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MUVLUVにチート転生者あらわる!?

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第二十七話

 
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悠斗side



1998年10月10日 宮城県仙台市


俺はとある場所に向かって車を運転している。この世界において最も重要な人物に会うためだ。

「不動准将。一体何処に向かっているのですか?」

助手席に座っている、イルマ中尉が話かけてくる。ちなみに、後部座席にはシーマ中佐が座っている。
なに?普通運転手は、階級の低い奴が運転するだって?気にしないでくれ。ただ運転したかっただけだから。

「第四計画の司令部が横浜から、此方に移動した。その最高責任者に会いに行くのさ」

「横浜から?ああ。佐渡島にハイブが建設されたから、避難してきているのかい」

シーマ中佐の言った通り、佐渡島にハイブが建設された。
8月に京都防衛戦が繰り広げられ、京都を蹂躙したBETA群の進行は止まらず、北陸地方を蹂躙して日本海に進み佐渡島に再上陸を行った。
そして、佐渡島にH21(甲21号目標)が建設されてしまった。
この影響で、近畿と東海地方に避難命令が発令され、2500万人が避難を余儀なくされた。
正史であれば、日本の人口の30%にあたる3600万人が亡くっている。しかし、俺の介入のおかげで、西日本側の死者は軍人を除く民間人だけの場合、被害は0と言う輝かしい事になった。
現在は、佐渡島ハイブが建設されたこともあり、BETAの進軍は長野県付近で停滞している。

「その最高責任者のお名前は?」

「香月夕呼博士さ」

「香月夕呼博士?」

イルマ中尉やシーマ中佐が首を傾げる。まあ、余り認知されているはずがないからな。あくまで知っているのは、第四計画や第五計画に関わっている人間や、一部の政治家や軍人または企業の人間くらいだろうか。まあ、斯衛軍の一部や政威大将軍は、知っているだろうけどな。

「そうだな、一言で言うなら『天才』さ」

「天才ですか?」

そう。彼女は天才だ。最後の最後まで諦めずに世界を救う為に、己れの手を汚し、策略を練り、巧みな話術で相手を翻弄して、たった1人戦い続け抗い続けた女傑だ。2001年10月の段階では、追い詰められていた香月夕呼博士だが、まだ1998年の段階なら、追い詰められていないから今のうちに、接触しておく必要がある。

「1991年当時、若干17歳の若さで、帝都大学応用量子物理研究室に編入した、物理学の天才なのさ」

「なぜそんな学者さんに、会いに行く必要があるんですか?」

「現在香月博士が進めている、次世代並列処理回路に興味があるのさ」

「「はあ?」」

イルマ中尉やシーマ中佐が首を傾げる。まあ、技術者じゃなければ、興味が無いだろうな。
それに、香月博士の元には第三計画の遺児トリースタ・シェスチナ。いや、社霞が居る。香月博士は彼女のリーディング能力を使い、交渉や話し合いを有利に進めるのがやり方だ。しかし、リーディングには弱点もある。
読み取りたい相手が、高速で不要な事を考えていれば、心理層の深い部分は分からないのである。

(様は、リーディングされても分からない様にしていれば、問題無いって事だな)

何時のまにか二人は、俺が物思いに耽っている内に、二人で仲良く話をしていた。
交差点の信号が赤になり止まる。俺は、二人の邪魔をしないように小さく歌を歌う。
信号が青に変わり、アクセルを踏み車を発信させる。

のんびり歌いながら、目的地を目指す。車を運転していると、やはり歌を歌いたくなってしまう。



「綺麗な歌声」

「ああ。全くだ」

この時俺は、気づいていなかった。二人が実は話すのを止めて、俺の歌を聴いていたことを。
普通に運転しながら、ノリノリになってきた俺は、知らず知らず声のボリュームが上がっていた。そのまま、歌いながら目的地に向かうのだった。




悠斗sideout



???side



私は仙台のとある研究室に居ます。香月博士から今日来るお客さんの説明を受けました。彼の名前は、不動悠斗。 国連外郭独立機動戦隊メビウス総司令であり、今回のリーディングの対象です。博士のお話では、彼とコネクションか協力関係を築けるかで、今後の計画に影響が出るらしいです。渡された写真を見てみると、青い髪の毛が特徴の人でした。

「何、社?彼に興味あるの?」

「・・・分かりません」

香月博士に尋ねられましたが、私は彼に興味があるのでしょうか?
生まれてから、何かに興味を持ったことは余りありません。

「・・・ただ」

「ただ?どうしたの?」

「会ってみたいです」

「珍しいわね。社がそんな事を、言うなんて!」

驚いた表情をする香月博士。普段他の事に興味を示さない私が、こんなことを言ったからでしょうか?

「まあ、今回はお互い顔合わせ的な要素が強いから、無理に交渉するつもりは無いから、最初から一緒に居ても構わないわ」

「分かりました」

「まあ、もう少ししたら来るからゆっくり待ちましょう」

それだけ言って香月博士は、研究資料に視線を戻しました。
私も、椅子に座りパソコンを操作することにしました。




???sideout



悠斗side





歌を歌いながら目的地にたどり着きました。
駐車場に車を停めて外に出ると、金髪の女性が出迎えに来ていた。

「不動悠斗准将ですね」

「そうだが。君は?」

「香月博士の秘書官をしている、イリーナ・ピアティフ臨時中尉です。お迎えに参りました」

敬礼をするピアティフ中尉。

「そうか。出迎えご苦労。案内をよろしく頼む」

笑顔で敬礼する。

(なんて素敵な笑顔)

何やらピアティフ中尉の顔が赤くなったような気がする。

「ピアティフ中尉、どうかしたか?」

「い、いえ!大丈夫です!では、案内をさせていただきます。ついてきてください」

ピアティフ中尉の後ろ追うように歩く。後ろでイルマ中尉とシーマ中佐が 「「あれは、堕ちたね」」と言っていたが、俺には聞こえなかった。
暫く敷地内を歩くと、研究所にたどり着いた。ピアティフ中尉が、IDカードを端末に通し、ドアが開く。そのまま中に入り廊下を歩く。この間誰も喋らずに歩いている。

(ウ~ン。気まずい雰囲気は苦手だな)

(もう少しで、応接室に着く。もう少し不動准将と話がしてみたいけど、話せるような雰囲気ではないわね)

(ピアティフ中尉も、不動准将を狙うようになるわね。ライバルがいくら増えても、悠斗の恋人は私がなるんだから)

(かたっくるしい雰囲気の建物だね。イルマは、ピアティフをライバルに入れたようだし、ますます悠斗が狙い難くなるね。まあ、最後に笑うのは、このシーマ様なんだからね。小娘ごときに、悠斗は渡すつもりはないからね)

色々な事を考えて歩いていると、ピアティフ中尉がドアの前で止まる。

「こちらです。中にどうぞ」

ピアティフ中尉がドアを開け、中に入る。
後に続いて中に入ると、紫色の髪の毛で凄い髪形をしている、白衣を纏う美女と、銀髪のウサ耳を着けた美少女がいた。

「初めまして香月夕呼博士。私は、国連外郭独立機動戦隊メビウス所属不動悠斗准将と申します。本日は忙しい中、お時間を取らせてしまいまして申し訳ありません」

自己紹介をして、右手をスッと差し出す。

「ええ、初めまして不動准将。貴方の噂はよく耳にしますよ」

香月博士も右手を差し出し、握手を交わす。今回はお互い顔合わせ的な要素が強い。だから交渉事になる可能性は低いだろう。

「そちらのお嬢さんは?」

「私の部下です。社、挨拶しなさい」

「社霞少尉です」

ぺこりと頭とウサ耳を下げる。生で見ると、凄く不思議に感じるな。

「よろしく社少尉」

俺も頭を下げる。

「不動准将。そちらのお二人は一体誰ですか?」

香月博士が、イルマ中尉とシーマ中佐を見る。

「こちらの二人は部下です。二人とも挨拶してくれ」

イルマ中尉とシーマ中佐に挨拶を促す。一歩前に出て、自己紹介を始めた。

「私はメビウス所属シーマ・ガラハウ中佐だ。普段は、パイロットだが不動准将の護衛も兼ねている」

「イルマ・テスレフ中尉です。不動准将の秘書官兼オペレーターを、担当しています」

二人は敬礼して、後ろに下がる。

「それで、本日はどう行ったご用件でしょうか?生憎此方も引っ越して間もないので、忙しいのですが?」

「いや、挨拶に来ただけだが?」

「「え?」」

香月博士とピアティフ中尉が驚いた表情になる。まあ普通、挨拶の為だけにアポイントを取る人はいないよな。

「本当に挨拶に来ただけなの?」

「ええ」

社少尉を見て確認をする香月博士。しかし、社少尉が縦に首を振るかと思っていたら、横に振りました。なんでだ?

「香月博士。不動准将は読めません」

「え?!社、本当なの?」

「はい。嘘ではありません」

二人にしか聞こえない、小さな声で会話する社少尉と香月博士。
それが聞こえた俺は俺で、訳が分からなかった。

(あれ?社霞って、ESP能力は生まれた世代の中でも、トップの筈なのに俺の思考が読めないって、どう言う事だ?)

自分の能力を思い出してみるが、リーディング防止能力なんて頼んだ覚えがなかった。

「すいません不動准将。出来れば、貴方を含めた三人で話がしたいのですが、よろしいですか?」

「ええ。構いませんよ」

香月博士から急に、三人での話し合いを提案されたが、特に問題があるわけでも無いので提案を受けた。

「ピアティフ。二人を別室に案内してちょうだい」

「かしこまりました。二人とも此方にどうぞ」

ピアティフ中尉がドアを開けて外に出る。シーマ中佐が俺を見たので、頷ずく。それを確認すると、二人とも部屋を出ていった。

「それで、話とは一体何ですか?」

「不動准将、貴方は社の事を何処まで知っているの?」

「彼女の本名ですか、トリースタ・シェスチナでしたね。第三計画の生き残りでしたね。それが何か?」

何やら苦虫を食ったような表情で、俺を見る香月博士。いやおかしいな、敵対するつもりは無いんだけどな。

「そう。なら、貴方は社のリーディング能力を知っていたのね。それで、今日来た本当の目的は何?挨拶に来たなんて冗談は、1回だけで充分よ」

本気で、俺を睨み付けてくる香月博士。あれ?あれ?なんか、どんどん印象が悪くなってる気がするんですけど。

「本当に、挨拶に来ただけなんですが」

極めて落ち着いた表情で返事をする。
しかし、次の瞬間俺は銃を突き付けられていた。なんでさ。

「いい加減にしなさい。冗談は嫌いなの」

銃口を俺に突き付ける。 しかし、全く怖くなかった。今の俺なら、銃弾処か、光線級のレーザーを受けても無傷で居られる程強くなっているから、問題なかった。ましてや、ロックが掛かっている銃など玩具に等しかった。

「まあ、強いて言うなら俺の目的は達成されたからな」

「どう言うこと?」

「俺と香月博士が接触したことで、第五計画の連中に牽制になれば良いからな」
実際、俺は中立を維持しているが第五計画、特にG弾を使う事に反対だからな。別に今回の訪問は挨拶が主目的なだけで、俺と香月博士が接触したことで、何らかの取引が有ったと勘ぐる連中がいるだろう。特に俺の正で、軍事産業が冷え込んでいる大国がな。
俺の答えを聞いて、安堵する香月博士。
銃を下ろし片付けた。

「そう、申し訳ないわね、わざわざ気を使ってもらって。ある情報筋から、私の命を狙っている奴がいるから、気をつけろって言われてね。もしかしたら、不動准将が狙っているのかと思ったから今みたいなことを、してみたのよ」

「なら、社少尉は別室居てもらい、リーディングの対象を見てもらって、無線で返事をもらうようにした方が良いだろう」

原作の白銀にしたようにな。そっちの方が手っ取り早いし、安全だからな。

「本来ならそうするわ。今回は引っ越して間もないから、部屋が足りなかったから一緒に居るの。それに不動准将ならまず、私と敵対する理由がないですからね」

椅子に座り脚を組む香月博士。かなりフレンドリーに接してくる。

「まあ、良いさ。用事は住んだから、失礼させてもらおうかな」

「あら?随分お早いお帰りで?もう少しゆっくりされていってわ?」

「なーに、艦に戻れば書類の山と戦わなくてはいけないのでね。早めに戻りたいのですよ」

まあ、嘘だけどな。もうすぐアメリカ政府が日米同盟を一方的に破棄するからな。その後の対策を練る時間が欲しいだけなのさ。そんなやり取りをしていると、突然ドアが開いて、ピアティフ中尉が駆け込んできた。

「大変です!アメリカ政府が日米同盟を一方的に破棄しました!理由は、帝国軍の度重なる命令不服従だそうです」

部屋の中の空気が一気に張りつめる。先程までの、楽しげな空気は吹き飛び、戦場のような雰囲気に変わった。更に、イルマ中尉も飛び込んできた。

「ホシノ少佐より緊急入電です!BETA群が、東進を再開しました!」

「な、なんですって!!」

「イルマ中尉、本当か?」

香月博士が大声を上げる。アメリカ軍が撤退した挙げ句にBETA群も東進を再開したとなると、防衛ラインを構築している、帝国軍の戦力では防ぎきれない恐れが出てきた。

「はい。先程、長野県付近で停滞していたBETAの活動が再び活発化して、東進を再開しました!」

「急いでビッグトレーに戻るぞ!車を出せ!」

「シーマ中佐が既に待っています」
「分かった。すぐに行く。すまない香月博士。BETAが進行を再開した為、指揮を取りに戻る。今回はこのような事態でろくに話もできなかったが、次回会える様ならゆっくり話しをしましょう」

香月博士に向かい合う。

「状況は分かりました。今回はこれ迄にしましょう」

「すまない。失礼させてもらう」

一礼して、イルマ中尉と共に部屋を後にするのだった。




悠斗sideout



香月side



不動准将が部屋を去るのを見送り、話を始める。

「それで、ピアティフ現状はどうなっているの?」

自身の有能な秘書に尋ねる。彼女は、非常に有能だ。冷静な判断力に、卓越した事務能力。私にとっても大事な部下だ。

「はい。先程入手した情報では、佐渡島ハイブ建設で停滞していた、進行が再び再開しまし。帝国本土防衛軍は各所で必死に防衛に当たるも、BETAの進行を止められないでいます。
また、在日米軍が撤退したことによる兵力不足も一因になり、防衛ラインの死守に限りが見えています。おそらく、埼玉県辺りまで防衛ラインが下がるでしょう。また、今回の米軍の撤退で、日本国内では反米感情が一気に高まるでしょう」

「そう。分かったわ。引き続き情報収集に当たってちょうだい」

「かしこまりました」

敬礼して部屋を出ていった。社と二人きりになる。沈黙が部屋を支配する。

(様は、アメリカが自分達の衛士を無駄死にさせたくないから撤退したら、BETAが進行してきた。いくら何でもタイミングが良すぎるわね。けど、BETAが人間の考えが分かるはずがないから、偶然か。ともかく、何か手を打たないと帝国が滅亡する可能性が高くなるわ。不動准将が動くとは言え、此方も手を打てるようにしないと)

私は立ち上がりドアに手を開けて部屋を出て、研究室に向かうのだった。




香月sideout



社side



私は今日会った不動准将の事を、考えています。香月博士に言われてあの人をリーディングしてみたら、全く読めませんでした。私のリーディング能力は、人の感情を色で表して、読み取る事ができます。初めて香月博士に会った時には、複雑に色が混じりあい読み取る事ができませんでした。しかし、あの人からは色すら感じ取れませんでした。

「不思議な人でした」

何の色すら感じられないあの人が、また会いに来てくれるそうです。私の能力を知りながら普通に接したあの人が、不思議で仕方ありません。
今度来たときは、私の能力が怖くないか聞いて見たいと思います。もしかしたらあの人もまた、私と同じような人なのでしょうか?
そんなことを考えながら香月博士と共に、研究室に足を進めるのでした。




社sideout



神様side



「やはり、内緒でリーディングフルブロック付けといてよかった!不思議系少女社霞ちゃんが、困った表情が堪らない!いやー、良かったわ」

今日もヴァルハラで、悠斗の活躍を見ているゼウスじゃ!今日悠斗を覗いていたら、不思議系ウサ耳少女と会ってはおった。


「いやー、可愛かったのう。将来美人になるぞー。そしたら、口説きにいこう!」

「へえー。口説きに行くんだ?」

「誰じゃ!」

後ろを振り向くと、釘バットを持った我妻ヘラがいた。

「ちょ、ま、待つんじゃヘラ!今のは」

「問答無用です!少しは反省しなさい!!」

「アーーーーーーーー!」

ワシは、意識を失った。




神様sideout
 
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