MUVLUVにチート転生者あらわる!?
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第三十六話
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悠斗side
俺はブリッジを出て、更衣室で白を基調にしたパイロットスーツに着替え、エレベーターに向かっていた。
(フム。予定より早くハイヴが墜ちたな)
移動しながら、頭の中で再度ハイヴ攻略のシュミレーションをする。ガトー少佐のハイヴ攻略を皮切りに、各地で反応炉が破壊されハイヴが攻略されている。予定より早い速度でハイヴが陥落している。
(まあ、所詮はシュミレーションはシュミレーションに過ぎんか。良い方向に作戦が進んでいるから、問題ないか)
思考する事を止める。曲がり角が見えてきた。曲がり角を右に曲がる。エレベーターが見えたと思ったら、エレベーターの入り口の前に一人の男性が待機していた。俺はそのまま、エレベーターの入り口前まで進む。
「不動閣下。お待ちしておりました」
「マツナガ少佐。出迎えご苦労」
そう、白狼のシン・マツナガ少佐が俺を待っていたのだ。互いに敬礼して、エレベーターに乗り込む。格納庫のある階に向かう様に、マツナガ少佐がパネルを操作する。
エレベーターが起動し、目的の階に向かって移動し始めた。お互いに向かい会う。マツナガ少佐が、チューブ付きの袋が6個入ったカゴを寄越した。
「不動閣下。これをお持ちください」
「うん?戦闘食か。大丈夫だ。いらんよ」
手を振り、いらないと合図する。
「いえ、持っていってください。今回の作戦は長時間に至るのは明確です。ならば、艦に戻って来れるか分かりません。だからこそ、戦闘食を機体に積んで欲しいのです」
マツナガ少佐が、左手に持ったカゴを付き出す。
「ハア。分かった。なら貰うよ。だが、マツナガ少佐の分は有るのか?」
右手でカゴを受け取り、そのまま腰に右手を当てる。今俺が、マツナガ少佐から貰った事で、マツナガ少佐の分が無いのは困る。
「大丈夫です。ほら、此方に」
右手を背中に廻す。影から、同じカゴが出てきた。
「なんだ有るのか。そう言えば、俺の護衛をわざわざマツナガ少佐が担当するのか?」
そう言うと、マツナガ少佐が苦笑いする。
「いえ、実は私が担当する予定では無かったのですが、いろいろ有りまして担当する事になりました」
「どう言う事だ?」
「はい。本来担当する予定だった部隊が、間違って出撃したあげく戦闘空域も間違ってしまい、たまたま出撃前の私に白羽の矢が立ったのです」
そう言うって、後頭部をかくマツナガ少佐。
運が無かったとしか、言えないな。
てか、担当する予定だった部隊の隊長は何やってんだ?勘違いにも程があるだろうに。
「そうか。わざわざ済まんなマツナガ少佐」
「いえ、大丈夫ですよ。それに、不動閣下と共に出撃すると聞いた時に、曾てドズル閣下と共にソロモンを脱出する部隊の為の、時間稼ぎをした事を思い出しましたから」
少し、視線を落とすマツナガ少佐。本来の彼が居たUC(ユニバーサルセンチュリー)の時代では、ドズルを兄貴分の様に慕っていたマツナガ少佐。その、ドズルを死なせる事になった戦いに、彼はドズルと共に出撃しているからな。俺と出撃する事で、俺が同じ様にならないか心配しているのだろう。マツナガ少佐の肩に手をポンと置く。
「安心しろマツナガ少佐。俺は死なんよ」
「不動閣下」
「俺が死なないなんて、BETA日本進行の時に散々間近で見ただろう?」
「しかし、万が一の事があったら!」
マツナガ少佐の両肩に手を置く。
「安心しろ!ソロモンの時と違い我々が勝っている。恐れる事は何もない。それに、俺を死なせないようにマツナガ少佐がいるのだろう」
「ッ!そうでした。必ずやこの白狼の紋章に賭けて御守りします!」
即座に敬礼するマツナガ少佐。俺も両肩から手を離し、返礼する。
チーン
エレベーターが止まり、扉が開く。
「期待しているぞ、マツナガ少佐。だが、俺は単機でハイヴ内部に突入するから、入口迄護衛してくれれば良いからな」
「分かりました」
エレベーターを出て、格納庫のドアを潜る。格納庫内に出ると、出撃するMSが準備をしてカタパルトが空くのを待っていた。マツナガ少佐と別れ、格納庫の一角に有る、俺は自分の機体に向かう。自分の機体のハンガーを見る。其処には、白を基調に背後の大型スラスターと左腕に装備された、シールドの一部が青く塗装された中世の騎士を思わせる機体が待機していた。
「やっぱり、宇宙でハイヴ攻略するならこいつだよな」
どこぞの火消し風さんが乗っていた機体だしな。コックピットに乗り込み機体の電源を入れて、OSを立ち上げる。機体の点検を始める。
「各種オールグリーンだな」
「当たり前だよ。俺達整備班が、全力で整備したんだからな」
声がしたので、顔を上げるとノーマルスーツを着たアストナージ整備主任がコックピット前にいた。
「おお!アストナージさんか!忙しいなか来てくれたのか!」
「おうよ!不動閣下が乗る機体だって事で、整備班がの総力を結集して、最高のコンディションにして置いたんだぜ!」
グッと親指を立ててウインクするアストナージ整備主任。ウインクは、いただけ無いが整備して貰った事には感謝している。
「ありがとう。このコンディションなら、全力で戦闘出来る!」
「そうかい。しかし、本当にリミッターを外して良かったのかい?」
「ええ。構いません」
まあ、この機体のリミット解除状態のスピードなら、確実に普通のパイロットならブラックアウトになるだろうが、マスターアジア師匠と共に重力1000倍下の元で訓練してきた俺には、問題が無いレベルだった。
「まあ、気を付けてくれよな。あと、言われた通りの改造になっているから安心してくれ」
「何から何まで無理を言って、スミマセンね」
「な~に、良いって事よ。俺達整備屋からすれば、これだけ弄りがいのある機体は、そうそう無いからな」
そう言って、笑うアストナージ整備主任。本当に整備班の皆さんには感謝だな。俺の魔改造+強化パーツの正で、整備するのに大変な機体になってしまったからな。(強化パーツのおかげで、コックピット周りしか整備しない)
ちなみに、この機体の強化パーツは、フェイズシフト装甲、Iフィールド(レーザーだって無効に出来る)、無限エネルギー回復システム、無限弾薬回復システム、スーパーナノスキン装甲(ナノスキン装甲の4倍の回復力)、ゼロシステム、EXAMシステム、フルサイコフレーム等を付けている。また、魔改造により最高速度は測定不能となっている。(リミッターが掛かっていても測定不能だった)まあ、普通のパイロットなら確実に死ぬ事が確定してしまった機体になってしまった。
まあ、俺の為のワンオフの機体だから問題無いんだけどね。
「良し!準備が完了した」
「お!じゃあ、気を付けてくださいよ。機体は壊れても代えが有りますけど、パイロットには代えが無いんですからね」
「ああ、分かっている」
互いに右手を付きだし、拳をコンと当てる。アストナージ整備主任が、機体から離れる。俺はコックピットを閉める。
「不動閣下が出撃するぞ!!カタパルト射出準備だ!!」
アストナージ整備主任が、カタパルトを開ける指示を出す。俺はそのまま機体を動かし、カタパルトの前まで進む。
「白狼のシン・マツナガ出撃する!」
真っ白なザクⅡRー1型がカタパルトから射出されて、出撃して行った。俺は機体を動かし、カタパルトに足を着ける。
通信が入ったて来て、イルマ中尉がモニターに映し出される。
「不動閣下。今回は不備があって申し訳ありません」
「護衛の件なら構わん。それより、戦局はどうなっている?」
「はい。戦局は我軍が優位に立っております。先程新たに、黒い三連星がハイヴを攻略しました。また、その少し前にランバ・ラル少佐がハイヴを陥落させました」
「そうか。デラーズ閣下の方はどうなっている?」
「はい。彼方は、ソーラ・システムを使用しただけあって、シャア・アズナブル大佐やロイ・グリンウッド少佐が、ハイヴを攻略しました」
「そうか。分かった。なら、止めを刺してくるさ」
「不動閣下。御武運を」
互いに敬礼する。モニター画面から、イルマ中尉が消える。
「不動悠斗。トールギスⅢ出撃する!」
カタパルトから射出され、宇宙に飛び出した。慣性の法則により真っ直ぐ進む。俺は大型スラスターに火を入れる。ペダルを軽く踏んだだけで、一瞬にしてマッハ5まで到達する。常人なら耐えられないGが俺を襲う。
「うん?まあ、こんなもんか」
一気に月に近ずく。マツナガ少佐のザクⅡRー1型を見つけた。逆噴射してスピード落とし隣に着く。
「不動閣下!その機体は新型ですか!それより、何てスピードですか!」
「コイツは、トールギスⅢ。俺の専用機だよ。速いのは背後の大型スラスターのおかけだよ」
「そうですか。では、月まで護衛をさせていただきます」
「良し!頼むぞ!」
「ハッ!お任せください」
マツナガ少佐のザクⅡRー1型と共に、月に向かう。サクロボスコハイヴが見えてきた。
「マツナガ少佐、止まれ」
「どうされました?」
「なに、まずはBETAに挨拶がわりに一発おみまいするのさ」
マツナガ少佐のザクⅡRー1型が少し距離をとる。俺はトールギスⅢのメガキャノンをサクロボスコハイヴにロックオンして構える。
エネルギーをチャージさせる。メガキャノンの砲身の間にエネルギーが収束していく。
「エネルギー収束率、95、96、97、98、99、100!」
メガキャノンのエネルギー収束率が100%になった。
「メガキャノン、ファイヤ!」
ドキューーーンンン
収束された、ビームが光の奔流となって進む。
サクロボスコハイヴを、ビームが貫く。ビームが消えた後には、直径百キロ、深さ5キロに渡る深いクレーターが出来ていた。
「まあまあの威力だな」
メガキャノンの威力に満足した俺は、月に向かって進もうとした。
「不動閣下。些か、威力が強すぎるのでは?」
「そうか?こんなもんだろう。ビグ・ザムだって、フルパワーで射てば此くらいは出来るから、同じだよ」
凄く納得のいかない表情のマツナガ少佐。まあ、普通のMSがこれだけの威力のある兵器を積んでいる事が、あり得ないからな。納得出来ないのも無理はない。
「まさか、不動閣下はこれを試す為に、MSにサクロボスコハイヴを攻撃せずに、他のハイヴを攻略するように指示を出していたのですね」
「そうだ。友軍を巻き込みたくないからな」
ハアと、ため息をはくマツナガ少佐。顔が疲れきっている。
「これだけの威力のある兵器を積んでいるいるんですから、護衛は返って迷惑になりそうなので、私は他のハイヴ攻略に廻ります!」
「分かった。マツナガ少佐の武運を祈る」
「ハッ!御武運を」
マツナガ少佐のザクⅡRー1型が離脱する。それを見送って、大型スラスターを吹かして、ハイヴの内部に突入する。ハイヴの半分近くが、先程のメガキャノンのおかけで消滅しているため、中層付近からの攻略になった。モニターに映し出された、ハイヴマップに従い進んでいくと、全方から軍団規模のBETAが向かってきた。
「まずは、武器の試験と行きますか」
大型スラスターを吹かして要塞級に接近する。
「くらいな!」
左腕シールドに装備された、ヒートロッドが伸びる。そのまま、ヒートロッドが要塞級の頭から真っ直ぐ貫通し、体液を撒き散らして絶命する。
「貫通能力に問題なし。なら、横に振ってみるか」
ヒートロッドを今度は、横一閃に振るう。要撃級や突撃級を切り裂く。要撃級は体を横に真っ二つにされ、突撃級は柔らかい側面から硬い前方の装甲を切り裂かれて絶命した。
キュルリーーーン
ニュータイプのカンが危険を知らせる。即座にスラスターを吹かして横に回避し、機体を反対に振り向かせ頭部バルカンを放つ。
「やはり、要撃級か!」
先程いた場所に、後ろから要撃級の前腕が迫っていた。頭部バルカンの直撃をうけ、体液を巻き治し絶命した。
「良し!最後はビームサーベルだな。ガンダムエピオンみたくやってみるか」
シールドからビームサーベルを抜く。ガンダムエピオンがバルジを真っ二つにしたように、俺は一旦後方に下がり距離を取ってから、ビームサーベルにエネルギーをチャージする。
ビームサーベルの刀身がどんどん伸びてゆく。
かなりの高さまで伸ばし、横に振るう。
一閃
軍団規模で迫っていたBETAを全て切り裂く。軍団規模のBETAから体液が吹き出し、壊れたスプリンクラーの要に体液が飛び散り、辺り一面BETAの残骸だけが残った。
「ビームサーベルの威力は問題無しだな。後は、反応炉を叩くだけだな」
ビームサーベルをシールドに納める。
大型スラスターを吹き出し、一気に最下層を目指して突き進む。
15分程すすむと、サクロボスコハイヴの大広間に到着した。
「居たな!重頭脳級(ブレイン)!」
大広間の真ん中に、反応炉とが有りその上に重頭脳級が居た。重頭脳級から触手が迫ってくる。
ビームサーベルを抜き、触手を切り裂く。尚も大量の触手が迫ってくる。
「チッ!貴様らから感じるのは、汚ならしい感情ばかりだ!!不愉快だ!」
頭部バルカンで迎撃し、メガキャノンをチャージする。迫ってくる触手をヒートロッドでも、切り裂く。
「ゼロシステムが教えてくれる。貴様の未来は消滅だとな!」
メガキャノンのエネルギー収束率が、20%を越えた。充分重頭脳級と反応炉を破壊出来る。
「墜ちてもらう!メガキャノン、発射!」
右腕に装備された、メガキャノンを放つ。重頭脳級と反応炉をメガキャノンのビームが包む。ビームが消えた後には何も残っていなかった。
「此方、不動悠斗だ。サダラーン聞こえるか?」
「此方サダラーンオペレーター、イルマです」
「イルマ中尉か。サクロボスコハイヴ、反応炉及び重頭脳級の撃破を完了した」
「はい。此方でも確認しました。お疲れ様です。警戒任務に二個師団が行きますので、不動准将はそのまま他のハイヴ攻略に向かってください。
「了解した」
イルマ中尉との通信を終えると、ザクⅡRー1型の部隊がやって来た。
「不動閣下、お疲れ様です。後は、我々が引き受けますので、閣下は他のハイヴ攻略に向かってください」
「分かった。後は頼む」
そう言って、ザクⅡRー1型の部隊に警戒任務を任せ、大型スラスターを吹かして地表に向かった。それから、1日を費やして月にある全てのハイヴを攻略し、チェンバロ作戦が完了するのだった。チェンバロ作戦の完了に伴い、人類は約30年振りに月を取り戻したのであった。尚、このチェンバロ作戦を知るものはメビウスのメンバーを除くと、国連事務総長である、ハマーン事務総長以外は誰も知らない、極秘作戦であった。
1999年1月3日に行われた本作戦は、人類にとって大きなターニングポイントとなるのであった。新年が明けたばかりである。激動の時代の歯車は、ゆっくりとしかし確実に動いて行く。一人の男がオルタネイティヴ(その他の可能性)を広げて行くのであった。今、『あいとゆうきのおとぎばなし』の歯車が少しずつ動きだす。一人の少女と一人の青年の為の物語が、一人の男の手によって、悲劇から幸せになる為の物語になるように脚本を書き換えられた。
その脚本を持った男は、果たしてどうするのか?まだ、誰も知らない。
ただ、広量たる宇宙の中で、星が美しく輝いているのであった。
悠斗sideout
???side
「タ・・・・・ケ・・・・・ル・・・・チャ・・・・ン・・・・ア・・・・イ・・・タ・・・イ・・」
何処かで薄気味悪く何かが光るのだった。
???sideout
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