ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第十一話
校庭にやってきた俺を出迎えてくれたのは……炎の魔弾だった。
俺はそれを瞬間的に取り出した剣で切り裂く。
「なっ!?」
それを放ってきた男……ローブ姿からみても魔術師という所だろう。
そいつは一瞬驚きながらも冷静さを取り戻したのか隊列を乱さない。
そしてこっちの剣は……全く以ての無傷だ。
(さすがは玄室の中の剣……炎なんて敵じゃないって所か)
でもこの剣も材質は鉄……鉄ってのは熱せられてすぐに凍らる。これを繰り返すと簡単に折れてしまう。
それをさせる訳にはいかない為、玄室に仕舞う。
玄室に入れておけば大体の剣はちゃんと元に戻ってしまう。
エスト、頼むぞ。
-はい、イッセー-
「冷徹なる鋼の女王、魔を滅する聖剣よ……今ここに鋼の剣となりて、我が手に力を!」
そう唱えると。俺の手に聖剣、テルミヌス・エストが握られた。
と、それと同時に目の前に魔方陣が現れた。
俺、誰が誰の魔方陣なのか全然わからんからあれが何なのかさっぱりだな。
-イッセーはもうちょっと勉強をした方がいいと思うわ-
レスティア、中々に辛辣だな。
-事実だから仕方ないじゃない-
味方がいないんだが……。
そんな会話をしていると魔方陣から女性が出てくる。
「なっ!?あれは、旧レヴィアタンの魔方陣……!?」
と、いつの間に追いかけてきていたのかサーゼクスさんがそう言う。
へぇ、あの形って旧レヴィアタンの魔方陣なんだ……。
「初めまして、偽りの魔王達……そして各勢力のトップの方々」
胸元を大胆に開けた女性だ。その女性がサーゼクスさん達を見下すようにそう言う。
「これは、どういう事だ。旧魔王の血を引くもの、カテレア・レヴィアタン」
サーゼクスさんが女性───カテレア・レヴィアタンに聞く。
「サーゼクス、我々旧魔王派は禍の団へ参加を決めました」
サーゼクスさん達はその言葉を聞くと何とも言えない表情をしていた
なるほど……悪魔も一枚岩じゃないって事ね。
にしても、旧魔王派か……それじゃサーゼクスさん達は新魔王派?
っと、そんなどうでもいい事を考えてる場合じゃない。
「本気で言ってるの?カテレアちゃん……」
セラフォルーさんが信じられない感じで聞く。
「ぬけぬけとよくそんな台詞を吐けますね、セラフォルー!ですが今日此処であなたを殺して、再び魔王を名乗ります。そして全てを消し去り、新たな世界を創るために私は力を得ました」
「新たなる世界を作る?そんなのは誇大妄想に過ぎないわ!」
と、同行してきていたのかクレアがカテレアにそう言う。
「ふっ……何も知らない小娘が偉そうに……」
「確かに、悪魔の事なんてこれっぽっちも知らない小娘よ。でも、上に立つ者に求められる物ならわかる。それは……常に民の事を考えること!あんたらについていく民なんているはずないわ!!」
クレア……。
「小娘が……まず、貴様から死なせてやろうか!」
そう言うと途轍もない気迫が俺たちに突き刺さる。
「無限の龍神、オーフィス……あなたの力は凄いですよ!どんどん力が漲っていく!」
オーフィス……そうか。お前が前までいた組織ってのが禍の団だったって事か……。
「エスト……やるぞ」
-はい、イッセー。私はイッセーの剣。貴方の赴くままに……-
ありがとうよ、エスト!
俺はエストを握り締め、カテレアに向かって走る。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「そんなのが効くとでも思っているのですか!?」
カテレアは上段から振り下ろした俺の剣を掴む。
そして、次の瞬間……カテレアの両手が石化し、その石化が肘へともの凄い勢いで伸びていった。
「なっ!?」
カテレアはエストを手放すと、俺から距離を取る。
「な、何なのですか、その剣は!?」
「教える気なんてさらさらねぇよ!!」
これで、決める!
「イッセー、援護するわ!」
クレアがやってきて炎の鞭を握り締める。
「ああ……じゃあ、あれやるか!」
「アレね!わかったわ!」
クレアは俺のやりたい事がわかったのか自身の回りに灼熱の劫火球を作り出す。
「炎よ!全てを焼き尽くす炎よ!」
最初にクレアがそう言うと灼熱の劫火球が俺の元にやってくる。
「我が剣に宿りて……かの者を灼熱の業火に包み込め!」
俺がそう言うと灼熱の劫火球達がエストに宿っていく。
エストの刀身はそれを示すかのように赤く染まっていく。
「これぞ!」
「炎の真髄!」
そして俺の手に重ねるようにエストを握るクレア。
そうすると……エストの刀身から炎が飛び出る。それはさながら巨大な炎の剣のようだった。
「「ファイアーソウル・インフィニティ!!!!!」」
俺とクレアはそう叫び、カテレアに向かって振り下ろす。
「そんな物!!」
魔力弾で弾き飛ばそうとしたのだろうが、そんなのは意味がない。
「なっ!?魔力弾を喰らっている!?」
そう、このエストに込められた炎はただの炎ではない。
元素精霊界の中でも特異な炎の力を操るエルステイン家の中でもまた異質な能力。
それこそがクレアの炎。『終焉の真紅』。
どのような能力でも喰らい尽くす炎でこの炎を消す方法は今現在存在していない。
そしてルビア自身もまた異端な炎を操る。名前は『凍える焔華』。こちらは名前の通り全てを凍らせる炎だ。
こちらに関しても対処法はない。
まあ、俺の知人がこの炎を消す唯一の方法を持っているが……それに関しては後で説明しよう。
そしてそんな炎を……人や悪魔が喰らえば、消し炭も残らない。
その言葉どおり、カテレアはその身を全て焼き尽くされ、その場にいた事は地面についた焦げだけがそこに誰かがいたという事を証明していた。
「ありがとうな、クレア」
「大丈夫よ、あたしもあいつにはムカついてたし」
クレアはさも当然とばかりにそう言った。
そうだよな、これこそがクレア・ルージュだよな。
アザゼルさん達の方も終わりそうだし……。
「よし、これで……ぐあっ!?」
アザゼルさんの後ろから誰かがアザゼルさんの右腕を斬り落とした。
そいつは白い鎧を纏っていた。
「ヴァーリ!?」
ヴァーリがなんでアザゼルを襲うんだ……!?
「あんた、何してんのよ!?」
クレアが警戒する。
「ヴァーリ……そうか……そういう事か……いつから、そっちについていた?」
そっちについていた?俺はアザゼルさんの言っている事がわからなかった。
「コカビエルの時……その時に私は協力する事を決めた……」
協力……?じゃあ……
「ヴァーリ……お前、禍の団に……?」
「………………(コクッ)」
俺の言葉を肯定するようにヴァーリは首を縦に振る。
「何でだ……何でお前は禍の団カオス・ブリゲードなんかに!?」
「私の……私の実力を知らしめるためだよ……」
そう言うと、ヴァーリは飛び上がり……その背中に悪魔の翼が出てきた。
「悪魔……?」
「そうだ……ヴァーリの本名は……ヴァーリ・ルシファー……」
ルシファー……?
「それじゃあ……あいつは魔王の正式な血を受け継いでるって事……?」
クレアも驚いている。それもそうだろう。正式な魔王の後継者がいるという事なのだから。
「その通り。私は先代魔王の末裔……私は、父と人間の母の間に生まれた混血児……半分人間だったから白龍皇の翼を手に入れられた……」
「そんなの……嘘よ……」
いつの間にかやってきていたリアス先輩がそう呟いている。
悪魔と人間のハーフ、か……。
「それで?お前はどうするんだ?」
「決まっているでしょう?……戦って私の価値を認めてもらうんだ……その為なら命なんて惜しくはないんだよっ!」
ヴァーリがそう叫ぶと鎧の各所から黒いもやが出てきた。
「っ!ちっ……俺の嫌な予感は当たってたって事か……」
アザゼルさんの呟き……じゃあ、あれは……この世ならざるもの……!
『ドライグッ!』
アルビオンっ!?
『ドライグ……何か、何か変だよ!?変な黒いのが私の体を……アアああああぁぁぁぁぁぁぁぁアアぁぁぁぁぁあ!!!!!』
まずい!アルビオンにまで侵食していってるのか!
『相棒!』
「ああ、わかってる!正体がどうのこうの言ってる場合じゃない!クレアはみんなの援護に!」
「わかったわ!……イッセー、無茶はしないでね……?」
「ああ、大丈夫だよ」
クレアは最後に俺を一瞥するとエリス達の下に向かう。
俺はエストを右手だけに持つと、懐から赤い懐中時計を取り出す。
「?それは……?」
「知ってるだろう?こいつの中にドライグがいるんだよ……ドライグ、待機解除」
『SET UP!』
そして懐中時計の突き出ている所を押し込む。
「動作開始!」
『START!!』
そうドライグの声で音声が鳴り響くと懐中時計が動き出す。
「今の声……まさか、てめぇ!」
と、神名がなぜか俺に剣を向けてきてあろうことか、味方である筈の俺に剣を振りかぶってきた。
「お前、何のつもりだ!?」
「うるせぇ!俺の神器にはドライグはいなかった!そしてお前のその懐中時計からはドライグの声が聞こえた!てめぇが俺の神器からドライグを抜き取ったんだろう!?」
こいつは何そんな根拠のない理由で襲ってきてやがんだ!?今はそれどころじゃないってのに!
「お前、今がそんな状況じゃないって事くらいわかんだろ!?」
「うるせぇうるせぇ!俺がオリ主なんだ!」
俺はエストで神名の剣を砕くと神名を蹴り飛ばし、距離を取る。
「私を忘れないでほしいなっ!」
「くそっ!?」
こっちにも敵、あっちにも敵!これじゃあ手数が足りねぇ!
と言ってもレスティアも同時に使ったら一瞬で神威を全部消費しちまう!
「見ろ!宝具を無限に作り上げる俺の神器無限の剣製!そしてそれにより作り上げ俺の体に埋め込んでいる全て遠き理想郷!それになにより!主人公が持つべき神器、赤龍帝の籠手を持っているんだ!俺がオリ主なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そう叫ぶと剣を次々と俺に向かってすっ飛ばしてくる。
「ちぃ!」
『Boost!』
これで、5回目!
使わねぇとやばい!
「解放!」
『Explosion!!!』
これによって俺の体感している時間と回りが体感している時間は異なるようになった。
この神器、時を刻む赤龍帝の時計は十秒経つ毎にBoostの声と共に力を溜め込んでいき、解放する事によって力を発揮する。
具体的に言うと十秒経ってから解放すると皆が一秒と感じている時間が俺には十秒という時間になる。
これと同じで今は5回溜まっていたから皆が五秒経っている事には俺は五十秒という時間を行動する事が出来る。
俺はその能力を使って何とかエスト一本で弾いたり、時には避けたりしながら何とかここまでは出来ている。
しかし一番厄介なのは…
「私を忘れないでよ、イッセー!!」
そう、こうやって時々ヴァーリが俺に向かって殴りかかってくる事だ。
くそっ……!
そしていつの間にか五十秒が経過していたのか
『Reset』
「しまった!?」
俺はいきなり動きが鈍くなり、それを好機と見たのか二人が同時に俺に襲いかかってくる。
「これで、終わりだね!」
「てめぇが死ねば、ヒロインは俺に振り向くんだ!そのために、死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
くそ……ここまでか…………………!
「ここで諦めるとか……お前らしくないで、イッセー」
………………え?今の声……
と、次の瞬間……
「がああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」
「くっ……!?」
神名とヴァーリがそれぞれ吹き飛ばされる。
俺の前に舞う土煙。つまりは誰かが高速で動いて二人を吹っ飛ばしたのだろう。
そいつの持っている武器は槍……エリスか?とも思ったがエリスにはあそこまでの高速移動は出来ない。
しかし、俺の中では目の前の人物が誰かがわかった。
土煙が晴れていき人物の輪郭が見えてくる。
髪をいわゆるトサカのような感じに立てており、それが崩れないようにバンダナを嵌めており、猛禽類を思わせるような鋭い視線を俺に向けてきた。
「こんなんで諦めるなんて……俺の認めた兵藤一誠やないで」
間違いない、目の前のこいつは……俺が呼んだ……
「済まねぇな……お前の出番を待ってたんだよ……雄星」
「そうか?やったら……その厚意、ありがたく受け取っとくかな!この、諸星 雄星がの!!」
雄星が手に持つ槍型の神器、虎王を雄星は自身の頭上で振り回しながらそう言う。
諸星雄星……俺の大阪の友人であり、こちらの人間で元素精霊界の事を知っている数少ない人間であり……その二つ名は《槍の剣王》という俺に次ぐ実力を持つ人物だった。
後書き
はい、ここで落第騎士の英雄潭に出てきた七星剣王 諸星雄大の能力を持った方が現れてくれましたね。
ああ、最初に言っておきますとこの雄星。転生者ではございませんので。
次回でその辺はご説明いたします。
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