初音島の剣闘士
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◆3 こたつの上の決闘 後編
前書き
前回の修正として、アリトのバックは1枚になってます。
あとはデュエルが長引くのがあれですね、
文字数が大量になって頭使うようになって知恵熱が出そうです。
4ターン目経過
アリト 700 手札0
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義之 4000 手札0
状況は劣勢。次のターントークンのダイレクトアタックで俺はライフゼロ。
先ほど確認し、真紅眼の幻想竜本体が破壊されれば、トークンも破壊できるらしい。
しかし問題はそれじゃない。《黒竜の翼》ただでさえ高い攻撃力に加え、破壊される場合墓地に送るそうだ。
そう、攻撃力4000の化け物を2回突破しなければならない。
ふと、セスタスならば奴の攻撃を華麗にかわしカウンターを入れられるんじゃないか?と考える。
トークンを破壊し、真紅眼の幻想竜を餌に地道にダメージを与える。
ふっ、我ながら姑息な手を考えると自覚しているが、今の状況打破には最適かもしれない。
だけどよ、そんなんじゃ面白くねぇ。過去のことをくよくよ考えるなんざ俺らしくない。
「俺のターン!ドロー!!」
このドローで全てが決する。
それを察しているのか義之が固唾を呑んで見ている。
お前も遊馬と同じ熱いデュエリストだ。戦っていて、熱意が、やる気が尻上がりに上昇している。
さぁ、偉大なるレッドアイズ使いに拳を突き立てようじゃないか。
「・・・・・」
ドローしたカードは…
そうか、それがお前の答えか
「お前、人間界じゃ2番目に熱いデュエリストだな」
「お世辞ならもっとマシなのを言えよ。世界はもっと広いんだぞ?」
「…俺のデュエルした中でだよ。だからこそ、今持てる全力でお前に立ち向かうぜ!」
「おう!倒せるものならな!!」
俺はドローしたカードをそのままモンスターゾーンへと召喚する。
出てきたモンスターはBKヘッドギア。最初にも出たBK専用のおろかな埋葬だ。
このカードで墓地に落とすモンスター、それはBKグラスジョー。
どこかの外国人はこいつを攻撃されただけで馬鹿みたいに爆散すると言っていたが、
俺が今一番頼りにしてるカードだ。
「そいつはBK回収のカードか。だが墓地にいるBKは《カウンターブロー》だけ。戻したところで意味は無いぞ」
「誰も戻すなんざ言ってないさ。効果は発動せず、伏せカードを発動する!」
そう、このカードを出す以上このターンで終わる。だが一泡吹かせるにはちょうどいい!
それがこのデッキの答え、俺の鍛錬してきた証拠だ。
「永続罠《尽きぬ闘志》。こいつは墓地にいる炎属性戦士族モンスター1体を無条件で特殊召喚する!」
《尽きぬ闘志》
永続罠
①自分の墓地にいる炎属性戦士族モンスター1体を選択し発動する。
そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚し、その攻撃力を倍にする。
②???????????????
「さらに、その攻撃力はその倍となる!!」
「墓地にいるのは、攻撃力2000の《BKグラスジョー》…!」
「そう、これによりグラスジョーは蘇生。4000の攻撃力を得る!」
BKグラスジョー
ATK/2000→4000
これが俺の精一杯の、剣闘士の不屈の闘志!
殴られようとも、血反吐を吐きようとも、決して折れぬ闘志。
さぁ、行くぜ。霧払いの時間だ。
「アッパーカッターを攻撃表示へ変更し、バトルフェイズ!BKグラスジョーで真紅眼の幻想竜へ攻撃!」
BKグラスジョー/4000
↓
真紅眼の幻想竜/4000
「真紅眼の幻想竜の対象の変更は効果のみ。受ける。だが破壊されるのはお前のグラスジョーと俺の《黒竜の翼》のみ。真紅眼の幻想竜は健在する!」
「相打ちのためダメージは発生しない。だがこれで《黒竜の翼》の防御は解かれた!リードブロー、奴に渾身の一撃を与えてやれ!!」
「だが、真紅眼の幻想竜の攻撃力は3200。2200のままでは倒せない!」
BK拘束蛮兵リードブロー/2200
↓
真紅眼の幻想竜/3200
「知っているか、相手をノックダウンさせるためにはあえて懐に入るんだぜ?」「…はッ!?」
そう、無策で突っ込むほど俺は馬鹿じゃない。
カウンターとは言わないが、こいつでお前もおしまいだ!
「ダメージ計算時、墓地の《BKカウンターブロー》の効果を発動!リードブローは攻撃力プラス1000を得る」
《BKカウンターブロー》
効果モンスター
星3/炎属性/戦士族/攻 0/守1100
①自分フィールド上の「BK」と名のついたモンスターが
戦闘を行うダメージステップ時に手札または墓地の
このカードをゲームから除外して発動できる。
そのモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。
「BK カウンターブロー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
BK拘束蛮兵リードブロー/2200→3200
↓
真紅眼の幻想竜/3200
「攻撃力は互角…!」
「偶然落ちたかそれとも必然か。これにより同じ攻撃力になり相打ちとなる!」
霧状だった真紅眼の黒龍の黒炎弾を受けながらもリードブローは屈しない。
黒炎弾の隙を狙い、その赤い目に一発、二発と渾身の拳を叩きつける。
悶絶した真紅眼の黒龍は消えるように霧が晴れていく。
残ったのは拘束を1段階外したリードブローだ。
「だがリードブローは拘束が破壊の代わりになり、破壊されはしない。さらに攻撃力が800アップする」
BK拘束蛮兵リードブロー/3200→4000
「くっ、真紅眼の幻想竜トークンは効果により破壊される」
「フィールドはがら空きだ。残りのヘッドギア、アッパーカッターでダイレクトアタック!!」
素早いパンチとアッパーが義之を襲う(脳内)
合計は2700。残りライフは1300となった。
義之 4000→1300
「まさか俺の真紅眼の幻想竜があんな強引に破壊されるなんてな。俺の手札は0。
例えブラックホールを引いたところでリードブローは崩せない。俺の負けだな…」
「いや、このターンで倒しきれなかった以上、俺の負けだ」
「ッ?!どういうことだ」
「力あるカードにはリスクが伴う。
永続罠《尽きぬ闘志》にはそのエンドフェイズ時、蘇生したモンスターの元々の攻撃力分、ライフダメージを受ける」
《尽きぬ闘志》
永続罠
①自分の墓地にいる炎属性戦士族モンスター1体を選択し発動する。
そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚し、その攻撃力を倍にする。
②このカードが発動したターンのエンドフェイズ時に、特殊召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。
正直に言おう。ドローした瞬間、この方法で突破はできるがそのターンで敗北する。
通常のプレイヤーは皆サレンダーを選ぶだろう。絶望的状況、敗北濃厚。だが俺にはそれは出来なかった。
レッドアイズ。この伝説の称号に抗ってみたかったのだ。このターンで終わるとしても、爪痕を残したかった。
「この結果に悔いはない。楽しいデュエルだったぜ、ターンエンドだ」
アリト 700→0
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二人共唖然としている。負けると分かっていても戦いたくなる。それが剣闘士としての血、俺自身の血なのだろう。
しばらくの沈黙のうち、どちらともなく手を差し出す。
相手の手と手を握る。お互いに手汗びっしょりでなんとも気持ちが悪い。
文字通り手に汗握る勝負というやつだ。いやぁ、なんとか島に来てどうなるか分かったもんじゃなかったが、いいデュエルが出来た。
「どっちが負けてもおかしくない展開だったな。俺も楽しかったよ」
「ありがとよ。デュエリスト冥利に尽きるぜ」
隣からは1人の観客が拍手喝采と言わんばかりに感涙している。
「にゃはは、こんなに面白いデュエルは久々に見たよ!やっぱりボクの見立ては正しかったわけだ!」
…ん?ボクの、見立て・・・?
「おい待て、それは俺がデュエリストって言うのを知っていてわざわざ招いたのか?!」
「当然でしょ?腕にデュエルディスク付けて倒れてる子がいたら、息子と戦わせたくなっちゃうでしょ!」
「もしかしてお前、こいつが遊戯王知ってるって分かってたのか?!」
「まぁな。さくらさんはたまに悪ノリするし、それに便乗しようと」
なんだかなんとも言えない空気になっちまった。
まさかと考え、本当に偶然あそこで倒れてたのを見つけたのか質問してみたが、
「そこまでボクは策士じゃないよぉ~」なんて言いながら笑い転げていた。
ここまで来たらもう偶然じゃなく、さくらが俺を呼んだのだと思っておこう。
「でも楽しかったでしょ?デュエル」
さくらは何を考えているか分からない。
そもそもその容姿で息子とか呼んでる時点であれなんだが…
そういえばどこかの親父がこんなちびっ子パパだとかベクターの奴が言ってたか。
そういう奴は皆こんなのばっかだと思うと頭がいたい。
だがこれだけは強く頷いて言える。
「あぁ、最っ高のデュエルだったぜ!!」
楽しいデュエルはデュエルした本人もそうだが、それを見ていた奴の心も楽しくさせる。
遊馬の時もそうだった。俺を熱くさせる、みんなの心も熱くさせる。
あぁ、この気持ち、久々に感じたよ。ありがとな義之。
「さってと、じゃみんな寝る時間だよ」
気付けば時計の針はてっぺんを刺そうとしている。
義之もさくらも寝る準備に入る。俺もこの島に来て疲れを感じていたのだろう。今頃になって眠たくなってきた。
バリアンとはいえ、今は人間の体。寝ることも人間としての仕事だ。
ま、明日はやることがないんだがな。そういやカードショップはこの島にあるのだろうか?
まさか通販サイト密○で買ってるわけではあるまい。そこのところを義之に聞けば…
「んじゃあ明日行ってみるか。ちょうど冬休み入ったところだし」
とのことらしい。暦の上では今は冬、12月26日だという。
くり…いや、これはキリスト教の祭りだ。俺は幽霊でバリアン。
ドンサウザンドなら信じるが、イエスキリストを信じるかと言われると怪しいところだ。
話を戻して、明日はカードショップにご来店か。どんなカードがあるか楽しみだが…
俺、無一文なんだよな…
To Be Continued
後書き
ある意味プロローグは終了。まだヒロインは出てきてないですけどね!!
結構偶然とはいえなかなか熱い展開になって割とほっとしてます。
多分次ぐらいにはヒロインが出る可能性。実はまだプロットが出来てないのは秘密です
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