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魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者

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第四章 完成 自分達の部隊 〜ミッドチルダ レリック事件〜
  第五話 ティアナの思い、なのはの思い

「いやな、蒼炎くん。これには次元の海より深いわけがあってやな」

「ふーん。それで?」

「だから、ちょう許してくれへん?」

「い、や、だ」

「「ぎゃあああああああああ」」

こんなやりとりが俺とはやてとなのはに起こっていた。なぜかというと

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「オークション会場の警備?」

資料から顔を上げて、我らが部隊長八神はやて殿の顔をみる

「そうや。今度ホテル・アグスタでオークションがあるんやけど、そこではロストロギアの取引も行われる。なのでそれの反応をレリックと誤認したガジェット対策、というのが名目」

「レリックが密輸される可能性があるのか?」

だいたい、そういうオークションの会場は密輸の対象になることが多い

「さすが蒼炎君。恐らくレリックがあるであろうと予測されている。でも確証じゃないんで大きな部隊は動かせないから」

「フットワークが比較的軽い俺たちが出向く、と」

なるほど。とすると問題は

「それ、いつの予定?」

「えっと、ーーのーー時からや」

「うげっ」

はやてがいった日は少しまずいものがあった

「なにかあるん?」

「あー、上に呼ばれてるんだその日は。けどまあ、掛け合ってみるか」

俺はその日までのスケジュールを立て直していると、はやてがまだ話は終わってなかったようで、別の部屋に行こうという話になった

わざわざ別の部屋まで行く必要があるのか疑問だったが、重要な話なのだろうと考えついていった

ああ、ほんとうになんであんなことになったんだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「も、もうやめてぇぇ....」

俺は今猛烈に恥ずかしい

だってさぁ...だってさぁ......ああ、目から汗が

「な、なんやこれは。こ、こんな綺麗になるなんて思わへんかった...」

俺は地面にぺたんと座り込んだ。も、もうやだ

「そ、蒼炎君みてるとなんか守りたくなる...」

だってさぁ...だってさぁ....

「蒼炎君。女の子にならへん?」

なんで女装させられてるんだあああああああ!!

ここまでの経緯

はやてに別室に連れて行かれる

なのはがスタンばってる

ホテルの一般客は女性しか行けないらしい

バインドガッチガチにされる、しかも説明後すぐに

女装させられる←今ここ

え、なんで詳しくかかないかって?

思い出したら心が砕けるからさ...

そして、俺が絶望に打ちひしがれてる所に通信が入った

[蒼炎、日程を明日に変更できたぞ。だいじょ.......すまん]

「あ、まってクロノ!お願いだから通信きらないでええええ」

クロノから会議の予定が明日に回せたと通信が入って来たが、運が悪すぎる。見られた...

[あー。今度あれか。警備だったか。...ちなみに別に男も入れるぞ?]

その一言で俺の意識が切り替わった

「あ、これまずいやつや」

はやてが俺の雰囲気の変化に気がつくが遅い

「ふふふ...クロノありがとう。今度なにか奢るよ。それから詳細はメールでよろしく。俺。やることできたわ」

[......やりすぎるなよ]

「大丈夫大丈夫。全回路準備完了(オールスタンバイレディ)

俺は魔力任せにバインドを壊す

そして、微笑みながら二人の前に立った

そして物語は冒頭に戻る


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

はやてとなのはに軽いおしおきをしてきたのち、自室に戻りメールを確認する。会議は明日にできたっぽいけど早朝出頭か

まあ、仕方ないか

そういえば今日も訓練やってるよな。行くか

俺は訓練場に向かった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あー、疲れた疲れた...」

俺は自室のベットに倒れこんでいた

<お疲れさま もう寝とけ アラームはかけとくから〉

「ありがと....」

俺はそのまま意識を手放した

<まったく...訓練に出つつ資料も整理して...挙げ句の果てには自分の訓練までやる これじゃ身体に負担かかるぞ...ほんとに...>

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「それじゃあ、いってきます部隊長」

俺は部隊長室によって、はやてに挨拶していた

「はい。気をつけてな」

俺は敬礼してから部屋を出て、六課のガレージに向かった。するとそこには

「あら、蒼炎の兄貴じゃありませんか!」

「ヴァイスか。バイクの整備か?」

六課のヘリパイロットであるヴァイスがいた。足元には整備用具入れが置いてあるようでどうやら整備中みたいだな

「ええ。いつ使っても万全の状態で走れるようにしなきゃ気持ちが悪いもんで。そう言う兄貴は?」

「俺は今日中央に呼ばれててな、車を取りに来た」

「そういえば兄貴も自動車持ってましたっけ。でも自分はバイクの方がいいっすね」

俺はヴァイスと会話しながらも車の軽い点検をする。といっても解析かけるだけだが

「まあ、バイクにはバイクの良さがあるからな。っと、もう時間があまりないんで行くよ」

「いってらっしゃいっす」

俺は車に乗り荷物を後ろに置いて、車を走らせた

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「あー、緊張する....。いつになっても慣れないな」

<まあなれる方が問題だな>

アルティメイタムと話してるうちについに地上本部最上階会議室前に来てしまった

俺は深呼吸を二回して、扉をノックした

コンコンコン

「遠藤蒼炎一等陸佐、出頭いたしました」

「入れ」

ガチャ

という音とともに俺は部屋の中に入り、敬礼する

「座れ」

声を掛けたのは俺の目の前の席に座っている、現地上本部長のレジアス・ゲイズ中将

「は」

俺は空いていた席に座る

この部屋の席と机の配置は、俺を真ん中に前と左右を囲まれている状態だ

これが、定例会議の何時もの配置になっている

「では、遠藤蒼炎に関する定例会議を開始する」

ここに集まっているのは地上本部の長、教会騎士団の長であるカリム少将、本局を代表してクロノ提督だ

「前回の定例会議から犯した規定違反はゼロ...か。しっかり守っているようだな」

レジアス中将がこっちを軽く睨むがその視線を受け止める

それを始めに、色々な質問をされてり、封印の確認をされたりとかされた

なぜこんなことをしているかというとだ

俺は管理局に正式に入るとき、様々なことを聞かれた

それは、魔術に関してだったり宝具に関してだったり、あるいは起源弾だったり

闇の書事件で見せた手の内に関してはすべて聞かれた

それに関しては答えられる範囲は答えた。もちろん、魔法に関してなんかは話してないが

その結果、正式に入る条件として以下のことが提示された

・許可なく大規模な魔術、宝具及び起源弾の使用を禁ずる、ただし緊急時に関してはこの限りではない

・特務部隊に一定期間所属すること

・毎月定例会議を開く、その他不定期でも会議を開く

・何かしらの違反を起こした場合、ささいなことでも例外なく通常より一段階上の処罰を適用する

・管理局に離反した場合、関係者に何が起こっても干渉しない。ただし、正当な理由がある場合のみすべての制限から解放される

・以上をギアススクロールによって契約することとする。なお、これの破棄は管理局の上役と遠藤蒼炎両名の合意があったときのみ可能とする

理由は、俺という過剰戦力が離反を起こさないようにである

内部からの離反の可能性がある以上、受け入れられないと言われ、ギアスを使ってまで縛られた

別に文句はない。もともと離反するつもりなんてないし、ギアススクロールなら解除する方法は一つだけあるからだ

もっとも、そんなことは管理局がゲスい組織だったらやろうと思ってただけで、そうでもなかったのでいまもこうして従っている

いい人もいっぱいいるしな

「さて、と。何もないようなので本題に入りませんか?ゲイズ中将」

っと、他のこと考えてる間に全部終わったっぽいな

クロノがそう提案すると一回舌打ちをしてからレジアス中将が話を始めた

「今日で、お前が入局して10年を過ぎた。これまで公にできないことも含めてよくやってくれた」

「いえ」

珍しい。レジアス中将がこういう場所であからさまに褒めるなんて

「そこでだ。今までの功績からみて、もう離反はないと考えた。よって、遠藤蒼炎一等陸佐にかけられたギアススクロールの破棄をしても良いというのが上層部の総意だ」

え....?

「本当ですか...?」

「ああ、本当だとも。これは僕たち本局上層部と地上本部上層部の共通見解だ」

「本来は我々が謝らねばなるまい。今まで危険な仕事を任せていたのに我々の都合でよりリスクを背負わせることになった。地上本部を代表して謝らせて欲しい」

レジアス中将が頭を下げた。そんな光景を俺は今まで想像したこともなかったし、考えつかなかった。俺の中でのイメージは椅子に座ってどでんと構えてる感じだからな

「い、いえ。頭を上げてください。この措置は組織として当然だと思いますし...」

「それでも、だ」

俺はなんだが気恥ずかしくなって目を背けてしまった。そしたら背けた方向にはカリム少将が微笑んでいた

「レジアス中将は貴方の為人を知ってからはずっと言っていたんですよ?なんでこいつにここまでしなければならないのかー、って」

「な...今その話を蒸し返すのか」

「へぇ...レジアスさんにそんなところが」

レジアスさんが慌てている。こんなところはなかなか見れない

「コホン、三人とも今はまだ公式な会議なのに普段の口調になってるぞ、といってももう本題は過ぎたからいいか。それで蒼炎、この話は」

「もちろん受ける。というか受けない理由はないだろう?」

「なら」

俺の向かいにいる三人がある紙を取り出す

そして俺はそれとまったく同じ紙を宙から取り出した

「では、破るぞ?」

レジアス中将がそういい、クロノ、カリムさん、俺と紙を順番に破り最後にレジアスさんが破いたら、紙が自然に燃え出した

これはあらかじめ決めておいた破棄の方法だ。身体に呪いをかけるのではなく紙がある限り呪いを掛け続けるというタイプのギアス

よってその破棄は紙を完全に燃やせばいい

ただし、この紙は特別製で指定の手順を取らないと直ぐに復元されるというものだ。その指定の手順がいましたことだ

そして、俺の中にあった鎖のようなものが消えた気がした。それでもまだ違和感がある

それも時期に慣れるだろう

「ふっ、顔つきが変わったか。やはり重りが消えると違うか?」

レジアスさんが俺に向かって笑みを向ける。そりゃ、そうだろうさ

俺もレジアスさんに笑みを返す

「それにしてもレジアス中将も変わられましたね。昔なら魔導師あがりが何を!みたいな感じでしたが」

クロノがレジアスさんの方を向かいながらそういう

「今でもそれは変わらんさ。でも、こいつのお陰で海の上にも使える奴はいると知って、魔導師の連中の中にも現実をみているやつがいると分かっただけだ」

それを受け、レジアスさんはそういう。確かにそういう奴はいるだろう

俺はただそれに慣れてしまっただけ、俺が異常なのかもしれない

「勿論、今回の予言や機動六課については納得しとらん。だが、こいつが頭を下げることまでしたんだ。ならば其れ相応の対応をするまでだ」

「なら私たちは遠藤君に感謝しなければいけませんね。頭の固かったおじいさんを動かしてくれた一番の功労者に」

そうカリムさんが言うと俺とクロノが笑い、レジアスさんがむっとした顔になった

「ともかくだ。これで魔術と宝具に関しては制限を解いた。かといって起源弾は質量兵器に見える。一応魔術的なロックを外さなければ撃てないというのが立証されているから所持を認めているが緊急時以外極力出さないこと。その他も、特に攻撃用の宝具は機密指定の物もある。それを忘れるな」

「了解しましたっと」

「では、これにて解散にしようか。蒼炎も早めに戻らなければならないんだろう?」

「ああ。では」

俺は三人に頭を下げ、部屋を出た

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「ちょうど昼飯の時間か....ちょうどいい。いったん俺の家に寄っていくか」

地上本部からでたら昼頃だった。俺はグリフィスに通信を入れてからミッドにある俺の家に車を走らせた

<いろいろ取りに行くのか?>

「ああ、一通りの魔術用品を取りに行く。それと昼飯かなー。途中スーパーによって食材をかって....ラーメンでも食べるか」

俺は頭の中で必要な物をリストアップしていく

<そうか。眠くないのか?>

「んあ?眠いさ。でもまあ寝るわけにもいかんだろ」

運転中に眠れば法律で罰せられるのはどこの世界も変わらないからな

<眠っとけ。俺が運転しといてやる>

「そういえばこの車この間改造してデバイスの自動運転出来るようにしたっけ。んじゃ任せるかな」

<おう>

俺はアルティメイタムに運転を任せ、目をつぶった


<おい、起きろ>

「...なんだよ、まだ寝たばかりだぞ?」

俺はアルティメイタムに起こされた。まだ目をつぶったばかりなんだが

<もうついたぞ>

「....え?まじか!!サンキュー」

俺は急いで車からでて、スーパーで買い物して、俺の家で昼飯を食って、魔術関連の物をありったけ車に積めてから隊舎に帰った

捜し物に集中しすぎて戻る頃にはすっかり暗くなってしまい、はやてにお小言をもらったのはまた別の話

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

それから数日が経過し、ホテル・アグスタの警備任務当日になった

「今頃はやて達はヘリの中か」

「そういえば、なんで先生も前日からきてるんですか?」

「一応、な。お前らにも話しただろうがギアスが無くなったからなにか異常があっても最悪魔術結界で客でけ隔離できるからな」

「なるほど」

俺、シグナム、ヴィータははやて達に先駆けて警護をしている。なにがあるかわからないからな

[蒼炎君、もうすぐそっちにつくからヘリポートに向かってくれるか?]

「はやてか、了解した。シグナム、こっちは任せた」

「わかりました」

俺はヘリポートに向かってみんなと合流したあとシャマルさんからもらった"お仕事着"に着替えてから入館受付に向かった

「お待たせ。着替え終わったで」

「やっときたか。んじゃいくか」

俺の目の前にはドレス姿のなのは、フェイト、はやてがいた

俺はただのスーツなんだがあいつらのドレスはすごい煌びやかだな

「なんつーか、いやなんでもない」

面と向かって似合ってるな、なんていったら何されるかわからん。やめよう

「?。とりあえずいこか」

はやてにそういわれ、みんなでホテル内に入っていく。途中受付の人に管理局です、って言ったらなんかすっごい驚かれたけどまあいいか

館内は個人で見回りすることになってる

途中で別れて、それぞれ巡回に行った

「結構厳重だな。本当に非常事態でもなければ中の人たちは安全か」

見回ってみた俺の感想だ。確かに建物も丈夫だし警備員もまあまあやれそうだ

[前線メンバーとガジェットが交戦状態に入りました!]

始まったか。まああいつらなら大丈夫だろう

<そうだな あいつらも毎日厳しい訓練してるんだ>

だがそんな中、俺は違和感を感じた

この感覚を、俺は知ってる

これは

「召喚、反応?」

<?なにか感じたのか?>

「わからない、違和感を感じた気がした。そこまで大きな反応じゃないけど....大丈夫かな」

<まあ いざとなれば俺たちにも連絡がくるだろう>

「そう、だな」

それでも俺はこの違和感をぬぐえなかった

外に出ようか迷っていたら、そこに今度はちゃんとした反応があった

「侵入者!」

俺は反応があった場所に向かった。しかし館内での魔法類のしようは禁じられている以上そこまで早いスピードはでない

着いたときには反応があった場所ーー駐車場はひどい有様だった

「間に合わなかったか....前線は陽動か」

[遠藤指揮官、戦闘終了しました。いったん前線メンバーとの合流を]

ロングアーチから連絡が入った。俺はそれに了解と返してその場を後にした

合流した後はティアナのミスショットの話を聞いた後、現場検証をしてから撤収した

その間にユーノが居たの知らなくて後ろからこえかけられた時はびっくりした

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「ふっ、ふっ、はっ!」

俺は夜になってみんな眠りについてから近くの林の中で剣を振っていた

「これ、っで、一万!」

最後の一回だけ本気で振って目の前にある木を一心で切った

そのまま青眼に構えてゆっくり息を吐き出した

「次はあの技を」

俺は向かいにスフィアを設置してそこから10秒ごとに魔力砲が放たれるように設定する

これからやるのはそれをひたすらそのままスフィアに向かって返す訓練

しばらくやるがいっこうに出来る気配はない

切ってしまうか後ろに飛んでいくかの二択だ

「くっそ。できない...」

俺はこの訓練を六課にはいってからずっとやっている

技の名前は鏡花水月

鏡花の上位、剣戟だけでなく他のもすべて跳ね返すわざ

俺には剣で魔法などに対するカウンター技を持っていない

故にそれを身につけようとしているのだが...

「感覚すらわからない。こんなの始めてだな...」

俺は手に持つ剣ーー運命刀をみる。

漆黒の刃と柄、長く使って来た相棒

いつもは剣が教えてくれた。でも今回は違う

まるでこの技自体が間違っているかのように

「わからん。それとも根を詰めすぎたか」

俺は今日はもう休もうと思い、隊舎に戻った

しかし、その途中で声が聞こえてきた

「それでも、詰め込みでもしないとうまくなんないんです。凡人なもので」

ティアナの声か?

俺はその声が聞こえてきた方向に足を向けていた

「俺からすれば、お前は十分優秀なんだがな。羨ましいくれーだ」

「ヴァイスもいたのか」

俺が声を掛けるとそこにいたティアナとヴァイスの両方が俺の方をみた

「なんでこんなところに蒼炎さんが...?」

「蒼炎の兄貴。その格好てことは」

「ん、俺の格好?って今は道着に袴だったな」

今着てるのは昔使っていた剣術用の道着だった

そして右手には運命刀持ったまんまだったな

「少し剣術をな。それで、ティアナは休めと言われたのに自主練習か?」

「あ...えーと」

「別に言い訳が聞きたいからここに来たわけじゃない。そもそも俺もこんな時間まで修行してたしな」

俺が苦笑しながらそういうと、ティアナは俯きながら話してくれた

「強く、なりたいんです。もう何もなくしたくないから。私はフォワード部隊じゃ唯一の凡人なのでこれ位でもしなきゃ強くなれないんです!」

「凡人、ねぇ。はぁ...」

俺が溜息をつくとティアナは顔を上げて俺に怒鳴って来た

「無茶してなにがいけないんですか!才能に溢れていた隊長たちには凡人の気持ちなんてわからないんですよ!!」

「そういう意味で溜息を着いたわけじゃないよ。お前本当にそんな事おもってるのか?」

「まわりのみんなは才能に溢れてる。でも私には...そんなものなんて...」

俺はティアナの肩に手を置いた

「お前の言う才能ってなんだ?もしかしてどんな状況でも一人でやれる、なんてもんじゃないよな?」

「さすがにそこまでは...でも!」

俺は肩に置いた手に力を込める。そしてティアナの目を見つめる

「例えばさ、お前の幻術は一種の才能だよ。他人には容易に出来ないことって意味ならな。それに、射撃の腕だけならお前は俺より才能はある」

「そんな嘘を...」

「本当だよ。今は経験値があるから俺の方が巧いけどな。それに俺はお前より速い。だからこそスピードで翻弄できる。でもそれはクロスレンジの話だ。ミドルレンジになれば今の状態では勝てないかもしれない」

「やっぱり...。もうほっておいてください」

ティアナが俺の手を払おうとするが俺はそれより先に言葉を紡ぐ

「勘違いしてるようだから言っておく。お前は馬鹿か!なんでもかんでも一人でできると思うなよ!それは才能の問題じゃない。そもそもが不可能なんだ」

何かを代償にでもしなければ

俺はその言葉を飲み込んだ。それを言えばティアナは間違いなくそれに突っ込むだろう

「なのはだってクロスレンジに持ち込まれれば負ける。フェイトだってロングレンジでは負ける」

「蒼炎さんは?」

ティアナが落ち着いてきた。俺はそれをみて肩に置いた手の力を緩めた

「確かに俺はさ、お前の言う例外だよ。でもクロスレンジではフェイトに負ける。ミドルレンジ、ロングレンジではなのはに負ける。アウトレンジでははやてに負ける。だからこそ相手の弱い位置に持ち込むってのが俺の戦法だ。でもそれは俺の才能が全てが平均的に出来るってものだからだ」

「じゃあ、私は?何ができるって言うんですか...」

またティアナが俯いてしまった。俺はティアナの顔を上げさせる

「お前には、指揮の才能があるって言っただろう?射撃の腕、そして幻術を操る器用さ。それは前線指揮官の理想だ。これから言うことを覚えて置いてくれ、自分に出来ないことは誰かに任せていいんだ。視野を広くもて。お前の前後左右が守ってくれる。守ってもらうことは恥じゃない。射撃の真髄は動じないこと、だ」

「私に、できますか?」

「ああ、できるとも。諦めさえしなければ、な。でも、無茶だけはいけない。それは基礎が完全に出来るまでは悪手でしかないんだ。だから今日は休め。別に俺は自主練習が悪いとは言ってない。でも、それは一人で無茶するためではなく、誰かとのコンビネーションを鍛えるためにしろ。自分の訓練は普段の訓練で十分やってるだろう?」

「はい。わかり...ました」

ティアナの目は最初に比べると幾分かマシになってた

「よろしい。それからさ、さっきは出来ないことは誰かに頼れって言ったけどそれが出来ない時もある。特に執務官志望だろう?だから、近接戦闘のやり方、俺でいいなら少しだけ教えるよ。と言っても相手の攻撃をよけてミドルレンジに持っていくためのものだけど」

「こちらからお願いしたいくらいです!よろしくお願いします」

「んじゃ寝とけ。明日も訓練あるしな」

そう言って頭に手を乗せてから俺は隊舎に戻った

それにしても強くなりたい、か。もしかすると今の訓練では強くなってる気がしてないのかな

だとしたら焦る気持ちもわかる。彼女にはやらなきゃいけないことがあるらしいし

基礎を高める訓練。そこに込められたなのはの思い

前になのはが言ってた

「私ってさ、昔無茶ばっかりして堕ちちゃったでしよ?だから新人のみんなには同じ道を歩んで欲しくないんだ」

確かにあれはすぐに成果を実感出来るものじゃない

でもなのはの気持ちも分かるし、あの訓練がどれだけみんなのことを考えてるのか分かる

そっか、あいつらはその気持ちをちゃんと理解してないのかもな

でも、ティアナのあの様子を見てたらなのはも多分言うと思うんだよなぁ

まあ、そこは俺の入る余地は無いか


あ、ヴァイスのこと忘れてた。まあいいか



そして、俺は次の日からもそのことについて触れなかった

それが後からみても良かったのか、それとも悪かったのかはわからない

でも、少なくともあんなことは起こらなかったと思う

事件は、模擬戦の時に起こった 
 

 
後書き
ここのレジアスは頑固ではありません

それから蒼炎に頭を撫でられたのでティアナはあの後枕に顔を埋めてたり

フラグ?そんなの知らん







いつもどうりに進むと思っていたスバル・ティアナコンビとなのはの模擬戦

だが、それは違った。新たな技は模擬戦で使うようなものではなかった

そして蒼炎は知った。ただすれ違っていだけだと

「人はエスパーじゃないんだ。言葉を使わなきゃ伝わらないんだよ!」

蒼炎は空を駆けた、なのはに向かって

次回 第六話 伝えるということ 
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