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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第7章:過去から未来への歴史
  第7話:圧倒的な力

(エビルマウンテン)
ライアンSIDE

(ザシュッ)
私の振り切った剣激が鈍い音と共にエビの右腕を切り落とす。
切り落とした腕の傷を見ると、少量の出血の後に筋肉が萎縮し、完全に止血している。
だが高速で回復してる訳でもなく、大きく戦闘力を低下させている。

残った頭からは、強力な魔法やブレスを絶え間なく仕掛けてくるし、巨大な足で繰り出される蹴りは油断してると致命傷になりかねない。
だが、それでも優性なのは我々だろう。後は頭を潰せば全てが終わるのだから。

「ぐっ……ふっ……ふっふっふっ……やりおる。やはり伝説の勇者等と魔界の王だ。後ろで控えてる彼奴の為に、貴様等ザコに本気を見せたくはなかったが……ここまで追い込まれるとは予定外だ。だが後悔するがいい。生きながら地獄を味わう事になるのだから……自らの中途半端な強さを呪って死ぬのだ!!」

一旦引き間合いを取ったエビが思わせぶった事を言って我らを恫喝する。
しかし、この期に及んでは負け犬の遠吠えにしか聞こえず……
「寝言は寝てから言え!」(ズバッ!)
シン殿の強力な一撃により、首を跳ね落として終わりとなった。

両腕と頭を失ったエビの身体は、その事態を理解できないかの様に仁王立ち状態で静止し、我々に勝利を実感させる。
その戦勝モニュメントの前に居た勇者シンは、剣を鞘に収め我らの方に振り向くと、汚れた顔のまま爽やかな笑みを振りまいた。
誰もがその笑顔に、同じように汚れた顔の笑みを返し互いに労を労っている。

私も剣を鞘に戻そうとした瞬間……
「自惚れるなゴミ共が!」
突如エビの声が聞こえると、シン殿が紅蓮の炎に包まれ悶え転げる!

何が起きたのか理解できず、両腕と頭を失ったエビの身体に視線を向ける。
すると、奴の身体は異形に変化していた。
以前は胸であった部分には増悪に血走った巨大な目が二つ……以前は腹だった部位は巨大な牙を携え口になっていた。

どうやらシン殿は、その口から吐かれた炎によって攻撃を受けたらしい。
装着している防具が伝説的代物だった為、彼の受けたダメージは軽微であった様子だが、精神的ダメージは計り知れない。
倒したはずの敵が復活するなど、悪夢でしかないだろう。

「油断してんじゃねーよ! 邪悪な気配は途切れて無かっただろうが!」
我らの遙か後方では、ビニールシートの上で寛いでるリュカ殿がヤジを飛ばす。
「ラスボスがそんなに弱い訳無いでしょ! あの軍勢を従えてたのよ……舐めてんじゃないわよ!」
同じようにマリーのヤジも聞こえてくる。いい気なもんだ!

「グワー!」
復活したエビの側で蹲ってたシン殿を、ドランが素早く救出するとミネア殿の下へ彼を下ろす。
そして素早く傷を癒やし無事か確認すると、引きつった笑顔で親指を立てる。

「皆落ち着くんじゃ!」
私もデスピーすらも、かなり動揺して身構えてるが、ブライ殿が大声で一喝する。
「確かに倒したと油断したのは我らのミス……しかし所詮死に損ないじゃ! 両腕と頭を失った化け物の、腹芸を恐れる事はないぞ!」

そ、その通りだと思った。
我らは奴を追い詰めてたのだ……最後の足掻きで心を乱すなど、愚の骨頂!
流石ブライ殿……伊達に歳を重ねてはいない。

私は皆に視線を向けて頷くと、腹に力を入れ直して敵を睨み付ける。
他の者も同じように身構え戦闘準備を整える。
勿論シン殿も、先程のダメージから立ち直り臨戦態勢だ。

何時でも踏み込み攻撃できる状態になってたのだが、エビの身体に変化が見られた。
小刻みに震え、新たな顔は苦悶に満ちている。
今にも命を散らしそうだったのだが、突如身体が巨大化すると、残ってた足も身体に合わせ巨大化する!

思わず後退り怯んでしまったが、そんな事はお構いなしでエビの変化は続いてゆく。
切り落としたはずの腕が、より巨大化されて再生されると、以前は無かった巨大な尻尾が生え、先程の物より格段に凶悪な頭が復活した!

血走った目は3つもあり、頭部には大きな角が2本も生えている。
腹部の顔も健在で、同時に複数の魔法を唱えてくる事を窺える。
合計5つもある目で我らを見据えると「マホカンタ」と唱え、こちらの魔法攻撃を制限した。

慌ててシン殿が天空の剣を掲げ、敵のマホカンタを打ち消そうとしたが、その巨体からは想像の出来ない素早さで近付き、尻尾でシン殿を弾き飛ばす。
吹っ飛んだシン殿は寛ぐリュカ殿に一直線で飛んで行く。

多分我々の事は眼中に無く、エビは後方のリュカ殿へ対する宣戦布告を行ったのだろう。
だがリュカ殿は、その宣戦布告に答える事は無く、飛んできたシン殿を片手でキャッチすると、倍の威力で投げ返し中指を立てる。

「こっちはザコ敵を全滅させてからキサマに戦いを挑んでるんだから、お前もザコ(勇者等)を倒してから(ラスボス)に挑め、バカタレ!」
「ふん……ではお望み通り、キサマの仲間を皆殺しにしてやろう!」

飛んできたシン殿をデスピーに向け弾き飛ばすと、我らに向けて増悪の籠もった視線を向けてくる。
早いとこ天空の剣で奴のマホカンタを無力化してほしいけど、肝心のシン殿がエビとリュカ殿のラリーで気を失ってしまい、役に立たない状態に……

伝説の防具に身を包んで居た為、命に別状が無いのが救いだが、この状態を如何に打破すれば良いのか……
リュカ殿に視線を向けても爽やかな笑顔で手を振るだけ。

本当にマズいかもしれない……

ライアンSIDE END



(エビルマウンテン)
ブライSIDE

攻撃魔法を唱えられなくなった為、少しでも直接攻撃の手助けになればとピオリムやバイキルトを皆に使用する。
しかしエビの凍てつく波動により、味方の魔法効果は掻き消され、思った以上の効果は得られてない。
しかも気絶してるシンを守る為、ドランが奴を抱えたまま逃げ惑ってるので、攻撃要員も減少中だ。

徹底的にピンチであるはずなのに、後方のリュカは動く気配も見せやしない。
従って我々は、少しずつ戦場をリュカ等の方へシフトして行く……
奴を巻き込む形で戦闘を行ってやるのだ!

とは言っても、エビの強さは尋常ではなく、リュカの下へ辿り着く前に我らの命が尽きるかもしれない。
そんな状況に苛立ちを感じたマーニャが、ヒステリックな声でデスピーに問いかける。
「ちょっとデスピー! アイツには弱点とか無いの!?」

問われたデスピーは、小声で“デスピーと呼ぶな”と言いつつも、「あるにはあるが、今は無い!」と、トンチの効いた言葉を吐く。
自己完結で満足するのは遠慮願いたい物じゃな。

「何言ってんのアンタ? 顔がリュカにソックリだからって、発言まで非常識にする事無いのよ! 常識人の私達に解る様に言いなさい」
妹と共に同一人物の愛人をしてる女に、常識云々を言われたくはないものだ。

「ムカつく女だなキサマは! では説明してやる……お前等馬鹿にでも解る様に、俺が優しく教えてやる!」
そう言いながらもエビに攻撃を仕掛け、他の者への攻撃を軽減させるデスピー……やりおるわい!

「進化の秘法をエスタークに使用する予定だったので、コントロール不能を回避するべく“強制キャンセル機能”を追加しておいたのだ。『あやかしの笛』と言うアイテムを使用すれば、進化の秘法効果を無効にする事が出来る……」

「じゃぁ今すぐそれ使いなさいよ!」
「だから、今は笛を持ってないから……デスパレスに置いてきてしまったから“今は無い”と言ったのだ! 元々あの笛は、ロザリーの部屋へ行く為の鍵的なアイテムだったのだ。なのに何処かの馬鹿が壁を破壊して入ったから、持ち歩く必要性が皆無になった。俺が進化の秘法でパワーアップする予定になったから、他人の手に渡らぬ様にデスパレスの奥底に隠してしまったのだ」

この状況を引き起こした“何処かの馬鹿”に聞こえる様、大きな声で不満をぶちまけるデスピー。
我々もエビの攻撃を警戒しつつ、その“何処かの馬鹿”に視線を向ける。
『お前の所為だから、早く助けろ!』と念を込めて睨み付ける。

しかし、その視線は直ぐに別の人物へと移る事になる。
それは……

ブライSIDE END



 
 

 
後書き
なんか久しぶりに納得のいかないまま更新した。
こんなんで大丈夫なのかな? 
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