迷子の果てに何を見る
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第四十一話
前書き
なんでまともな大人が少ないんでしょうね。
これも学園結界の弊害なんでしょうか?
byアリス
side リーネ
「姉さん達大丈夫?」
「これで大丈夫に見えたのなら今すぐ眼科に行ってきなさい」
ネギ・スプリングフィールドが麻帆良に来てからの初めての休日、2ーAのアリスを除いた魔法関係者全員と零樹が私のダイオラマ魔法球に集まっている。そして、ほとんどの参加者がだらしなく倒れている。
「ネギ・スプリングフィールドってそんなに酷いの?」
「酷いも何も、何であんな奴が魔法学校主席なのかが分からない位よ。魔力はだだ漏れ、障壁を常時展開、風の精霊による強化を常時展開、あからさまに杖だと分かる魔法媒体。魔法の秘匿を知っているのか怪しい位よ。見た事無いの?」
おまけに教師としての業務も殆どこなしていないらしい。お父様が授業中にも書類を製作をしている時点で異常なのだから。大方、任せていた書類をあの野菜が提出しないので慌てて作っていたのだろう。
「皆様、お茶の用意ができました」
「ありがとう茶々丸、ウーノ、ドゥーエ」
お茶を一口飲み、一緒に用意されたスコーンを食べる。うん、いい出来。
「それで美空ちゃん、学園側はあの野菜の事をどういう風に捉えてるの」
「それがさあ、やっぱり英雄の息子ってことでどうも色眼鏡でしか見てない感じかな。魔法バレの事は知ってると思うんだけど必死に隠蔽しようと動いてるみたいなんだよねえ。特にウチのシスターとか、偉い人たちが。明石教授とか一般常識のある先生達もそれとなく動きたいんだろうけど学園長に接触を禁じられてるからどうしようもないみたいで」
「なんで接触を禁じられてるの?」
「え~っと、確か未熟であるネギ君が所構わず魔法に関しての話題を出さない様にするためだったはずっすけど」
「真意は逆ね。普通ならフォローしてくれる存在を明かしておくはずなのにそれが最低限しか行なわれていないという事は巻き込んで従者にする為でしょうね。まったくあの茄子は」
頭を抱えると同時に呆れてため息をつく。
「ところでアリスさんはどこへ?」
「ああ、アリスなら茄子に呼ばれてるから今は居ないわ」
「なんでアリスさんが呼ばれるんで?」
あれ?美空ちゃんにはまだ話してなかったかしら。
「アリスの本名教えてなかったかしら」
「偽名なんすか」
「そうよ、ファミリーネームだけは偽名よ。本当のファミリーネームはスプリングフィールド」
「それって、まさか、いやいやそんなはず無いっすよね」
「あら?言って欲しいのかしら。しかたないわねえ」
「いやいやいやいや、結構です。これ以上あっしをまきこまないでぇええええ」
慌てふためいて逃げ出そうとしている美空ちゃんがアーティファクトを出すのと同時に、美空ちゃんの影で美空ちゃんを拘束する。最近になってようやく自分以外の影を操れる様になってきたのでちょうど良い実験になったわ。
side out
side 千雨
美空には悪いがリーネのストレス発散に付き合ってもらうか。
「むっ、これはどういう事だ」
銀髪のメイド服を着たガイノイドがいつの間にか傍に来ていた。
「ああ、チンクか。ストレス発散みたいなものだから放っておけば良いよ」
それにしてもレイトさんが作ったモデルが存在するガイノイドって中身が名前と外見に引っ張られてるよな作られた当初は一緒のプログラムだったのに今じゃあ個性があるし、一種のプログラム生命体になってるよな。
「ストレス発散?何かストレスになる様な事でも」
「ほら、前に話したじゃん英雄の息子が来るって」
「アリスの兄のネギだったか」
「そう、そのネギなんだけどそれが予想以上にアホなんだよ。見てるこっちがストレス溜る位に。正直、胃に穴があきそうで困る」
「それは……レイト殿に薬を貰う位しか」
「やっぱりそれ位しか無いか。明日店の方に顔出しに行くか」
「そうするしかないな、エイプリル姉様には連絡を入れておく」
「頼むよチンク。それと今日のスコーンを焼いたのってウーノじゃないよな」
「セインとウェンディが焼いたんだ。やっと人に出せる位になってきたのでな」
「そっか、おいしかったって伝えといてくれ」
「伝えておこう」
もう一つスコーンを口にする。う~ん、落ち着くな。
side out
side アリス
「お断りします」
「即答かのう」
何ボケたことを言ってやがるんだろうこの茄子は。
「残念ですけど私の所属は既にアリアドネーです。それにあなた方に私をどうこうできる権限は一切有りません。干渉するなら私はこれを本国に連絡するだけです」
「いや、別にこれは命令ではなくお願いであって」
「なら最初にお願いだというべきですね。まあどのみちお断りしますが」
「君の兄のことだぞ」
「あれは私のことを妹だとは思ってもいませんし私も同様です。まあ、目の前で死にかけていたら少し位なら助けるかも知れませんが、周囲に災いをもたらすなら排除するだけです。師匠もそう考えられているので直接交渉も無意味でしょう」
「むう」
はぁ、無駄な時間だな。今日はみんなストレスが激し過ぎて久しぶりにお茶会を開くことになっていたのに。正直政治家としてこの茄子は駄目だ。とっとと妥協案を出して帰ろう。
「妥協案としては現実を見せる件は私たちも師匠も賛成すると思います。ですが弟子入りは絶対に無理です。師匠はあまり魔法関係で、と言うよりあれと関わりを持ちたくないみたいです。だから師匠達は絶対に動きません。というよりまだ殺されていないだけでも十分に我慢してくれています。なので私たちを傭兵として雇うと言うのならそれには応じます」
「ふむ、だがそれをレイト殿達が許すかどうかだが」
「それは問題有りません。私たちは師匠達にある程度は自己責任で勝手に行動することを認められていますので。長期休暇中に何回か傭兵として戦場にも行ってますのでこれ位なら余裕です。それで、どうしますか?」
「分かった。君たちを雇わせてもらおう」
「なら詳細は後日お願いします。これから予定があるので失礼します」
これでやっと休める。アーティファクトの方もやっと雛形が完成したからこれから量産に入らないと。魔力の方は師匠達かお父さん達に協力して貰おう。さすがに100人分を一人でなんて無理だから。
side out
side 茄子
「お断りします」
「即答かのう」
ちょっと予想外じゃったのう。高畑君から聞いた所では家族を大事にしている優しい少女だと聞いているのだが。
「残念ですけど私の所属は既にアリアドネーです。それにあなた方に私をどうこうできる権限は一切有りません。干渉するなら私はこれを本国に連絡するだけです」
本当に数えで10歳児なのかのう?もの凄くしっかりしておるのじゃが。先日確認した所卒業試験も既に合格しておって、彼女の言う通り所属もアリアドネーに変更されておった。これはやはり『形なきもの』の影響か?
「いや、別にこれは命令ではなくお願いであって」
「なら最初にお願いだというべきですね。まあどのみちお断りしますが」
本当に家族を大事にしておるのかのう?
「君の兄のことだぞ」
「あれは私のことを妹だとは思ってもいませんし私も同様です。まあ、目の前で死にかけていたら少し位なら助けるかも知れませんが、周囲に災いをもたらすなら排除するだけです。師匠もそう考えられているので直接交渉も無意味でしょう」
「むう」
そう言われるとどうしようもないか、それにしてもここまで仲が悪いとは。一体今までどんな生活を送ってきたのじゃ?いや、それよりも今後のことをどうする?誰か代理を立てるにしても手加減すること無くできるじゃろうか?
そんなことを考えておるとアリス君が妥協案を出してくれおった。
「妥協案としては現実を見せる件は私たちも師匠も賛成すると思います。ですが弟子入りは絶対に無理です。師匠はあまり魔法関係で、と言うよりあれと関わりを持ちたくないみたいです。だから師匠達は絶対に動きません。というよりまだ殺されていないだけでも十分に我慢してくれています。なので私たちを傭兵として雇うと言うのならそれには応じます」
「ふむ、だがそれをレイト殿達が許すかどうかだが」
「それは問題有りません。私たちは師匠達にある程度は自己責任で勝手に行動することを認められていますので。長期休暇中に何回か傭兵として戦場にも行ってますのでこれ位なら余裕です。それで、どうしますか?」
「分かった。君たちを雇わせてもらおう」
やれやれ、やっと一息つけるのう。『形なきもの』は弟子に色々と教えておるみたいじゃが、何れは思う様に使ってみせるぞ。
「なら詳細は後日お願いします。これから予定があるので失礼します」
そう言ってアリス君が退出していく。そう思っておったが扉の前で一度止まり一言残していった。
「巫山戯た額だったら命は無いと思って下さいね」
こりゃあやばいのか?
side out
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