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久遠の神話

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第百六話 決戦の前にその九

「二刀流のこと聞きたいってメールに書いてあったよな」
「はい、興味がありまして」
「あれな、具体的なことはな」
「どういったものでしょうか」
「実際にやってみて話したいけれどいいか?」
 こう上城に言うのだった。
「道場でな」
「お願い出来ますか?」
「いいさ、丁度今から道場に行くつもりだったからな」
「そうだったんですか」
「暇だから腹ごなしに型でもしようって思ってたんだよ」
「剣道の型ですね」
「あれな」
 剣道は防具をつけ竹刀でするものだけではない、木刀を使ってそれで演舞の様にするものもあるのである。
「今度昇段審査受けるからな」
「それで練習で」
「最近やってなくて忘れかけてたところあるからな」
 笑ってこう言う中田だった。
「だからな」
「そうですか、じゃあ僕は」
「いやいや、型はちょっとやるだけだからな」
「それで、ですか」
「二刀流のことも話すよ」
 それもするというのだ。
「そっちもな」
「それじゃあ」
「今から道場行こうな」
「わかりました」
 上城と樹里は中田の言葉に頷きそうしてだった、三人で道場に向かった。そしてその中に入り上城は中田に二刀流のことを教えてもらった。
 そうしてだ、そのことを聞いてから言うのだった。
「有り難うございます、要点はですね」
「ああ、二刀流も足だよ」
「足さばきが一番大事ですね」
「手よりもな」
 むしろというのだ、中田は実際にその場で剣道の摺り足をしてみせてそのうえで上城に対して話すのだった。
「足だよ」
「足をどう使うかですね」
「手は確かに大事だよ」
 両手にはそれぞれ木刀がある、右手には小さな木刀を持っており左手には大きなものをだ。そのうえで上城に話しているのだ。
「けれどそこで足がおろそかになるとな」
「駄目ですね」
「そのことは忘れないでくれよ」
 中田は微笑みながら上城に話していく。
「これは二刀流の奴を相手にする時もだよ」
「相手の足を見て」
「手も大事だけれどな」
「足ですね」
「まずはな」
 二刀流でも、というのだ。
「かく言う俺もな」
「中田さんもですか」
「二刀流はじめた時はな」
「足をですか」
「忘れててな」
「それで、ですか」
「結構やられたよ」
 このことを苦笑いと共に言う中田だった。
「二刀流でも何で弱くなったってな」
「そう思う位ですか」
「かなりやられたよ」
「そうだったんですか」
「それでも気付いたんだよ」
 自分で、というのだ。
「足が大事だってな」
「動いて、ですね」
「ああ、足さばきが大事だってな」
「そこは変わらないんですね」
「そうだよ、二刀流でもな」
 持っている刀が増えようとも、というのだ。
「それが第一だよ」
「そういうことですね」
「君もそれはわかるよな」
「はい、剣道をしていると」
「足なんだよ」
 そこをどう使うか、というのだ。 
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