MUVLUVにチート転生者あらわる!?
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第三十七話
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悠斗side
1999年1月10日
宇宙要塞ソロモン
月攻略作戦。通称チェンバロ作戦は目標であった月を取り戻す事に成功した。1月3日から4日にかけて行われた本作戦は、1名の戦死者を出すことなく完了した。
月攻略を完了した俺達は、艦隊にミラージュコロイドを展開させソロモンに全艦帰投した。
そして今日は、月を奪還した事による祝勝会が開かれていた。
デラーズ閣下がグラスを片手に乾杯の音頭をとる。
「皆、ご苦労であった。先の月攻略に置いて、貴殿貴女らの活躍が有ってこそ月を取り戻す事が出来た。束の間の間世俗を忘れ、おもいっきり羽を伸ばしてくれ。では、乾杯!」
「乾杯!」×多数
カチンカチン
出席者達がグラスを当て乾杯する。
ゴクンゴクン
グラスの中に入っていた、ワインを飲みほす。
「フゥ。旨い」
今日の祝勝会に出ている酒や食べ物は全て最高級の物ばかりだ。まあ、チートプラントで大量生産して用意させたんだけどね。空いたグラスを、近くにいたウェイターのトレイに置き、新しいワインを手に取り、会場を見渡す。
「取り敢えず何処に行こうかな?」
周囲を見渡すと、先ほど乾杯の音頭を取っていたデラーズ閣下が居た。
人を避けつつデラーズ閣下に近ずく。
「デラーズ閣下。お疲れ様です」
「おお!悠斗か!貴殿もご苦労だったのう」
軽く会釈し、デラーズ閣下の隣に移動する。
「先の月攻略作戦が上手く行って、本当良かったです」
「うむ。先の月攻略作戦は、一歩間違えば大打撃を受ける可能性もあったからのう」
「これも、デラーズ閣下の部隊が最初にハイヴを攻略して下さったからです。最初のハイヴ陥落の一報で、兵達の士気は大いに上がりましたから」
そう言って、デラーズ閣下に頭を下げる。
デラーズ閣下に頭を上げる様に言われ、頭を上げる。
「なに、ワシはソラー・システムを射っただけだ。何より、悠斗の部隊が陽動をしてくれていたおかげで、BETAが地表に出てきて居たからこそ、大打撃を与えてハイヴを攻略出来たのだ」
「そう言って頂ければ、幸いです」
「うむ。堅苦しい話しはこれくらいにして、祝勝会を楽しもう」
「ええでは」
「うむ」
「「乾杯」」
カチン
グラスを軽く当てデラーズ閣下と乾杯する。
ゴクンゴクン
口一杯にワインの味が広がり、芳醇な香りが鼻を抜ける。グラスから口を離すと、デラーズ閣下が近くに冷してあったワインボトルを手に持っていた。
「うむ。なかなか良い飲みっぷりよ。では、もう一杯」
「あ、どうも申し訳ありません」
トクトクトク
グラスに再びワインが注がれる。デラーズ閣下から、ワインボトルを受け取りデラーズ閣下にも、返杯する。
「ささ、デラーズ閣下もどうぞ」
「うむ。頂こう」
トクトクトク
デラーズ閣下のグラスにも、ワインを注ぐ。
ワインボトルを近くのテーブルに置く。
「そう言えば悠斗よ。貴殿に聞きたい事があったのだ」
「うん?と、失礼しました。それで聞きたい事とは?」
ワインを飲んでいる最中に話しかけられた為、素の返事をしてしまった。デラーズ閣下は、特に気にした様にはなかった。
「なに、簡単な事よ。いつ結婚するのだ?」
「!ゲッホゲッホ」
いきなりなに言ってるんですか!デラーズ閣下!ワインを吹き出しそうになって、飲んだら気道に入ってむせましたよ!
呼吸を整えながらデラーズ閣下を見ると、ニヤニヤと笑っていた。
「ゴホン!失礼ですが、質問の意図が分かりませんのですが?」
「なに、ワシとしては不動准将がそろそろ結婚を考えても良い年だと思っての、それで聞いたのだ」
デラーズ中将がそう言った瞬間、近くに居た女性陣の視線が不動准将に集中する。
「(はて?視線が集まった気がした様な?気のせいか?)いや、まだ恋人すら居ないのに結婚と言われましても」
「(ふむ。此れだけの女性陣からの好意の視線に、気付かない辺りは鋼入りだのう)では、好きなおなごは居るか?」
デラーズ閣下の問いかけに、腕を組んで考えてみる。が、特に思い当たる節はなかった。
「いや、今の所居ませんね」
「なに?いないと申すか?」
非常に驚いた顔をするデラーズ閣下。別に、変なことを言ってはいないはずだ。
(きた!まだチャンスがある!)×大多数の女性陣
(ふう。まだ、私の気持ちには気付いてくださらないのですね悠斗)←元米軍の衛士
(クッ!やはり、前に宇宙に来たときのチャンスを、生かすべきだった!)←海兵隊指揮官の中佐
(・・やはり、アキトさん以上の鈍ちんです。計画の再考の必要があります)←電子の妖精
(チッ!やっぱり、接点が少ないのは厳しいね。大丈夫!まだ、挽回出来るさ)←某猫目の巨乳さん
(う~ん。やはり、もう少し積極的に行った方が良いのでしょうか?)←褐色肌のピンク髪さん
祝勝会の会場に入る女性陣はそんな等を、考えていた。そして、遠く離れた地球でも今の話を感じ取るものがいた。
バキ
室内に何かが折れる音が響く。その物音に気付いた女性秘書が、書類から視線を外して音のした方を見ると、事務総長がボールペンを握り潰していた。
(フフフ。悠斗よ。貴様は私の者なのだから、誰にも譲らんからな)
何やら、笑う事務総長が怖くて秘書は、見なかった事にして仕事に戻るのだった。
そんなことを女性陣が考えているなど知らずに、俺はデラーズ閣下とワインを飲みながら話を続ける。
「しかし、貴殿は結婚願望は無いのか?」
デラーズ閣下が、ワインを注ぎながら聞いてくる。俺は近くのテーブルにあった、クラッカーを頬張る。サクとした音がする。
「う~ん。そんなことなど、考えたこと有りませんでしたね」
「何故だね?」
「今まで、そんな余裕が有りませんでしたから」
この世界に初めて来たときは光州作戦だったし、それが終わったらBETAの日本進行だったからな。それが済んだと思ったら、横浜ハイヴ建設だったな。そして最後に月攻略作戦ですからね。
この世界を救う事に頭が一杯だったから、恋愛なんて考えている余裕がありません。そんなことを考えていると、デラーズ閣下が俺の肩に手を置いた。
「悠斗よ。まだ貴殿は若いから焦る必要は無いかも知れんが、もう少し女心を知るように努力するのだな」
「は、はあ?」
「では、悠斗よ。祝勝会をゆっくりと楽しむのだぞ」
そう言ってデラーズ閣下は、俺から離れて行くのであった。
悠斗sideout
デラーズside
悠斗と別れてから会場を移動して、ガトーがいるテーブルに着く。
「デラーズ閣下。お疲れ様です」
「うむ。ガトー、貴殿の活躍は誠に大義であった」
ガトーがワシに気付いて敬礼する。ワシも返礼してガトーと向き合う。
「して、閣下は不動准将と何を話していられたのですか?」
「うむ。悠斗に好きなおなごがいるか、訪ねてみたのだ」
「それで、不動准将の返事は?」
やはり、ガトーも気になっていたようだ。
「残念ながら、いないそうだ」
ワシはそう言って、手に持っていたグラスのワインを飲む。年代物のワインだけあって旨かった。
「やはり、そうですか。帝国に演習に行った時に聞いてみましたが、あの時から変化なしですか」
額に手をあてて、ため息を吐くガトー。やれやれと言った表情をしている。
「まあ、ワシからも女心を勉強する様に言ってはみたから、あの鈍さも改善されれば良いがの」
「ええそうですね。ワインをお注ぎします」
「おお!すまんなガトー」
トクトクトク
空のグラスにワインが注がれる。再びワインを飲みつつガトーと、話を続けるのであった。
デラーズsideout
悠斗side
デラーズ閣下と別れた俺は、会場を散策していた。あちこちで兵士達が酒を酌み交わしている。
それらを横目で見つつ、移動すると前方のテーブルに、ジョニー・ライデン少佐とグレミー・トト中尉のイケメン二人組がいたので、近づいていった。二人とも俺に気付いて敬礼する。俺も返礼する。
「ライデン少佐。ハイヴ攻略ご苦労だったな」
「いえ、光線級のいないハイヴ攻略なんて、楽なもんでしたよ」
グラスを片手に、ハイヴ攻略を余裕と言って笑うライデン少佐。
「グレミー中尉も、ご苦労だったな」
「いえ、大した事ありませんでしたよ。あんな見た目が汚ならしい化け物どもなど、いくら来ようと私の相手にはなりません」
そう言ってグラスに入っていたワインを飲みほすグレミー中尉。よくみると、二人ともかなり顔が赤くなっていた。
「二人とも、随分飲んでいるんじゃないのか?」
「全然大丈夫ですよ!こんなの酔ってる内に、入りませんから!」
「そうですとも!私にかかれば、酒などどうと言うことはありません!」
二人の周囲を確認してみると、大量のワインの空きビンが転がっていた。明らかに飲みすぎだ。
「まあ、二人がそう言うなら止めはせんが、程ほどにな。そう言えば、二人は何を話していたんだ?」
「なに、大した事じゃないんですがね」
「はい。モテるにはどうしたら良いか、話しあっていました」
俺は、ズッコケそうになった。俺が話しかける前まで、真剣に話し合いをしていたと思ったら、そんな内容だったんですか。
「二人ともイケメンで、モテている様に思うんだが?」
「「甘い!甘いですよ!不動閣下!」」
ビシと音がしそうな勢いで、二人が俺を指差す。
「良いですか!いくら顔が良くたって、女にモテなきゃ意味が無いんですよ!」
「そうですよ!男は、モテてナンボなんですよ!不動閣下の様に女性から普通にモテるなら良いですが、そうでない我々は努力しなければならないのです!分かりますか?」
「いや、俺はモテて無いしな」
俺がそう言った瞬間二人から、嫉妬で人が殺せる位の視線を受けた。
(あれ?もしかして、地雷踏んだかな?)
「良いですか!不動閣下、大体貴方は」
ガシ!
ライデン少佐が俺を説教しようとした瞬間、誰かがライデン少佐とグレミー中尉の肩に手を置いた。
「「ん?誰だ?」」
二人が振り向いた瞬間固まった。振り向いた先には魔王がいた。
「ちょっと、頭冷そうか」
そう言って某管理局の白い魔王の様な台詞を言って、数人の女性がライデン少佐とグレミー中尉を、引張って外に出て行った。
「ちょ、待って!た、助けて!」
「な?何故私まで?」
「「アーーーー!!」」
何やら二人の断末魔が聞こえた。だが、誰も気にすることなく祝勝会は進んで行くのであった。
悠斗sideout
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