ルドガーinD×D
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第二十二話:怒りの証~小猫side~
「はあ、はあ……」
…間違いないです…この気配は姉様の……っ!!
「――♪~♪」
…あれ?この歌どこかで……
「♪~♪♪♪~♪」
…っ!?これはルドガー先輩の歌!?…どうして…?
「…姉様………」
「白音……会いたかったにゃ……」
そっと姉様の目を見るがその目は私が大好きだったころの姉様と同じものだった
…でもどうして姉様がルドガー先輩の歌を?
「…あの、姉様どうして―「やっと見つけたわ、ヴァーリチーム、黒歌」―誰です!?」
とっさに身構えて声のした方を見ると黒髪に眼鏡をかけたいかにもインテリ系と言った感じの女が気味の悪い笑顔を浮かべながら立っていた
「私の名前はアリス・ダンタリオン、死霊使いの末裔ですわ」
「その死霊使いが私に何のようにゃ?私達は旧魔王派にも関わっていないはずだけど?」
姉様は不機嫌さを隠すことなくそう尋ねる
…というか姉様も禍の団に入っていたのですか……
「私たち旧悪魔派にとってはルシファーの名は重要なものでした……しかし当の本人のヴァーリ・ルシファーはこちら側には属さず放浪とするばかり……正直困っていたのです」
「何が言いたいのにゃ?」
「邪魔になってきたのですよ、あなたたちが」
そう言い放つと、持っていた剣を抜くダンタリオン
すると周りに人間の形をした半透明の物体が現れる
…あれが死霊なんでしょうか?
「ヴァーリを殺せると思っているのかにゃ?私でも勝てないのに」
「殺す必要はないのです、彼の名は私たちには重要なのですから」
「ヴァーリを捕えられるなんて本気で思っているのかにゃ?」
「難しいのは承知です…ですからまずは周りの邪魔者からというわけです」
「私も舐められたものにゃ」
「あなたの弱点は調べがついてありますので」
そのまま睨み合う二人、数秒か、はたまた数十秒かの沈黙の後に二人は同時に動き始めた
巨大な魔力弾の打ち合い、姉様の仙術による攻撃、ダンタリオンの鋭い剣裁き、そしてそれに合わせるようにうごめく死霊、最上級悪魔レベルの二人の戦いは両者ともほぼ互角だったが時間が経つにつれ経験の差なのかだんだんと姉様が押し始めた
「ほらほらどうしたのにゃ?さっきまでの威勢はどこにいったにゃ!!」
「くっ!!……そろそろですかね」
「?」
「あなたの弱点今からお見せしますよ」
…姉様の弱点?…それはいったい……
「私たちの作る世界の礎になってください!!」
…っ!?…どうして私に斬りかかって!!?避けれな――
「白音!!?」
…え?…どうして姉様が私に覆いかぶさってるのですか?…どうして姉様は血を流しているのですか?
…どうして――私を庇ったのですか?
「ふふふ、バカな女ですね、そんなに妹が大事ですか?」
「くっ……!!」
「…姉様、どうして!?」
「ふふふ、教えてさしあげましょうか?その女はあなたを守るために主を殺したんですよ」
…っ!?姉様が私を守るために……?
「その女の主は悪魔の契約が絶対であるにも関わらず、欲に目を眩ませてその女との契約を破りあなたまでも眷属にしようとしたのですよ」
…知らなかったです……
「そのことに反対したその女が仙術の暴走を装い主を殺した……それが真実です、本当ならあなたを人質にとってから戦う予定でしたが、あなたが来てくれたので手間が省けて良かったですよ」
「…姉様……」
…私は…姉様がずっと私を守ってくれてたというのに……っ!!
「…白音……逃げなさい」
「…っ!?…姉…様……っ!!」
…昔と変わらない優しい目……姉様は自分のことよりも私のことを……っ!!
「ふふふ、安心しなさい姉妹仲良く殺して差し上げますから」
「…白音!!!」
…ここで逃げれば私は助かるかもしれない……でも――
「…嫌です!!…姉様は私の…たった一人の家族です!!!…私が守ります!!!」
「…っ!!?…白音……」
「そうですか……では、死になさい!!!」
ダンタリオンが大きく剣を振りかぶるのに合わせて私も構える、本当なら避けるのが一番ですけど姉様が動けない以上受け止めるしかない
「うおおおおっ!!!」
剣が振り下ろされる瞬間――大きな背中が私の目の前に現れた
ガキーンッ!!!
「人の家族に何をしてるんだ?」
「あなたは!?」
…どうしてここに!!?
「…ルドガー先輩!!?」
突然の新手の出現に警戒し、いったん距離をとるダンタリオン
「…どうしてここが分かったんですか?」
「証の歌だ……」
…証の歌?…姉様が歌っていた歌でしょうか?
…それよりもどうして姉様とルドガー先輩が同じ歌を――
「…ルドガー……」
「…黒歌……っ!!傷が……そうだ、フェニックスの涙だ!!!」
ルドガー先輩が姉様にフェニックスの涙を振りかけると姉様の傷は全て塞がっていった…良かった……
「ルドガー……ごめんなさいにゃ……」
「クロが謝ることなんか何もないさ……少し休むんだ…」
そう言って優しく姉様の頬を撫でるルドガー先輩、その動きはまるで――
「恋人ですか?下賤な転生悪魔同士お似合いですわね、ですが……安心してください二人仲良く死霊にして私の下僕にしてさしあげますから」
――そう恋人だ……一体いつの間に二人は出会っていたんでしょうか?
…というか、ルドガー先輩は姉様のことを知っていて私にあんなことを言ったんでしょうか?
「…………………お前がクロを傷つけたんだよな?」
今まで聞いたこともないほどの冷たい声と共にルドガー先輩の体から強く青白い光が出始める…ルドガー先輩の神器は武器を創りだすものだったはずです……あの光は一体?
「なんですかそれは?」
「……武器にとって最も重要なことは何だと思う?」
「?相手を確実に殺す殺傷能力ですかしら?」
「いや、それも大事だが最も重要なのは――」
刹那、ルドガー先輩の姿が消える
「消え…っ!!?」
そして次の瞬間にはダンタリオンの右手は宙に舞っていた
「――使い手の能力だ」
「き、貴様!!下賤な分際で私に何をした!!?」
「俺のバランスブレイクは『諸刃の剣』脳のリミッターを解除し全身の筋肉の百パーセントの力を発揮するものだ……だが今回は己の肉体を破壊しながらその限界をも超えて二百パーセントの力を引き出している」
…確か人間は体の筋肉を普段は20パーセントぐらいしか使っていないと聞いたことがあります…つまり今のルドガー先輩の力は単純計算で普段の十倍…イッセー先輩のせいで感覚がマヒしてますがルドガー先輩程の実力者が十倍になればその効果は絶大です……
…でもそんなことをすれば――
「そんな無茶をしてあなたの体が持つと思っているのですか!!?」
――そう、普通なら体が壊れる、そもそも普段抑えているのは体を壊さないためなのだから
「今のとこ持って二分だな……だが、俺がお前如きを殺すのに手こずるとでも?」
…そう言った、ルドガー先輩の目は今まで私が見たどの目よりも殺意に満ち溢れていた
…あれが……ルドガー先輩が本気で怒った姿……
「私は……私は崇高なる悪魔です!!!それをあなた達の様な下賤な―「黙れ」―っ!!?」
人間の体から出たとは思えない音を出してダンタリオンはルドガー先輩の攻撃、早すぎて良く分かりませんけど恐らくはハンマーで吹き飛ばされてしまいました
それと同時にルドガー先輩の腕から血が噴き出す
…やっぱり、相当体に負担がかかってるみたいです
「ゲボッ!?ま、まだ――アアアアアッッ!!!??」
「黙れと言ったはずだ」
そう無機質に言い放ちながら双銃でダンタリオンの足を淡々と打ち抜いていくルドガー先輩…あれは本当にルドガー先輩なんでしょうか?
「わ、私にはまだ霊がいます!!行きなさい!!死霊共よ!!!」
何十体もの死霊がルドガー先輩を取り囲み剣や斧などでルドガー先輩を斬りつけていく
「俺に触れると言うことはお前らを斬れると言うことだな?」
そう言うや否や、まるで親の仇かのように死霊を滅多切りにしていくルドガー先輩
…霊には血はないので辺りが赤く染まっているのは全てルドガー先輩の血と言うことになります……
…本当に大丈夫なのでしょうか?
…もう体を動かすのもやっとじゃないのでしょうか?
「こ、この下賤がああああっ!!!!??」
「お前の死因はただ一つ……俺の家族を傷つけたことだ!!!!!」
そう冷たく言い放つと銃を空に向かって放り投げるルドガー先輩、そして素早くハンマーに持ち替えダンタリオンを骨が砕ける音と共に叩き潰す、そしてそのまま容赦することなくリバウンドして浮かぶダンタリオンをクロスするように斬りつけて元居た場所に戻り先ほど投げた銃をキャッチする……曲芸みたいです
「祓砕斬!!はあああっ!!零氷っ!!!」
そして止めとばかりに全方向からの魔力弾(?)を撃ち出してダンタリオンに打ち込む
……煙が晴れた後には何も残っていません…恐らくあれで死んだのでしょう
「クロッ!!!」
「ルドガーッ!!!」
ルドガー先輩はダンタリオンのことなど初めからいなかったかのように無視し若干足を引きずりながらですが一目散に姉様に駆け寄っていき姉様もそれに応えてお互いに強く抱きしめ合う
「会いたかったにゃ……」
「連れ戻しに来たぞ……クロ」
「うん……」
……どうして私は生き別れた姉のラブロマンスを再会と同時に見せつけられてるのでしょうか?…しかも相手は先輩という状況に私はどうすればいいんでしょうか?
「クロと離れてからずっと心に穴が開いたみたいだった」
「私だって何にも手に着かなかったんだから」
「俺の方が辛かったさ!!!」
「私にゃ!!!」
「俺っ!!!」
「私っ!!!」
…何堂々といちゃついてるんですか?
…私の身にもなってください
「……ははっ…俺達一緒にいないとダメダメなんだな」
「……うん……これからも一緒にいてくれるよね?」
「言わなかったか?……ずっと一緒にいて欲しいって」
「っ///////////……うん」
…これはあれですか?…ルドガー先輩が私の義兄さんになるってことですか?
…なに私をホッポリ出してる間にちゃっかり素敵な旦那をゲットしてるんだ、とか
生き別れていた妹が目の前に居るのに何の反応も見せないのか、とか
いろいろ言いたいことはありますがこれだけは言わせてもらいます
「…いちゃつくならよそでやって下さい!!!」
後書き
今回は二話同時に投稿しました、次はルドガーさんsideです。
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