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FAIRY TAIL 忘却の最期

作者:大牟
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第10話 最強チーム

先行したナツを追いかけ、拝借(エルザ談)した魔導四輪に乗り線路の上を走っていた。

「何故、僕を連れてく?」

「街に誰もいないんだもん、クローバーのお医者さんに連れてってあげるって言ってるのよ。感謝しなさいよ」

「違う、何で助ける?敵だぞ」

カゲヤマは顔を暗くしブツブツと呟きだす。

「そうかわかったぞ、僕を人質にエリゴールさんと交渉しようと・・・無駄だよ、あの人は冷血そのものさ、僕の為なんかに動きやしない・・・」

「うわ~、暗い・・・」

「そんなに死にてぇなら殺してやろうか?」

「ちょっとグレイ!?」

「生き死にだけが決着のすべてじゃねえだろ。もう少し前向いて生きろよ、お前ら全員さ」

グレイに続きラストも言葉を繋げる

「そうさ、欲に溺れなければ闇ギルドにならずに済んだんだ。苦しい時は仲間と助けあい支えていく。ギルドってそういうものじゃないのか?」

その言葉に、カゲヤマは神妙な顔つきになっていると

突然魔導四輪が激しく揺れた。

その衝撃でルーシィがカゲヤマにぶつかった。

「エルザ!?」

「すまない、大丈夫だ」

「ごめん!」

「でけぇケツしてんじゃねーよ・・・」

「ひー!!セクハラよ!グレイこいつ殺して!!」

「カゲヤマ・・・クローバーに着いたら覚えてろ・・・・・・・・・!!」

「オイ、俺の名言チャラにすんじゃねえお前ら・・・」

台無しなことを言われ顔を暗くするグレイだった

その時、遠くから爆音が響いてきた。

「な、何!?」

「爆発だ・・・おそらく」

「ナツ以外にいねぇよ」

「まさか・・・エリゴールさんが・・・!?」

「よし・・・急いでナツの元に行くぞ」

エルザはスピードを緩めず魔導四輪を走らせた。

「ナツー!」

「おお!遅かったじゃねえかもう終わったぞ!」

「あい!」

「さすがだな」

「けっ」

エルザはルーシィに肩を担がれ魔導四輪から降りる

「エルザ大丈夫?」

「ああ、気にするな」

「こんなの相手に苦戦しやがって」

「苦戦だぁ!?圧勝だよ圧勝!!」

「微妙なとこだよねぇ」

「つかよ、裸にマフラーって変態みてぇだぞ」

「お前が言うか・・・ルーシィ服貸してくれ」

「何であたしなの!?」

漫才のような光景にエルザとラストが思わず吹き出す

「何はともあれ見事だナツ、これでマスター達は守られた。ついでだ、定例会の会場に行き事件の報告と笛の処分についてマスターに判断を仰ごう。」

「クローバーはすぐそこだもんね。」

全員が魔導四輪に乗ろうとしたその時

突然、魔導四輪が走り出した。

「カゲか!?」

「危ねーな動かすならそう言えよ!」

重傷のカゲヤマが呪歌を拾い魔導四輪を運転していた。

「呪歌はここだ!!油断したなハエ共!!」

先ほどまで改心しそうだったカゲヤマの暴挙に、一同は呆気にとられていた

「あんのヤロォォォォ!!」

「何なのよ助けてあげたのに!!」

「やっぱりあの時すぐに始末するべきだったか・・・!!」

「追うぞ!!」

移動手段がなく全員が走ってクローバーまで向かった。





んでもって?





クローバーの定例会会場

「いた!!」

笛を吹こうとしているカゲヤマと、その傍にマカロフがいるのが見えた。

「じっちゃん!!」

「マスター!!」

辿り着いた全員が助けに行こうとしたが

「しっ!」

誰かが手で遮りその足を止めさせた。

「今イイトコなんだから見てなさい」

太った女装をした男が止めたようだ

「てかあんた達かわいいわね~超タイプ~」

と、ナツとグレイ、ラストを見てスリスリと寄ってきた

「「「ヒィィィィ!!」」」

男三人は震えあがっていた。

「な、何この人!?」

青い天馬(ブルーペガサス)マスター・ボブ!?」

「あらエルザちゃん!おっきくなったわね」

「この人が青い天馬のマスター!?」

そうこうしている間に

「さあ、早くせんか」

カゲヤマは、笛を吹こうと口を近づける

「いけない!!」

「だから黙ってなって、面白ぇトコなんだからよ」

「四つ首の番犬の!?」

「マスター・ゴールドマイン!?」

今にも吹きそうなのに、何故誰も止めに行こうとしない
この結末を知っているかのように

(笛を吹けばいいだけだ・・・それですべてが変わる・・・!)

カゲヤマが心の中でそう言ったが

「・・・何も変わらんよ」

それを見透かされたように、マカロフが言った。

「弱い人間はいつまでたっても弱いまま、しかし弱さのすべてが悪ではない。もともと人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある。仲間がいる。」

いつしかカゲヤマは、笛を吹こうとせずマカロフの言葉に聞き入っていた。

「強く生きるために寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くの壁にぶつかるし、遠回りするかもしれん。しかし明日を信じて踏み出せば、おのずと力は湧いてくる。強く生きようと笑っていける。





そんな笛に頼らずともな」

マカロフの言葉に、カゲヤマはナツ達の言葉を思い出していた。

(そんな事したって、権利は戻ってこないのよ!!)

(もう少し前を向いて生きろよ、お前ら全員さ)

(苦しい時は仲間と助けあい支えていく。ギルドってそういうものじゃないのか?)

(カゲ、お前の力が必要なんだ!!)

(同じギルドの仲間じゃねえのかよ!!!)


(最初から・・・勝てっこなかったんだ・・・!!)

カゲヤマは、呪歌から手を離した

「参りました!」

「マスター!」

「じっちゃん!」

「じーさん!」

「うぉ!?何故お主らがここに!?」

「さすがです!今の言葉、目頭が熱くなりました!!」

と、エルザはマカロフを抱き寄せたが

「硬っ!!」

言わずもがな

「じっちゃんすげーな!!」

「ペチペチせんでくれ!」

「一件落着だな。」

「ホラ・・・アンタ、医者行くわよ」

「立てるか、カゲヤマ?」

「よくわからないけどアンタもかわいいわ~」

呪歌を巡ったこの事件は、終わりを迎えた・・・・・・・・・



かに見えた





『カカカ・・・どいつもこいつも根性のねぇ魔導士共だ』

突如、呪歌が喋りだし本体から不気味な煙が噴き出した。

『もう我慢できん、ワシが自ら喰ってやろう!』

その煙は形となっていき、

『貴様らの魂をな・・・』

怪物へと変化した。

「デカすぎー!!」

「そのツッコむの!?」

「カゲヤマ!これは・・・!?」

「こんなのは知らないぞ!?」

「あ~ら大変」

「こいつはゼレフ書の悪魔だ。」

定例会会場にいるマスター達は怪物の出現に逃げ出した。

「こりゃちとマズイかのう」

「助太刀にゆくか?」

「腰が痛いんじゃが」

「何で笛から怪物が!?」

ラストは、ある事に感づき口を開く

「そうか・・・あれが呪歌そのものだったのか!?生きた魔法・・・ゼレフの魔法!!」

「生きた魔法・・・」

「ゼレフってあの大昔の!?」

「黒魔導士ゼレフは魔法界の歴史上最凶最悪だった魔導士・・・何百年も前の負の遺産が今になって・・・!!」

「アンタ詳しいのね~あたしの言おうとしたこと全部言っちゃうなんて~」

強張っていたラストの表情は、擦り寄ってきたボブにより引きつった表情に変えられた。

『さあて、どいつの魂からいただこうかな?』

「なんだとぉ!?なぁ、魂ってうめぇのか?」

「知るか、つか俺に聞くな」

「やっぱりそこに食いつく?」

「ナツ、グレイ、皆を遠くに!」

「えらそーに!」

「命令すんな!」

「頼んだ!!!」

「「あいさー!!」」

と、二人仲良く(?)マスター達を遠くへ誘導しに行く

「出た、ハッピー2号」

「つかゼレフ書の悪魔を目の前に呑気だなぁ・・・」

ラストはいつものノリでいるナツ達に青筋を立てて呟いた。

『引込め、ザコ共!!』

呪歌はあらぬ方向へ向き、口からビームを放ち

向こう側の山を消し飛ばした。

「何したのあいつ!?」

「フィオーレ軍だ。鉄の森の検挙のために派遣されてきたはいいが・・・今の呪歌相手では力不足か。」

「た、退却―!」

その証拠に、フィオーレ軍がわやわやと逃げ出していく声が聞こえてきた。

『決めたぞ、貴様ら全員の魂をいただく!!』

「面白ぇ!やれるものならやってみやがれ!!」

「「「頑張ってな~」」」

「たった三人で何するつもり!?」

「ていうか、ここのマスター全員でかかれば一瞬で終わりそうなんだが・・・」

ラストは後ろにいた応援するだけのマスター達の方に向き呟いた。

「ルーシィとラストは?」

「今日はもう使える星霊いないし・・・みんなの足引っ張るかもしれないし・・・」

「俺も・・・DBドレッドの魔力が切れてしまってな・・・このままじゃ戦えそうにない」

「言い訳だ」

「「うるさいネコー!!」」

漫才をしていると、呪歌が咆哮しだした。

「あらひどい声」

「何この不快感!?」

「呪歌が始まったんだ!」

「魂を食われるぞい!?」

マスター達が呪歌に怯えていたが

マカロフだけは、余裕な表情を見せた。

「行くぞ!!」

「「おお!!」」

ナツとグレイ、エルザが呪歌向けて突進する

「換装、天輪の鎧!!」

天輪の鎧に換装したエルザは呪歌を斬りつけた。

「アイスメイク・・・槍騎兵(ランス)

グレイは氷の槍を形成し呪歌へと飛ばした

「これでも食らえ!火竜の鉄拳!!」

ナツは炎を纏った拳で呪歌の顔面を殴りつけた。

「炎で殴ったぞ!?」

「あっちは氷の魔導士か!」

「鎧の換装とな!?」

マスター達が三人の戦う光景に呆気にとられていた。

『ウゼェぞ、ザコ共が!!』

鬱陶しくなり呪歌は巨大な腕で地形ごと薙ぎ払うが、全て跳んで避けられる。

「も一発食らえ!火竜の翼撃!!」

反撃にエルザの剣が、グレイの氷の矢が、ナツの炎が呪歌に浴びせられた。

「すごい!こんな連携攻撃見た事ねえ!!」

「息ぴったり!」

「あい!」

『ウォォォォォォォォォ!!』

呪歌が行った行動に、ラストが声を荒げる

「まずい、呪歌が来るぞ!!」

呪歌が吸い込む動作をすると、周りの草木が次々と枯れていく。

「緑が枯れていく!?」

「呪歌に吸われてるんだよ!」

『貴様らの魂をいただく!!』

呪歌の音色が放たれようとしていて、ルーシィとカゲヤマ、ハッピーが耳を塞ぐ

(サウンドキャンセラーの呼び出しが間に合わない!!)

DBを呼び出そうとしたが、間に合わず呪歌から音色が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

音色が放たれず、空かしたような、気の抜けた音が呪歌の全身から響いてきた。

『んが!?』

「何コレ!?」

「すかしっぺ!?」

『なんじゃあこの音は!?ワシの自慢の音色は一体どこに!?』

よく見ると、呪歌の全身に穴が開いており、そこから音を出す空気が漏れているようだ。

「そ、そうかさっきの攻撃で」

「たくさん穴開けたから音がちゃんと出ないのね」

「笛だから・・・な」

「さんざん引っ張っておいてこんなオチ!?」

「オイラお腹空いちゃった」

『ざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

呪歌が怒りだし周りの地面を蹴りあげた。

「キレおったぞ!!」

「デカい分タチが悪いわい!!」

次に呪歌が矛先を向けたのは、ルーシィ達の方だった。

「まずい!!」

「アイスメイク・・・(シールド)!!」

爆炎が彼等を襲ったが、全てグレイの造形した氷の盾により防がれた。

「早い!」

「一瞬でこれほどの造形魔法を!?」

「造形魔法?」

「魔力に形を与える魔法だよ、そして形を奪う魔法でもある。」

『おのれぇ!!』

悔しがる呪歌の視線が、吸い寄せられる炎の向かう先に映る

「よっし!食ったら力が湧いてきた!!」

そこには炎を食うナツがいた。

『この・・・バケモンか貴様!!』

「んだとこらぁ!!」

ナツは殴りつけた呪歌の腕の上を走って昇る

『昇ってきたぁ!?』

「換装!!」

エルザは天輪の鎧から、黒い鎧へ換装する。

「おお、黒羽の鎧!」

「一撃の破壊力を増大させる魔法の鎧じゃ!!」

換装したエルザに興奮しながら口々に声を上げるギルドマスター達

「アイスメイク・・・円形鋸(ソーサー)!!」

グレイは氷の円形鋸を放ち呪歌を切り裂く

「黒羽・月煌!!」

続いてエルザが黒羽の剣で呪歌の顔面を切り裂き怯ませる

「ナツ!!」

「今だ!!」

「おうよ!!」

ナツは両手に炎を纏う

「右手の炎と左手の炎!二つの炎を合わせて!!」

合わさった炎が増大し、巨大な火球を作る

「これでも食ってろ!!火竜の煌炎!!!」

巨大な火球が呪歌を襲い

『グアァァァァァァァァァァ!!!!!』

呪歌は眩い光を放ち、天へ昇る

そして、元の笛の姿に戻った。
その笛には既にゼレフの魔法の効力が消え失せ、ただの笛となった。

「見事!!」

「ス~テキ!!」

「ゼレフの悪魔をこうもあっさりと!」

「わあ!」

「すごい・・・これが、妖精の尻尾の魔導士か!?」

「さすが最強チーム!超かっこいい!!」

「あい!!」

「どうじゃ!すごいじゃろ!!」

ナツ達が喜び合う姿を、カゲヤマが遠目から見ていた。

「はは・・・やっぱりバカだあいつら・・・敵わねぇや」

「はいはーいアンタはお医者さんに行かなきゃね~」

と、ボブがカゲヤマに顔を擦り付ける

「ジョリジョリ~!?」

「ま、経緯はよく分からんが妖精の尻尾には借りができちまったな。」

「しかしこれは・・・・・」

呆然とするギルドマスター達の目の前には

「「「「「やりすぎじゃぁぁぁぁ!!!」」」」」

跡形もなくなっている定例会会場・・・否、建物どころか大穴ができる位に周りの地形が変わっていた。

「定例会の会場どころか」

「あい、山が一つ二つ消えてるよ」

「またそんなのんきに・・・」

ラストが冷や汗を垂らしながらそう言う中、マカロフから白い何かが出てきた

「マスター!?」

「何かでた!?」

「ダハハハ!見事にぶっ壊れちまったな!」

「笑っている場合か!」

「あいつら捕まえろ!!}

ギルドマスター達が怒り散らしていたが、ボブとゴールドマインだけはどこか懐かしく見ていた。

「ったく、子は親に似るっつーかよ」

「現役時代を思い出すわね~」

「ば、馬鹿だ・・・・・」

呆れるカゲヤマだったが

「カゲちゃんも私の若いころにそっくり~!」

「え”え”え”え”!?!?」

ボブの爆弾発言にカゲヤマの表情が凍りついた

「あの頃は楽しかったわ~、みんなでめちゃくちゃやって評議員に怒られてばっかりだったけどね~」

ボブが出した写真は若いころのマカロフやゴールドマイン達が写っており

「あ、ちなみにこのイケメンが私だぞ~」

ボブが指差した写真の男は、今のボブの面影は全くない男だった。

「別人だろ!?」

「ホラカゲチン!クリソツクリソツ!!」

「似てねーって!!」

似てはないが自分もこうなるのかと思い暗くなるカゲヤマだった

「おめーさんも少しは感じるとこがあるだろ?」

「ギルドは楽しいって」

二人がそう言った後、カゲヤマから白い何かが出てきた。

「なんか出たぞ?」

「あらら」

「よ~し俺が捕まえてやる!!}

「「「「「お前は捕まる側だ~!!!」」」」」

「あ、そっか!ダハハハハハハハ!!」

追いかけてくるギルドマスター達から、妖精の尻尾の面々はそそくさと逃げ出していった。

(この先こんな調子で大丈夫なんだろうか・・・)

と、先行きが不安になるラストであった・・・・・



 
 

 
後書き
次回予告


ルーシィ「今月もお財布がピンチだなぁ・・・」

ラスト「行く先々で物とか壊してればそうなるよな・・・」

ミラ「それがなければもっとリッチな生活ができるのにね」

ルーシィ「家賃払ったらご飯が・・・ご飯が食べられなくなる~!!」

ミラ「そうだ!ルーシィもナツの魔法覚えたら火とか食べられるわよ!」

ラスト「随分無茶なこと言うなぁ・・・」


次回 ナツ、村を食う


ルーシィ「なるほど!それで解決ですね!」

ミラ「あれ・・・ツッコミなし?」

ルーシィ「ツッコミって何にですか~?」

ミラ「・・・ルーシィのいじわる」
 
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