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久遠の神話

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第九十一話 戦いでも得られないものその八

 闘いを見ているスフィンクスがだ、彼に言って来た。
「その巨人もかなりの強さよ」
「ギガンテスだったね」
「ええ、そうよ」
 今は砕けた口調のコズイレフに答える。
「その巨人こそがね」
「ガイアが生み出した神々と戦う巨人」
「まさにそれよ」
 それがギガンテスなのだ。
「両足が蛇の下半身である」
「それだったね」
「それが今の貴方の相手を」
「神々やヘラクレスが倒していたね」
「大きさもね」
 その巨大さについての話にもなる。
「かなりのものね」
「そうだね、神々と戦っただけはあるね」
「そしてその巨人を倒せれば」
「僕はまた力を手に入れる」
「そして。いいわね」
「最後の戦いにもだね」
「勝つのよ」
 コズイレフに対してもだ、スフィンクスは言うのだった。
「いいわね」
「その為に僕の前にギガンテスを出してくれたんだね」
「おそらくセレネー女神は相当な強さの怪物を出してくるわ」
「神に匹敵するまでの強さの」
「そうした相手を出してくるから」
 それ故にだというのだ。
「私も今この怪物を出したのよ」
「強さはオリジナルと変わらないね」
「全くね」
 実際にそうだというのだ、このギガンテスもまた言うならばコピーだがその強さはオリジナルと全く変わらないというのだ。
「つまりこの怪物を倒すには」
「神々に匹敵するまでの力が必要だね」
「そうなるわ、それは他の剣士達もだったわ」
 これまで戦いを降りた剣士達はというのだ。
「彼等もまた最後にはね」
「神々に匹敵するまでの力を手に入れていたんだね」
「だから勝てたのよ」
 それぞれの最後の戦いにだというのだ。
「そして戦いを降りられたのよ」
「そうなんだね」
「そう、ただわかるわね」
「このギガンテスにしても最後の戦いの怪物にしても」
「強いわ」
 それも相当にだというのだ。
「このことは覚悟しておいてね」
「戦いを降りるまでの試練は必要だね」
「そういうことになるわ」
「では」
「試練に勝つのよ、いいわね」
「わかったよ、では勝つよ」
 このギガンテスにもだ、そう言ってだった。
 彼はその手に持っている大刀を手にギガンテスに向かった、ギガンテスはその途方もない巨体を使って攻めてきた。
 蛇のその足がだった。横からコズイレフを薙ぎ払おうとしてきた。それはそのまま大蛇の尻尾であった。その尻尾を見てだった。
 コズイレフは上に跳んだ、そうして巨人の足をかわした。しかし。
 今度は拳だった、巨人は左の拳を左から右に出してきたのだ。それで跳んでいるコズイレフを横から潰そうとする。
 コズイレフは丁度跳んだ時の最も上の場所に来ていた、そこからは落ちるだけで一瞬止まる。巨人はそこを狙ってきたのだ。
 これでは為す術がない様に見えた、防いだところで己よりも大きな拳だ。到底防ぎきれるものではない。
 若しかせずともこれで終わる、普通に見れば誰もがそう思える状況だ。しかしその巨人の拳に対して彼はというと。 
 その剣を思いきり向けた、そしてそこからだった。
 力を、渾身のそれを出した。熱のそれをこれでもかと出したのだ。
 熱はただの熱ではなかった、それは形こそないが炎と変わらない。凄まじい衝撃も出しそれで巨人のこ拳を撃った、そうして。 
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