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久遠の神話

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第百四話 最後の戦いの前にその九

「運命はです」
「自分で、ですね」
「変えるもの、切り開くものです」
 そうしたものだというのだ。
「あの方はそのことに気付いておられないのです」
「今もですね」
「それが為に貴方達を」
 戦わせてだ、そして力を得ているというのだ。
「そうされています」
「それではあの方は」
「他者を犠牲にして得られるものは儚いものです」
 所詮は、という口調での言葉だった。
「ですから」
「あの方の願いは」
「見えてきました」
 残念ながら、という口調だった。今の聡美は。
「あの方について」
「願いの果てが」
「はい、貴方達を犠牲にして得た願いは」
 それは、というのだ。
「決して幸せな結末にはなりません」
「それは自分で手に入れるものだからこそ」
「貴方達を犠牲にして力を得て」
「運命を変えてもですね」
「それはいい結末には至りません」
 決して、というのだ。
「そうなります」
「運命は自分で切り開くものだからこそ」
「変えるものですから」
「それで、ですね」
「あの方は」 
 幸せになれないというのだ、聡美は今そのことがわかったのだ。そうしてそのことがわかったからこそであった。
 その中でだ、上城に言った。
「では」
「それではですね」
「私達はお姉様にこのことを告げなければならなくなりました」
「今のままではあの方が不幸になるだけだと」
「そうです、そのこともまた」
「辛いですよね」
「いえ、神話の時代より戦わせられている貴方達よりは」
 遥かにという口調での言葉だった。
「いいかと」
「そうですか」
「はい、ですから」
「銀月さん達はですか」
「私達のすべきことをします」
 セレネーに対して告げるというのだ。
「そのこともまた」
「わかりました、それじゃあ」
「お互いに間もなくです」
「終わりますね」
「それならば。もう何としても」
 終わらせようとだ、聡美は言ってであった。
 そのうえで今は別れた、お互いの学ぶべき時間になったからだ。それで聡美と上城達は今は別れたのだった。
 そしてこの日の部活が終わった後にだ、樹里と共に帰ろうとしていた上城の前にだ、スフィンクスが姿を現した。
 怪物は二人の前に座っている、そのうえで上城に言ってきた。
「ではね」
「今からですか?」
「いえ、明日よ」
 今日ではないというのだ。
「明日闘ってもらうわ」
「どうして明日なんですか?」
「何分強い、あまりにも強い相手だから」
 テューポーンが、というのだ。
「それでなのよ」
「用意するにもですか」
「あの方だけは、レプリカでもね」
「手間がかかるんですね」
「そうよ」
「だからですか。ところで」
 上城はスフィンクスの今の言葉に気付いた、それで彼女にその言葉のことについて問うた。 
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