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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN8





 ガメリカ、エイリス、オフランスなどに宣戦を布告した日本帝国はマニラ2000星域を奇襲で占領した。

「……狹霧の敵巡洋艦八隻の鹵獲は勲章物だな」

「はい。我々は苦労せず、修理だけで八隻の巡洋艦を手に入れたのですから」

 報告書を見て呟いた東郷長官の言葉を若干顔を青ざめている秋山参謀が肯定する。

「……バケツが必要か?」

「いえ、大丈夫です」

 秋山参謀はそう言った。

「マレーの虎星域での戦闘は聞いた。ネルソンを倒したそうだな」

 マレーの虎星域には開戦時に、密かに出撃させたデーニッツ少将のUボートと日本海軍が建造に伊一〇型潜航艦四隻による奇襲攻撃で、エイリス東洋艦隊の旗艦ヴィクトリーに鉄鋼魚雷五発を命中させて撃沈。司令官のヴィクトリー・ネルソン騎士提督はエイリス軍の慣習に習って旗艦と運命を共にした。

 更に潜航艦隊は防護巡洋艦のエドガー級を三隻を撃沈させた。

 この攻撃により、エイリス東洋艦隊は戦力を大幅に低下させてインドカレー星域まで撤退する事になったのである。

 これにより、日本軍は南雲提督の第四艦隊と山下陸軍長官の陸軍艦隊がマレーの虎星域へ侵攻中であった。

「マレーの虎星域には、ベトナム星域からの艦隊侵攻を押さえるために大原、金杉の二個艦隊を増援として派遣する」

 大原、金杉の両艦隊は戦艦一、巡洋艦三、駆逐艦七隻の艦隊であるが練度は高い方である。

「マレーの虎を占領すれば南方の資源は手に入りやすくなる」

 宇宙地図を見ながら東郷長官はそう呟いた。





「てなわけで日本海軍の提督にならへんか?」

「いやまだ何も説明は聞いてないんだが……というか提督になんかならないぞ」

 交渉相手のラスシャラはキッパリと断った。

「何ですとッ!?」

「日本もエイリスとあまり変わらないじゃないか。接収するものは接収するし」

 マレーの虎星域は既に日本軍が占領していた。(俺頑張った)

 そして俺はマレーの虎星域で現地ゲリラ『ボルネオ』と接触してリーダーのラスシャラと面会して日本軍の提督にならないかと交渉していたけど……この世界の日本はどうやら日本化をしないみたいでエイリスよりかは酷くないがそれでも普通に資源を接収している。

 それでも資源はその星域の物なので日本は日本の取り分を決めて後は現地星域にて任せているはずなんやけど……。ラスシャラは頑なに頭を縦には振らない。

「……そんなに日本は嫌いなんか?」

 俺はラスシャラにそう聞いた。

「……別に嫌いじゃない。日本製品は品質がいいし、家電品は安いし……」

 ラスシャラがブツブツと言っている。

 ……えぇい此処は……。

「ラスシャラ、あんたと交渉しているのはあんたの指揮能力があるからや。その指揮能力で日本軍で活かしてほしいんやッ!!」

 俺は咄嗟にラスシャラの肩を掴んでしまうが気にしない。

「うぇッ!?」

 ラスシャラが顔を赤くした。

「で、でも私はこのゲリラがあるし……」

 ラスシャラはまたしてもブツブツと言っている。

 ……こりゃぁ無理かな。やっぱ日本化ルートやないとあかんって事か。

「……分かった。あんたがそこまで言うなら諦めるわ。邪魔して悪かった」

 俺は立ち上がってその場を去った。



「……よかったんですかリーダー? あの日本人、かなりリーダーの事を認めていたのに……」

 部下がラスシャラに聞いた。

「そりゃぁ日本のフジヤマやギンザとかも見てみたいけど……」

 ラスシャラは未だにブツブツと言っていた。

「リーダー?」

「はッ!? あれ? 日本の奴は?」

「……リーダーまさか聞いてなかったんですか?」

 部下が溜め息を吐いたように聞いた。

「……聞いてなかった……」

 ラスシャラが顔を赤くする。

「日本人はリーダーが提督にならないと思って帰りましたよ。かなり落胆してましたし」

 その落胆は提督にならないからではないが……。

「うぇッ!?」

「リーダーはどうしたいんですか? 別にリーダーがいなくてもボルネオは大丈夫ですよ」

「そうすよ」

 周りの部下達が頷く。

「そ、そうか? なら……提督をやろうかな」

 ラスシャラはそう決断した。

「なら早く言いに行った方がいいですよ。まだ遠くまでは行ってないと思いますし」

「そ、そうだな。行ってくる」

 ラスシャラは慌てて雪風の後を追った。

「……全く、こうでもしないとリーダーは動かないからな」

「あぁ、リーダーにはこんな暗いところよりもっと明るいところにいた方がいい」

 ボルネオのメンバー達は笑いあう。

「それにしてもあの日本人はリーダーをかなやり評価していたな」

「案外リーダーの事が好きだったりしてな」

「ハハハ、有りうるかもな」

 ボルネオのメンバー達は笑いあうのであった。




「お~い、いたいた」

「ん? ラスシャラ?」

 何で追ってきたんや?

「どうしたんや?」

「私……やるよ日本軍の提督。やらしてくれないか?」

 ……へ?

「……マジで?」

「あぁ」

 ………。

「いよっしゃーーーッ!!!」

 俺は嬉しくてラスシャラに抱きついた。

 いやマジで信じられない。

「~~~ッ!?」

 ラスシャラが顔を赤くしているが気にしない気にしない。

「これから宜しくなラスシャラッ!!」

「あ、あぁ」

 ラスシャラは顔を赤くしながら頷いた。





 
 

 
後書き
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