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チートな転生者の奏でる『俺の転生物語』原作どこいった!?

作者:虚空
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番外編『根源に至りし錬鉄者との出逢い』

 
前書き
今回はにじふぁんでお世話になっていた錬鉄者さんとのコラボの回です。

 

 
時間軸は異世界での修業が終わってから数日後。

「あれから色んな世界を廻ったけどどれも大変だったなぁ~」

あれから俺はトリコだけでなく fate、魔法世界、モンハン、シャナ……etc

などの複数の世界を廻った。

「宝石の肉とりにいったらマンモスに喰われるわ 転移ミスって学園に入ったら正義バカどもには襲われるわで大変だったなぁ~」

宝石の肉を採るためとはいえマンモスの中に入るのは大変だったし……。

とある世界では襲撃者に間違われてバカがいきなり襲って来るわ……。

かなり大変な目にあったな~。

「私としては好物の油揚げをつくるための材料が手にはいったので嬉しいですが」

好物である油揚げの材料が手に入ったおかげなのか終始上機嫌な千歳。

「そうか」

そんなほのぼのとした空気を……。

「零! 緊急事態じゃ!」

神という名の一人の乱入者がぶち壊す。

「いきなりなんだよ!?」

のほほんとした空気が一瞬で破壊されたんですけど!?

「お主がこの前に殺した転生者の魂の残りカスがココとは別の平行世界に入り込んでしまったのじゃ!!」

そんな俺の心境をガン無視して自分の用事を喋るゼウス。

「ちょっと待てゐ!? ヤツは魂ごと完全に殺したはずだぞ!?」

俺は確かに『直死の魔眼』で奴の存在を……『死点』を突いたハズだぞ!?

「どういうわけかはわからんがヤツの魂の残りカスが完全に消える前に平行世界の扉をくぐり逃げたようじゃ!」

ホントにどうやってわたったんだ?

俺でも出来ないぞ。

「あれでも完全に死んでなかったのかよ」

どんだけしぶといんだよ……。

生命力は台所とかに出る黒いアイツよりも上ですか?

「今のヤツは欲望と本能の塊じゃ! しかもお主にやられたせいか能力はほとんど使えんみたいじゃがな」

最初とあんま変わらん気がするのは俺だけか?

それはともかく……。

「わかった!」

今回の事件の原因は俺にもあるために俺はゼウスの討伐任務を受ける事にした。

「スマン……」

申し訳なさそうに謝るゼウス。

「謝るよりも先に俺達を送ってくれ!」

ヤツが行った世界が大変な事になってなきゃいいんだが……

「うむ!」

「千歳! 準備はいいか!?」

「はい」

「では主達を送るぞ!!」

パチンッ!!

ゼウスが指を弾いた次の瞬間。

ブゥンッ!!

足元に黒い穴が現れ、

「って! またかい!?」

「え?」

再びひ○し君人形よろしく没シュートされる俺達。

「後で覚えてろよ~!!」

黒い穴の中に落ち世界を移動する二人。

「ふ~む あやつにばかり押し付けてしまうのはしのびないがせんなきことなのかの~」

一人呟くゼウスの姿には哀愁の色が見える。


ちなみに同時刻の二人が落とされた黒い穴の中では……。

「あんのジジイ……とりあえず帰ったら一発殴る!!」

世界の移動方法に腹をたてた零は一人ゼウスに報復を誓う。

「零様」

突如千歳が主である零に呼び掛ける。

「どうした?」

「どうやらそろそろのようです」

千歳の言うとおり黒い空間に終わりが見えた次の瞬間俺達は……、

「またかい……」

また上空にいました。

「はぁ~ なんでまた上空数百メートルから始まるかね~」

などと愚痴りながらも俺は千歳と共に飛行魔法を展開し夜の上空を飛翔する。

俺どんだけ上空に縁があんの?

飛行能力なかったら大変な事になってるよ?

「零様 魔力反応を察知しました!」

千歳が魔力を感知し場所を告げる。

「わかった 急いで向かうぞ」

俺達は速度を上げ魔力反応のあった場所まで急ぐ。

「見つけた!」

そこには紅い外套を纏った少年らしき人物と金髪の女の子がいた。


シロウ Side

「クッ ヤツは何者なんだ!?」

身体を数本の剣に貫かれつつも少年はまるで猛禽類の如き鋭き視線で目前の敵を睨む。

「オイオイ ちっさい エミヤシロウにセイバーってんのはなんの冗談だよ!?」

それに対し相対する敵は紅い外套を纏った少年の様子にまるで嘲るような言動を投げ掛ける。

「クッ 二本の聖剣の直撃を受けても死なないとは!」

視線は厳しいままだが若干の焦りを見せる少年。

「シロウ!」

金の糸で紡がれたかのような黄金の髪の少女が少年の名を呼ぶ。

「大丈夫だ セイバー まだ戦闘はできる」

シロウと呼ばれた少年は己の名を呼ぶ少女に大丈夫だと言う。

「しかし!」

「オイオイ 敵の前でイチャつくなんて随分と余裕だなぁ! オイッ!!」

なおも嘲るような態度を崩さない男。

「クッ 奴も転生者なのか!?」

「心配すんな さっさと てめぇをぶっ殺してフェイトやなのは達は俺好みの牝奴隷に調教してやるからよぉ!!」

男は全身に狂気をみなぎらせながらも下卑た言動を発する。

「フェイト達には指一本触れさせはしない!!」

男の言葉にシロウは激怒し声を荒げる。

「この世界ならあの邪魔なアイツもいない! 俺の世界だ! 俺の時代が来たんだ! まさに俺センチュリー」

男は意味の解らない言葉を発しさらにその身から狂気を滲み出させる。

「キサマッ!!」

フェイト達をあのような腐った奴の好きにはさせてなるものか!

「シロウ! 新たな魔力反応が!?」

今このタイミングでだと!?

私がセイバーの示した方向を向くと、

「な なんだと!?」

新雪のような純白に近い銀髪の少女? がこちらに近づいてくるのを確認した。

「まさか!?」

向かって来るのは……、

この身体の本来の持ち主と縁の深い人物であり義理の姉であった少女に酷似した人物であった。

「イリヤ!?」

シロウ Side end


零 Side

「見つけた!?」

俺の視線の先にいたのは……、

「シロウ!?」

身体を数本の剣に刺された紅い外套の少年だった。

だがその姿はあまりにも自分の知る人物に似ているためについ声を荒げてしまう。

「何故この世界に!? いや! 今は考えてるヒマはない!」

俺は虚空に数十本の剣を創り敵である 竜神 煉也に向かって放つ。

己に向かってくる剣群に気付きすぐに回避する煉也。

「なっ!? てめぇは!!」

驚く煉也を無視し俺は少年のすぐそばまで下りる。

「大丈夫か?」

少年のすぐそばに近づき話し掛けると、

「イリヤ!?」

今のこの身体の基となった少女の名を呼ぶ少年がいた。

あ〜 今の俺の外見ってまんまイリヤになってんからなぁ〜。

「残念ながら俺の名前は黒帝 零だ ちなみに男だ!」

男だからな!

「なんだと!? グッ!」

驚くと同時に傷の痛みで膝をつく少年。

「とりあえず『ヒール』」

俺は少年の身体に回復魔法をかける。

「傷が!?」

突然の回復魔法に驚く少年。

「シロウ!?」

突然の事に驚き少女が少年の名を呼ぶ。

「まさか エミヤ シロウ?」

「何故君が私の名を!?」

俺のつぶやきに反応したシロウと剣を構えるセイバー。

「詳しい説明は後だ! それよりも今はあのクズを倒すのが先決だ!」

「クッ! しかたあるまい」

「また てめぇか!?」

黒く濁り憎悪に満ちた目で零を睨む煉也。

「それは俺のセリフだ! お前は俺が殺したはずなのに他の世界で迷惑かけやがって!」

「俺の野望を叶えるまで死ねるか!!」

「事情はよくわからないが どうやらキサマはここで倒した方が良いみたいだな」

「てめぇにできんのかい!? 正義の味方さんよぉー!?」

なおも嘲るような態度を崩さない煉也。

「キサマ!!」

その態度と言動に怒りを顕にするセイバー。

まぁ 彼女のような高潔な精神を持つ騎士である以上煉也のような人をバカにしたような態度をとるものに怒りを顕にするのは無理もないだろう。

「落ち着け セイバー!」

怒りを顕にするセイバーを宥めるシロウ。

「しかし!」

「シロウの言う通りだ怒ったところで意味はない だが……それ相応の報いは受けてもらうとしよう」

「そうだな」

お互いに頷き合い、

「千歳 援護は頼んだぞ!!」

「はい お任せ下さい!」

己が従者に指示を出す。

「では 私達も行くとするか」

「はい!」

「いくぜ!!」

俺は白と黒の双剣を創り構える。

「ハッ!!」

シロウは俺と同じ双剣で敵の攻撃を必要最低限の動きで捌き、

「ハァッ!!」

セイバーは魔力ブーストを使いスピードとパワーを上げて戦い。

「セイッ! ハッ!」

俺は自身に強化魔法を使いスピードと手数で敵を翻弄する。

「チッ! チョコマカとウザイ ヤツめ!!」

「アナタも人の事はいえませんよ」

千歳は狐火や妖術で煉也の隙をついて零達の援護に徹する。

「クソが!!」

煉也はその手に再び巨大な斧剣を造り力任せに薙ぎ払う。

ー粉 砕ー

巨大な斧剣が高速で薙ぎ払われた事によって地面がえぐれその衝撃でコンクリートの破片が飛び零達に襲い掛かる。

「『粋護陣』」!!

俺は千歳の前に立ち防御技でこちらに向かって来る破片を防ぐ。

「『プロテクション』!!」

シロウはセイバーの前に立ち防御魔法『プロテクション』を使い破片を防ぐ。

「喰らえ! 『王の財宝』!!」

煉也は『王の財宝』を使い虚空から無数の武器を零達に向かって展開し放つ。

「クッ!!」

「このままでは!」

「零様!!」

「全員俺の後ろに!」

俺は全員を後ろに行かせ、

「コイツはどうだ!」

俺はとある一つの鞘を創りその真名を解放する……、

その名は……、

「『全て遠き理想郷』(アヴァロン)!!」

かつて騎士王と共にあり過去において失われし聖剣の鞘。

その名は理想郷を意味し所有者には癒しと最強の護りを与える。

真名解放により数百のパーツに別れたそれは対象をあらゆるものから遮断する最強の護り。

向かって来る無数の宝具はその護りに遮られその全てが跳ね返される。

「アヴァロンだと!?」

跳ね返された宝具は自らの所有者に襲い掛かる。

「『熾天覆う七つの円環』(ロー・アイアス)!!」

とっさに造られた紅き盾は必要な工程をいくつもすっ飛ばしたために脆く。

「ギャアァァァッ!!」

身体をいくつもの武器が貫きダメージによって膝をつく煉也。

「今のうちに畳み掛けるぞ!!」

「同調開始〈トレース・オン〉」

シロウはその手に一つの聖剣を造る。

それはかつて騎士王が所持していた聖剣。

「ハァッ!!」

そして騎士王の力と姿そして想いを宿した彼女は同じ剣を掲げ……。

「「『約束された』(エクス)……」」

今二振りの聖剣が振り下ろされる。

「「『勝利の剣』(カリバー)!!」」

二つの光の斬撃は重なり愚者を十字に切り裂き、

光の奔流によって愚者を焼く。

「ガァァァッ!!」

光によって断罪された愚者の身体はそれでもなお生を求めて足掻く。

「千歳 ユニゾンだ!」

「はい!」

「「ユニゾン・イン!!」」

俺は千歳と融合《ユニゾン》し九つの尻尾をもつ金毛白面九尾の狐にへとその姿を変え。

ー開 眼ー

「今度こそ完全に終わらせてやる!!」

直死の魔眼を解放し、

「シロウ 俺にナイフをくれ!」

シロウにナイフを要求する。

「あ あぁ」

若干どもりながらもそれに応えるシロウ。



シロウ Side

「「ユニゾン・イン!」」

私は目の前の光景に驚きを隠せなかった……。

確かに知識としてはユニゾンデバイスが存在するというのは知っていたが、

「ここまでとは……」

このように完全に姿形が変わるものは知らず私は驚愕する。

「しかし……」

私は目の前にいる狐を見てこう思わざるをえない。

そう……ただ一言、

「美しい」

と……。

目の前にいる九本の黄金の尻尾を優雅にたゆらせその細く美しい身体は妖しさだけでなくどこか神聖さをも感じさせる。

「シロウ 俺にナイフをくれ!」

その姿に見惚れていた私を零の言葉が現実に戻す。

「あ あぁ」

私はすぐさま強固な一本のナイフを造り零になげる。

シロウ Side end



零 Side

俺はシロウからなげられた一本のナイフを口にくわえ。

「今度こそ終わらせる!!」

俺は全身のバネを使い走る。

「クッ! クルナー!!」

すでに精神的にも肉体的にも限界を超えた煉也はただがむしゃらに魔法弾や宝具を撃ってくるが、

「そんなものが当たるか!!」

俺は迫り来る全て攻撃の軌道を見切り、最小限の動きでかわし一直線に煉也へと迫る。

「これで……終わりだー!!」

ー刺 突ー

俺はナイフを煉也の胸の中央に存在する『死の点』に突き立てる。

「ギャアァァァッ!!」

ナイフを突き立てられた煉也は悶え苦しみながら獣の如き断末魔の叫びをあげる。

「死にたくない! 死にたくねぇよぉ! まだ俺は! まだなんにも俺の願いを叶えてねぇのに!! こんなところで!!」

しぶとくあがく煉也。

「これで本当の最後だ!!」

俺はナイフを蹴りさらに深く刺す。

「アァァァッ!!」

ー灰塵ー

煉也の身体が崩壊を始め細かな粒子となって飛散していく。

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だーーーーー!!」

末期(まつご)の叫びをあげながら今回は魂ごと完全に消滅するのを確認する。

「最後の最後までやかましい奴だったな」

零 Side end


シロウ Side

「まさかあの力は……」

煉也と呼ばれた男の胸の中心にナイフが刺さった瞬間私は何か違和感を覚え男をよく見ると……、

「なにっ!?」

身体が灰のように細かな粒子となって崩壊していくのに気付く。

「あの力はまさか……『直死』……」

シロウ Side end



零 Side

「ユニゾン・アウト」

零の身体が光に包まれ身体から千歳が出た事により元の身体に戻る。

「今度こそ終わったな」

「はい 魂の消滅を確認しました」

「そうか」

「ところで……いい加減説明してくれないか?」

シロウが説明を求める。

「そうだったな」

俺は煉也に関する事と自分に関する事の一部をシロウに教える。

「というわけなんだ」

「なるほど」

「次はシロウの事を教えてくれないか?」

何故この世界にエミヤ シロウがいるのかも気になるしな。

「そうだな」

俺はシロウが根源に至りそこで出会った存在と自身に関する事を教えてもらう。

「私自身未だにわからない事が多すぎる以上詳しい事はいえないんだ」

「お互いに奇妙な縁があるものだな」

今の俺の姿がイリヤであるだけにエミヤ シロウの姿をした者が違う世界であるとはいえなにやら奇妙な縁を感じるな……。

「ふむ 確かに」

「そういや千歳は何を……」

俺が千歳の方を向くと……、

「なかなかでしょう」

「いいですね」

主そっちのけでなにやら談笑している二人。

「特にコレなどどうです?」

なにやら写真のようなものを見せる千歳。

「これは!」

何故か顔を赤くしながら驚くセイバー。

「なに……やってんのアイツら……」

「何故かわからんがああいう手合いには関わらん方が良いと思うぞ」

「「ハァ~」」

二人は同時にため息を吐く。

「ところでよければ私達の家に来ないか? 私の家族も紹介したいのだが」

「いいのか?」

「あぁ もちろんだとも」

「なら お言葉に甘えるとするか」

俺はシロウの言葉に甘え家へと案内してもらう。

それから数分後……。

「ここが私達の家だ」

シロウに案内されて俺は家につく。

「ただいま」

シロウが扉を開けた次の瞬間、

「シロウ! お帰りなさい!!」

金色の髪の少女がシロウに抱き着く。

「ふ フェイト!?」

突然の事に驚きながら少女の名前を呼ぶシロウ。

それを見た俺は……、

「あっつあつだねぇ~」

シロウを茶化す。

「茶化すな!」

「え? 誰?」

「シロウの友達の 黒帝 零っていうんだ」

「千歳と申します」

「え あ あの私はフェイト・テスタロッサです」

突然の事に困惑しながらも礼儀正しく挨拶をするフェイト。

「詳しい話しはリビングで行うとしよう」

俺達はリビングへと移動し、

「実は……」

シロウは事のあらましを全員に説明する。

「というわけなんだ」

「平行世界から来たなんて……」

プレシアは俺の説明を聞き平行世界から来た事を信じられないと言った顔をしながら俺達の顔を見る。

「零って強いの?」

フェイトと瓜二つの姿をした少女アリシアが零の強さを聞く。

「まぁ それなりにね」

ウソです……本当はやりようによっては世界の一つや二つぐらい滅ぼせます。

やらないけどね!

「ところで 気になってたんだけど」

「はい?」

「あなた 女の子?」

プレシアが零の性別をたずねる……。

またかよ……。

見た目だけを言えば雪のような白い髪の少女にしか見えないので仕方がないと言えよう。

「残念ながらりっぱな男の娘です」

ウソは言ってないよ……不本意だけど……。

「あら 残念ねぇ~」

いや 何が残念なの!?

「零って男だったの!?」

零が男だと知り驚きの声をあげるアリシア。

「そうだよ」

「そんなにかわいいのに!?」

「いや 俺より君達の方がかわいいから」

てか……かわいいとか言わんといて……泣きたくなるから。

見た目はともかく中身は男だからかわいいとか言われても反応にこまるんだよね……。

「「本当!?」」

「え?」

二人そろって驚きの声をあげる。

「冗談はよく言うけど嘘はつかないよ」

「私ってかわいいの!?」

「もちろん」

というか人の美的感覚はそれぞれだがこの二人をブサイクと言う奴はそんなにいないだろう……。

つか居たらはっ倒す!

「わ~い」

可愛いと誉められた事に喜ぶアリシア。

その姿は無邪気な笑顔とも相まってとても眩しく見える。

「ふむ 仲良くしているみたいだな」

そんな光景を見守るシロウの姿があった。

なんか父親みたいだぞ?

キュ~グルルル!

突如誰かの腹の音が鳴る。

「シロウ お腹が空きました!」

腹ぺこセイバーさん降臨!

「なら 何かつくるとしようか」

やれやれといった感じでエプロンをつけながら台所へと向かおうとするシロウ。

「俺も手伝おうか?」

そんなシロウに手伝おうか?と声をかける零。

「いいのか?」

「料理はけっこう得意だしな それに………」

俺は王の財宝を展開し中から……、

「なんだそれは!?」

普通の生体系なら見るはずのない食材が現れる。

「俺が巡った世界のうちの一つの世界でとった食材たちだ 全て味は保証するぞ」

「世界を巡る?」

「あぁ 俺は特殊な改造を施された宝石剣を持っていてな それの力でいろんな世界を巡ったんだ」

「ほぅ」

シロウは俺の持つ宝石剣に興味を示す。

「なかなか興味深い話しね」

プレシアも次元世界だけではなく平行世界すら渡る宝石剣の存在に興味を抱く。

「まぁ それはさておき……料理ができるまでコレでもつまんどいてくれ」

俺はあるものをプレシア達の目の前に置く。

それは……、

「コレは苺?」

房がフサフサした苺だった。

けしてシャレではないのであしからず。

「まぁ 食べたらわかる」

「それもそうね」

プレシアは苺を一つとり口へと運ぶ。

たっぷり実の詰まった苺が潰れる音が響く。

「味はおいしいけど普通ね」

しかしこの時すでに変化が起きていた。

「プレシア! か 髪が!?」

プレシアの変化に驚きの叫びをあげるシロウ。

「髪がどうかしたの?」

何故シロウが髪を見て驚いているかがわからないプレシアに俺は手鏡を手渡す。

「えっ!?」

手鏡に写っていたのは……、

「髪が綺麗になってる!?」

普通では有り得ないほどに髪が綺麗になったプレシアだった。

「なにコレ?」

「この苺はキューティクルベリーっていって食べたら髪が最高クラスの髪質へと変わり肌も綺麗になるんだ」

文字通り輝くようなキューティクルにな。

「こんなのがあるなんて」

「まぁ 普通じゃ有り得ないしね」

「お母さん綺麗~」

「母さん凄い……」

「これはまだ序の口だから期待しててくれよ」

「うん!」

「このような食材があるとは」

シロウはまるで新しい玩具を与えられた子供のように眼を輝かせながら零の出した食材を見つめる。

「シロウの料理人魂に火がついたようだな」

「あぁ! このような珍しい食材を調理する機会などそうはないだろう!」

真剣な表情で眼光鋭く食材を一つ一つ厳選するシロウ。

「なら始めますか」

「お手伝いします」

途中から千歳も参加する。

「腕がなるな!」

零達が台所に行き調理が始まる。

何故かその過程でシロウの雄叫びのようなものが聞こえたがそれはあえて無視しよう。

そして……、

「ちょっと………」

「これは………」

「やり過ぎたな………」

零達の眼前には大量の料理群がところせましと並んでいた。

「とりあえず運ぶか」

「そうだな」

大量の料理をリビングへと運ぶ。

それを見たセイバーは……、

「おぉぉぉ!!」

歓喜の叫びをあげる。

その背後にデフォルメされた獅子が見えるのは気のせいだと信じたい。

アレってスタンドじゃないよね?

「凄い量ね」

若干呆れているプレシア。

「すご~い」

「すごい」

フェイトとアリシアの二人はその量に驚く。

「興がのってつくりすぎた」

「さすがにやりすぎたね」

流石にヒートアップし過ぎたか?

「そうですね」

「シロウ! 食べていいですか!?」

今か今かとまるで餌を前にした犬のように眼を煌めかせながらシロウに問うセイバー。

「そうだな 食べるとするか」

そんなセイバーの姿にやれやれといった感じで食事を始めるシロウ。

「では」

「「「「「いただきます!」」」」」

全員が料理を口に運ぶ。

「おいしい!」

「凄くおいしいよ」

アリシアとフェイトの二人は笑顔で料理を食べる。

つくった人間としてはやはり料理で笑顔を見せてくれるのはとても嬉しい事だ。

「くやしいけどおいしいわね」

プレシアは若干悔しそうな顔をしつつも料理に舌鼓をうち。

「シロウ! おかわりを!」

早ッ!? 早すぎるよッ!

セイバーは大量の料理を高速でたいらげる。

正直な話その小さな身体のどこに納めているのかを小一時間ほど問いただしたいものだ。

「少しは落ち着きたまえ」

シロウはそんなセイバーに若干呆れながらも注意をする。

そんなこんなで若干宴会のようになってしまった食事会だが。

これはこれでなかなか楽しいのでありだと俺は思う。

それからしばらくして……、

「うわ~ あれだけあった料理がもうほとんど無いよ」

文字通り山のような料理の数々はすでにテーブルからその姿を消していた。

「さすがはセイバーといったところか」

実際彼女がほとんどの料理をたいらげていた。

「あの細い身体のどこにはいってんだろ?」

ちなみに他の女性陣達はデザートの虹の実ゼリーのとりこになっていました。

「シロウ 少しいいか?」

「どうした?」

「ここじゃなんだからシロウの部屋に行っていいか?」

「わかった」

俺達はこっそりと部屋をでるが……。

「シロウ?」

一人気付いたフェイトが後を追い掛ける。

フェイト Side

私はシロウと零が部屋を出て行くのを見て不思議に思い後をつける事にした。

「なにをしてるんだろう?」

私が部屋の扉に耳をつけ会話を盗み聞きすると。

「シロウってけっこう………」

「そうか?」

「フェイトには内緒だね」

えっ! 何が!?

「うぅむ」

「ここなんてこんなに硬くなってるじゃないか」

「コラ! あまりペタペタ触らないでくれ!」

ホントになにしてるの!?

その時……、

ドサッ!

何かが倒れる音がし、

「シロウってば大胆だね」

「スマンッ!!」

シロウが慌て零に謝るその言葉をかわきりに私がシロウの部屋へ押し入ると。

「「あっ!」」

何故か上半身裸のシロウが零を押し倒していました。

「シロウのバカー!!」

フェイト Side end



零 Side

「シロウ お前さっきの戦闘のダメージがまだ残ってるだろ」

「気付いていたのか!?」

「動きが若干変だからな」

本人は普通にしているつもりだろうが若干動きがぎこちないところがあるのが見てとれた。

「ふむ まぁ たいしたことはないのだが内部にまだ若干のダメージが残っているようだ」

「治療してやるから服を脱げ」

「なっ!」

「こういうのは早めに治療しといた方がいいだろ?」

「クッ! 確かにそうだが……」

「善意は受け取っとけ」

「ふむ ならば頼むとしよう」

零の言葉に従い服を脱ぐシロウ。

「シロウってけっこう筋肉ついてるんだな」

見た目はそこまでではないが触ると固くしなやかな弾力を帯びた筋肉の感触がわかる。

かなり鍛えてるな。

「そうか?」

俺は解析魔法を使いシロウの身体を調べる。

「まだ けっこうダメージが残ってるぞ」

体内にダメージが残っておりそこまで酷いものではないが何も処置をしなければ後々響いてくるだろう。

「そうなのか?」

「フェイトには内緒だね」

俺は回復魔法を使いながら言う。

「うぅむ」

「しかしシロウってけっこう筋肉が固まってるとこがあるな 家事疲れか?」

「まぁ それもあるかもしれないな」

「ここなんてこんなに硬くなってるじゃないか」

俺はシロウの筋肉を触って硬さを確かめる。

「コラ! あまりペタペタ触るな!」

シロウが身体を動かした次の瞬間。

ドサッ!

零の身体が押されベッドに倒れると同時にシロウの身体が覆いかぶさるように零の上にのる。

「シロウってば大胆だね」

「スマンッ!」

構図としてはシロウがイリヤを押し倒しているのを想像するとわかりやすいだろう。

その時……、

ー開ー

突如扉が開きそこからフェイトが現れた。

「「あっ!」」

運悪くこの光景を見たフェイトが取った行動は……、

「シロウのバカー!!」


バルディッシュを展開し泣きながらシロウへと殴り掛かる。

「フェイト!? 落ち着け! 落ち着くんだ! 落ち着こう! コレは事故だ!?」

おぉ! 見事な三段活用!

「うそつき~!!」

「話しを聞いてくれ~!!」

なんか浮気現場を押さえられた男みたいだな。

「なんで私にはしてくれないの~!?」

「待て! 論点がズレているぞ!」

「問答無用!!」

「零からもなんとか言ってくれ!!」

そんなシロウの要求に、

俺は小悪魔のような笑顔を向け。

「フェイト フェイト」

俺はフェイトの動きを止め耳打ちする。

「ゴニョ ゴニョ」

「えっ!? そんな!? 恥ずかしいよ!」

「まぁ ものは試しで」

「うぅ~ ////」

フェイトは顔を真っ赤に染めながら口を開く。

「し シロウは わ 私以外にこんなことしたらダメなんだからね!! 罰として私を抱きしめなさい!!」

顔を真っ赤に染めながらツンデレっぽいセリフを言うフェイト。

「零ー!? お前いったい何を吹き込んだー!?」

「ん? あえていうなら男の浪漫?」

「意味がわからん!?」

美少女を抱き締めるのって男の浪漫じゃなイカ?

「は 早く私を抱きしめなさい!!」

「なんでさー!?」

シロウの叫びが部屋に木霊する。

時間を少し K・クリムゾン して数分後、

そこには……、

「むふふ~」

顔を赤らめながらもシロウに抱きしめられ幸せそうなフェイトと、

「…………」

どこか疲れ果てた顔をしたシロウの姿がそこにあった。

「ムフフ 我ながら良い仕事をしたぜ そして 俺は Cool に去っていく」

俺は静かに部屋を出る。

「おい! 私を置いていくな!!」

シロウは部屋から出ようとする零を引き留めようとするが、

「サラダバー!」

そんなの関係ねぇとばかりに部屋を出る零。

俺が部屋の外にでると、

「あら? もう終わり?」

何故かプレシアがいた。

「ありゃいつの間に?」

「フェイトが叫んだ辺りからよ」

「さいですか」

「ありがとう」

突然零に向かって礼を言うプレシア。

「へ?」

「私の大切な家族を助けてくれて」

「いや もとはといえば俺のせいみたいなものだから………」

不本意ではあるがある意味俺のせいでもあるんだよな……。

「それでも礼をいわせて 私と私の家族を救ってくれた彼を助けてくれたのだから私からも感謝するわ」

「どういたしまして」

俺はプレシアの礼を素直に受け取る事した。

「フフ 良いもの見れたし今日は楽しい夢が見れそうね」

「そうだね」

そんなこんなで結局俺はシロウ達の家に泊まり。

翌日の早朝……。

「世話になったな」

「ふむ 気にしなくていい」

「また会う機会がありましたら存分に語り合いましょう セイバー」

「はい 千歳」

お互いに固い握手を交わす二人。

あの夜に一体何があったのやら……気にしない方が良いか?

「あの二人はなにがあったんだろう………」

「さぁな」

「まぁ それはさておきシロウ」

「なんだ?」

「管理局なんかに負けんなよ」

どうやら昨日のシロウの話を聞くとこの世界の管理局と対立しているようだ。

俺はそんなシロウに負けるなとエールを送る。

「当たり前だ!」

それに応えるシロウ。

ぜひとも彼には管理局に打ち勝ってほしいものだ。

「それと彼女を大切にな」

「わかっている! お前こそ大切にしろよ」

「あぁ まだ俺の世界では なのは以外とは出会ってないが必ず護ってみせるさ」

そう……原作に関わると決めた以上いつか俺もアイツらに出逢うはずだ……。

その時にどんな事があろうとも護ってみせるさ。

「そうか」

「俺の力が必要な時は喚んでくれ」

たとえ世界は違えど友のためならどんな所にも駆けつけるさ。

「頼りにさせてもらうよ」

「あぁ」

俺とシロウはコツンとお互いの右手を会わせる。

「そろそろだな……」

俺は『王の財宝』から宝石剣を取り出し構え、

「開け次元の扉!」

宝石剣に内包された膨大な魔力が万華鏡のように煌めき剣を降り下ろすと剣は空間を先他世界への扉を開く。

「じゃあな!」

「いつかまた会いましょう」

俺達は次元の扉を潜り元の世界へと帰る。


「行ったか………」

シロウは零達が消えた場所を名残惜しそうに見ながら言う。

「ねぇ シロウ」

「どうしたアリシア?」

「また会えるかな?」

アリシアがシロウに彼らと再び逢えるか?と問う。

「あぁ いつかまた会えるさ」

そんなアリシアに対して柔らかな笑みを浮かべながらまた逢えるとシロウは答える。

「なんだか シロウ 嬉しそうだね」

そんなシロウを見てうれしそうだと言うフェイト。

「どうだろうな」

「さて 私達も零達に負けないように頑張るわよ」

「あぁ」

は~い」

「うん」






遠く離れた世界で錬鉄者は己の物語を紡ぎ

九尾を従えた転生者もまた 始まったばかりの己の物語を紡ぐ

本来ならば交わらぬ道が再び交わり新たな物語を紡ぐのはまた別の話

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後書き
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