時空を渡る精霊
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事情説明
「ストップだ!!ここでの戦闘は危険すぎる。時空管理局執務官、クロノ・ハラウオンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
なのはとフェイトの攻撃を受け止め現われたそいつはそう言い放った。
時空管理局?ああ、ユーノが言っていたやつか。
ずいぶんと遅い上に間の悪い登場だな……
そんなことを思っていると
「まずは、二人とも武器を引くんだ!」
そう二人に言って三人は地面に下りてきた。
「このまま戦闘行為を続けるなら……」
クロノとかいうやつが何か話そうとした時、そいつの上から魔法弾が降ってきた。
上を見てみるとアルフがいた。
「フェイト撤退するよ!離れて!」
その言葉にフェイトが空を飛び離れていく。その瞬間、アルフはクロノとなのはに魔法弾を撃った。
全てユーノに防がれたが煙で視界が悪くなる。
上を見るとフェイトがジュエルシードに向かって飛んでいくのが見えた。
次になのは達を見ると、近くにいたクロノがフェイトに向かって攻撃しようとしているところだった。
そしてフェイトに向かって魔法弾が撃たれた。
「させるか!」
俺はプロテクションでフェイトに向かう魔法弾を防いだ。
「!!」
自分に向かって魔法弾がきていることに気付いてなかったフェイトが驚いている。
「フェイト!アルフと逃げろ!」
「!!……エミル」
フェイトがこちらを見る。
だが、のんびりしゃべっている暇はなさそうだ。クロノが再び攻撃の準備を始めている。
俺は、スピリットハートを構えようとした時、なのはがフェイトとクロノの間に入って。
「やめて!撃たないで!!」
真剣な表情でそう叫んだ。だがそのおかげでクロノは、一瞬それに怯んだ。
「今だ!フェイト!!」
コクリと頷いたフェイトはすぐさまアルフと飛び去っていく。
クロノは魔法弾を撃とうとしたところでバインドを使いクロノの動きを封じたが、フェイト達が行ったのを確認してすぐに解いた。
クロノがすぐこちらに近づいてきて何か言おうとしたが、俺はとりあえず無視して
「おい、どこかで俺達を見てるんだろ?さっさと姿を見せたらどうだ」
「!!……なぜわかったのかしら?」
すぐ近くに魔方陣のようなものが出てきて、それに映像が浮かび上がり、黄緑の長い髪をポニーテールにした女性がでてきた。名前はリンディと言うらしい。
「経験と勘かな」
「……そう」
そこでクロノが何か言おうとしたがそれはリンディに止められ、俺は話を続けた。
「で、お前らはジュエルシードのことで来たんだろ?」
「ええそうよ。そこでロストロギア、ジュエルシードに関係のありそうな貴方達から話が聞きたいの」
「それはいいが、ここで話すわけではないだろう?」
「ええもちろん。貴方達には、次元航行船アースラに来てもらいます。クロノ、案内を」
「……わかりました」
そうして俺達はアースラに向かうことになった。
アースラ内部に入ってからクロノに言われ、バリアジャケットとデバイスを解除し、リンディの下に向かう。
そしてリンディの部屋にて
「……」
なんだろう、何か間違えているような……そんな感じのする部屋だ。
「お疲れ様、まぁ三人とも楽にして」
とりあえず座って話をすることになった。
それから、ユーノが今までに起きたことを説明し始めた。
「なるほど、そうですか。あのロストロギアを発掘したのは貴方だったんですね」
そう言われてユーノはうつむきながら。
「はい……それで僕が回収しようと」
「立派だわ」
「だけど、同時に無謀でもある!」
ユーノの言葉にリンディ、クロノが答える。
だけど少し腹の立つ言い方だ。
「おい、それをお前らが責める事はできないだろ」
「なんだって!ずっと思っていたが君は……「クロノ、やめなさい」でも!」
「本来、今回のような事件を解決するのはお前らの仕事なんだろ?でも対応が遅すぎじゃないか?もしユーノが責任を感じて一人でジュエルシードを回収に来なかったら大惨事になっていたはずだ」
「そ、それは人員不足で……」
リンディはそっとクロノの前に手を出してクロノを止め
「確かにその通りだわ。そのことについては謝罪します」
リンディが俺達に頭を下げて謝罪する。クロノは少し納得していないようだが。
「謝罪はいい。自分達のことを棚に上げてユーノだけを責める様なことをしないでくれ。こいつのおかげで最悪の事態は起こらなかったのだから」
ユーノが少し驚いた顔で見てくる。
「エミル……」
「確かに無謀な行動だったが、お前の行動は正しかったんだよ。その責任感が多くの人を助けたんだ。もっと自身を持てユーノ」
俺がそう言うとユーノは少し恥ずかしそうにしながらも若干笑顔になった。これで少しは自責の念がなくなればいいが……
その後、なのはがロストロギアについてリンディ達に聞くことになった。
ロストロギアは、簡単に言えば滅んでしまった進化のしすぎた世界にあった技術の遺産だそうだ。
その話の途中に、リンディはお茶に砂糖を入れ始めた。
おいおい、お茶に砂糖を……なのはがうっかり声上げてるぞ。
リンディは普通に話を続けたが、いつもこんなんなのか?
そして話が終わってから
「それで、俺達はこれからどうするかだが……ユーノとなのははどうしたい?」
そう聞かれたユーノとなのはは、少し戸惑うような顔をしてから。
「え、えと、僕は……僕は続けたい。最後までやり遂げたい」
「私も、続けるよ」
二人とも真剣な表情だ。意志は固いらしい。
「そうか。と言う訳でリンディ、俺達はジュエルシードの回収を手伝う」
「何を言ってるんだ君は!ここからは僕達がロストロギアの回収をする!君達一般人にこれ以上危険なことはさせられない!」
クロノがそう言って声を荒げるが。
「時空管理局は人手不足なんじゃないのか?一般人である俺達の手を借りたいほど」
それを聞いたリンディは少しため暗い顔をして。
「ええ、そうよ。一般人、それも子供の手まで借りなきゃいけない状況、情けない話だけれど私達に力を貸してくれないかしら」
リンディはそういって真剣な表情で頭を下げる。クロノがあたふたしてそれを止めようとしたが。
「頭を上げろ。俺達はそんなことされなくても協力すると言ったろう。それに俺はあんたを情けないなんて思わねぇ」
リンディはすっと頭を上げこちらを見るが、かすかに驚いているようにも見える。
「あんたは子供相手にもしっかり頭下げて頼んできた。俺は誠意を示したあんたを情けないとは思わねぇよ」
誠意を持って頭を下げたリンディを見て、ふとアステルを思い出していた。
……忘れてはいけない記憶。いつからか誠意を持って頼みごとしてくるやつに弱くなった。
でもそれでもいいと思っている。
あの頃の俺に比べたら格段に良くなっていると思うから。
っと、今は思い出すのはこれくらいにしよう。
そう思ったときリンディが
「ありがとう」
「礼を言われるようなことはしてねぇ」
「私が言いたかったから言ったのよ。それで、貴方達に協力してもらうことだけれど……ほんとにいいのね?」
俺は、なのはとユーノを見るとそれぞれ頷いたのを確認すると
「覚悟はできてる。ジュエルシードの危険性も今までの戦闘で分かっているつもりだ」
「わかったわ。なら私は正式に貴方達に協力を依頼します」
「ああ、これからよろしく頼む」
「ええ、こちらこそよろしく」
そうして俺達は少し説明をうけ、帰ることになった。
クロノから若干敵対心のようなものを感じたが、今回は少し仕方ないかと思う。
これから協力するのだから、敵対心をもたれるとやりづらい。
どうにかしないといけないな……
そう考えながら歩いた。
エミルたちが去った後のアースラでは……
フェイトとなのはの映像が映し出されていた。
「すごいや。どっちもAAAクラスの魔道師だよ!」
と船内に明るい声が響く
「ああ」
そしてその声に誰かが答えた。
「こっちの白い服の子はクロノ君の好みっぽいかわいい子だし」
「エイミィそんなことはどうでも良いんだよ」
リンディの部屋から移動したクロノが、困った顔をして座って映像を見ている女性に反論する。
でもその女性、エイミィはあんまり気にせず話を続ける。
「魔力の平均値を見てもこの子で127万。黒い服の子で143万。最大発揮値はその三倍以上!クロノ君より魔力の桁が上回っちゃってるねぇ」
「魔法は魔力値の大きさだけじゃない。状況に合わせた応用力と的確に使用できる判断力だろ!」
「それはもちろん。信頼してるよアースラの切り札だもんクロノ君は」
そうエイミィが言った時、後ろのドアが開いてリンディが入ってきた。
「ああ、二人のデータね。あら、あの子のは?」
「エイミィ、彼のはないのか?」
二人がそう聞くとエイミィは少し困った顔をして
「それなんですけど……とりあえず映します」
画面が切り替わり、木の化け物との戦闘が映し出された。
「これを見てください」
エイミィが真剣な表情で画面を見ながら言う。
そしてそれを見た二人は
「これは!」
「……」
画面には魔力値測定不能と書かれていた。
エイミィは操作を続けながら
「これも見てください」
さらに画面にまた新たな情報が映し出される。
「彼の周りに未知の力が漂っているんです。おそらくこれが魔力を測れない原因だと思われます」
「未知の力?」
リンディが険しい顔で画面を見る。
「はい。魔力ではない、でも魔力に匹敵、あるいはそれ以上の力のようです」
「魔力に匹敵かそれ以上だって!?そんな力があるわけが……」
「私だって信じられないわ。でも確かに存在しているのよ」
クロノもエイミィもどちらも信じきれないといった感じでいると
「彼が、ジュエルシードではないロストロギアを所持している可能性は?」
「その可能性もありますが……低いと思います。調べた限りでは、どうもその力は彼自身から出ているようで……」
「ロストロギアを取り込んでる……それもないとしたら……」
「彼はいったい何者なんだ……」
その言葉を最後に部屋は静まり返った。
SIDE OUT
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少し原作とはずれました。全員性格が変と思われそうです。
今回は、ほんの少しでもいいから原作の話をいれようとしたり、悩みすぎて変な方向にいってしまったりと色々ありました。
では誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。
後書き
移転はこれで全て終了です。
明日と明後日に投稿してる2作品の最新話を投稿します。
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