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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章
  戦(2)

「さすが主様だな。これでこの辺りは大丈夫だろう」

言ったら、照明弾が上がったと同時に通信が入った。

『隊長、北にて鬼の姿を確認。射撃許可を』

「俺らもそこに行くから行くまで持ち堪えろ」

『了解!』

「一葉、鞠、北に鬼が出現した。ここはもう大丈夫と言ってもいいだろうが俺達も行くぞ!」

無言で頷き、俺達は行く。

一方こちらへ向かってくる集団があった。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・急がないと、急がないと」

「報告します!二条館に三好衆らしき軍勢が襲撃した模様です!」

「らしき、とはどういう事です?」

「それが・・・・三階菱や五つ釘抜きの紋は散見されるのですが、その・・・・人ではなく、鬼なのです」

「鬼!最近、姫路にも出没しているあの鬼ですか?」

「はっ。三好衆でありながら、その姿は鬼・・・・これは一体どういう事なのでしょう?」

「・・・・今は判断を保留します。我ら姫路衆は急いで公方様を助けに参りましょう。善助、太兵衛、差配を頼みます。・・・・戦場に到着次第、すぐに動きますよ」

「応っ!」

一方北門には、黒鮫隊と一真隊と幕府の足軽達が足止めをしていた。

「ひ、ひい・・・・」

「落ち着け。俺らには武器があるんだ。それを活用しなくてどうする?野郎共、撃ちまくれ!」

黒鮫隊射撃班は撃つ。そう言いながら、一真隊の足軽は幕府の足軽達に喝を入れる。

「くっ!数が多い。しかも城門が突破された。IS隊頼む!」

と言った瞬間空からビームの雨が降る。降ると同時に、城門を守るようにシールドビットがあり、鬼達にはライフルビットで応戦。

「待たせたな、野郎共!」

「隊長!IS隊は撃ち方やめい。隊長の指示を聞く」

「主様、これからどうする?」

「黒鮫隊の野郎共は城門の屋根の上で待機。一真隊と幕府の兵足軽共は、左右に展開、三人一組になって戦え!出来るな?」

「応!」

「真ん中は俺達がやる!」

「では再び鬼狩りに興じようかの」

「鞠も頑張っちゃうの!」

スラリと剣を抜いた俺達は、悠然とした足取りで鬼に近付き、一刀一閃で斬り捨てて行く。

「す、すげぇ・・・・!」

「感心している場合じゃないぞ。お前ら、俺らの隊長はな、とことん強いんだよ。お前らの公方もな。勇気を奮って戦え!」

「あ、ああ!公方様や一真様が自ら戦っているんだ。幕臣の俺達だって負けていられない!」

「その意気だ。俺たちは城壁の上から見てるから、その勇気、俺達天兵に見せろや!」

「応っ!」

黒鮫隊の者が檄をを飛ばしたのか、各所から気合の籠ったものが聞こえる。俺らの後ろにいる足軽達の士気を上げてくれた野郎共に感謝だ。城門を破ろうとしてくるが、シールドビットにより押さえ込み纏めて射撃する。城門前には、俺、鞠、一葉を中心にして、纏めて殺る。

数の違いは、圧倒だけどそれを士気でカバーしてる。俺は片手で剣を持ちながら銃での乱射をする。倒しても倒しても減らない鬼達に、長柄と弓組も頑張っている、壁に登ろうとする鬼に対しては射撃班が撃っている。単純な生命力の違いは大きい。連携で何とかなっているが、人間の力には限界がある。足軽達を下がらせてIS部隊の一斉射撃。

「今の内に少し休んでおけ!休んでる内に俺らの特殊部隊が押さえる。黒鮫隊はこいつらが出れる時になったら教えろ」

「了解です」

IS隊の火力にビビっているのか、鬼達は一度下がった。これを機に俺はIS部隊に撃ち方やめと言ってから、再び俺の周りに金色の剣を浮かび上がらせた。短い一言でいうと一斉に串刺しにする。とここで、後ろの兵達も回復した。

「お前ら、諦める必要はないんだ。今は目の前の敵をやる事だけを集中しろ!」

「応っ!俺達はまだやれる!」

「へへっ、さすがお頭、良い事言うねぇ!」

各所からの賛同の言葉で、士気は上がる。

「な、何だこいつは!」

「右か。鞠!俺と一葉は右に行く。ここは任せる!黒鮫隊もだ!」

「了解!」

「分かったの!たぁー!」

さっきまで善戦してたけど、崩れ始めたので右に行ってみた。駆け寄ろうとした時、邪魔をするところだった鬼を斬ろうとしたら弾いた。

「ほう。知能がある鬼か」

「カッカッカッ!小童の鈍ら刀に斬られる程、この釣竿斎、まだ耄碌はしておらんわ」

「へえー、・・・・鬼が喋るとはな。中級か?」

「鬼・・・・鬼か。確かに見た目は鬼となったが、人の皮を被っていた頃より、甚だ気分は爽快よ」

何か押し返されてるが、わざとそうしている。本来ならこんな奴は斬っている。

「この釣竿斎宗渭に逆らいし、小童公方の頸を頂きに参ってやったのだ。有り難く思え」

「ほお・・・・」

「さあ義輝よ。その頸を寄越せ。貴様の頸と胴、引きちぎって、公方の生き血を啜ってやろうぞ」

「余の血を啜ると?・・・・下賤で穢れた貴様ならば、腹を下す事になるぞ?」

「下してみたいものよな。高貴なる者の血を浴びる程飲んで!」

「・・・・口が臭いな。去ね、下郎」

「ガハハハッ!この姿に恐れをなしたか、小娘が!剣聖将軍などと持て囃されておっても、所詮は小娘。精々恐怖に震えておれば良い!泣いて、喚いて、怯えて顔を歪める貴様のその細頸、一捻りで引きちぎってくれるわ!」

コイツの声は、響けば響く程不快な感情を呼び起こす声だ。一葉は黙っていたが瞳は燃えていた。怒気を纏いコイツに近付くので、こいつから離れる。

「任せたぞ、一葉」

「・・・・(コクッ)」

その瞳は揺るぎのない滾る炎。ただ一点。己を笑った輩に向かって行った。

「一真、一葉ちゃん大丈夫?」

「大丈夫。さ、俺らは崩れた前線に行くぞ!」

「う、うん」

まだ心配そうな鞠を呼びながら、鬼達を殺していく。その頃、また別の集団がこちらに来そうだった。 
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