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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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十三章
  戦いの前×狙撃開始

「好きにせい」

俺が奏達の事を思っていたらそう言った。初めて会った時のように言う口調だった。だが、横顔から見た時は嬉しそうな感じだった。

「とりあえず、外で待機しているひよ達と合流して、三好衆を叩く!」

頷いた仲間達は立ち上がり、幽と双葉を残して部屋を出る。薄暗い廊下を歩きながら、細かい情報交換を行い臨戦態勢を整える。篝火が夜空を照らす二条館の広い庭。そこには一真隊、明智衆、足利幕府の兵達と黒鮫隊の野郎共がいた。

狙撃班は、既に二条館屋根上にいる。狙撃範囲になったら、通信機で言えと。いつでも撃てる状態だけど。IS部隊は俺らの上にいる、ステルスモードで見えないようにしている。全員出動している。エヴォルトシステム搭載機なので、サバーニャにセラヴィー。シルエットシステム搭載のインパルスにエクシアRIIなどだ。全兵達は、俺や一葉を見て、次々と集まってくる。兵達の顔を一人一人、見つめながら端然とした姿で、前に出た一葉が力強い言葉を放った。

「皆の者!たった今報せが入り、三好衆が二条館に迫っている事が判明した!しかも三好衆は南蛮の呪法を頼り、人たる事を辞め鬼化しておる!日の本の侍として、何と恥ずべき行いか!そのような恥ずべき者共に幕府が負けてなるものか!異形の鬼となった敵の数は多い。・・・・だが余は皆を、一騎当千の荒武者達だと信じておる!各々九重の天に向かって旗を掲げよ!誇り高き侍、源氏の白旒旗を!足利の二つ引き両を!足利将軍義輝、幕府の勇者達の力を借りて逆臣三好を討つ!」

高らかに宣言した一葉が、まるで俺にも続けとばかりに場所を譲る。その前に、敵の位置はもうまもなくらしい。黒鮫隊諸君は皆通信機を付けている。IS部隊はオープン・チャネルで。

「三好衆を討つためには、後詰めを待つ必要がある。俺達は籠城戦に入る!敵は畿内を騒がせる鬼だ、だが負ける訳にはいかない。既に知っている者もいるが、二条館の屋根上にて狙撃班が待機している。本来なら俺達黒鮫隊だけで殲滅可能だが、それではお前達はやる気を失せるだろう。なので主力は、黒鮫隊以外の兵達に任せる。作戦は単純。門と塀と堀と櫓を上手く利用して防げ!作戦の主力は鉄砲だ。黒鮫隊も鉄砲集団だが、先程も言った通りお前達に任せたいので、六十丁の鉄砲で鬼を散々撃ち怯えさせればいいだけの事。弾がある限り撃ちまくれ!幕府・足利衆の弓組は、鉄砲隊が弾を装填している時に、弓の雨を降らし牽制しろ!長柄組は門を乗り越えてくる鬼達を、三人一組で押し戻す事に専念しろ。押し戻したら黒鮫隊の野郎共がトドメを刺す。後詰めに織田上総介の軍勢が、瀬田の大橋まで来ている!一刻程度踏ん張ればいい、すぐに味方が駆けつけてくれるだろう!」

「(いつ聞いても口車が上手ですね)」

「(まるでお頭が前にもあったようなものですね)」

「(お頭、かっこいいいですぅ~!)」

俺が発言している間に、どんどん近づいてきていると。もうすぐで狙撃範囲になると狙撃班が言っている。

「では陣立ての発表の前に現れよ!我らの特殊部隊達!」

言った瞬間、空中にいたIS部隊は一斉に姿を現した事に驚きをする皆の者。人が空を飛んでいるんだ、普通はそうだろうな。

「こいつらは、空からの様子見で判断し、お前達がヤバい時のみ助ける事にするので安心して戦うが良い!」

言ったら野郎共は鬨の声を上げた。そして所持しているアサルトライフルで、IS部隊がいないところで撃った。

「撃ち方やめい!では改めて、陣立ての発表を行う。総奉行・竹中半兵衛」

「はっ!」

「鉄砲隊指図役、蒲生忠三郎。長柄組、蜂須賀小六、足軽組、弓組指図役、明智十兵衛。小荷駄頭、木下藤吉郎。そして総大将は足利将軍だ。以上!」

「待て。一つ忘れているぞ?」

「ん?そうか。なら、一葉が言えばよい」

「お主の紹介だ。皆聞け!ここにおる織斑一真を、たった今より余の馬廻り衆の頭に任じる。皆も知っての通り、織田上総介の恋人だ。そしてこの戦いを終えた後、一真は余の恋人にもなる男である。皆、心して下知に従え!」

「応!」

うわーマジかよ。俺は俺で黒鮫隊の指揮があるのにこいつらの頭だと。任されたんじゃやるしかないが、一葉が俺の恋人になるというのはどういう事だろうか。黒鮫隊の指揮は劉零に任すか。

「余り、聞かないのだな?」

「何となくだけど、詳しくは久遠に聞けだろう?」

「つい先日書状が届いたのだ。詳しくは久遠に聞け」

「分かってる。ん?狙撃範囲に入ったか。狙撃許可する!出来るだけ、頭を狙え!」

俺が発砲許可した瞬間、狙撃班の音が鳴り響く。サイレンサーは付けていないから、この音だけどまあ慣れるだろう。

「ご主人様。敵、一里先に到着しております」

「ああ。分かった。ありがとう小波」

「はっ・・・・!」

「とりあえず、皆は指図役の指示に従ってすぐに配置しろ!敵はもうすぐ来るぞ!」

「応!」

俺の言葉を聞いた後、兵の皆は大声を挙げて、それぞれの部署に向かって走り出した。黒鮫隊の野郎共はまだいた。黒鮫隊の指示は俺だからな。

「一真様」

「おう、どうした」

「南については良いとして・・・・他の方角についてはどのように致しましょうか?」

「ガラ空きはまずいから、黒鮫隊の野郎共を20名ずつ配置予定。狙撃班もだ。今は南から来てる奴らを狙撃してるが、他の方角に備えて黒鮫隊を各方角に20名待機させる事でいいだろう。あとは空にいる部隊がやってくれるはずだからな。IS部隊は主に南以外のところで待機。南も多勢で来られたらヤバいから近接特化型の者を中心に南に配置。中遠距離型のは、狙撃班のところで待機し他の方角のところに来たら俺に知らせてからの攻撃をするだろう」

「鬼の階級によっては、部隊を分けて挟撃・・・・というのは作戦を実行する知能はないと思います。恐らくは大丈夫かと思いますが、そこまで厳重にする理由はあるのですか?」

「本来ならしない作戦だ。だが三好衆が丸薬を飲んだとすると、知能を付けた中級以上の鬼が出ると思う。中級や上級は、素体が人間だ。人間の潜在能力というより侍の血が関係している。越前の朝倉が上級の鬼になっているからな」

「なるほど。まさかそこまで考えがいってるとは。先の先を読んでいらっしゃる」

「これくらい考えを纏めないと司令官にはなれん。それでだ、南が破られると双葉達がいる御殿まで一直線。だが、他は侵入されたとしても黒鮫隊の野郎共がやってくれるだろう」

「御意。それで一真様は前線ですか?」

「そうだ。俺は戦闘に関しては専門家であり、ちょっとした戦闘狂でもある。だから、一葉と共に前線にて鬼を駆逐する。俺は鞠と一葉と共に前に行く。詩乃、エーリカよ。二人とも武運を」

「一真様こそ・・・・ご無事で」

「武運を」

「さてと、野郎共。さっき言った通りだ。各20名で城門を監視し、鬼が来たらこれで知らせろ」

俺は左耳にある通信機をぽんと指差した。野郎共は黙って頷く。

「よし!俺と一緒に来る者は来い。なおIS部隊は空にて監視をし、他の方角から来たら攻撃許可を俺に言え。そして攻撃をしろ。南に行く者達は空にて待機だ!行くぞ!出撃だ黒鮫隊!(ドウターが出たらそちらを集中しろよ)」

『おおおおおおおおおお!!!!』

俺達は各部署に配置をした。南には俺と鞠と一葉、それに20名の射撃班達。一葉達にとっては鬼が問題だが、俺らにとっては鬼よりもドウター。ドウターゲートは、反応があるが出現する様子はなさそうだな。それは時間の問題となるが、いつ出現するかによって、黒鮫隊は本来の使命であるドウターを駆逐するために動くのだから。 
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