如何に理不尽な存在であるか、そこまで含めて正しい情報を行き渡らせる事に努めた方が、一見もっともらしく不都合なアンジテーションごとその存在を丸のまま隠してしまうより、効果的な対策を取れるのに・・・・私たちは正面から対決することを、避けて・・・・いえ、逃げてしまっている」

むしろ自分的に責めていた会長であったが。

「それは仕方がないことです。ここは国立学校の施設です。俺ら生徒は身分上は、公務員ではありませんが学校運営に関わる生徒会役員が国の方針に縛られるのは仕方がない事です」

「え?」

温度のない声音と、掛けられた言葉の内容が頭の中で上手く結びつかずに、会長は戸惑っている。

「会長の立場なら秘匿にしておくのもやむを得ないということですよ」

戸惑っているところもいいが、追い詰めたあとにフォローを入れておく。そしたら委員長がにんまりとするが。

「ほほぅ、一真君、中々優しい所があるな」

「でも、会長を追い詰めたのも織斑君なんですよね・・・・」

ぼそっと呟く、中条先輩の一言に委員長の追撃もあったけど。

「自分で追い込んで自分でフォローする、か。ジゴロの手口だね。真由美もすっかり、籠絡されているようだし、一真君は中々の凄腕だな」

「ちょ、ちょっと摩利、変な事言わないで!」

「顔が赤いぞ、真由美」

「摩利!」

じゃれ合いだした生徒会長と風紀委員長。妹は冷たい視線を見せるはずが、話術にも長けているのでさすがですとでも言ってた。実際この二人より歳は上だからな、でもその事を忘れているのかだったが。

「じゃれ合っているところ悪いのですが、会長の立場ならではの話ですよ。この問題については既に蒼い翼が動いていますので、それに俺と深雪は身分上が学生兼調査しに来た諜報員という感じなので。何か分かった事があれば、ある程度は教えますよ」

「そうだったな。一真君たちのバックには蒼い翼があるというのを、あと壬生の件についてはどうするのかね?」

「返事待ちは俺なので、それを聞いてから判断しますよ」

会長はさっきまでじゃれ合っていたが、続きは放課後とか言ってたな。それにカフェテリアで俺が投げかけた質問に答える事が出来なかった。学校側に考えを伝えてその後どうするのかを。まあ俺も学校側の一人だし、何かあれば校長と生徒会長と共に何とかしたいが。今回は生徒会に一任しそうだな。それに壬生先輩は「あ」や「う」とかしただったから、この質問の回答を宿題としてまとめてから立ち去ったけど。

「話を聞いてから、どうするかはこちら側で決めますよ。理事長や校長とのホットラインがありますから、資金提供をしているのもウチですから」

「頼んだぞ。それにしても理事長というのは初めて知ったが、一体誰なんだ?」

「それについては秘匿なので、それにしても何を頼まれれば良いのやら見当が付きませんな」

「出来る範囲で構わんさ。そちらは範囲外でもやれるんだろ?」

「まあやれることはできますが、まあしてみましょうか。こちらとしても、学校内にそういう輩を放置する訳にはいきませんから」

反魔法組織の活動を泳がせているが、証拠は見つかれば粛清しているが。今はまだ泳がせているからな、それに理事長というのは蒼い翼本社での学校側に派遣された者だ。学校法人というより財団法人と言った方がいいのやら。ある特定の個人や企業などの法人から拠出された財産(基本財産)で設立され、これによる運用益である金利などを主要な事業原資として運営する法人であるとされているから、企業は蒼い翼となる。こちらはこちらでやれる範囲をやればいいことだし何かあれば、報告もするし。 
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