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とある英雄の学園生活

作者:にゃん丸
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第40話 富士の樹海にて

 「ここはどこですか?」

 「富士樹海の入口前です」

 俺は転移魔法で直接火山入口前は危険だと思い、樹海入口前に移転した。
 
 「なぜ火山入口に移転しなかったんだ」
 
 イケメン男エルフが何故か偉そうに俺に聞いてきた。
 無視してやろうかと一瞬思ったが、シェリルさんも女エルフも理由を聞きたそうな表情だったので答えた。
 
 「火山入口前はもしかすると敵がいる可能性が大きいと思ってな、30年前はドラゴンナイトが3人いたからな」

 ドラゴンナイト、飛龍にまたがる龍族の騎士だ。
 かなり強い。たぶん今の俺達のパーティーならドラゴンナイト2人ならなんとか勝てると思うが3人だと勝ててもただではすまないと判断したからだ。
 俺たちはあくまで偵察なのだから慎重に行動をとらないと。

 「ふん、ドラゴンナイトごときで英雄様は怖気付くのか、まあいい早く案内をしろ」

 ムカッ
 俺の不機嫌になった表情を見たシェリルが慌ててイケメン男エルフの前に立ち
 
 「ジェフ、口の利き方に気をつけなさい、キラ様申し訳ございません」
 
 シェリルさんはイケメン男エルフの頭を押さえ無理やり頭を下げさせ、自分も頭を下げた。
 シェリルさんに逆らえないのか頭を下げさせられながら俺を睨むイケメン男エルフ。
 イケメン男エルフの名前がジェフ。魔法剣士だ。
 水、風、雷の中級魔術が使えるらしい。
 剣術はネイに教えてもらい中の中ぐらいのレベルと聞いている。
 純粋に剣術でジェフと戦ったら引き分けか辛勝で俺だとネイは言っている。
 ただ魔人剣を使用したら俺の圧勝だそうだ。

 「姫さま、このような人間に頭を下げないでください」

 頭を下げているシェリルに頭を下げさせないように注意する女エルフ。
 この女エルフも口が悪いな。
 
 「サラまで失礼なこと言わないの、本当に申し訳ないです」
 
 シェリルさんは改めて俺に頭を下げた。
 女エルフの名前はサラ。魔術師だそうだ。
 雷の上級魔術が使えるようだ。

 エルフ2人の暴言に俺にペコペコ謝るシェリルさん。
 シェリルさんの謝る姿を見て徐々に俺の怒りもおさまっていた。 
 シェリルさんがいなかったら俺は1人で転移魔法で学園都市に戻ってお前ら兄妹を置き去りにしてるとこだぞ。
 シェリルさんに感謝しろよエルフ兄妹。

 2人のエルフは双子の兄弟で30年前の戦いで親をなくし途方に暮れていたところネイとシェリルに助けられて、ネイたちが作った学園都市の第1期の卒業生と聞いている。
 つまり俺の先輩になるのだが。
 先輩なら後輩に優しくしろよ。

 一緒に暮らすようになったがほとんど喋ったことのない2人だ。
 なにせ俺が挨拶しても無視するのだから。
 大丈夫なのかこのパーティーで?
 
 (シェリルも大変ですね)
 
 (俺も大変だと思うが)
 
 (綺羅様には私がついていますから大丈夫です)
 
 (ホント頼りにしてるよシヴァ)
 
 (はい)

 2人のエルフを見ると面白くなさそうにソッポを向いている。

 「キラ様そろそろ」

 「ああ、行こうか。俺を先頭にサラ、シェリルさん殿にジェフでいいか?」

 「はい、2人共このパーティーはキラ様がリーダーですなので2人はキラ様の指示をちゃんと聞くように」

 「「ですが」」

 「いい加減にしないと私も怒りますわよ。いいですね」

 「「わかりました」」

 渋々と返事をするエルフ兄妹。
 富士の樹海も難易度はSクラスで火山になるとSSクラスの難易度だ。
 ちょっとの失敗で命を落とす可能性だってあるかもしれないのにこのチームワークが悪い俺たちで大丈夫なのか。
 連れてくるメンバーを間違えたと思いつつ気持ちを入れ替え気合を入れ直す俺だった。 
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