ジャガイモ

「ついでに言えばな」
「ソーセージやザワークラフトもか」
「それにアイスバインも」
「ああ、そうだよ」
　まさにだというのだ。
「どの料理もいいだろ」
「ビールと一緒に飲むと余計にな」
「さらにいいな」
「わかったな、じゃあな」
「ああ、食わせてもらうぜ」
「どんどんな」
　二人も応えてだ、そしてだった。
　そのドイツ料理、特にジャガイモのそれを凄まじい勢いで口の中に入れていった。そうして出された料理を食べてビールも飲んでだった。
　そしてだ、二人はカウンターで満足している赤ら顔で言った。
「いやあ、凄いよ」
「ドイツ料理最高だったよ」
「特にジャガイモがな」
「抜群だったよ」
「ほらな、言った通りだろ」
　親父はここでも二人にどや顔で言ってきた。
「ジャガイモは美味いだろ」
「親父さんの言った通りにな」
「目茶苦茶美味しかったよ」
「これは病みつきになるな」
「最高にな」
「そうだろ、じゃあまた来てくれるかい？」
　親父は二人にその笑顔で問うてきた。
「うちの店に」
「ああ、じゃあな」
「また来させてもらうよ」
　こう返した二人だった、二人はこの日満足して店を出た。
　それから数日後だ、二人はマッチェネッリの店とは別のイタリア料理の店で昼に話をしながらパスタとワインを楽しんでいると。
　隣の席にドイツ人のあの親父が来た、その彼を見てだった。
　二人はだ、おいおいという顔で親父に言った。
「おい、あんたも来たのかよ」
「イタリア料理食うのかよ」
「悪いか？だってイタリア料理美味いだろ」
　親父は二人が座っている席の隣の席に座ってこう応えた。
「だから来たんだけれどな」
「じゃああんたはあんたでか」
「イタリア料理楽しむんだな」
「ああ、そうだよ」
　その通りだというのだ。
「俺は俺でな」
「じゃあお互いか」
「それぞれの料理を楽しんでるんだな」
「そうなるな」
　親父は笑って二人に答えた。
「イタリアのパスタとワインいいよな」
「他の料理もだろ」
「抜群にいいだろ」
「そう思うよ、じゃあ今日はな」
「お互いにな」
「イタリア料理楽しもうな」
　こう話してだ、そしてだった。
　この日は三人で仲良くイタリア料理を楽しんだ。ドイツ料理だけでなく。


ジャガイモ　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１４・３・１８