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アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
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夫になった訳だが……どうしよう?
  48.5話

 
前書き
台本形式のおまけ話です
ストーリーの本筋にはあまり関係はありません 

 
極東支部を出て数日後、ロシアに入ったものの吹雪に遭遇したマキナとイザナミ。
吹雪の雪原で野宿する訳にもいかず、以前マキナがロシアで住んでいた街を目指し、損傷の少ない彼の家で一晩明かすこととなった。

マキナ「電気は通ってないが……自家発電機が生きているな。部屋の汚れは前に墓参りに来た時に片付けたから大したことはないか」

イザナミ「…………」

マキナ「ん……?」

イザナミ「…………」

マキナ「どうした?」

イザナミ「…………」

マキナ「何か問題があったのか?言ってくれればどうにかするんだが……」

イザナミ「えっ」

マキナ「ん!?ど、どうした?急にぼーっとして」

イザナミ「あ、ううん……大丈夫だよ」

マキナ「本当か?何かあったらちゃんと言ってくれよ」

イザナミ「大丈夫だってば。けど、嬉しいなマキナがそんな風に心配してくれるなんてさ」

マキナ「そりゃ、自分の嫁を心配しない旦那はいないだろ?」

イザナミ「も、もう!からかわないでよ!」

マキナ(からかったつもりはないんだがな……)

イザナミ「じゃ、じゃあ、私何か作るよ。確か幾つか持ってきた軍用食があったでしょ?あれに手を加えた簡単ご飯になっちゃうけどいいかな?」

マキナ「ああ、十分だよ」

イザナミ「〜♪」

マキナ(しみじみと美人だよな、イザナミって)

イザナミ「〜んっ!?」

マキナ(性格も良し、料理も美味い、思考が読めるとはいえ気遣いもできる…… 唯一の欠点だった偏った思考も問題なくなったし……正直色々と不幸な目には遭ってきたが、イザナミと一緒になれたのならそのマイナスを打ち消して余りあるだろうよ)

イザナミ「きょ、今日は随分攻めてくるね、どうしたの?」

マキナ「いや、お前から俺に好意を伝える事はあっても俺からはなかったと思ってな」

イザナミ「えっと……つまり」

マキナ「たまには素直になってみようかって話だ」

イザナミ「あの、マキナ」

マキナ「なんだ?」

イザナミ「料理中はちょっと我慢して、ちゃんと作れなくなるからさ?」

マキナ「あ、ああ。それは悪かったな」

イザナミ「ん、じゃあちゃっちゃと作っちゃうからね」






イザナミ「よいしょ、と……出来たよ」

マキナ「ああ、運ぶのを手伝おう」

イザナミ「……」

マキナ「……イザナミ」

イザナミ「う、うん!?」

マキナ「食べないのか?」

イザナミ「う、ううん、食べるよ」

マキナ(ふむ、調味料やらがあったとはいえ軍用食をここまでにするとは凄いな)

イザナミ「……」

マキナ(ん?一体どうしたんだ?さっきからこちらばかり見ているが……)

イザナミ「……」

マキナ(反応がないって事は今、俺の思考を読んでないって事か?)

イザナミ「あ、あの……マキナ?」

マキナ「なんだ?」

イザナミ「あの、最近急に優しくなったように思うんだけど、なにかあったの?」

マキナ「は?」

イザナミ「思考をいくら読んでもマキナ、優しくするとか素直になるとかしか考えてなくて理由が分からないんだ」

マキナ「そうだな……自分でも特に思い当たる節はないんだが……」

マキナ(いつ頃からそういう素直になろうと考え始めたんだ?)

イザナミ「多分……原作の区切りがついたあたりからじゃないかな?ほら、終末捕食とかが片付いたさ」

マキナ「そうなのか……イマイチよく分からないな……自分の事なんだが……」

イザナミ「う、ううん、そんなに必死にならなくていいよ!ほ、ほら……その、理由が何であれ私は嬉しいからさ……」

マキナ「そうか、なら良かった」

イザナミ(んー……とは言った物の何だか普段の様子も前と違うし、気にはなるんだよね)




マキナ「…………」

イザナミ「…………」

イザナミ(まさか同じベッドで寝ることになるとは思わなかったよ……いや、ソファーで寝るって言ったマキナをからかって誘ったのは私なんだけどさ。
前までだったら絶対断ったのに、じゃあ、の一言で入ってきたんだから予想外もいいところだよ!)

イザナミ「そして……ものすごく安らかな表情で寝てるし」

マキナ「……」

イザナミ「むぅ……?確か……寝てる時って意識が深層心理まで落ちるんだっけ……」

イザナミ「よし……覗こう……」

マキナ(…………)

イザナミ「……いや、文字通り何も考えてないってどういうこと?どんだけリラックスしてるの?」

マキナ「…………」

イザナミ「うん?……リラックス?」

マキナ「…………」

イザナミ「ああ……そっか」

マキナ「…………」

イザナミ「やっと、落ち着けたんだね……それもそっか」

イザナミ(終末捕食なんて物騒なものをずっと考えさせられて、その上私までいたんだから……そりゃずっと気を張ってても仕方ないか。
って事は、こっちがマキナの素だったんだ……次はまだ先だからゆっくり休んでね、マキナ)

マキナ(…………)






マキナ「ん……ああ、朝か」

イザナミ「おはよ、ご飯できてるよ」

マキナ「ああ、悪いな……しかし、ここまで熟睡できたっての久しぶりだな」

イザナミ「マキナは今まで頑張ってきたんだから、その位の寝坊程度許されるって。ほら、冷めない内に食べよ?」

マキナ「そうだな、いただきます」

イザナミ「いただきます」

マキナ(それと、今度から覗く時は言ってくれよ)

イザナミ「え、や……あの……ばれてた……」

マキナ「……前にお前の中に入った時に感覚は掴んだからな」

イザナミ「あっちゃ……バレないと思ってたんだけどね」

マキナ「ああ、それとなイザナミ」

イザナミ「な、なぁに?」

マキナ「心配かけて悪かったな」

イザナミ「……あはは、いいって夫婦は支え合いでしょ」

マキナ「ああ、そうだったな……」

イザナミ「じゃ、食べたらいこっか。今日も頑張ってキュウビを探すよ!」

マキナ「ああ、愛する妻のためにえんやこーら、だ」

イザナミ「だからからかわないの!!」
 
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