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久遠の神話

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第九十五話 中田の決断その六

「私もそう思います」
「そうですよね、これは」
「しかし奇跡は起こりました」
 それ故にというのだ。
「ですから是非」
「わかりました、じゃあ明日の朝」
 中田もこのことを約束してだった、そのうえで。
 彼は電話を切った、それでだった。
 すぐに祝杯を挙げるべくワインを開けた、だがここで。
 家のチャイムが鳴った、それでだった。
 扉を開けるとそこに聡美達がいた、それでこう言ってきたのだった。
「あの」
「ああ、今話は聞いたよ」
 満面の笑みでだ、中田は三人の女神達に答えた。
「親父達の手術が成功したんだよな」
「はい、無事に」
「それで明日の朝にだよな」
「ご家族はです」
 目覚めす、聡美も中田に告げるのだった。
「お兄様のお力で」
「あんたの兄さんかい」
「アポロン神がしてくれました」
「そうか、アポロン神は医療の神様でもあるからな」
「そのことはですね」
「俺も知ってるよ」
 こう聡美に答えるのだった。
「それでそのアポロン神がだよな」
「助けて下さいました」
「悪いな、それじゃあな」
 その言葉を受けてだ、中田は満面の笑みで女神達にこう言った。
「今から乾杯するつもりだったんだけれどな、一人よりもな」
「四人で、ですね」
「ああ、両手に花どころか口にもってなるとな」
 冗談も入れてだ、中田は言うのだった。
「最高だしな」
「そうですね、では」
「あがってくれよ」 
 女神達を自分の家の中に案内するのだった。
「それじゃあな」
「はい、それでは」
 女神達も応えてだった、そのうえで。
 四人で乾杯をした、そうして飲みながらだった。
 中田はまさに満面の笑みでこう言った。
「いや、夢みたいだよ」
「ですが」
「ああ、夢じゃないんだよな」
「そうです、明日の朝に病院に行かれれば」
「親父もお袋もだよな」
「妹さんも」
「皆、だよな」
 こうだ、しみじみと言うのだった。
「また一緒にな」
「はい」
 その通りだと答えた聡美だった。
「そうなります」
「じゃあ俺は戦いを降りるな」
 ここまで聞いてだ、中田は女神達に明るい顔で述べた。
「もうな」
「そうされますね」
「ああ、もう戦う理由がないからな」
 家族が助かる、それならだ。
「明日の朝この目で親父達が目が覚めたのを見てからな」
「そのうえで、ですか」
「戦いから降りるさ」
 そのことを約束するのだった。
「絶対にな。ただな」
「はい、もうそう決まっている様ですが」
 聡美はこのことについては暗い顔で言った。
「戦いから降りる前に。剣士は」
「一戦しないといけないよな」
「セレネー姉様はそれを強いられます」
「降りる前にせめて少しでも力を集めたいからか」
「そうです、その為に」
「そうだよな、じゃあな」
「貴方もですね」
 中田もだとだ、やはりこのことは眉を曇らせて言う聡美だった。
「最後に闘われますね」
「そうなるよな、じゃあその相手はな」
「相手?」
「明日の朝言うな」
 明るいがそこに考えのある言葉だった。 
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