東方変形葉
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
変化と不変の入り乱れ
東方変形葉29話「久しぶりの月面旅行」
前書き
裕海「ほらっ、霊夢、魔理沙、紫、おきてっ」
霊夢「ぐ~・・・ああ、ゆ~み・・・頭痛い・・・」
魔理沙「あれだけのんで・・・お前はなんでそんなに元気なんだよ・・・」
紫「ゆうみ~、人里で二日酔いの薬をかってきて~・・・」
裕海「永琳が持ってるかもしれない。ねえ、永琳。薬はある?今持ってないならスキマで永遠亭までつなげるけど。」
永琳「心配ご無用よ、ちゃんと持ってきてあるわ。」
裕海「永琳は酒をがばがば飲んでなかったから、二日酔いはなかったんだね。さすが医者、健康人の鏡だな。」
鈴仙「ししょ~・・・その薬、ください・・・」
裕海「わあ、鈴仙が二日酔いでゲル化してるっ!?」
鈴仙「してないわよ、頭が痛くて寝転んでるだけよ。」
永琳「はいこれ。効き目はかなりいいけど、治るのに少しだけ時間がかかるからね。裕海、これを二日酔い患者にあげてきてちょうだい。」
裕海「ああ。ほらっ、3人とも、これっ。飲んだら安静にしてろよ?」
霊夢「わかったわ~・・・」
魔理沙「うぬぅ~~~・・・」
紫「ありがと~・・・」
裕海「さて、片付けも終わったから家に帰って、出かける準備でもするかな。きらちゃん、ほたるちゃん、起きて。」
きらちゃん「いちばんぼしの~おほしさまっぽい名前の~にんぎょうが~あそこにいる~・・・」
裕海「それは君だから。はやくこっちの世界に戻ってきてっ」
ほたるちゃん「あんなところに~・・・みどりいろの~ほーせきのなまえの~にんぎょうが~・・・いっぱいいる~・・・」
裕海「いっぱいはいないぞ、2人とも、早く夢の国から戻ってきてっ!かむば~っく!」
永琳「人形って寝ぼけるのね。」
やっと起きた人形たちを連れて家に戻り、月へ出かける準備をして、謎の水晶を手に取った。
「これで、空間の変化をいじればいいんだよな?・・・ふんっ」
と、念をこめると、そこには海が広がっていた。ああ、間違いない。ここは月だ。
「さて、あの建物はどこだったか。」
「わ~っ!ここどこ?ここどこ?」
「どこどこ~?」
人形たちが興味津々にあたりを見渡していた。
「2人とも、ここは月だよ。」
「へえ~、こんなところなんだ~。」
「すご~い!」
さて、高速で飛びまくって見つけるか。人形たちが飛ばされないように腕でしっかりと抱え込む。
「わ~い!裕海様に抱かれた~!」
「わ~い!」
「2人とも、落ちないようにね。少し飛ばすよ。」
“速度の変化”の結界を周りに張る。そして新幹線ぐらいの速さで飛ぶ。しばらく飛んでいると、見覚えのある建物を見つけた。ここで間違いはない。
「よし、降りよう。」
門の近くに降りると、声をかけられた。
「何者だ!」
なんかの映画で見たビームソードを構えてきた。さすが月。高度技術は相変わらずだな。
「ここの月のリーダーの友人、葉川裕海だ。」
門番の人は納得した顔をしたが、ビームソードはしまわなかった。
「ふん、この前貴様にあっさりとやられてしまったからな、一戦交えろ。」
「え~、めんどくさいな。2人とも、ちょっと待ってて。」
「は~い!」
「がんばって~!」
さて、面倒だからすぐに倒す。
「せいやー!!」
と、ビームソードは俺に向かって伸びながら攻撃してくる。
「“威力の変化”」
さて、次はスペカを出す。振りかざしてきたビームソードをかわし、スペルカードを唱える。
幻覚「妖しき火に誘われた妖鳥」
光弾が俺目掛けて飛んでくる。そしてこの弾は、威力の変化をいじったことにより強化ガラスにひびがいく程度の威力になっている。まあ、そのこともあって弾の数はeasyモードにしているけど。
「なっ!?かわされた!!なっ!?ぐあああああああっ!」
ふう、終わった。
「騒がしいわね、どうしたのって裕海だったの。もう少し手加減しなきゃだめよ?」
奥から依姫が現れた。
「久しぶり、依姫。結構手加減したんだがなあ。まあいいや、遊びに来たよ。」
「きっとお姉様とレイセンも喜ぶわ。さあ、遠慮なく中に入って。」
「ああ、2人とも、もう出てきていいぞ。」
俺の呼びかけにすぐに人形たちが出てきて抱きついてきた。
「・・・その人形は?」
依姫はかなり驚いていた。まあ、無理もない。
「俺の可愛い人形たちさ。さ、2人とも、自己紹介して」
少し省略する。
そして自己紹介を終えて中に入った。
「あっ、裕海さん!ひさしぶりですー!!」
と、よこからうさみみが抱きついてきた。連鎖するようにしてたくさんのうさみみが集まってきた。
「またおもしろい話をきかせてください~!」
「やった~!またきてくれた~!」
「こら、あなたたち。そろそろ稽古の時間でしょ。裕海とはそのあと話をしなさい。さあ、いってきなさい。」
依姫が言うと、は~い、とうさみみたちが残念そうに戻っていった。
「ふう、この先のあの部屋で待ってて。お茶とお姉様を出してくるから。レイセンは稽古中だからまた後になるわ。」
今、さらっと自分の姉をお茶とセットで出すとか言わなかったか?まあそれは置いておこう。あの部屋か。
ガチャっと扉を開けると、すごく広い部屋があった。と、なぜか机の上に割れた水晶があった。
「きらちゃん、これ直せる?」
きらちゃんの能力は、再生を操ることができる。物限定。
「うん、この程度なら大丈夫だよ。それ~!」
きらちゃんが両手を割れた水晶に近づけると、みるみる水晶が直っていった。
「ありがと、きらちゃん。あ、そうだ。ほたるちゃん、ここの館全体でどのぐらいあるかわかる?」
ほたるちゃんの能力は、域を操る程度の能力。使い道によってはその建物や土地の領域などを調べることができる。
「よゆ~!・・・えーっと、5000人は余裕で入るくらいの広さだね。」
すげえ。ここって紅魔館より広いかもしれない。と、変な遊びをしていたら声が聞こえてきた。
「裕海~!!あいたかったわよ~~~~!」
豊姫が飛びついてきた。・・・結果、鳩尾に入った。すっごい重い。
「ぐぬううう・・・」
「あら、どうしてお腹を押さえて唸っているの?」
天然なのか、バカなのかわからない。
「お姉様、はしゃぎすぎですよ。・・・うわあ。」
依姫が来た。ああ、この光景は依姫から見たらすごい光景なんだろうな。なにせ、さっききた友人が自分の姉の手によって倒された・・・という感じなんだから。
“痛覚の変化”をいじって痛みを抑えた。とりあえず、豊姫の頬を引っ張って仕返しをしておいた。ふう、すっきりした。不老だからか、頬がかなりやわらかかった。
「あ、そうそう。あなたにプレゼントがあるの!」
豊姫が違う部屋に行ってすぐに戻ってきた。
「はいこれ!!」
袋を渡された。
「ありがとう。ところで豊姫さん?どうして俺の膝に乗っているの?」
「え~、すわり心地がいいじゃない。」
「こら~!ここは私たちの特等席!」
「そ~だそ~だ!」
人形たちが必死にどかそうとしている。この子たちは100キロの岩だって二人の力を合わせれば持つことができるから、体重が軽いであろう豊姫はすぐに持ち上がった。
「あ~ん、せっかく座ったのに~。ところでさっきも気になったけど、この人形たちは誰?」
豊姫はしぶしぶ俺の横に座って質問した。
「俺の可愛い人形たち。はい、自己紹介。」
少し省略。
「で、この袋は今あけてもいい?」
「ええ、いいわよ。」
袋を開けてみると、扇子とストラップがあった。
「最新技術で作った絶対に壊れない扇子と、蛍石のストラップ、超ミニサイズの懐中電灯よ。気に入った?」
「ああ、大事に使うよ。」
扇子は、広げてみると綺麗な桜の絵と川の絵が描かれていた。蛍石、懐中電灯。どれも人形たちに合ったものだ。しかも人形たちにとってちょうどいいサイズ。
“接着の変化”で、きらちゃんの服のリボンの中心に懐中電灯らしいこの丸い玉をくっつけた。そして、ほたるちゃんの服のリボンの中心に小さな丸い蛍石をつける。接着の変化によって何があっても絶対に取れることもない。火の海に突っ込んでもこの子たちの服は絶対に燃えないように守られている。
「あら、似合うわね。」
「そうね~。あ、その扇子は送風機能がすごいの。送風レベルは切り替えできて、最終レベルは台風並みの風が出るわ。。」
それはすごいな。俺、誤ってそのレベルであおいだら飛ばされないよな?首だけ。
「で、その懐中電灯は、『点け』とか『点いて』とか言えばすぐにつくわ。それに、色を言えば何色にだって変わるわよ。これは空気中のある成分で動いているから、電池とかは必要ないわ。」
そうなのかー。そんなすごいものが売っているのなら、たまには買い物に来ようかな。
「その蛍石は、普通の蛍石よりもかなり丈夫なのよ。絶対に割れないわ。」
「そうなんだ。いろいろとありがとう。」
「ふふっだから、その膝に座らせて?」
そうきたか。こういう流れで来たお願いは断れない俺はだめなのだろうか。
「・・・いいよ、そのぐらいは。」
人形たちを頭にのせかえ、膝を空席にする。
「きょうだけだからね!」
「だけなの!」
人形たちもしぶしぶ認めた。
「よいしょっと。ふう、なかなかいい椅子だわ。」
「お姉様、そろそろ夕ご飯の時間にしましよう。裕海もここで食べていく?」
う~ん、そうだな。
「そうするよ。」
と、廊下から軽い足音が聞こえてきた。
「裕海さん!おひさしぶりです!」
と、レイセンが抱きついてきた。膝に豊姫が乗っているので、回り込んで後ろから来た。
「久しぶり、レイセン。」
「はじめまして~!」
「はじめまして~!」
「わあっ!?この子たちは?もしかして裕海さんの子どもですか?」
と、レイセンがすごい真剣な顔で言ってきた。
「ぷっ、くっはははははははは!」
「あはははははっ」
「くくくくくくくっははははははっ!」
俺と依姫と豊姫はあまりのおもしろさに笑い転げた。
「ち、ちょっと、そんなに笑わなくてもいいじゃないですかー!!」
「ぶぅ~、いじわるです。」
「ごめんって、レイセン。」
頬をふくらましてそっぽ向いている。
「う~ん、どうしよう。完全にご機嫌斜めだ。どうしたらいい?」
「そうねえ。あ、そうだ!耳かして。」
豊姫に言われて耳を貸した。ふ~ん?そんな方法でいいのか。
「れ~いせん、こっちむいてっ」
「?」
涙目でレイセンが振り向いた。そしてそっと・・・
「っ!!!!!!!!!????????」
おでこにキス。これが効果的よ、と教えてくれた。ほんとにこれで効くのか?
「はわわわわわ・・・ぷしゅ~」
顔を真っ赤にして崩れ落ちた。いったい何が起きた?
「・・・裕海って、意外と結構鈍感ね。」
「歳としては思春期なのに、鈍感なのですね。」
「・・・?」
ふう、相変わらずここの料理は美味いな。うさみみたちとの雑談も終え、かなり時間が経っていた。
「じゃあ、そろそろ帰るね。また今度。」
「あら、もう帰るの~?」
「ああ。また今度来るよ。じゃあね。」
みんなが手を振って見送ってくれた。
気がついたら家の中。空間操作ってホントに一瞬だな。
「ふう、明日は守矢神社っと。」
布団を敷いたその時、空間の裂け目が現れた。
「ハロー」
「ああ、紫。じゃ、お休み。」
「ちょっと!?出てきた途端に寝ようとしないでよ!」
「ん~?用は何?」
一応聞いておく。結構眠いが。
「本当の優勝報酬よ。」
そういって出てきたのは、一冊の本だった。
「・・・なにこれ。」
「開けてみればわかるわ。」
言われたとおり開けてみると、そこには結界修復の仕方が細かく丁寧に書かれていた。
「つまり、大結界の修復を手伝ってほしいと?」
「いいえ、違いますわ。」
じゃあなんだろう。
「人形たちの内部の結界の修復がいるでしょう?」
・・・ああ!そういうことか!
「“修復の変化”をいじれば大丈夫だろうけど、どのように修復されているのか気になるでしょ?」
確かにその通りだ。万が一のことがあったら大変だからな。と、もうすでに寝ている人形たちを見ながら思った。
「なるほど、ありがとう。紫。」
「どういたしまして。さてと、藍に怒られるからそろそろ帰るわね。」
「ああ。おやすみ。」
「おやすみ。」
紫はにこっと微笑んでスキマの中に入って行った。
部屋の中はうっすらと寒い。そろそろ冬も去るころ。暖かくなればまた綺麗な桜を見ることができる。楽しみだな。
俺は布団の中に潜って意識を手放した。
続く
後書き
29話です。
予告:次回、ラストである急展開があるかもしれません。
ページ上へ戻る