旧エクリプス(ゼロの使い魔編)
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第20話 モード大公
ブリミル暦6226年 ケンの月 フレイヤの週 虚無の曜日
皇紀2784年10月 1日 アルビオン王国 モード大公領 別邸
Side モード大公
応接室にて、椅子に座る一人の40歳ぐらいの男性がいた。彼こそがアルビオン国王ジェームス1世の実弟であるモード大公である。優雅な物腰は、王族の気品を漂わせている。
「コウキ・イチジョウ様お見えになりました。」
執事が大公に、用件を伝える。
「ここに、通せ。」
光輝は、アルビオンの貴族達の中でも有名であった。兄からも、国交の話など聞いていた。
「コウキ・イチジョウ様をお連れしました。」
執事が光輝を案内して来た。
「入って其処に、座ってくれ。良く来てくれた。
兄からも国交の話を聞いている。」
「はい、御初にお目に掛かります。光輝・一条と申します。奥方のシャルジャル様の知己でございます。」
光輝は、最敬礼して大公に挨拶した。
「なぁッ。其の方は、シャルジャルを知っているのか?」
大公は、慌てた様子で質問する。
「はい、良く存じております。これは内密の話ですが、エルフの国とも、国交を持っています。交易も盛んに行っております。その時に知己をえました。今では、メル友で御座います。」
光輝は、シャルジャルとの出会いやよくハルケギニア話しを聞いてきた事などを話した。また、メル友の意味も・・・。
「其の方の国は、変わっておるなぁ。ハルケギニアでは、エルフは忌み嫌われておる。」
「はい、そうですね。ハルケギニアの国とは違い、ブリミル教が伝わっておりません。エルフは本来、好戦的な種族ではありません。一方的に攻撃したのは、人間の方なのです。エルフは、自分達の国を守っているだけなのです。エルフの使う先住魔法は、強力ですが侵略された国は、ありません。間違った認識を与えたのは、ブリミル教です。始祖の使い魔は、4人いました。その中にエルフがいました。ブリミル教は、その事を隠しています。始祖は、聖地に行くようにと仰っておりますが、エルフと戦うようには、一言も仰られてはいません。ましては聖戦など、始祖が生きておられたら、今のブリミル教の姿を見て、御嘆きになるでしょう。」
「儂も、ブリミル教には、思う事もあるが、其の方は、大胆よのう。それで、今回の用向きはなにかな?」
「シャルジャル様より、連絡を貰いまして、御困りでしょうと駆けつけた次第に御座います。」
「ちょっと待っていろ。シャルジャルを呼ぶ、その方が話しが早かろう。」
大公は席を離して、シャルジャルを呼びに行った。
暫くして、部屋に戻って来た大公の後には、シャルジャルが控えていた。
「光輝さん、久し振りね。」
シャルジャルは、光輝の姿を確認すると、話し掛けてきた。
「シャルジャルさんも、お元気で何よりです。この度は、ご懐妊お目出度う御座います。」
「ありがとう。うれしいわ。」
シャルジャルは、少し照れた様に応えた。
「この度は、お困りでしょうと、いろいろと準備して来ました。
大公様にもいろいろと御願いを申し上げます。」
「よかろう、申してみよ。シャルジャルのためだ。」
「はい、まず最初に専属の医者と執事見習い、専属のメイドを10人ばかり、連れて来ています。秘密は何れ漏れるものです。これらの者達は、私の国の者達です。決して秘密を漏らしません。一度に、入れ替えると周りに不審がられます。懐妊を理由に、専属の者を雇ったとすれば、不審がられる事もないでしょう。また、シャルジャル様に一条の姓を送ります。
一条家の分家という事で、専属に一条家から送られて来た事にすれば、辻褄が合います。
次に、シャルジャル様を正式に側室に、御迎え下さい。下手に隠すと、大公様の足を引っ張る者達に怪しまれます。今も耳を隠す、魔道具をお付けになられている様ですが、それは先住魔法で作られています。探知では、見破れません。
新たに宝飾具を贈ります。これらにも、先住魔法が込められています。必ずどれか複数付けるようにして下さい。
最後に、こちらが生まれて来る御子様ようの宝飾具になります。指輪などは、大きさが装着者に合わせる様に、先住魔法を掛けています。」
光輝は、宝石箱を二つ取り出して、シャルジャルに贈った。
「ありがとう・・。」
シャルジャルの瞳が、少し濡れている様に、見える。
「儂からも例を言う。其の方の進言を聞き入れよう。」
Sideout
その後、シャルジャルは、大公の側室となり、無事にティファニアを生みました。
後書き
モード大公の話でした。
大公の死亡フラグを折りました。
原作開始まで、後16年です。
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