とある英雄の学園生活
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第39話 偵察任務
ネイたちが引っ越してきてから1週間が経った。
ネイとシェリルさんの作る料理はとても美味しい。
シヴァも手伝いをしながら料理を教わっているみたいだ。
カレー以外を食べさせてくれる日が近いかもしれない。
あとネイとシェリルさんの使用人たちの食事もネイたちが作ることになった。
当然使用人たちは食事は自分らで何とかするので拒否をしたが、
ネイとシェリルさんの一喝でおとなしく従うことになった。
そして極めつけが全員で食事することになった。
引越し日の翌日夕食で使用人は部屋のすみで立っているだけだった。
それを不思議に思ったアリスが一緒に食べようと言いだしたのだ。
もちろん使用人たちは拒否をしたのだが、
最後はネイとシェリルの説得?で一緒に食事をすることになった。
普通の王族、貴族では考えられないのだが、
アリスは違うみたいだ。
いいことだと俺は思う。
今のこの屋敷はほぼ身内みたいな関係なのだから。
だがまだ使用人たちと俺たちとの距離があるみたいだ。
徐々にであるが縮めていきたいと思う。
小等部の授業内容は初歩的な内容のものだった。
俺も前の世界の知識が少しは役に立っている。
アリスも宮殿にいたときに独学でいろいろ学んでいたみたいだ。
なので俺たち2人は授業内容に問題はなかった
だが授業以外で問題があった。
小等部に通って1週間になるがアリスはどうやら友達ができていないようだ
委員長をしている男の子とは少し話をするみたいだがクラス委員での業務のことだけみたいで友達らしい会話をしているとこを俺は見ていない。
午後からの授業は俺はついていけないため委員長を捕まえて話を聞くのだが、
やはり1人みたいで、誰からも話しかけられず、話しかけようともしないみたいだ。
これは早急になんとかしないといけないな。
アリスが午後からの王侯貴族科の授業を受けに行っているときにネイから理事長室に来て欲しいとシェリルさんから伝言をもらった。
早速理事長室に足を運ぶと、ネイのほかに1人の老人がいた。
目の前にいる老人どこかで見たことがあるのだが……
「おおお、キラ殿お久しぶりですな」
そう言って俺に握手を求めてきた。
俺も握手をするが思い出せない。
なので今日は俺の腰に装備されている炎の魔人に聞くことにした。
(イフリートこの老人覚えているか?)
(……相変わらず人を覚えるのが苦手みたいね。 このお爺ちゃんはたしかフランス冒険者ギルドの本部長をしていたデゾンよ)
思い出した。たしかフランスを拠点に活動していた時に世話になった人だ。
「久しぶりですね、デゾンさんは変わりましたね」
「30年も経っていますからな」
出会ったときは50歳ぐらいだったので今は80歳ぐらいかな。
とても80歳には見えないぐらい元気だ。
「フランスのデゾンさんがどうして学園都市に?」
「学園都市創設後デゾンはここの冒険者ギルド長をしていただいているの」
80歳でまだ働くのか
「この老いぼれ、まだまだ若いもんには負けんよ」
ガハハと笑うデゾンさん。
見た目は変わったけど内面は変わっていないみたいだ。
「で、俺を呼んだのはデゾンさんと再会させるためなのか?」
笑っていたデゾンさんが笑いをやめ真面目な顔にもどる。
ネイも笑顔から真剣な表情になる。
これはただ事じゃないみたいだな。
「実は、富士の偵察部隊から報告がありまして、私たちでは手に負えないと判断しましてネイ市長に相談していたところなのですよ」
富士……そこにはジパング最大樹海がありその奥に最大級の火山がある。
かってヒミコの右腕と言われたヤマタノオロチが龍脈を守っていた場所だ。
龍脈を使うヒミコは無敵の強さを持っていた。
その龍脈を破壊することでヒミコを倒せたと言える。
ただ龍脈を守るヤマタノオロチもかなりの強敵だった。
俺たちパーティーとベテラン冒険者20人で戦いに挑み俺たちのパーティーはヴァンヘルトが右腕を失う重傷を負い、ベテラン冒険者も7人が重軽傷で13人が死亡した。
壮絶な戦いだった。
できれば2度と戦いたくない。
「どうやら富士でヤマタノオロチが復活したかもしれないの」
なんだって?
「偵察隊が言うには火山が活発に噴火し邪悪な気が生まれたと報告を受けました。彼らは今までにない邪悪な気だと言っておりました。1部の者が火山奥に偵察に行きましたが戻ってくる気配がなく残った者が伝書鳩で私に報告し私では判断できないと思い、オロチと戦ったことがあるネイ市長に相談に来たのです」
本当に復活したのかわからないのか。
だがヤマタノオロチが今更復活したからってどうなるんだ?
ヒミコがいない今……
何かの前触れか?
ここで考えていても仕方ない。
「俺が偵察に行こう」
「おお、キラ殿が行っていただけるなら心強い」
「キラだけだと心配だわ」
「あのな、俺でもあの戦いを経験しているんだ、無謀なことはしないよ」
俺ってネイから信頼されてないな。
「私が一緒に行ければ問題ないんだけど」
ネイが一緒だと心強いが、ネイの立場上今はやめておいたほうがいいだろう。
「ネイ様ご安心を、私が一緒に行きます」
「確かにシェリルが一緒なら心配ないけど、違う意味で心配だわ」
何の心配なんだ?
「あと私の護衛にあの2人を連れて行くのでそれで戦力的にも大丈夫だと思いますし、ネイ様の違う心配も大丈夫でしょう」
「そうねあの2人がいれば問題ないでしょう」
だから違う心配てなんだよ。
「キラ、申し訳ないけどシェリルたちと一緒に富士の偵察をお願いするわ。あくまでも偵察よ。」
「わかっている」
(今回はシヴァを連れて行くからイフリートはアリスの護衛を頼む」
(……仕方ないわね。アリスのことはあたいが責任を持って守るから安心して)
翌日心配するアリスに見守られながら転移魔法で富士に転移した。
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