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久遠の神話

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第八十九話 六人目への介入その十一

「その時に備えて」
「強くなるのですね」
「そのつもりです」
「いいことですね」
「剣士として強くなることはですね」
「強いとそれだけ強大な怪物を倒すことが出来」
 そしてだというのだ。
「剣士も止められます」
「そう思いまして」
「だからですね」
「そうです、僕は強くなろうと思っています」
「そうされて下さい、後は」
「後は?」
「若しかしてですが」
 聡美は考える顔になった、その顔で上城を見て話したのである。
「その怪物達は誰が出しているのでしょうか」
「スフィンクスさんですけれど」
「彼女ですか」
 スフィンクスと聞いてだ、聡美は考える顔になって述べた。
「彼女がそうしているのですか」
「はい、そうですけれど」
「彼女もまたセレネー姉様により造られました」
「怪物だからですね」
「はい、ですが」
「それでもですか」
「彼女は長い間この戦いに疑問を持っていました」
 このことをだ、聡美は今上城達に話した。
「それで何とかしたいと考えていました」
「それで僕をですか」
「強くして」
 そしてだというのだ。
「その力で戦いを終わらせようと考えているのです」
「そうなのですね」
「そのことは貴方も察しておられると思いますが」
 聡美は上城の目を見て問うた。
「どうでしょうか」
「確かに、それは」
「そうですね」
「僕もある程度ですが察していました」
 そしてだというのだ、上城も。
「あの人にも言われましたし」
「そうですか」
「そうです、最初から」
「そうだったのですか」
「あの人は他の怪物とは違いましたから」
 最初会った時からだ、上城はそのことを感じていたのだ。即ち察していたのである。
「戦いを終わらせる為に僕に強くなってもらって」
「そうしてです」
「戦いを終わらせたいんですね」
「これまで。神話の頃から今に至るまでは」
 つまり今の戦いまではというのだ。
「何もです」
「出来なかったんですね」
「私も彼女も力が足りませんでした」
 この戦いを止める力、それをだというのだ。
「だから止まりませんでした」
「そうなりますね」
「そうです、しかし」
 それでもだというのだ、今は。
「終わらせることが出来ます」
「このままいけばですね」
「私達と彼女が動くことによって」
「それじゃあ僕はこれからもあの人の力を借りて」
「強くなるべきです」
 是非にだというのだ。
「そうなって下さい」
「わかりました」
「はい、じゃあ」
「それで次に戦う怪物は」
「ラドンらしいです」
 この怪物だとだ、上城っは答えた。
「あの百の頭を持つドラゴンに」
「ラドンですか」
「ご存知ですよね」
「本来のラドンは黄金の林檎を守っています」
「世界の果てで、ですね」
「乙女達と共に」
「悪い怪物ではないんですね」
「確かにテューポーンとエキドナの子です」
 神々を脅かした彼等のだ、だがそれでもだというのだ。
「ラドン、ケルベロスもそうですが」
「神々には逆らっていないんですね」
「むしろゼウス父様は愛されていたからこそ」
 それ故にだというのだ。
「ラドンに黄金の林檎を守らせているのです」
「そうなのですね」
「そうです、ラドンはよい怪物です」
 本来のラドンはだというのだ。
「そしてその力も」
「かなりのものですよね」
「ただ巨大なだけでなく」
「百の頭がありですね」
「非常に強いです」
 それでだというのだ。 
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