ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第十二話
「雄星……早かったな……」
俺は立ち上がりながらそう言うと
「アホ。お前が早ぉ来い言うから飛ばしてきたんやろうが。精霊王に拝み倒してこの辺りに扉を開かせたんや……まあ、後々精霊王の所で一週間タダ働きするっていう契約やったけどな……」
雄星はそう言って気落ちしている。それに反応してか雄星の神器『虎王』もその輝きを落としている。
「あぁ……何か、済まんな……」
「いや、それは別にええんやけど……それよりか、どないしたんや?あれ」
雄星はそう言って指で神名と白龍皇の鎧を纏ったヴァーリを指す。
「ああ、黒髪の方が俺にドライグが宿っているのを知って取り返す為に攻撃を仕掛けてきやがった」
「ああ、そういえばお前に宿っとるドラゴン、ドライグって言ったっけ?俺はその辺の所はいまいち覚えれへんのや」
「いいよ、覚えなくても。あっちの白い鎧の方には……非常に厄介でな。この世ならざるものが宿ってやがる」
「……ホンマか?」
さっきまでおちゃらけた感じを出していた雄星の顔に一気に緊張が走る。
それもそうだろう。雄星が唯一消しきれないのがこの世ならざるものだからだ。
「ああ、ホントだ……すまん雄星。俺はヴァーリ…あっちの白い鎧の方をやるから……」
「ああ、任せとき。あっちの黒髪は俺が相手してやるわ」
そう言って槍を構えて俺と背中合わせになる。
「頼むぜ、雄星」
「頼まれたで、イッセー!」
そう言って俺たちは合わせた訳でもないのに同時に飛び出す。
俺はエストを握り締めてヴァーリに斬りかかる。
俺が救ってみせる!絶対に!
雄星SIDE
「モブが!オリ主である俺様の邪魔するんじゃねぇよ!」
目の前の黒髪が白と黒の剣でワイの虎王の一撃を防ぐ。
まあ、今の一撃は能力を何も使うてない一撃やったから普通に防げるやろうな。
でもま、関係ないんやけど。
「邪魔するな言うたかて……お前がイッセーの邪魔をしないようにするのが今回のワイの役目やしな……それに、戦いにおいて俺はイッセー以外の人間には負けれんのでな……悪いけど、この戦い、勝たせてもらうで!」
ワイは虎王の穂先を黒髪に定めてから一気に突撃する。
「ぐわっ!?こ、この、モブの分際で!」
「そのモブ言う奴に負けてる奴の台詞やないで!」
「くそがああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
黒髪はそう叫ぶと……何やら黒塗りの弓を手に持つ。
ん?いつの間に持っとったんや?
そして今度は妙に捻れた剣のようなものを取り出すと、弦に番える。
「っ!リューセイ、止めなさい!」
赤い髪の子が何か言ってるけど黒髪の男はその行動を止めない。
「これでも喰らいやがれ!偽・螺旋剣!」
そう叫んで矢を放つ。その一撃は恐らくは当たったりしたら相当なダメージになるような代物や。
まあ、でも喰らいやがれって言ったんやから……喰ろうてやろうやないか!
「喰い千切れぇ!虎王ーーーっ!!!」
ワイがそう叫ぶと虎王が光り輝く。俺はそのまま槍で矢を払うように振るう。
すると……放たれた矢が一瞬で消え失せる。
「なっ!?偽・螺旋剣が消えた!?てめぇ、何しやがった!?」
「何って……喰らいやがれって言ったから文字通り喰い千切っただけやぞ?」
そう、ワイのこの神器『虎王』は自然エネルギーで作られた物や自然エネルギーなんかを喰いつくし、自らの力にする力を宿している。
まあ、でも自然エネルギーでも何でもないこの世ならざるものは消せはしないんやけどな。
「ふざけんな!?そんな神器があるだなんて、知らねぇぞ!?」
「いや、知らんのも無理はないと思うで?だってこれ……神器であって、神器じゃないんやから」
まあ、この場でワイのこの言葉の意味がわかる人間はそうはおらんと思うけどな。
ワイのこの虎王やけど……ワイの家に代々伝わる武器でこの虎王を自在に扱ったのはワイのご先祖さま……ちゅうか、この虎王の元々の使い手である、諸星雄大しかおらへんかった。
まあ、こんなワイでも全力で戦えばヤバいんやけどな。
そんな危険な代物を持ったご先祖さまに勝った奴もおったけど……まあ、人間やないと思ったな。
「それよりも……呆けといて、ええんか?」
ワイは虎王を再び構えて突撃する。
「けっ!今度は読めたぜ!」
ワイが黒髪の正面から突きを入れようとすると黒髪はそう言って右に避ける。
そや、それがセオリーな避け方やろうな。でも……この技の前では、無意味や!
ワイはある槍を持つ右手の手首を即座に動かして、槍の穂先を黒髪の避けた方向に向ける。
「や、槍が曲がりやがった!?」
黒髪は何とかその一撃を避ける。まあ、避ける言うよりかは躓いて転んで運良く当たらんかったって言った方が正解やな。
「て、てめぇ何しやがった!?」
そんな簡単にタネを教えるわけないやろ……。
まあ、簡単に説明するとや……手首の返しで槍の穂先の方向を変える事によってこれを受ける奴にとっては槍が曲がって襲いかかってくるように見える。
これがワイのご先祖さまが考案した技『ほうき星』や。
これの他にも一回しか突きを入れていないのに相手からしたらその突きが三連撃のように見えてしまう超高速の突き技もある。こちらの技名は『三連星』……まんまやな。
ご先祖さまはこの二つの技だけで大会を制覇しとった。
……いや、ワイもそんなのは伝説やろうと思っとったんやけど、調べたら確かに優勝しとった。
完全に人間を辞めとるなって思ったわ……ま、ワイも充分人間辞めとると思うとるけどな。
そしてワイはこれらの技を複合した奥義を会得した。
「さぁて……黒髪、これで決めさせてもらうで?」
ワイは腰を低くして、槍を地面と水平にするように構える。
「な、何をしてきやがる……」
黒髪は白と黒の剣を構えながら少しずつ後ろに下がる。
まあ、構えが初心者やな。なっとらん。隙だらけや。
そんなんで……ワイを倒せると思ったら大間違いやで!
ワイはまず槍の持ち手の部分で黒髪の体を高く打ち上げる。
「がっ!?」
そして自身の魔力を操作して空中に一瞬だけ作り出した足場を使って打ち上げた場所まで跳ぶ。
「くそがっ!」
黒髪は何とか反撃しようしているのが目に見えるが空中である為に何も出来ない。
「それじゃ……終わらせようか!」
ワイは力場を使って一気に加速し、通り過ぎる瞬間に三連星を叩き込む。
それを三度繰り返す。
「がああぁぁぁぁ!?モブの分際でぇーーーっ!」
「超加速の十連撃……トドメは、これで終いや!」
「十連・剣王舞!!!」
そう叫び、槍の石突きの部分で鋭い突きを喰らわせる。そのままの勢いで黒髪は地面に激突する。
「………………………」
どうやら今の衝撃で気絶したらしい。
「この程度で気絶するって……どない鍛え方しとんねん……あ、鍛えとらんかったのか、納得や」
ワイは虎王を肩に担ぎながらそう呟く。
「リューセイ!?」
赤い髪の子が黒髪に駆け寄る。
「貴方、こんな事してただで済むと思ってるのっ!?」
「いや、まずはそこにいる黒髪に言えや……まあ、聞く耳持たへんのやろうけど」
ワイはそう結論づけてイッセーと白い鎧の奴の戦いを見守る。
勝てや、イッセー……お前を負かすんは、ワイしかおらへんのやから……!
SIDE OUT
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