オズのモジャボロ
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第五幕その九
「だから余計にわからないんだ」
「そうなのね」
「ううん、本当にわからないよ」
幾ら考えても、というのです。
「僕にもね」
「オズの国だけにある食べものかしら」
恵梨香も全くわからないのでこう言うのでした。
「オズの国って色々な変わった食べものがあるから」
「そうなのよね、オズの国はね」
ドロシーが恵梨香のその言葉に応えました。
「そこにしかない食べものとかもあって」
「ですよね、食べると姿が消える木の実とかもあって」
「あそこは熊の姿が見えないから注意してね」
「はい」
「あそこは通らない様にするけれどね」
カドリングの南の方に行くけれど、だというのです。その木の実は今のオズの国の南の方に実っているのです。
「それでも行くことになったらね」
「姿が見えない熊は怖いですね」
「姿が見えていても怖いのに」
熊はとても大きくて力が強いだけではありません、牙や爪もとても鋭いからです。物凄く怖い生きものなのです。
それに加えて姿が見えません、だからだというのです。
「そうした熊だからね」
「はい、気をつけます」
恵梨香はドロシーの言葉に答えました。
「その時は」
「そうしてね。それにしてもね」
ここでまたお話が戻りました、その白いものについて。
「あれは何なのかしらね」
「この目で見てもわからないかも知れないですね」
「目で見てもわかるとは限らないよ」
モジャボロも恵梨香にこう言います。
「何でもね」
「そうですよね」
「うん、目で観て何でもわかるなら苦労はしないよ」
この世のあらゆることで、というのです。
「若しそうなったら世の中は本当に楽だよ」
「確かに」
「あれだってね、何なのかな」
「兎さんが食べますから」
このことからです、恵梨香はこうしたことを言いました。
「お肉とかじゃないことは確かですね」
「お肉を食べる兎はいないよ」
このことはオズの国でも同じです、例え二本足で歩いて服を着ていてしかも人間位の大きさの兎達でもです。
「だから穀物かお野菜であることは間違いないよ」
「そのことは確かですね」
「確かなのはそうしたことだけだよ」
お肉でないことは、というのです。
「その他のことはわからないよ」
「そうなんですね」
「だから僕達も何だろうってね」
「今考えてるの」
ドロシーも言います。
「あれは何だろうってね」
「わからないから」
「ムシノスケ博士にお聞きすればわかりますよね」
カルロスが二人に尋ねました。
「そうしたら」
「多分ね。あの人は博識でずっと勉強を続けているからね」
「知識ならあの人よ」
モジャボロとドロシーはカルロスにすぐに答えました。
「あれも何か知っているよ」
「そうだと思うわ」
「そうですね。それでもなんですね」
「そう、けれど今は王立大学にいるから」
「それこそ大学まで行って聞かないといけないわ」
そうでもしないとその白いものが何か知ることは出来ないというのです。
「残念だけれどね」
「今はね」
「ううん、王立大学に戻ることも」
どうかとです、カルロスも難しい顔で言うしかありませんでした。
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