東方魔法録~Witches fell in love with him.
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16 魔法~What is the most important thing to you.
前書き
一部シリアスブレイク注意報です。本人にとって、いたって真面目な考えなんです…
この回は色々な要素を詰め込むのに苦労しました。シリアスにギャグにバトルにイチャイチャ…色々詰まった最新話をどうぞ御堪能下さい。
美鈴の案内で降魔館の門の前に私達は到着した。手下は全部生け贄にしてしまったのかここまで私達の侵入を阻む者はいなかった。
まるで中に入る者を威圧するかの如く重厚な門を美鈴が開け屋敷に入っていく。
罠など侵入者を阻む仕掛けがないのは単にマロウ自信がいれば侵入者の対処が出来ると言う自信の表れなのかしら?何にせよ入りやすいに越したことはないわ。
エントランスホールに入ると同時に私達はとてつもない量の魔力が漂っているのを感じた。恐らくマロウから出た魔力ね。凄まじい量だわ。以前、アイツから魔力が感じられなかったのが嘘みたい。
私達はその魔力が流れて来る方向に向かって歩いて行った。
見渡す限り本で溢れていた。棚に収まっていない本は乱雑に積み上げられている。そこは本で溢れ返った部屋だった…いや、部屋にしては広いからこの場合は書庫かしら?窓は一切無く、いくつもの蝋燭で書庫の明かりを賄っている。風通しが悪く、本独特の臭いに満ちている。
そんな中で奴は笑いながら魔法の練習をしていた。奴は私達に気付きこちらを向いた。
「くふっ!また君たちか…何度でも相手にしてやるよ」
マロウは初歩の魔法の炎の玉を繰り出してきた。初歩なのにとてつもなく大きく熱い。マロウの魔力が多すぎるせいね…!
私達はマロウに何も話しかけず攻撃した。アイツに掛ける言葉なんて何もない。ただ倒すだけだ。
私達の攻撃は奴には通用しない。だから私達の切り札は美鈴だ。彼女の体術なら奴を倒すことが出来るはずだ。私達が手を下すことが出来ないのは悔しいし、出会ったばかりの、それも敵だった彼女に頼るのは複雑だが今はこの手しかない。彼女がいなかったら……そのときは本で撲殺かしら?
向こうもその事は分かっているのか集中して美鈴を狙ってくる。そのせいで美鈴はなかなか奴に近付くことが出来ない。飛んでくる魔法はベラさん…だったかしら?お父さんの仕事仲間が美鈴を守る。だけど、威力が高いのか防ぐのが辛そうね。私とお父さんに修造さん、シェルさんは少しでもアイツの注意をこちらに引き付けるために兎に角攻撃を当て続ける。
攻撃を当て続けることによってマロウが怯み、攻撃の手が止んだ。いくら魔法が効かないといっても次々と自分に襲いかかってくれば怯みもする。その隙を突いた美鈴がマロウに急接近し、胸に向かって掌底を叩き込んだ。ものすごい勢いでマロウがくの字になって飛んでいき、壁に激突した。見ていてせいせいするわね。
だけど現実は甘くない。魔法が使えるアイツが生身で美鈴の掌底突きを喰らう訳がなく、結界を貼ってガードしていた。
衝撃までは無くせなかったらしく、若干フラフラしていたがそれも直ぐに無くなって立ち上がり攻撃してきた。
私達はさっきと同じような戦法で攻めた。同じことの繰り返しでイタチごっこのようだが段々と私達が不利になってきた。
マロウが私達の波状攻撃に慣れ始め怯まなくなったし、魔力が膨大なせいで美鈴がいくら攻撃しても結界が無くならなくて致命的なダメージを与えることができない。
「全く…まだ掛かって来るのか…。さっきはああ言ったがそろそろ終わらせてやる!」
マロウは剣を何度も振るって魔法で斬撃を飛ばす。それは美鈴や美鈴を守っていたベロさんだけじゃなく私、お父さんに修造さん、シェルさんにも向かって飛ばされた。お父さんと修造さん、ベムさんと守られていた美鈴は危なげながらも辛うじで斬撃から身を守った。けれど、私は防ぎきることが出来ずに足に斬撃が走った。そのせいで私は立てなくなり膝を付いてしまった。
「きゃあ!」
「先ずは君からだ!」
隙を見せた私にマロウがトドメを刺しに剣を振るった。
……私、ここで終わっちゃうのかな…。アイツに仕返しが出来ないまま…。私を殺す魔法がすぐそこまで迫ってきている。躱しようがない。ああ、でもいいっか…もう遅いしこれから明希に会えるかと思えばそれでいいっか……。
そう思って目を閉じた。
……あれ?
目を閉じる前にあった位置から来るはずの覚悟していた衝撃が時間が経っても訪れない。
おかしいと思った私は恐る恐る目を開けた。
そこには
ふー。危ない危ない。後もう少し遅れたらパチュリーが切り刻まれるとこだったよ。
「ごめんねパチュリー。もうちょっと早く会えれば良かったけど、思ったより時間かかっちゃった」
四つん這いになってるパチュリーは信じられないものを見たような顔をしている。俺は座ってそっと彼女を抱き締めた。
「あ、き……?」
彼女の目は見開かれ、ぷるぷると震えていた。彼女の香りがフワッと俺の鼻腔をくすぐる。
「心配かけてごめんね」
まだ信じられないのか確かめるように俺の名前を呼んだ。
「あき……?」
「辛い思いをさせてごめんね」
「明希……?」
漸く実感したようで大粒の涙を流しながら泣き叫んだ。
「う……わああああああぁぁぁ!!!!!!」
抱き締められる力が強くなり、涙が首筋や肩を濡らした。俺は背中をあやすように擦った。
「くははははっ。明希君!君が何で生きているのだ!!」
俺はパチュリーを抱き締めたままマロウと会話する。
「魔法を使ったんだよ」
「出鱈目を言うな!そんな魔法なんてありはしない!」
「信じる信じないはお前の自由さ。」
「くっ!貴様に魔法を語られて堪るか!貴様に何がわかる!最初から魔法を使える貴様に!!」
マロウは斬撃を繰り出してきたが俺はパチュリーをお姫様だっこして軽々と躱した。
「……確かに…お前の気持ちはわからないこともないよ。俺も熱意は違えど魔法に憧れていたからな。げど!貴様は俺にとって許せないことをした!!それは
俺のパチュリーを傷付けたことだぁぁ!!」
その言葉を言った時、腕の中にいるパチュリーがピクッと反応した。チラッと見ると顔を赤くしている。自分でいっておいて何だけどちょっと恥ずかしい…。
俺はマロウに蹴りをかました。勿論、パチュリーに衝撃が伝わらないように。
メキィと結界の上からマロウの脇腹に蹴りが食い込んだ。あばら折れたかも。
「グホッ!…君は以前にはこんな力は無かったはずだ…どんな手品を使った…!」
「いっているだろ魔法を使ったって。信じる信じないはお前の自由だがな。そのまま大人しくしておけ。お前の過去は聞いたよ。同情しているし、パチュリーの分は入れた。後はちゃんと裁かれろ」
俺はパチュリーの足を魔法を使って治療し始めた。
「認めない!私は!ただ魔法が使いたいだけだ!!!」
マロウは力を振り絞り俺とパチュリーに向けて斬撃を放った。
「馬鹿野郎!」
俺は妖力の弾を作り、それで斬撃を打ち消しながら放った。魔力を無効化する体質でも妖力は無効化出来ないらしい。弾に当り、大きく吹き飛んだマロウは虫の息になった。大人しくしておけば良かったのに…!
「か…はっ…!……はあはあ…。明希君…魔法とは何かね…」
「……楽しいもの…じゃないかな?」
「……ふっ、ふははっ…違いない。確かに魔法は楽しかっ…た…………」
「ばかばか!」
パチュリーは俺の胸を力なく叩いた。俺は大人しく叩かれた。
「私が!どれだけ!」
俺はギュッとパチュリーを抱き締めた。
「寂しかった!怖かった…!もう…どこにも…いかないで…」
始めは怒ったような口調だったが、段々と消え入りそうな声になって終いには涙を流した。
俺は抱き締めたまま髪をすくようにパチュリーの頭を撫でる。
「ねえ、顔を見せて…」
お互いに抱き合ったまま、顔だけ向き合う。
そして一気に顔を近付け、唇を貪った。
舌を口の中に入れて口内を蹂躙したり、はたまた入れられて蹂躙されたり……舌を啜ったり啜られたり……ピチャピチャと淫らな音を永遠とも感じるぐらい長い時間繰り返した。
「ぷはっ……はぁはぁ……ふふっ」
「はぁ……ふぅ……ははっ」
笑顔に満ちていた。
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おまけっ!
「あらあら、お熱いわね」
「明希達め…俺達のことは忘れて二人の空間を作りやがって…あげくの果てには俺達の出番が…」
「諦めろ。自然な流れだ。誰にも止められん」
「そうですよ。こうして僕達の出番はどんどん無くなっていくんですよー」
「諦めろ…!自然な流れだ…誰にも止められん…!」
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おまけっ!そのに
「あら、見せつけてくれるわね」
「あ、お嬢様いつの間に。そうですねぇ。あの二人、私達が見ているの忘れているんじゃ…」
「見えていないのよ周りが。後で激しく後悔するでしょうね」
「でしょうね…あ、そうだお嬢様。あの少年はどうして生きているんですか?」
「それは……次回を楽しみに待ってなさい」
「メタ発言しないでください!!」
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