ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫
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≪アインクラッド篇≫
プロローグ リセットの享受
プロローグ 郷愁の日々 その壱
前書き
やっと投稿できました。インターネット環境がないのでゆっくりとした投稿となります。
長いような短いような、加筆のような足らないような。
小説って難しいです。
▼(追記)小説の基本に従って修正いたしました。まだどこか常識が守られていない点があればご一報ください。
二十一世紀の最高傑作とも言われる、≪ソードアート・オンライン≫。このタイトルが発表された当初の俺の興奮様はまさしく狂乱そのものだった。
仲の良い友人に「狂ったか」と真顔で言われた後でも、俺は破顔を止める事ができなかったほどに狂喜していた。
≪ソードアート・オンライン≫略して≪SAO≫を語るにはまずこのゲームのハードについて説明しなくてはならないだろう。
ゲームハードは≪ナーヴギア≫と呼ばれる次世代ゲーム機だったのだが、やはりというか新時代にはいる時の普遍的一般的流れというのか、ナーヴギア発売から長い間ゲームソフトの数は殆ど増えなかった。
ナーヴギアは頭から顔までを覆うヘッドギアでその内側から電波だが信号素子だがを使ってユーザーとダイレクトに接続する。ここでの接続はゲーマーなら一度は考えたような接続だ。自分の五感をゲーム内のアバターそのものに完全かつ完璧に反映させる。
かつてのゲームを『ゲーム内のアバターをコントローラで操作する』と言うのならば。
ナーヴギアのそれは『ゲーム内のアバターを自分自身で体験する』という感じだろうか。
このように仮想世界を直接冒険、体験できるナーヴギアを開発した電気機器メーカーは次のように表現した。
完全ダイブ、≪フルダイブ≫と。
このフルダイブの特色はやはりというか現実と仮想の完璧な隔離だろう。ナーヴギアは脳から発せられた命令信号を体の末端に到達する前に直接回収する。そのため仮想空間で走っても現実の体は走ったりすることはない。この隔離は絶対的で、プレイ中に本体の体が青痣だらけになるような心配はない。
しかしこのためナーヴギアでゲーム中の体は、椅子なりベッドの上なりでだらりと鎮座しているために傍から見れば奇妙で無防備で間抜けそのものだ。
そのことに仲の良い友人は「悪戯しほうだいじゃないか」と中々危険なことを言っている。まぁこのことは正鵠を射ていてナーヴギアの説明書にも『戸締りはちゃんとしてください』と書いてあるほどだ。――話が逸れたが、このような高度な技術を用いて大きなタイトルを出すゲームソフト会社はやっぱりまったく、いなかった。
長い間はぱっとしないタイトルが続いた。教育系や環境系やパズル、そんな駄作群の中でもなかなか面白かったのは≪アフリカ冒険記≫というアフリカっぽいとこで架空のアフリカ象やらキリンやら豹やらトラやらと戯れるゲームだったのだが、このことも個人的な事として置いておこう。
そして、ナーヴギア販売から半年後に件のソードアート・オンラインが発売された。これもゲーム社会の当然の流れというのだろうか、SAOを発表したのはナーヴギア開発者の茅場晶彦率いる大手株式会社≪アーガス≫だった。
SAOのジャンルはVRMMORPGというつまり、仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム。
ファンタジー特有の魔法要素は大胆にも排除され、代わりに≪ソードスキル≫という剣による必殺技が無限数に設定されている。魔法ではなくソードスキルが採用されたのは、剣を振り回して戦うというフルダイブを最大限に体感させるためというゲーマー達の気持ちを最大限に汲み取った最高にクールな理由だった。
発表から正式サービスまでの間、俺は歯軋りをしながらβテストプレイヤーのブログ更新を待ち、更新があったら食い入るように見ていた。
彼らのブログには様々なスクリーンショットがあった。あまりにも羨ましくて歯軋りばかりしたが、本来写真をとる行動は控えるように、と言われてきたβテスター達の献身的マナー違反行為に深く感謝もした。その画像群、もしくは公式サイト情報を見ながら色々ビルドを考えたものだった。
それは本当の本当に楽しい毎日だった。ビルドに関しては結局のところ『誰もしない超マイナービルドでいこう』と決め、正式サービス当日を待った。
予約は既にしていた。今となっては『初回予約が数秒で完売』と言われているが友人十人に中身のある茶封筒を渡して協力を仰げば一つぐらいは入手できるのだ。出費はちょっと多いが、アーガスにコネのない俺にできるのはそれぐらいだったし、まったく後悔はしていなかった。なんといったって俺の座右の銘は『時は金なり、然らば時を金で買うべし』だ。要約すれば『初回限定版は値段が十倍でも買え』なのだ。
当日、の前日にパッケージが届き、最早心の友とも呼べるナーヴギアで起動しアバターを作った。
俺はキャラメイクには結構なこだわりがある。イケメンは駄目、普通なのも駄目、ロールに合わない顔も駄目、インパクトが無いのは駄目、といった感じに。
SAOでの俺のアバターはゲスそうな盗賊顔にした。ぐりぐりとした目に痩せた顔と艶の無い焦げ茶色の髪、背こそ現実のものと変わらないがロールプレイ的にはずっと猫背の姿勢になるので背は高く感じないだろう。インパクトを求めた結果の産物で、いかにも弱小盗賊団の裏切りそうな下っ端っぽかったが、中々気に入っていた。プレイスタイルもマイナービルドでPVPを繰り返して追い剥ぎをしようと思っているぐらいだ。架空空間の中でゲスの笑みを浮かべるであろう≪スバル≫という名前のアバターに愛着を持っていた。製作時間十二時間。
そして本日。
二○ニニ年十一月六日、日曜日。
午後一時に待望の≪ソードアート・オンライン≫の正式サービスが開始される。
俺はその三時間前に朝食兼昼食を済ませ、トイレも済ませ、友人の遊びの誘いを全力で拒絶し、自分の部屋に勝手に鍵を増設して施錠し、インターネットでβテスターのブログを再確認しながら、その時を待った。
当然、正式サービス開始時間にはコンマ一秒と遅れずにログインした。
しかしそれは俺以外のプレイヤーもそうだったらしく瞬きする間にもサーバーステータスのログイン数は九千五百を越えていた。
それもどことなく嬉しかった。折角のオンラインゲームなのだから≪ガチ勢≫は多いほうが楽しい。このログインステータスの九千五百は初回の奴ら全員が≪ガチ勢≫なのだよ、と教えてくれているように感じた。
≪始まりの街≫にPOPした後の俺の様子は語るまでもないかもしれない。ログイン前までの俺の様子から察してくれると思うがそれはもう走りまくった。
駆ける度に足の裏から靴と石畳のコッコッという音が聞こえたり、走る時に感じる風の感触がまるでリアルそのものにしか感じられなかった。
流れてくる景色が架空世界のそれだとは俺には到底思えず、人目が無ければ感動のあまりに泣いていたかもしれない。最もSAOでは感動で泣くことはないのだが。
およそ一時間の間ずっと初期リスポン地点≪始まりの街≫を駆けたころ、興奮が落ち着き始めてきた。始まりの街は広大で一時間かけても全容は掴めないほどだったのだが、似たような街並みが続くと流石の俺でも落ち着いてくる。しかしその興奮を冷ますのがとてつもなく勿体無く感じた。俺はすぐさま新たな興奮の種を探してキョロキョロとあたりを見回した。
そして視界に入ったのが木で出来ている洒落た武器屋だった。
武器屋の中でNPCの女店主と他愛のない話をして(セクハラまがいの話もキャラクター的にはしたかったのだが、興奮で素だったのとあまりにも精巧な架空体のNPCに謎の遠慮をしていたのと言動で≪倫理コード≫に引っかかるか分からなかったので、できなかった)この店で一番珍しい武器を買いたいと女店主に話したところ、店の奥から取り出してきた武器が≪ビギナージャマダハル≫という刀身と垂直なつくりの柄を握るようにして殴り刺す≪手甲剣≫という架空武器ジャンルの剣だった。
なんと表現すれば良いのだろう。『手刀を参考に剣にしてみたよー』みたいな武器だった。
俺はその武器の姿を見たときにこれは運命だと思った。
そのどう見ても足りなさ過ぎるリーチ。振りやすさを求める短剣にあるまじき刃幅と重量。刺突武器であるために横振りじゃ殆ど火力が出ない不便性。心臓に当たれば通常のクリティカルの倍の威力は出るという特殊効果。鎧を貫通することが可能だという貫通力。ジャンルは違うが現実に実在する武器。なんといってもこのゲテモノ武器を構えながらゲスな笑みをすると、完璧なまでにザコ盗賊感を出せるというのが一番俺を魅了した。
驚いたことにその剣は千コルというプレイヤーに与えられる初期額と同じ値段だった。他の基本武器はどれも三百コル程度の癖にこのゲテモノだけは三倍以上も高いのだ。正直なところ、その点も俺を魅了していた。
初期装備の片手剣≪スモールソード≫を売り払い、手持ちのコルとでジャマダハルとポーションなどを購入した。手持ちはすっからかんになり財布が随分と寂しくなってしまったが、むしろ購入したという所持欲を満たして満足した俺は女店主に軽く礼を言って≪圏外≫――モンスターのいるフィールド――へ意気揚々と走って出かけた。
そして現在、午後四時四十分に至る。
青と赤の境界線ともいえる空模様の中、広い草原に俺は居る。
SAOの世界≪アインクラッド≫では外の時間とリンクしている。だからおおよそ六時ぐらいには夕暮れとなる。今は赤と青の中間という時間帯だ。
そしてどちらかといえば青色の空と緑の草原で俺に対峙するモンスターがいる。
そのモンスターは青色の猪というのが適切だろう。というかそれ以外には大した特徴はない。名前を≪フレンジーボア≫。レベル1でこのアインクラッド最弱のモンスターだ。
俺はそのモンスターをこれでもかと睨み付ける。すると青猪の体の周りにHPバーが出現した。
その色は満タンを示す憎憎しい青色だ。レベル1モンスターなので満タンからでも普通は二回か三回ほど斬れば倒すことが出来る。実際、周りのプレイヤー達はソードスキルを数回使って『ポコポコ楽勝~』という風に倒しまくっている。時にはレベルアップのファンファーレすらも鳴っている。
そう俺を除いては。
「……フッ! ……スッ! ……はぁ!!」
一撃一撃に懇親の力を込めて青イノシシをジャマダハルで刺す。その剣先がブスリブスリという効果音をたてながら徐々にイノシシのHPを減らしていく。
「死ねっ! このっ! イノシシ風情がっ!!」
現実の俺なら滅多に言わないことを、アバター≪スバル≫は見た目に則した台詞を吐く。しかしこれはロールプレイではなく本心だった。切実な思いだった。
イノシシのHPはやっと半分を下回ったのは戦闘開始から十分が経ってのことだった。その理由は俺が臆病だとか逃げ腰だというわけではない。むしろ俺は積極的に、時にはダメージ覚悟で攻撃しているのだ。しかし。
減らない。滅茶苦茶に減らない。悔しいまでに、減らない。悲しいまでに、減らない。
ジャダマハルは火力不足だった。データの上で確認すると片手剣を圧倒的に上回る火力設定なのだが、刺突以外では適正な火力が出ない。しかもリーチが短いため必然的に攻撃が浅くなってしまう。防御力貫通という中々強力そうな効果はあるにはあるが、この≪フレンジーボア≫にはもともと防御力という概念は皆無らしくその特性を活かせていない。
そしてイノシシのHPがやっと五割減った、という頃には俺のHPも五割手前まで減っていた。
「うっおおおおおおおおおおおおお!!!」
俺は最早無我夢中でイノシシに姿勢を低くして突っ込む。実は何度かイノシシと戦ったが、半分までHP落とさせたのはこれが初めてだった。今までは時間がかかりすぎてしまい他のフレンジーボアもPOPしてきて撤退せざるおえなくなっていた。
イノシシの突進攻撃で生まれた四メートルほどの間合いを駆け抜けてイノシシに接近する。向こうもまた、こちらに向かって突進する。
何度も何度も見た攻撃だ。ノーダメージで避けようと思えば避けられる攻撃だがもう精神的に限界だ。接近して一気に決着を着けてやる!
俺は衝突直前で一旦止まり、右斜め後ろにダンッと音をたててバックジャンプで回避する。イノシシは俺が居ると錯覚してか頭を上に振り上げた。あの突き上げ攻撃をまともに喰らうと馬鹿にできないダメージになる。しかしその攻撃は大きな隙も生むのだ。
「喰らえっ!!」
俺は隙だらけになったイノシシにダッシュで接近する。狙いは心臓。今なら首が上がっていて狙いやすい。
ダッシュの勢いそのままでイノシシに体当たりする。イノシシは全体重を乗せた体当たりに大きくバランスを崩しさらに首を露出した。
ここで、≪手甲剣≫のソードスキル≪罰≫の構えをとる。
≪罰≫はソードスキル特有の立ち上げ時間と硬直時間が殆ど無い。その代わり敵と密着するような零距離でないと発動できないという見過ごせないデメリットを持つ。
しかし今、その条件を満たしている。大きく振りかぶられたジャマダハルは黒煙のようなエフェクトを身に纏い、風を斬る音と供にフレンジーボアの心の臓腑へと真っ直ぐ高速で吸い込まれていった。
バンッ!という剣ではなくまるで銃のような音が敵の心臓から聞こえて――敵は光の粒子となりバラバラに消えた。
その光の粒子が顔にぶつかり、俺はやっとモンスターを倒せたという達成感に包まれた。ふうう、と安堵の溜め息を吐き、尻餅をつくように座り込むと後方から拍手と笑い声が聞こえてきた。
どうやら数人のギャラリーができていたらしい。確かに鬼気迫る声と表情でレベル1モンスターを倒しているプレイヤーを見たら俺も茶化しに行くだろう。俺は振り返ってギャラリーの彼らに両手を上げ、いかにもな仕草で舞台役者のように「サンキュー!」と大声で返す。
それを合図にだろうか観戦していたギャラリーたちはその場をゆっくりと歩いて離れていく。
俺は先程まで戦闘していた場所――フレンジーボアのPOP地点――から離れたところにある座りやすそうな岩に腰掛けた。
――それにしても、ジャマダハル、こいつは思ったよりも曲者だな……。
成る程、確かにコイツは誰も使わないはずだ。珍しい、という意味も良く分かる。
初めて見た時にも思ったことだが、リーチが短く、重い。そして足りていたと思っていた火力が実は無かった。突き攻撃なら十二分に火力がでるが、リーチがなく重い武器で突きは厳しい。
ソードスキルで何とかなるかと思ったが現段階で持てるソードスキルにはダッシュ刺突技なんて都合のいいものはなかった。
これはまさしく弱点だらけの武器、『使い手が』珍しい武器だ。
しかし先程のソードスキル≪罰≫は中々の威力だった。それはフレンジーボアに攻撃が当たったと思った瞬間に爆散したことから分かる。
この世界では、失ったHPは一瞬で喪失するシステムではなくスピードを持って喪失する。
例えばHPジャズトのダメージを喰らっても、HPバーは十割、九割、八割、…と減っていって最終的にゼロになる。その時間はダメージ割合にきっちり比例して短くなる。
つまりHP十割分の攻撃でのHP減少スピードとHP二十割分の攻撃でのHP減少スピードは二倍ちかく違う。
その点を踏まえると≪罰≫の威力は相当だ。ヒットしたと思った瞬間に敵の五割ほど残っていたHPは全損した。その時間はまさしく刹那だった。
敵に密着し心臓にソードスキルを当て、一撃必殺。度胸は要るが間違いなくこれがこの武器を最大限に活かした戦法だろう。
「となるとステータスはバランス型だな。武器も重いし、正確性もいるし」
考えを纏めるためにぽつりと呟き、ウインドウを開く。すると鈴を鳴らすような効果音とともにステータスが表示される。
まだステータスにポイントを割り振っていない。二つあるスキルスロットも片方に≪手甲剣≫の文字があるだけでもう片方は空白だ。
一応ジャマダハルの武器ジャンルには短剣もあるので≪短剣スキル≫も可能なのだが、折角なので手甲剣にしている。そっちのほうがマイナーそうだったから。
――この武器のスタイルにあったビルドを作るために割り振りを保留していたのはやはり正解だったな。
ステータスの割り振りはスキルスロットと違って振り直しができない。よってステータスの振りはかなり慎重にしなければならない。
俺はステータスを振る前にスキルを先に決めようと思い、スキルの空白をタップする。そこからいくつものスキル名がずらりと並んでいた。
短剣スキルは手数を重視したようなスキルなのに対し、手甲剣は暗殺を意識したようなスキルだ。ソードスキルの一つに≪暗殺≫があることからもそれは分かる。となると二つ目のスキルには暗殺に向きそうなスキルを選択しなければならない。
≪片手剣≫≪片手用曲刀≫≪短剣≫≪片手斧≫といった武器のスキルが最初に来て下にスクロールすると≪鍛冶≫≪料理≫≪釣り≫≪裁縫≫と平和的なものが並び、次に≪索敵≫≪威嚇≫と見て――――
「おっ! これは中々……」
その中で一番目を引いたのは≪隠蔽スキル≫だった。周囲に溶け込みモンスターやプレイヤーの視線から逃れることが出来る、という説明の簡素な一文が俺をまたまた魅了した。
想像の中での俺が、隠蔽で隠れて後ろから近づき背後からブスリと敵を倒す。そこまで思って俺は盗賊から暗殺者への転職を決めた。このゲームに職業はないらしいが。まぁ、気持ちの問題だ。
隠蔽スキルを取りステータスも振る。最初に与えられているポイントは15ポイントでそれを筋力と俊敏という二つのステータスに割り振る。
MMORPGとしては異様に種類が少ない。これはSAOがソードスキル主体のゲームという理由だからだ。筋力に6、俊敏に9振る。
「マジでこんなんで変わるんかなぁ………おおっ!」
入力して数秒後、体が軽くなり、左手で弄んでいたジャマダハルも軽くなるのも感じ、気持ち体も逞しくなった気がする。これがステータスによる再現かとそう思った後に、これなしじゃ流石に青イノシシ相手でも梃子摺るよなぁと思う。
ビルド検証のため仕方ないこととはいえ些か時間が勿体無く感じる。
ステータスの割り振りが終わりウインドウを閉じると何処からか、おおっという喚声が聞こえた。見ると喚声を上げた人達は一様に西の空を見ている。
西の方角に在るのは、無限に続く赤く美しい夕暮れと金色に染まる雲の群れ。その光景は架空と言われようと偽者と言われようと、絶対的な美しさを持っていた。
その夕焼けの赤い光が戦士達を照らして長い影を生む。戦士たちは武器を仕舞い、各々が感嘆のポーズでこの光景に向かっている。
岩に腰掛ける俺も頬杖をしながらこの幻想的な光景に魅入っていた。
―――ああ、本当に、出会えて良かった。この素晴らしい世界と。
そして時刻は五時に達する。
この時の俺には分からない事だったが、この日この時より俺の生存の舞台は現実から架空へと移り変わったのだった。
後書き
SAOにVITがないと知った時あまりの悲しさにしばらく立ち直れませんでした。
ついで、小説を一区切りを最後まで書いたのはこれが初めてです。ですので実質これが処女作だと思います。ですので色々拙い部分はあると思いますがビシバシご指導ご鞭撻していただくと幸いです。
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