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時空を渡る精霊

作者:蒼鈴六花
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約束と四人目の魔法使い

ジュエルシードから光があふれ、なのはとフェイトの二人は飛んで避けた。
やがて光は消え、なのはは着地。

フェイトは、バルディッシュを待機状態にしてすぐジュエルシードに向かおうとする。
だが俺はフェイトの前に出た。

「そこをどいて、エミル」

「だめだ。無茶な事しそうだからな」

「でも、早くしないと……!」

「ここは俺にまかせてくれ」

俺はジュエルシードに近づいてから、片手にスピリットハートを持ち、もう片方の手をジュエルシードに向ける。
手から淡い緑色の光が出てくる。なのはやフェイトたちは、それを呆然と見ている。

緑の光はこの世界にないはずのマナだ。この世界に来てから自分でマナを生み出せるようになっていた。
なぜかはわからない。でもそのおかげで精霊の俺がマナのないこの世界で存在できる。

現在俺がやっていることは、ジュエルシードをマナで包み込んで暴走を止めている間、魔力を使ってこちらの封印術をかけている。

マナの光が一瞬強くなって消えた時、ジュエルシードは封印された状態で浮かんでいた。

「封印完了……ふぅ、何とかできたな」

俺は封印の確認をした後、スピリットハートを鞘に収めた。
呆然と見ていたなのはたちが我にかえり、こちらに近づいてくる。

「お兄ちゃん!」

「エミル!さっきの封印術は!!」

なのはとユーノが同時に聞いてくる。

「そのことはまた後で話してやるから、それよりジュエルシードだが……」

そう言ってフェイトのほうを見るとフェイトもこちらをじっと見ていた。

「私もさっきの魔法は気になる……けど、ジュエルシードは渡すわけにはいかない」

俺は近くに浮いていたジュエルシードを掴んでフェイトのほうに放り投げた。

「えっ?」

フェイトは驚きつつも慌ててキャッチする。
そして俺の行動に全員が固まった。

その中でユーノがいち早く復活して

「な、なにやってるの!エミル!」

「今回は俺が封印したんだ。このジュエルシードをどうするかは俺が決める」

それを聞いてユーノはまた固まってしまった。
再びフェイトのほうを見ると

「フェイト、そのジュエルシードを渡す代わりに一つ約束してくれないか?」

「……約束?」

「ああ」

「……」

「あんまり無茶なことしようとするな。約束はこれだけだ」

「……え?」

フェイトは意外そう顔をする。

「さっきジュエルシードが暴走しかけた時、それを止めようとしただろ?あのまま止めなかったら大怪我する可能性もあった……違うか?」

「……」

「絶対無茶するなとは言わない。無茶しなきゃいけない時もあるからな」

俺は少しアルフを見てから。

「まぁ、フェイトはまず一人じゃ辛そうな時は周りを見ろ、お前に協力してくれるやつがいるんだから」

ハッとしたようにフェイトはアルフを見る。
アルフは驚いた顔してこちらを見てたがすぐにフェイトのほうに向く。

「少しは周りに頼って見ろ。俺も出来る限り協力してやる」

そして俺はぽんっとフェイトの頭に手を置く。

「説教っぽくなっちまったが……、約束してくれるか?」

手を置いてから少し顔が赤くなるフェイト。

「……うん」

「約束したからな?ちゃんと守れよ」

そのまま頭を撫でるとフェイトはさらに顔を赤くした。
それから少し撫でて手を離すと少し残念そうな顔をされた。その後すぐフェイトはアルフを連れて。

「…じゃあね。エミル」

「ああ、またな」

そう言ってフェイトは立ち去っていってしまった。
そして俺はなのはたちに色々質問されながら家に帰った。



高町家にて

俺の部屋になのはとユーノが来て話をしていた。……最初は帰り道で話した質問(質問が途中から昔話になったりしたが……)の続きだったが、それも終わり落ち着いた所で

「それでなのは、フェイトととの話し合いの結果は?」

そう聞くとなのはは真剣な表情になった。

「そのことなんだけどね。あんまりお話できなかったの……」

「そうか。でも、なのはは何か思うことがあったんじゃないか?」

なのははコクリと頷く。

「そうなの。あの子を見たときにね、とっても優しい感じがしたの」

「俺もフェイトは優しいやつだと思う」

「うん。でもね……同時にすごく哀しそうなの……」

「なのはもそう思ったのか……」

フェイトと会った時からそれは感じていた。笑っているときもどこか哀しさがあった。

「お兄ちゃん……あの子、フェイトちゃんを助けることはできないかな?」

「どうだろうな、それをするにはフェイトが哀しんでる理由を知らなきゃいけない」

「フェイトちゃんが哀しんでる理由……」

なのははそう言って悩み始める。

「それに仮に理由を知ることができても、俺たちに出来ることはないかもしれない」

「……どうしてなの?」

「他人が関わってはいけないこともあるからな。他にも、助けたい人が助けを拒むこともあるだろう」

「じゃあ、どうすればいいのかな……どうしたらフェイトちゃんの力になることができるかな?」

なのははうつむいて落ち込み始める。

「友達になればいい」

「え?」

「友達になって、理由を話してくれるまで待つ。たとえ話したくないようだったとしても、友達がいることで気持ちが楽になることもあるさ」

それを聞いたとたん嬉しそうな顔で立ち上がり

「うん!私、フェイトちゃんと友達になる!そのためにまずもう一回話をしてみる!」

「その意気だなのは。ユーノ、お前も手伝ってやれ」

ずっと話を聞いていたユーノはいきなり声をかけられてびっくりしている。

「え、ええ!?僕?」

「フェイトの友達は多いほうが良いだろうし、お前はなのはを助けたいんだろ?」

最後の方は小声で話すとユーノは顔を赤くしてなのはを見ていた。

「う、うん。がんばるよ……」

「どうしたの?ユーノ君」

「ふえ!う、ううん!なんでもないよ!!」

やれやれ、ユーノの想いをなのはが気付くのはいつになるのか……

その後、解散して俺は寝ることにした。



学校帰り 

俺となのはは、すずか達と別れて家に帰ろうとしたとき人型のユーノがこちらに小走りで近づいてくる。

「エミル、なのは!」

「どうした、なにかあったのか?」

「レイジングハートが直ったから早く知らせようと思って」

と手に持っていたレイジングハートをなのはに手渡す。
なのははレイジングハートを見てホッとしたようだ。

「レイジングハート、治ったんだね。よかったぁ」

『Condition green.』

「また、一緒にがんばってくれる?」

『All right, my master!』

「ありがとう」

「よかったな。なのは」

「うん!」

それから俺たちは三人で家に帰った。

三人で歩いていると、ジュエルシードの気配を感じた。俺たちはすぐさま行動を開始した。

「封時結界、展開!!」

ユーノが結界を張ると同時に一本の木が大きくなり魔物のようになった。

俺となのはは、ユーノが結界を張ってる間に変身をすませていた。
そして武器を木の化け物に向けた瞬間、上から黄色い魔法弾が飛んできて木の化け物に向かっていった。

だが、木の化け物はバリアを張ってそれを防いだ。

「バリア持ちとはやっかいだな。けど防御ならこちらもユーノがいる」

俺はユーノのほうを向くとユーノはコクリと頷く。

「うん。まかせて」

そして戦闘が始まった。

木の化け物が根を大きくし地面を突き破ってこちらに攻撃してきた。

俺となのはは、フライヤーフィンで飛んで、ユーノは地上でこちらのサポートをしてくれる。
ユーノは、地面から来る根の攻撃をすべて防いでくれている。

俺たちは遠距離攻撃を始めた。フェイトもアークセイバーを飛ばして根を切り裂いている。
なのはは、シューティングモードによる砲撃、ディバインバスターを放つ。
そして俺は

「集え風念、ウィンドカッター!続けて、舞い怒れ、嵐の思念、エアスラスト!」

無数の風の刃が化け物に向かっていった。根を切り刻み本体に向かう。
フェイトも追い討ちをかけ、化け物はバリアを張るも耐え切れず、ジュエルシードが出てきた。

それをなのはとフェイトが同時に封印すると、一瞬辺りが目が開けられないほどの閃光に包まれる。
すぐに目が開けられるようになり、なのはを見る。なのはもこちらを見返してくる。フェイトと二人で話し合うらしい。

すぐになのはは飛んで行き、俺は下にいるユーノと見守ることにしたのだが、なにやら先ほどから誰かに見られている気がする……

地面に下りたと同時に目を瞑って辺りを探って見た。
こちらを見ているもの確認し、すぐになのはたちを見ると向かい合って攻撃するところだった。

なのはとフェイトが、お互いの武器を振りかぶった瞬間二人の間から光が溢れ、気付いた時には人がいた。そしてそいつは、両者の攻撃を受け止め……

「ストップだ!!ここでの戦闘は危険すぎる。時空管理局執務官、クロノ・ハラウオンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」

そう言い放った。





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今回エミルの魔法はハーツを採用。ヴェスペリアのおっさんの呪文は好きですが、エミルにはあわなさそうなので…外伝とかでネタとして使うのはありかな…

ユーノ君は地味に防御のチート?化が進んでいきます。後々なんでも防ぐことできそうで怖いです。

そしてクロノ君登場。K…(あえて最後の一文字は入れません)とか言われてよくアンチされてる気がしますが、私個人としては時空管理局組はわりと好きです。
アンチは嫌いです。でも否定はしません。人それぞれですね。

では、誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。
 
 

 
後書き
出来る限り原作の暗い部分を明るくしたいです。

明るい話が好きなので。 
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