ソードアート・オンライン 守り抜く双・大剣士
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第11話 =目指せ!プネウマ花!=
=第47層 フローリア=【称号・抜刀騎士】
=リクヤSide=
花の知識のない俺でもやっぱりここは何度来ても綺麗だって思えるな。
「うわあ…」
「綺麗…」
ユカとシリカも感嘆の声を上げている。
今までがレンガでできた町とかだから花で埋め尽くされている層は初めてなのだろう。
「やっぱり…すごいね…」
「あぁ…」
初めてここに来て、俺とサチもあの二人以上にこの層が綺麗過ぎて驚いていたっけ。
でもそのとき視界の端に移る花を見ると雑なポリゴンで花が形成されていた。
俺の知り合いでコンピュータ系に詳しい人がキリトしかいなかった為、
何故映り方に差があるのかを後日キリトに聞いてみたら《ディティール・フォーカシング・システム》という仕組みが使われているらしい。
『プレイヤーがあるオブジェクトに興味を示し、視点を凝らした瞬間、その対象物にのみリアルなディティールを与える』
というまぁなんともわかりにくい説明だけど…
これによって無駄な付加は減るし、俺たちプレイヤーは本物さながらの風景を見ることができるという一石二鳥のシステム…らしい。
「そういえば…カップル多いです…ね…」
シリカのつぶやきに周りを見るとプレイヤーは男女のカップルばっかりだ。
「うっわ…本当だな…リア充どもめ…俺も出会いほしいなー」
「「「(女子3人連れて歩いてるやつが何言ってるの…)」」んですか…)…はぁ…」
なんか俺、三人にため息つかれたんだけど…
…なんで?
俺だってそういう年頃だぜ?彼女求めたっていいじゃないか!!
「リクヤ…丸聞こえ…それより早く行こうよ。シリカちゃんも早いほうがいいでしょ?」
「は、はい。そうですね。」
「ほらリクヤ。沈んでないで早く行きましょ?置いてかれるわよ」
あれ聞かれてたってめちゃくちゃ恥ずかしい…
そんな俺を置いて先に行くサチとシリカ…俺を引っ張っているユカ。あなたたちは鬼ですか!?
こうして俺たちは街を出て思い出の丘に向かうことにした。
少し歩いて街とフィールドを隔てるアーチの前まで来ていた。
ここをくぐるとそこから先はモンスターの徘徊するフィールドだ。
やっぱり変わらず街の外にも花畑が広がっていた。
「そういえば…お二人に聞きたいことがあるんですけど…」
メニューを見て準備をしているとシリカが急に俺とサチを見てきてそう言った。
「どうしたの、シリカちゃん」
「お二人ってソロでパーティ組んでいるんですよね。それもしばらく。
それならギルドに属すれば効率はいいんじゃないかって…」
「っ!?」
「それ、私も聞きたいわね。なんかギルドに異様に反応するけど…」
出る前でまさかそんな話になるとは思わなかった…
サチも顔を下に向けている。
シリカだけなら何とかごまかせそうだったけどユカがいるからおそらくそれも無理。
ユカに嘘ついても今までことごとく見破られたからな…
「どうする…リクヤぁ…」
「…そんな泣きそうな声出すなよ……わかった…話すよ」
何でギルドに属さないかって言うのは簡単に言えば俺たちのトラウマだからだ。
あの「月夜の黒猫団」のほぼ全滅した事件が…
たら、ればの話をしたって無駄かもしれないけど、
もし俺がサチだけじゃなく全員にレベルを教えていてあの層の危険性をアピールできたら。
俺が自分の目的のためだけにあいつらを一瞬だけでも離れていなかったら…
最後、ケイタの自殺をとめることができれば…
キリトも…俺も…あいつらを殺してしまった殺人者と同類だ…
「…キリトも言ってたけど…レベルを隠すような姑息なまねしなければ…あいつらはっ!」
「……うっ…うぅ…」
簡単だっただろうけど俺とサチはあの事件を語った。
そのせいか、サチはもう涙をこらえることができずに泣いている。
サチを安全なギルドに俺は努力したこともあったけど
サチ自身も俺と同じトラウマがあるらしくギルドに入ることすら恐怖だった。
「…その…ごめんなさい…」
「いいんだ、シリカ。どうせ話さなきゃいけないことだったしな…」
「…それでアンタはギルドが怖いから最低限の人としか関わらないわけ?」
「悪いかよ…また、俺のせいで全滅しちゃうんじゃないかって…そう思うと怖いんだよ!」
俺が声を荒げユカの方を見ると彼女もまた、泣きそうな顔をしていた。
正直言えば他人事だし、そんな泣く理由はないはずなんだけどそれでも泣きかけていた。
「最後、そのリーダーが何て言ったかわかるか!?
『お前らビーターが俺たちにかかわらなければ』っていったんだ!
あいつは…俺を…俺たちを憎んでいるに違いないんだよ!」
「そんなの「…きっと思っていませんよ…」シリカちゃん?」
突然、俺とユカとの口論にサチをなだめていたシリカが優しい声で入ってきた。
「うまくは言い表せませんけど…
そのときはお友達がいなくなっちゃってその方も整理がつかなかったんですよ…
でも、きっと本当はこの世界でその人たちの分まで生きてほしいんじゃないですか…?」
「でも…でも…うっ…うあぁぁぁぁ!」
サチは現実世界でも友達だったギルドの仲間を思い出し、さらに泣いてしまう。
サチにはわかっているんだろう。本当はやさしいことを。
「今から聞くのは絶対に無理だけどさ、逃げてばかりじゃなくてちゃんと意思を受け継ぎましょ?」
「…っ…でも、怖いんだ…それに俺たちを入れてくれるギルドなんて…」
「ないなら作ればいいんじゃないですか?」
「作るって…ギルドを?」
まさかシリカからそんな提案がくるとは思っていなかった。
でも俺はそれもいいかな、なんて思い始めた。
あいつらの友人のサチを生かしてこのゲームをクリアする。
それがあいつらへの償いになる気がしたからだ。
「…うっ……やろう、リクヤ。
ケイタたちも…きっと私たちに生きててほしいって思ってるはずだから…」
サチの中でもなにやら決心がついたらしい。
あの時から俺たちはずっとあいつらが俺たちのことを憎んでるって思って生きてきた。
ユカを旅立たせたのだって何かしらの自己満足だ。
「それで…もし、よかったら…ピナが生き返った後、私も入れてもらってもいいですか?」
「…?なに言ってんだ。シリカがギルドリーダーじゃないのか?」
そんな責任感背負うのはいやだ、ってことじゃなくて
俺はみんなを引っ張っていくんじゃなくてみんなを支えることで償っていきたいって思ったんだ。
それにシリカが言いだしっぺだしな。
「え、えぇ!?わ、私が…ですか?」
「俺はそれが1番だと思う。ユカとサチは?」
「私も賛成。人を引っ張っていく、なんてそんな大それたことはできないから…」
「私は…最近まで引きこもってた身だから…えらそうに人の前に立つなんて…」
サチ、ユカの順で俺の意見に賛成してくれた。
でも当シリカは相当うろたえているようであたふたしている。
「ゆ、ゆっくり考えるのは街に帰ってからでもいいですか!?」
「お、おぉう…あわてるな……わかった。詳しいことは街に帰ってからにするか
まずはピナ組蘇生だな」
「そうだね、ピナがいればシリカちゃんも安心して考えられるしね」
「それじゃあ行きましょうか!」
「「「おーー!!」」」
俺たちは一旦、ギルドのことを後回しにし、本来の目的である思い出の丘を目指すためアーチをくぐった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「「ぎゃああああぁぁ!!?」」
さっきまでのシリアスぶち壊しだな…あんな叫び声きくと…
サチも苦笑いしている。
植物って動かなければ綺麗なんだよな…
今の状況は植物系モンスターが2体出てきたところだ。
地面をしっかりと根から進化した足で踏みしめ、移動が可能になった歩く花。
まぁ職種が何本もあってヌルヌルしてそうってだけなら特に何も無かったのだろうが、
問題なのはその茎の先だ。
普通の花なら良かったんだよ…綺麗だから倒しづらいけど…
こいつはヒマワリの様な巨大花が顔らしく、
その中央にいかにも汚い不揃いな牙を生やした口がパックリと開いて内部の毒々しい赤をさらしている。
しかもそれが2体。気持ち悪さも倍増だ。
俺の考えはシリカ、ユカの2人にレベルアップしてもらいたいから援護しかしないんだけど…
「大丈夫だよ、2人とも。その花の下の白い部分狙えば倒せるから」
「そ、そうは言うけど…こいつ気持ちわるすぎっ!!」
「そいつで気持ち悪いんならこの先もっとやばいぞー。
そいつの何倍も触手はえt「イヤーーーーー!!!い、言わないでください!!!」お、おう…」
シリカは自身のダガーをめちゃくちゃに振り回してソードスキルをあさっての方向へ
ユカは投剣をこれまたいろんな方向へ。
投剣の場合こっちにも飛んでくるから俺とサチは必死でよけなきゃなんないんだけど…
当然行動したからには硬直時間が生まれる。
これはチャンス以外なにものでもない。
そのモンスターは器用に自身の触手でシリカとユカの脚をつかみ引っ張りあげた。
「「へっ?」」
足から引っ張られれば当然頭が下になる。
ここで簡単に男女の服装の違いについて説明しておこう。
最初男性プレイヤーとして登録した人はほとんどが長ズボンなど足が全部隠れるタイプだ。
女性として登録した人は…スカートがほとんどです。
そしてこの世界には重力が仮想だけどあるので…
「「キャーーーーーーー!!!!」」
スカートの中が見えそうになってしまった。
俺は見たい!という好機心と見てはならない!という理性があるので片方だけで目を押さえているけど
サチが「見ちゃ駄目!」と叫びながら俺の顔面を押さえてきた。
「ちょっとリクヤ!!見ないで助けて!」
「んな無茶な…サチ、お願い…」
「わかったけど…見ちゃ駄目だからね!」
そういいサチは俺から手を離し2人の元へ駆けていった。
棍は一応打撃武器だが、ほかのと比べて威力はない。
でもそれを補うかのようにスピードが比べ物にならないほど速い。
出る方法は長槍を使い続ければスキル出現というのは決定しているらしい。
俺の【双・大剣士】みたいに不明ではない。
「やぁぁぁ!!」
あくまで助けるだけ、らしいので移動しながら触手を棍で叩いていく。
まずはシリカ、そしてユカ。
叩かれてその触手から2人を開放するのはいい。
でもそのまま落ちていくのでシリカとユカは両手を使って立て直す。
そのとき、俺は目を隠すのを忘れていた。
…二人とも白…ですな…
ようは中の布が見えちゃったのだ。
「セイッ!!」
「こ、のぉ!!」
二人は恥ずかしい思いをさせられた恨みなのか的確に弱点を突く。
その攻撃を受け2つの花はポリゴンとなって消えていく。
これで一件落着だな。
「見た?」「見ましたか?」
まさか2人して同じ質問を同じタイミングでやられるとは…
何かはわかってるから「見た」って言ったら精神的に殺されるな…
「み、見てない」
完璧に疑っているが2人はその場では納得してくれたことはありがたい…
が…まだ続く
「「水色?」」
「え?白じゃなかっtぶっ!!」
「最低!!」「ひどいです!!」
二人に蹴られた。(コードが発生しない威力で)
―――――――――――――――――――――――――――――――
…危なかったな、正直。
長い間ここを攻略していたわけではないので俺たちでさえ見たことないモンスターも出てきた。
意外と肝の据わったサチでさえ奇声を上げ初めてきた2人は気絶しかけていた。
でも結構戦ったおかげでシリカのレベルはこの層数と同じ『47』、ユカが『52』まであがった。
「そろそろ≪思い出の丘≫だぞ」
「ようやくここまで…大変だったわ…」
「見たところ分かれ道はないですね」
「でもモンスター数は多いらしいから気をつけてね」
「それじゃあ行きますか!!」
「「「おー!」」」
思い出の丘までもうすぐになると最初のほうで出てきた花が大量に出てきたり、
イソギンチャクに足が生えたやつとか、花がいくつもついていてその花1つ1つに気持ち悪い口がついているやつなどが大量に出てきた。
粘液で全身コーティングとかもうあたり前、ヌルヌル集団だろ、もう…
でも徐々に慣れてきたのか諦めたのか知らないけどシリカとユカも普通に戦えている。
安全マージンじゃないためまたここでもシリカのレベルがさらに上がった。
「さ、着いたぞー」
「うわぁぁぁ……!」
「使い魔を生き返らせるって花はどこなの?」
「えっと、確かその岩の頂点に…ってシリカちゃん聞いてないね…」
サチが言うとおり岩の頂点と聴いた瞬間シリカは走り出していた。
「な、ない、ないよ!?…リクヤさぁん…」
「嘘っ!?…泣くなって……ほら、もう一回見ろって」
また泣きそうになっているシリカにもう一度見るようにいい、視線を戻させると岩の上で一本の芽が出てきた所だった。
一本の芽はある程度まで伸びると葉を白く二つに分ける。
さらにその中から緑のつたが伸びていきどんどん成長していく。
テレビとかでよくある植物の成長の早送りの光景がいま俺たちの目の前で行われていた。
…なるほどね、だから『ビーストテイマー』がいないとゲットできないのか…
そしてすぐ、サチとユカもこちらに来た。
俺たちが成長を見守る中、どんどん伸びていき蕾までのところまで生長してきていた。
そしてそこからゆっくりと(現実にしてみれば速いが)花がどんどん開いてきた。
すでに岩の上にあったのは今まで見てきた花の中でも一番美しいといえるんじゃない勝手ぐらい綺麗な白い花だった。
「触って…いいのかな…?」
「触らなきゃアイテムゲットにはならないだろ」
「シリカちゃん、その花を摘んでみて」
サチが促し、シリカはその花に触れる。すると花の部分だけを残して砕け散り花本体はシリカの手に落ちてきた。
確認のためシリカがそれを指先でクリックし、出現させたネームウィンドウに名前が表示させられる
《プネウマの花》…これが例の蘇生アイテムだった。
「これで……ピナを生き返らせられるんですね……」
「うん、でも蘇生させるのは安全な街にいってからにしよ?またピナを危険な目にあわせちゃってもいけないから」
はい、とうなずくシリカ。
すると次の瞬間、ユカがシリカのことを抱きしめていた。
「おめでとうシリカちゃん!」
「きゃっ!?…ありがとうございます、ユカさん!」
確か、妹がいるって話は聞いたことあるからな。
重ねてみちゃったんだろうな…
「ならさっさと街いってピナとご対面しますか!」
「はい!」
そういいながら女子三人で先に行ってしまった。
なんか微笑ましいな、ああいう光景を見るのは…
いまのシリカの目を見ると本当に罪悪感がひどいんだよな…
ピナが生き返るのは俺もうれしいし、こんなシリカを見るのも気分が楽になる…
でも、あいつらを誘い出すための囮としたことには間違いない…
そんなことを思いながら俺は3人に追いつくため走っていった。
―――――――――――――――――――――――――――――――
幸い街近くまで行くのにモンスターとのエンカウントはなかった。
波でもあるのかな…出るときと出ないときの…
「そこの木の影にいる人、出てきなさい!」
とつぜん、ユカがそんなことを口走りその木に向かって投剣を投げつけた。
その剣は木に刺さったままになったが威嚇にはちょうど良かった。
シリカは慌ててユカが投剣を投げ刺さった場所に目を凝らすが、人影はない。
だが不意にガサリと後ろの木の葉が動いた。
それと同時にプレイヤーを示すカーソルが表示される。が、色はグリーンなので犯罪者の可能性は皆無。
その正体はシリカの知っている顔だった。
「ろ、ロザリアさん!?何でここに………?」
出て来たのはあの35層の街で出会ったロザリアだった。
赤い髪、エナメル上に輝く黒のレザーアーマーを装備し、片手には細身の十字槍を携えている。
瞠目しているシリカを無視して不気味な笑い顔と共にユカに話しかける。
「アタシのハイディングを見破るなんて、なかなか高い策敵スキルね、侮ってたかしら?」
「あなたのハイディングが低いだけじゃないのかしら?」
どっちも口げんかじゃ負けない雰囲気出してるな~…
正直言おう、怖い!
「その様子だとし、首尾よく《プネウマの花》をゲットできたみたいね。おめでと、シリカちゃん」
「気をつけて…何かたくらんでるよ…!」
サチの言うとおりロザリアは明らかに何かを企んでいる。
自身も直感でそれを感じたシリカは数歩後ずさりサチがその前に出る。
その直後、全員の期待を裏切ることなく例の女はこういった。
「じゃ、さっそくその花を渡してちょうだい」
「な、何を言ってるんですか…!?」
だろうな。本当に期待を裏切らないけど憎めないってやつじゃない…
こいつは十分な悪者だ…
「それは無理な相談だなロザリアとやら…。いや、オレンジギルド≪タイタンズハンド≫のリーダーさん?」
後書き
リ「今回は微妙なところで終わったな」
涙「それが狙いだよ」
ユ「ただ思いつかなかっただけでしょ…」
リ「うぉっ!?ユカいたのか…」
ユ「いちゃ悪いのかしら?」
涙「けんかするな、幼馴染なんてずるいな!」
ユ「なんでずるいの?
…それにしても今回あなたの学校のテストで私のモデルの人にテスト点数全敗そうじゃない」
リ「うっわ…馬鹿じゃないの?」
涙「うるさいわ!!それでも学年で順位は40くらいだ!!
それにリクヤだってユカに負けてる設定なんだよ!」
リ「なん…だと…!?い、今思えば確かに負けてる…お前のせいか!!」
ユ「…馬鹿ばっかリ……あ、呼んでくださってありがとうございます
これからもよろしくお願いします」
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