東方魔法録~Witches fell in love with him.
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8 突然~It was normal day until then.
ー30時間前ー
「行ってらっしゃーい」
「いってきます」
何時もと変わらない朝。私は学校に行くパチュリーを見送って朝食の片付けを始めた。
パチュリー達って学校で上手くやれているかしら?先生からは優秀な子たちとは言われているけどあの子ってば学校での話をまったくしなくてちょっぴり不安だわ。
「エドワードさんの今日の予定は?」
「今日は夜から仕事だ。それまでは何もない」
「…また魔法警察の手伝い?」
「明日は朝まで帰れないかも知れない」
パチュリー達の入園日の前日。エドワードさんは朝までには帰って来なかった。
結果としてはパチュリー達の為に仕事を切り上げ帰って来たのだけどやっぱり不安だった。
「お詫びとしてはなんだか…。どうだ、その…何処かに行くか?」
「あら、デートのお誘いですか?勿論喜んで」
ー25時間前ー
ビシッ!バシッ!と部屋でミットを打つ音が木霊する。
「久しぶりねシェル。ミット打ちなんて」
「そうですね先生。もう何百年前だったかしら」
昼、私は最近物足りないから先生の所に遊びに来ていた。
「初めて私に稽古を付けて欲しいって言ったのは年中ごろだったっけ?」
「その時先生は私の憧れでしたから。今でも憧れてますけど」
先生のミットが打ち込む場所を指示する度に、私は正確にパンチをねじ込む。
「幼稚園児なのに良く私に憧れたものだよ」
「幼稚園児と言えば…三年間、明希達はどうでしたか?」
「お前の子供はよくフラウの子…パチュリーとよく一緒に本を読んでたよ」
「家とまったく変わらないわねぇ。こそこそと隠れて何してるのかしら?」
「子供は親に隠れて何かしたいものさ」
まあ、確かに…。私だって両親に先生から稽古付けてもらってたのは内緒にしてたし…。
「あ、もうこんな時間。そろそろ園児達のお昼寝が終わる頃だわ」
「そうですか。じゃあ今日はここまでにしましょう。仕事中にお邪魔しました」
「いいよいいよ。楽しかったし、またおいで」
ー20時間前ー
「くぅ、書類仕事が早いエドワードが今ばかりは羨ましい…」
本来なら夜まで仕事はないが未整理の書類を偶然見つけたのが運のつきだ。
エドワードはフラウとデートにいってるからそれに水を差すことはしたくない。しょうがないので一人で書類仕事に励んでいる。
そこに同じく仕事がないはずの部下がやって来た。
「あら、修造さん何でいるんですか?」
「運悪く未整理の書類を見つけてしまったんだ。ペルこそどうしたんだ?」
「ベルです。魔法警察でちょっと書類を押し付けられちゃって」
まったく、人使いの荒い警察だな。こっちは一応民間企業なのに。というか民間企業に警察の書類を見せていいのかよ…
「今夜の仕事に間に合えばいいんですけど…」
チラッと横を見るとエドワード程ではないが俺よりは断然早いスピードで書類を整理していく。チィ、いくら俺が社内で一番デスクワークが遅いからってこれは傷付くぞ…。ならば…
「いいじゃないか遅くなっても。俺らは悪くないし」
俺がもっている未整理の書類をバレないように三枚ずつぐらいベルマーレの未整理の書類の束の上に置いていく。
「だめですよ、そんなことしたら仕事が無くなっちゃいますから」
ペアは俺がこっそり置いた書類を整理する。よし、まったく気づく様子がない。このペースでどんどん仕事を押し付けていこう。
「うちの仕事って半分が警察の手伝いだろ?逆に何でうちが民間企業なのか疑問に思ってくるぜ」
「逆説的ですね。まぁ、本当に悪いのは犯罪者ですから」
犯罪者かぁ。あのときはびっくりした。夜中に家に入ってきて赤ん坊の明希を誘拐しようとするなんて。
何人、いるんだろうな…拐われた子供は…
「そうだぁ。悪いことはぁしちゃいかん」
「そうですね…って!あぁ!修造さん!こっそり書類を増やさないでください!」
「はははー!俺の分までありがとな!」
ー15時間前ー
フラウとのデートを終え、俺は警察の依頼で修造、ベリーとマロウ家の幹部を追っていた。
「相手は一人、こっちは三人。勝てなきゃ嘘だ」
「油断はするな。相手は幹部だ」
「倒す気でかかれってことですね」
日はとっくに沈み、辺りは頼りない街灯の光のみで照らされている。
俺達はこっそりと幹部の後をつけていた。
流石に幹部だけあって途中から俺達に気付き段々人気の無い場所に誘い込んでくる。
「止まったぞ」
幹部は開発を放棄された土地で止まった。そしてゆっくりこちらをむいた。
「いるんだろ。出てこい。俺が気付いてるってことにも気付いてるんだろ」
「気付いてることを気付いてるっていうことも気付いてるのか」
「そうだ。気付いてることを気付いてるってことを気付いてるってことも気付いてる」
「それに気付いてることを気付いてる…」
「ややこしいです!いい加減にしてください!!」
「冗談だ」
あいつ、修造と気が合いそうだな。
「だがお前だとは気付かなかったよ裏切り者のノーレッジ」
「二重スパイだ」
「そうだったのか。お前は元から敵か…。元同じマロウ家だったら少しは手加減しようと思ったんだが…必要ねぇなぁ!!」
ー1時間前ー
小学生に上がってはや数日。前世で高校生だった俺にとって、ここで与えられる勉強は意味を成さない。
「明希君にパチュリーちゃん、それとエリーちゃん?今は文字の練習の時間ですよ?何で本を読んでいるんですか?」
小学生に上がると授業がある。そのため今までみたいに自由に魔法の練習ができなくなった。それに一人一人に席が与えられ、パチュリーと一冊の本を読めなくなった。まぁ、もう基礎は出来てるし、もういいけど。
今はお互いに自分が興味を持った魔法を勉強している。パチュリーは火、水、木、金、土、日、月の属性魔法に興味を持った。うーむ。ちょうど一週間。俺は…
「聞いているんですか!?」
「何ですか先生。課題は全部終わりましたよ?」
教室内では年齢が違うため、年齢に合わせた課題を毎日与えられる。だが所詮は小学生。難なくクリアしている。パチュリーとエリーも同様だ。というか二人のほうが凄い。俺は前世の記憶があるから簡単だが、二人はそうではないのだ。
「ムキー!じゃあ今日の分はどうなんですか!?」
「はい先生」
終らせた一日分の課題を先生に見せつけた。両隣のパチュリーとエリーも同じように見せつける。
小学生に上がったとき、席を決めたのだが、二人は俺の隣がいいと言って聞かなかったのは記憶に新しい。エリーは歳が一つ上で先に小学生に上がってて、席が決まっていたのに無理に変えてた。
「ム、ム、ムキー!じゃあこれは解けますか!?」
先生は1+2+3+4+5+…49+50を魔法を使って素早く紙に書き、俺達三人にそれぞれ渡した。
「(ふふふ、これなら時間が掛かるはず…本を読んでる暇は…)「1275」なにー!」
あっという間に俺達は同時に与えられた計算を解いた。
仕組みは簡単だ最初の数と最後の数を足して全体の足す個数を掛けて2で割ればいい。この場合だと(1+50)×50÷2=1275だ。
ふはは!高校生でその計算はやったのだよ!パチュリーとエリーは自力か?本当に凄いな。
「ム、ム、ムキー!もういいです!好きにしてください~!」
泣きながら先生は教室を出ていく。周りはざわついているが俺達は本に目を落として読み始めた。
ー0ー
腹が減って来た。時間を見るとそろそろ12時。昼飯の時間だ。本を読んでると時が流れるのが早い。二人はまだ本を読んでいる。
「二人とも、飯の時間だよ」
二人は本から顔を上げ、机をくっ付ける。バッグから弁当を出して何時ものように飯を食い始める。
「モグモク…先生しつこいね。課題なら終わらせてるのに」
「パクパク…そ、そうだね…。き、今日は特に酷かった…」
「もきゅもきゅ…優秀なのが癪に触るだけでしょ」
ドッッカーン!!
突然、本当に突然。なんの前触れもなく突然。一切の前兆すらなく突然、教室の壁が爆発し、煙が上がった。
誰もが驚き一瞬の静寂。そして訪れるのはパニック。
「「キャァァァア!!」」「「わぁぁぁあ!」」
俺は状況を分析、パチュリーは茫然と、エリーは気絶している。
すると煙の中から人が表れた。体のあちこちに傷をおっている。
そして男は叫んだ。
「うるせぇぇ!ガキどもぉぉ!騒ぐなぁぁ!!!」
男の一喝で皆黙りこんだ。逆らうと危険だと本能で悟ったからだ。
「いまからお前らは人質だ!騒ぐな暴れるないいな!?」
ーTo be continuedー
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