転生とらぶる
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マクロスF
0732話
「ふざけるなっ!」
俺はその話を聞き、医者の胸ぐらを掴みあげる。
医者の不摂生と言うべきか、100kgを軽く超えている……あるいは肥えていると思われるその肥満体の医者は、俺に片手で吊り上げられて目を白黒させている。
まさか10代半ばにしか見えない俺に片手で持ち上げられるとは思わなかったのだろう。
だが、さすがに胸元を持ち上げられている状況では息苦しくなってきたのか、必死になって俺の手から逃れようとする。
「は、離しなさい! 私は嘘は言っていない! 彼女は全く身体に問題の無い健康体だ!」
「なら、何でこうも熱が続いている? この病院の医者の目は節穴か?」
「そんな訳はないだろう! だが、彼女の血液やその他全てのデータは間違い無く健康であると示しているのだ!」
「……アクセル、もういいわ」
医者を吊り上げていた俺の腕を押さえるシェリル。
その表情に浮かんでいるのは、悲しみでも怒りでも、当然諦めでも無い。ただ強い意志のみだった。その瞳でじっと見つめられ、片手で吊り上げていた医者を椅子へと戻す。
「とにかく、私の身体は健康だと判断してもいいのね?」
「ぜはぁ、ぜはぁ。……ええ、こちらの検査の結果ではそうなっています」
「なら退院しても問題無いと?」
俺は医者がシェリルの言葉に当然頷くと思っていた。それはそうだろう。何しろ検査入院して出た結果が、ここ最近シェリルと行動を共にしている俺にしてみれば納得は出来なかったが、健康だと証明されていたのだから。
シェリルにしても当然医者が頷くと思っていたのだろう。だが……
「申し訳ないけど、君のマネージャーから暫くは病室で休ませるようにと言われているんだ。このところずっと忙しくて疲れが溜まっているようだから、と」
「ちょっと、何でよ! あたしは健康だって検査結果が出たんでしょ! なら!」
これには、さすがにシェリルにしても我慢出来なかったのだろう。医者に向かって強い口調でまくし立てる。
確かに普通に考えれば、明らかにおかしい。検査で健康だと証明されたにも関わらず、疲れを癒す為にも入院していろというのだから。
一体どうなっているんだ? そんな俺の疑問は、医者自身の口から説明される。
「実は、君のマネージャーさん。グレイスさんとか言ったと思うけど、今ちょっと忙しいらしいんだよ」
それは知っている。そうでなければ、シェリルの元護衛で知り合いであると言っても血縁関係でも何でも無い俺がこうしてシェリルの検査結果を聞く事が出来る訳ないしな。
だが、シェリルにとってはグレイスの件は予想外だったのだろう。思わずといった様子で呟く。
「グレイスが……?」
「そういう事になるね。さ、こちらとしても君の他にも患者は大勢いる。悪いんだけど、病室に戻って貰えるかな? 何、大丈夫だよ。君の身体に悪いところがないのは検査結果が証明している。熱に関しても、恐らくは疲れが溜まっているからなんだろう」
……その、疲れが溜まっているとかは検査で分からなかったのか? そんな風に口に出そうとしたのだが、それよりも前にシェリルは座っていた椅子から立ち上がる。
「分かった、取りあえず病室に戻るとするわ。ここであたしが何を言っても意味はないでしょうしね。……アクセル、悪いけど貴方もここで帰ってくれる?」
「それは……ああ、分かったよ」
今のシェリルを1人にしておくのもどうかと思ったが、それでも本人がこう言っている以上、無理強いするのも逆効果だろう。そう判断し、シェリルの言葉に頷く。
「けど、いいか? お前の身体はお前1人のものじゃない。シェリルの歌を楽しみにしているファンは世界中、銀河中に大勢いるんだ。その事を良く覚えておけよ」
「ふふっ、分かってるわよ。全く、何だかあたしが自殺でもするみたいな感じじゃない。安心しなさい、そんな気は毛頭無いから。……にしても、あたしの身体はあたし1人のものじゃない、ねぇ。ならアクセルもそんな中の1人なのかしら」
悪戯っぽく微笑んでくるシェリルに当然とばかりに頷きを返す。
「俺もシェリルの歌は嫌いじゃないからな」
「……何よ。どうせなら好きだって言いなさいよね。ま、いいわ。今日はその程度で許してあげる。少しは気分転換にもなったし。じゃあね」
「あ、おい。病室まで……」
「いいわよ。アクセルも知ってるでしょ? あたしは健康体なんだから」
軽く手を振り、部屋を出て行くシェリル。
それを見送り、俺もこれ以上ここには用がないので医者を一瞥して部屋を出て行くのだった。
「アクセル、ちょっといいか」
病院からS.M.Sに戻った俺を、まるで待っていたかのようにオズマが声を掛けてくる。いや、この場合は実際に俺が戻ってくるのを待っていたのだろう。
オズマが浮かべている表情は真面目なものなので、何らかのお気楽な内容じゃないというのは明らかだ。可能性としては、昨日ランカを連れていった件で何かあったか。
まさか、あの大統領が非人道的な扱いをしないという約束を即行で破ったとかでは無いと思うんだが。
「構わないぞ。で、どこで話す? 食堂辺りにでも行くか?」
「悪いが、お前の部屋で頼む。あまり人に聞かれたくない内容なんでな」
静かにそう告げてくるオズマと共に、俺は自分の部屋へと戻る。
その際に何だか妙に不機嫌なアルトの姿もあったが、オズマは特に何を言うでも無くそのまま俺の部屋へと移動する。
「ほら、取りあえずこれでも飲め」
空間倉庫から取り出した缶の紅茶を放り投げ、俺も自分の分とばかりに同じ物を取り出してプルタブを開ける。
微かな甘みの冷たい紅茶が喉を通りすぎていく。
この紅茶は麻帆良で買った物だが、それなりに当たりだな。……もっとも、麻帆良の飲み物と言えば、綾瀬が好むような珍妙奇天烈な物も多いんだが。
そんな風に考えてオズマへと視線を向けると、缶紅茶を飲んではいるが、あまり美味そうには見えない。
「初めて飲む種類だが、これもこの世界とは別の世界の物なのか?」
「ああ、通称ネギま世界って場所で売ってる紅茶だよ」
「不味くはないが、俺としてはコーヒーの方が良かったな」
「なるほど、コーヒー派か。フェイトやバルトフェルド辺りとなら話が合うかもしれないな。……で、紅茶の話をしに来たんじゃないだろ? 何があった?」
そんな俺の言葉に、数秒程黙り込んでいたオズマがやがて口を開く。
「グラス大統領の指示でランカの検査をしたんだが、特に異変は見つからなかった。……ただし、どこでそれを聞きつけたのかは知らないが、お前が言っていた補佐官が首を突っ込んできてな」
「……またキノコか」
オズマの言葉に、思わずそう突っ込む。
俺の言葉を聞いたオズマは、一瞬ポカンとしつつも、次の瞬間には苦笑を浮かべる。
「なるほど、キノコか。確かに言い得て妙だな。そう、そのキノコが首を突っ込んできた訳だ。……ランカの調査に関しては秘密裏にやっていたのに、どこからか聞きつけて」
「で、それからどうなったんだ? オズマの様子を見ている限りじゃ、良い事って訳じゃなさそうだけど」
紅茶へと口を付けながら、話の続きを促す。
「グラス大統領は色々と反対したんだが、実際その調査ではランカに特に何も変わったところは見つからなかった。だからこそ三島補佐官に任せるということになったんだが……」
「その口調を見る限りだと」
「ああ。見事にランカに対しての異変が見つかったよ。もっとも、それが本当にバジュラに対して効果があるかどうかは分からないけどな」
異変が見つかった、か。大統領という立場にいる人物が抱えるスタッフでも見つけられなかった異変を、あっさりと見つける。これは恐らく、前々からあのキノコはランカが怪しいと思っていたんだろう。それで密かに情報を探っていた。……そう感じるのは俺の気のせいか?
そんな風に思いつつも、オズマへと視線を向ける。
最初は沈黙していたオズマだったが、やがて観念したのだろう。小さく溜息を吐いて口を開く。
「ランカの歌からは微弱なフォールド波が検出されたそうだ」
「フォールド波? それが検出されるとどうなるんだ?」
「その辺はまだ正確には分からん。だが、それがバジュラに対して何らかの影響を与えていると三島補佐官は考えているらしい。……お前がガリア4から戻って来た時の戦いがあっただろう?」
唐突に話を変えるオズマに、内心で首を傾げながらも頷く。
「あの戦いの最後。お前が女王級と呼んでいるバジュラが乗っていたバジュラ艦に攻撃を仕掛けようとした時、バジュラの動きが混乱……とまではいかないが、変な動きになっていたのを覚えているか?」
オズマのその言葉に、女王級の乗っているバジュラ艦……要塞級とも言える艦の外壁に穴を開けた時の事を思い出す。
確かにあの時、空いた穴からバジュラが姿を現した。けどその動きが妙だったのは事実だ。そのおかげで、俺や護衛のクランに被害がないまま内部に反応弾を叩き込む事が出来たのだから。
だが……
「あれがランカの歌の効果だと?」
「奴はそう言ってるよ。実際にその当時の映像を確認したら、確かにランカはその時に歌っていた。本人に聞いてみたが、俺達の事を心配して外の見える場所……お前達が以前閉じ込められた待避壕の近くにいたらしい。そして、戦闘を見ながらせめて自分に出来る事をと思って歌って……その結果がバジュラの混乱とも異常行動とも取れるあの結果だそうだ」
「……なるほど」
「信じるのか?」
「バジュラとランカの関係性を思えば、可能性は無くも無い……かもしれないといったところだと思う。正直、あのキノコの考えに乗っているような気がしてあまり嬉しく無いのは事実だが、キノコはあの若さで大統領補佐官になっただけあって能力的には優秀な筈だ。信用は出来るが、信頼は出来ない典型的なタイプだろうな。そのキノコがランカを調べてすぐに結果を出して見せた以上、相当前からランカについては目を付けていたんだろう。それを考えれば、信じざるを得ないだろうな」
それにこれは言えないが、この世界はマクロスの世界だ。そしてマクロスと言えばリン・ミンメイ、シャロン・アップル、熱気バサラのように歌がテーマとして存在している。それならば、このマクロスフロンティア(仮)でも歌が重要な要素であるのは否定出来ない事実だろう。
「とにかく、ランカの件でバジュラに影響があるかもしれないという可能性ははっきりした訳だ。で、そこに出て来たのが……グレイス・オコナー」
「……何?」
オズマの口から出て来た名前に、思わず問い返す。
いや、それ程不思議な事じゃないのか? 実際、今日シェリルと共に検査結果を聞きに行った時にも、医者はグレイスが忙しい云々と言っていたのは事実だし。
だが……
「ここで出て来るのか。……と言うか、どこにでも出て来るな」
「ああ、全くだ。何も知らない状況でならいざ知らず、お前からグレイス・オコナーの危険性を聞いた以上は胡散臭い事この上無い」
「それを分かっていても受け入れたのか?」
「……奴の口の巧さは、さすが首席補佐官といったところだろうな。グレイス・オコナーにしても同様にな」
苦々しげに呟き、紅茶を口に運ぶオズマ。
「更に、だ。バジュラとランカの関係を明確にする計画も、結局は三島補佐官に任される事になった。大統領も最初は渋っていたが、バジュラに襲われている今の時期にはやるべき事があると言われてはな。……さっき、アルトの機嫌が悪かったのを見ただろう?」
「ん? ああ。そう言えば確かに機嫌が悪そうだったな」
「その理由は、ランカの護衛がブレラ・スターンに決まったからだ」
「……何? 確かに奴の件については政治的な問題で有耶無耶になったと聞いたが、それでも今回のキーマンでもあるランカの護衛にするというのは迂闊じゃないか? ……いや、なるほど。グレイスか」
「恐らく、な」
これでグレイス=ブレラのラインは決まり、か。
「恐らく、これからは色々ときな臭くなってくるだろう。今回の件で、大統領と三島補佐官の間にも薄らとだが亀裂も出来た。これがこれからどう影響してくるかは分からないが……」
「多かれ少なかれ、何かが起きるのは確実か」
「そういう事だ。色々と手間を掛けると思うが、よろしく頼む。特にランカの護衛である、あのブレラ・スターンとかいう奴はこれまでの事もあって全然信用出来ない。かと言って、生身で奴とやり合えるとしたらお前だけだろうしな」
「……俺だけ?」
「ああ。奴は体の大部分をインプラント化した、サイボーグだからな」
部屋の中に、妹を自分だけで守りきれないと苦々しげなオズマの言葉のみが響くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:905
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:690
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