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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章
  戦(1)

「ギャーーーーーーーッ!」

「へへっ!鬼が何だってんだ!こん畜生め!」

「こら!慢心しない!鉄砲隊の装填が終わったら、一度退いて矢の補給をしときなさい!」

「へ、へいっ!」

「鉄砲隊、準備はよろしいですの!?」

「いつでもいけますぜ、姐さん」

梅を姐さんと呼んだら蒲生様と呼べと言ってたが、聞けないと思うぞ。狙撃班のお蔭か、数は減っている。その間に右に来たが鉄砲によって、鬼は倒される。

「梅!」

「ハニー見て下さいました?私の活躍!」

「いい連携だ。そのままやってくれ」

「はいっ!この蒲生梅。このまま行きますわよ!」

「さすが近江に名の知れた蒲生家だ。名は梅と言ったか。覚えておこう」

「誰ですの?この偉そうな方は」

「余は足利義輝である。見知り置け」

「・・・・・く、ぼうさまっ!?」

あーあー、鞠の事を初めて知ったみたいになった。その間に鬼は現在城門に、取りついたのが千だそうで。どうやら偵察のようだ。他の方角から鬼が来たら、照明弾を光らせてから通信機で連絡との事。

「とにかく城門の守備は任せる。侵入した鬼を俺と鞠と一葉でやる」

それが基本方針だ。それに長柄組には、射撃班がいる。その時城壁を破る鬼達が来たので、やっと出番が来たようだ。

「下がれ!あっちは俺らがやる」

城壁の破れたところに駆け寄り、守備兵と交代だ。

「やっと出番か。待ちわびたぞ」

言いながら、一葉は城壁を破って侵入してきた鬼に向かって無防備に足を踏み入れた。

「では参るとしようか」

普段通りになり、鬼と対面する。無言のまま、鬼を一刀両断に斬り捨てる。声も出さずに、真っ二つになった鬼が、音を立てて崩れ落ちる。

「ギャーーーーーーーーーーーッ!」

仲間を殺されたのに怒ったのか、鬼は咆哮を上げながら突進してくる。

「うにゃーーーーーーーーーーーっ!」

可愛いかけ声とは裏腹に、目にも止まらぬ速さ(俺には遅く見えた)で刀を振るった鞠が、突進してきた二匹をあっという間に倒す。それも一撃でな。本当に鞠は強いらしい。

「俺も負けてられないぜ!」

鞠達が倒す予定だったのを、剣取り出して鞭のように振った。そしたら剣が鞭になって触れただけで鬼は、真っ二つになる。

「わぁー、一真も凄いの!」

「刀が伸びるだと!」

「一葉に鞠、驚いてる暇があれば、次が来るぞ!」

と言ったら、城壁の一部が破れて五匹の鬼が侵入する。

俺は、鞭から剣に戻してから、五匹の鬼達にクロックアップ。鬼や一葉や鞠達にとっては、俺が速すぎて見えないと思う。クロックアップ中に聖なる力を込めて鬼5匹を瞬殺。

「今の何なの!速すぎて見えなかったのー!」

「一人で五匹のをやるとは、さすが主様じゃ」

今の剣は聖なる力により、刃のところを熱くしている。熱したナイフでバターを切るように、鬼達を斬り裂いた。

「さあ鬼達よ。覚悟!」

今俺の目の前にいるのは、十匹の鬼だけど。さて、どう料理しようかなと思ったら、鞠がお家流を使ってきた。

「一真、今行くの。随波斎流!疾風烈風砕雷矢ぁーーーーっ!」

鞠の声と共に現れた光弾が、俺の目の前にいた十匹の鬼達に向かっていく。刀や腕から強力な鎌鼬を飛ばす(疾風)と特定の場所に鎌鼬を起こす(烈風)。特定の場所に鎌鼬を起こし、下から上に攻撃しながら、横から同じく鎌鼬をぶつけて、左右に切り裂く(疾風烈風)。それが鞠のお家流だ。

「おー、今のが鞠のお家流か。凄いぞー!」

「えへへなの!」

だけど、三人でやっているがキリがない。破られた城壁から続々と鬼達が侵入してくるようだ。

「倒せど倒せども、次から次へと湧いてくるの。まるで蟻のようじゃ」

「どうするの?一真ー?」

「ちょっと待て」

「(小波!そっちはどうだ?)」

「(鉄砲組の活躍により、今の所は危なげなく守備が出来ております)」

「(しばらくは大丈夫って事か。何かあれば知らせろ)」

「(はっ!)」

小波との会話を終わらせて、次は通信機で喋った。

「今のところどう何だ?南の城門は?」

『今の所平気です。鉄砲隊と弓の連携も凄いですが、我々もやっています』

「よし、他の方角の諸君はまだ鬼は来ないか?」

『北班異常なし』

『東班もです』

『同じく西も』

「異常があればすぐに知らせよ。いいな!」

『北班/東班/西班了解!』

「主様、あちらはどうじゃった?」

「今の所平気。他の方角も今の所異常無し。問題はここだな」

「城壁、破れちゃったもんね・・・・」

「ああ。こうもぞろぞろと来られると厄介だが」

そう会話をしていると、鬼は城壁の割れ目から続々と侵入してきた。その数は五十か、長久手を思い出すな。ん?五十の鬼の眼は俺を見ているな。なぜだ?・・・・そうか。正確には俺ではなくこの剣か。聖剣エクスカリバーだし、聖なる力もあるが逆に敵を呼ぶ効果もあるんだったな。

「このままではマズイが、さてどうしたものか」

「ふむ・・・・どうやら主様が狙われているようだな」

「皆が一真を見てるの・・・・・その刀のせいかもなの」

「さて、この場では余のお家流が使えるときぞ。余の思い人を守るために、余の全力を持って鬼を討つ。見ていろ主様。おぬしの恋人が真の力を」

「任せる」

と言って、下がった。足利のお家流、しかと見せてもらうぞ。

「一真は一葉ちゃんのする事を知っているの?」

「お家流の事は知っていたが、どんなお家流かは知らない」

「じゃあ、教えるの。足利家お家流、三千世界なの!」

「そう。須弥山の周りに四大州。その周りに九山八海。その上は色界、下は風輪までを一世界として、千で小千世界、その千で中千世界、更に千で大千世界。全てを称して三千大千世界、通称・三千世界という。三千世界は果てもなく、この世にあるとも、しかしながら、ないとも言える。現であり幻である。そんな三千世界より、足利の名を慕う力を集める。それが足利家お家流・・・・見るも醜き鬼どもよ。足利将軍である余の力、存分に味わわせてやろう」

不敵に笑みを浮かべる一葉が、まるで舞のように、宙に手を滑らせる。ほう、ゲートオブバビロンかのように実在の有無に関係なく武器を召喚した。本物か幻かは分からないが、数十から数百ある刀だった。あれは、俺にも使えるな。あとでやってみるか。

「相手が相手だ。余のまだ知らぬ時より馳せ参じた、安綱、国綱よやら。両刀で存分に暴れてみせぃ」

あの刀には自我があるのか?一葉の言葉を聞いたのか、宙に浮かぶ刀の中から特に二本が一葉に懐き、まるで嬉しそうに瞬く。

「足利の。主様の敵を殲滅せよ・・・・いけ」

短く発した一葉の命令を受け、安綱、国綱と呼ばれた刀が先陣を切った。その後に続けと言わんばかりに、数多の刀も鬼に襲い掛かった。先程よりも更に増え、七十はいた鬼達が一瞬にして鬼をナマス斬りにしてしまった。ゲートオブバビロンと言う言葉は知っていたし、使い方も知っていたが使う時がなかった。

「・・・・ふむ。久しぶりに使ったが、少々腕が鈍ったか」

「あれでか。するともっとできたのか」

「顕現する刀の数が少なかったからな。・・・・余の力が鈍った以外には考えられん」

「するとあれか?足利の棟梁にしか使えないお家流で、訓練した事はないという事か」

「うんなの。足利のお家を継ぐ時にね、魂に契約の呪が刻み込まれるんだって。そうする事で、三千世界と繋がれるって泰能が言っていたの!」

「これがさっき一葉が言った一対多の意味か。だが、何度かは使えんのだろう?」

「うむ。我の知らぬ、見た事も聞いた事も、どこにあるのかも分からぬ三千大千世界。そんなものと交信せんといかん。この力を使うとかなり疲れる。身体が疲れるのではなく、頭というか・・・・魂が疲れるのだ。なのでな、このお家流は一日に一度か二度が限度だな」

「でもだいぶ楽にはなったな。ありがとう一葉」

「ふふっ。もっと褒めても良いのじゃぞ?」

「褒めたいところだが、まだまだ来るぞ!」

言っている内に、城壁から入ってきて数が増えていく。数十から数百か、試してみるか。

「一葉、俺の力も見せてやるよ!」

といって、俺は神の力を発動。そしたら俺の周りに、金色の剣が浮かび上がった。その数は数千。

「主様も三千世界が使えると!」

「これは一葉のお家流ではない。ただ創っただけさ。聖なる剣よ、悪しき鬼へ鉄槌を下せ!いけ」

短く言ったら、金色の剣は次々と鬼達に向かって行った。城壁の後ろまで下がらせた鬼どもの隙を狙い、城壁を創造。修理完了。 
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