ロックマンX~朱の戦士~
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第三十一話 Cyber Space
前書き
マシュラームを下したゼロ。
エックスが向かうのは…
ハンターベースでは現在、エックスのメインコンピュータにホストコンピュータからの端子が幾つも接続され、アイリスとダブルによって予備のドライブにエックスの精神プログラムが転送されていく。
アイリス「それじゃあエックス。行くわよ?」
ダブル「先輩、気をつけて下さいデシ」
エックス「ああ…」
全ての準備が整い、アイリスがEnterキーを押した瞬間にエックスの精神は予備ドライブから、サイバースペースへ飛ばされた。
その頃、エックスとルインの部屋では、サイバーエルフ・ソニアがぶうたれていた。
ソニア[退屈だなあ…エックスおとーさんやルインおかーさんも危険だって言ってミッションに連れてってくれないし…]
チラリとエックスのデスクにある端末を見遣るソニア。
ソニア[暇だからサイバースペースに行っちゃえ]
端末からサイバースペースに向かうソニアであった。
そしてソニアがサイバースペースに遊びに来たのを知らないエックスは無事にサイバースペースへダイブした。
尤も電脳空間と言っても今のエックスにとってはここが現実の空間である。
エックスはまず身体の各所を動かし、現実世界と寸分違わない動作が可能である事を確認すると、眼前に広がる風景を見つめていた。
ルイン『エックス、気をつけてね…?』
ホールドガムの影響で満足に動けないルインはエックスを心配そうに見つめる。
エックス「ああ、ルインがくれたライト博士のフットパーツのおかげでパワーアップ出来たし、大丈夫だ。」
ダブル『先輩、どうやらここは普段、ハンターが使う訓練用スペースとほぼ同じようデシ。ここから次のエリアに行くにはAかSランクの評価を得なければならないみたいデシ』
周りをみるとサイバースペース内にある防衛プログラムの悪質なプログラムや侵入者を消滅させるように、プログラムされているミル・トラエルが複数存在している。
これをかわしながらとなると、かなりきついものがある。
ゼロ『エックス、ミル・トラエルにはソウルボディが効くようだ。あれは実体に近い分身を生み出す武器だ。本物と間違えたミル・トラエルが分身を排除しようとして防御を解いてしまうはずだ。』
エックス「なるほど、ありがとうゼロ。」
ゼロから渡されたマシュラームのDNAデータからデータを組み込んで得た特殊武器に切り替える。
そしてミル・トラエルがエックスを発見するとエックスに向かって来る。
試しにバスターを放つが弾かれる。
エックス「ソウルボディ!!」
今度はソウルボディを繰り出す。
ソウルボディを受けたミル・トラエルが消滅した。
エックス「よし!!」
ミル・トラエルにはソウルボディが有効だと分かり、ソウルボディを駆使して奥へと進む。
このエリアの最奥に着くと、エックスのランクが表示された。
ランクはS。
エックスは次のエリアに向かう。
エックスは次のエリアに着くと、同じようにかわせないミル・トラエルにソウルボディを喰らわせながら、駆け抜けるとSランクの評価を得る。
これを更に次のエリアでも繰り返すと、Sランクの評価。
その奥の部屋には…。
『エックス。エックスよ…。』
エックス「っ!!」
その時エックスは思わず目を見開いた。
有り得るはずがない。
ここは現実世界ではない。
電脳のサイバースペースなのだ。
しかし…エックスには何故か分かる。
確実に彼はこの空間にいる。
誰のナビをも必要とせずに、居場所さえも手に取るように分かる気がした。
そして案の定、見慣れた青いカプセルはそこにあった。
エックス「ライト博士、どうしてこちらに?」
ライト『お主にパーツを授けるためじゃよエックス。ここではヘッドパーツを授けよう』
柔らかな微笑を浮かべたままライト博士が言う。
エックス「ヘッドパーツ…ですか?」
ライト『左様。このヘッドパーツを装備すれば、敵から得た特殊武器を使用する際に生じるエネルギー消費をほぼ皆無にまで抑える事が出来る。つまり、敵の特殊武器を殆ど無尽蔵に使う事が出来るのじゃ』
エックス「っ!!それはつまり……」
つまり武器エネルギーの消耗を気にせずに、存分に特殊武器を扱う事が可能となるのだ。
敵のDNAデータをバスターの端子に組み込む事で新たな力を得る能力を持つエックスには実に心強い能力だ。
ライト『しかし、特殊武器のエネルギーの消費を抑えられるのは、通常の攻撃のみ、チャージによる攻撃の消費は抑えられんので注意して欲しい』
エックス「分かりました」
どうやらそう上手い話ばかりではないらしい。
メリットがあれば当然デメリットはある。
しかしヘッドパーツの性能は過去の物より高性能で、エックスとしても喉から手が出るほど欲しいパーツに違いはない。
ライト『それからこれをルインに渡して欲しい』
エックス「それは?」
カプセルに表示された朱色のRのエンブレムが刻まれたチップ。
ライト『これはルインの新能力である、攻撃力倍化のオーバードライブの使用時間を僅かに延長させるチップじゃ。』
それを聞いてエックスは目を見開いた。
エックス以上の出力のバスターとゼロ以上の性能のセイバーを持つルインが持てば鬼に金棒だろう。
エックス「博士、ありがとうございます。パーツとチップを受け取りましょう。」
ライト『うむ、エックスよ。人とレプリロイドの誰もが皆、心に弱さを持っておる。しかしだからこそ、互いに手を取り合い、助け合うことが出来るのじゃ…。お主を信じて支えてくれる友人達のためにも頑張るのじゃぞエックス。』
エックス「はい、博士。ありがとうございました」
ライト博士に深々と頭を下げ、カプセルの中に入るとエックスのヘッドパーツが変化する。
新たなヘッドパーツにより、特殊武器のエネルギー効率が改善された。
さらにチップを入手し、奥へと向かう。
そして奥のエリアに着いたエックスはヘッドパーツの力で改善された特殊武器を使い、奥へと進んでいく。
途中の重力反転装置に似たスイッチを発見し、それを押すと真逆になる。
スイッチを発見次第、それを押し、ボールを落とし、バリアのような物を破壊し、更に奥へと向かった。
恐らくサイバースペースの最奥部。
そこに入ると孔雀を模したレプリロイド…否、孔雀型コンピュータプログラムで、女性のような口調が特徴の…。
エックスは知らないがかつてはハッカーからネットワークを守るガードプログラムだったサイバー・クジャッカー。
クジャッカー「潜在能力…測定不能!?…信じられないわね……」
エックス「お前は何者だ?何故こんなことをする?」
クジャッカー「ある人に頼まれたのよ。あなたを調べて欲しいってね。」
エックス「何だと!?」
クジャッカー「それじゃあ行くわよ!!醜い者は滅びておしまい!!」
エックスの眼前からクジャッカーが消える。
次の瞬間背後に現れたクジャッカーの羽根が閃光を放ちながら伸びる。
エックスは咄嗟に跳躍し、それを回避した。
エックス「は、速い…見えなかった。」
一体いつの間に移動したのだ?
クジャッカー「その底知れない潜在能力…。あの人が言っていた無限の可能性…。あなたは危険すぎる。眠りなさいエックス」
背後で囁くクジャッカーに対しバスターを連射するエックスだが、クジャッカーは空間の中を巧みに移動しその尽くかわす。
クジャッカー「無駄よ。ここは私の庭よ。あなたの攻撃は私には当たらない。そして…ターゲットロックオン!!」
クジャッカーの放った照準器のような物がエックスの全身を包み込む。
クジャッカー「私の攻撃は決してあなたを逃がさない。エイミングレーザー!!!!」
エックス「ぐっ!!」
クジャッカーの尾羽から放たれる光線がエックスを貫いていく。
エックス「ぐっ…くそっ!!」
何とかクジャッカーの攻撃から逃れようとダッシュでその場を離れようとするエックスだが…。
クジャッカー「無駄よ!!私の攻撃からは逃れられないわ!!軌道修正!!」
クジャッカーの放つ光線はエックスが移動する方向へ軌道修正し確実に命中してくる。
断続的に浴びせられるクジャッカーの攻撃に堪らず倒れ伏すエックス。
クジャッカー「これで終わりよエックス!!」
とどめの一撃を放とうと、エネルギーを集中した瞬間。
ソニア[駄目ーーーっ!!]
クジャッカーに向けて火炎弾と凍結弾、電撃弾を浴びせるサイバーエルフ・ソニアの姿があった。
クジャッカー「な、何者なの!?」
各属性の無数の弾丸にたまらず後退するクジャッカー。
エックスとクジャッカーの間に入り、エックスを守るようにクジャッカーを睨む。
エックス「ソニア!?何故此処に!?」
部屋に置いてきたはずのソニアが何故此処にいるのだ。
エックスの疑問にソニアは母親譲りの満面の笑みを浮かべる。
ソニア[エックスおとーさんのデスクの端末からサイバースペースに来たんだよ!!]
思い出した。
ソニアはサイバーエルフでクジャッカーに近い存在だ。
サイバースペースはソニアにとって庭同然。
つまりここまで来るのはたやすいだろう。
クジャッカー「フッ…フフフ…どうやらイレギュラーハンターにも切り札があったようね。似た者同士会えて嬉しいけど残念だわ。この空間は私が支配する絶対領域。ノコノコ入り込んできた時点で死地に飛び込んで来たも同然である事…思い知らせてあげるわ」
照準機がソニアを包み込むとエイミングレーザーが襲い掛かる。
エックス「ソニア!!」
ソニア[大丈夫だよエックスおとーさん]
突如エイミングレーザーの軌道が逸れ、見当違いの方向に飛んでいく。
クジャッカー「!?」
目を見開くクジャッカー。
確かにロックオンしたというのに狙いが逸れた。
エイミングレーザーを何度も放つが、狙いが逸れて見当違いの方向に向かう。
クジャッカー「どういうことなの…!?まさか!?」
ソニア[へへーん]
エックス「ど、どうなってるんだ…?」
百発百中の命中率を誇ったエイミングレーザーがソニアに全く当たらないことに疑問符を浮かべるエックス。
答えは憎々しげにソニアを見遣るクジャッカーが教えてくれた。
クジャッカー「あなた…私の照準機にハッキングしたわね…!?」
ソニア[当たり!!今だよエックスおとーさん!!]
ソニアに言われるまでもなく、エックスは既にクジャッカーに肉薄していた。
クジャッカー「なっ!?いつの間に…!!」
エックス「ソウルボディ!!」
ソニアに気を取られ、エックスの接近を許してしまったクジャッカーはまともにソウルボディを受ける。
実体に近いエネルギー体の分身を受けたクジャッカーは姿を維持出来なくなり、姿を消す。
クジャッカーは再びエックスの背後に回ろうとするが、ソニアが指差す。
ソニア[あっちだよ!!]
エックス「よし!!」
クジャッカー「え!?」
ソニアが指差した方向に向かって疾走するエックスに目を見開いたクジャッカーは再びソウルボディをまともに受ける。
膝を着いたクジャッカーにソニアはエックスに寄り添う。
ソニア[サテライトするよ!!ハッカー系レベル7!!]
エックス「うおおおおお!!」
チャージしていないのにも関わらず、フルチャージショットを連発し、クジャッカーに浴びせる。
クジャッカーは凄まじい砲撃の嵐を受け、データのカスとなって消えていく。
エックス「ふう…」
ソニア[やったねエックスおとーさん!!]
エックス「ああ、ありがとう。おかげで勝てたよ」
ソニア[私も役に立てるでしょ?次は一緒にミッションに行こうね?]
エックス「え?あ…、ルインと相談してからな?」
ソニア[はーい]
ルインはソニアもミッションに行くと言ったらどうなるだろうか?
少し過保護なところがある彼女のことだから烈火の如く怒るだろう。
エックスはソニアを肩に乗せて、サイバースペースから脱出するのだった。
後書き
ソニア大活躍。
特殊武器・必殺技入手
エックス特殊武器
エイミングレーザー
通常は原作に準ずる。
チャージ版も原作に準ずる。
ゼロ必殺技
落鳳波
性能は原作に準ずる。
ルイン特殊武器
エイミングレーザー
エックスのエイミングレーザーと同性能。
チャージ不可。
ルイン必殺技
無し。
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