久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十一話 バトルゲームその十
「その親族もあまりいい筋の人達ではないそうですが」
「だろうな、碌でもない奴は碌でもない場所から出て来るものだよ」
家庭なり何処なりだ、そうした輩が出て来る土壌は必ずあるのだ。
「それでか」
「その親族の方々も破産されたそうです」
「まああいつはもう二度と悪事は働けないな」
「完全に」
そうなっているというのだ、何もかもが。
「そうなりましたね」
「俺はそういう奴には何をしても平気なんだよ」
下衆や暴力常習者そうした所謂社会のダニはというのだ。ここでも言えることだが教師だからといって聖職に相応しい者ばかりとは限らないのだ。むしろ教師程異常者や不健全な輩が多い職業もないであろう、日教組等を見ていると。
「破滅させようが何をしようがな」
「しかしいい人達にはですね」
「剣は悪人を成敗する為のものでもあるだろ」
「私の弓もです」
聡美も答える、その銀の弓はただ狩りの為のものではない、兄のアポロンも同じだが悪人を射抜く為のものでもあるのだ。
だからだ、聡美も応えて言うのだ。
「その為のものですから」
「そうだよな、武器ってのは重いんだよ」
「剣も弓も」
「あんたもだろ」
中田は智子も見た、アテネである彼女も。
「その武器は戦う為であっても」
「そうよ、私の武器は戦う為のものだけれど」
戦いの女神だからだ、智子の槍はそうしたものだ。
しかしだ、それと共にこう言うのだ。
「私の戦いは誰かを守る為の戦い、殺戮や破壊の為のものではないわ」
「だから重いんだよな」
「ええ、そういうものだから」
「俺の剣もだよ、やっぱり自分の為に剣を振るうのはな」
「間違っているというのね」
「わかってたんだよ」
遠いものを見る様な、それと共に悔やむものも滲ませながら言う中田だった。そこには何よりも深い悔恨があった。
「俺にしてもな」
「そうですね、では」
今度は豊香が中田に応える。
「貴方は私達がご家族を救えれば」
「止めるさ」
その戦いをというのだ。
「そうするさ」
「そうですね」
「あと俺以外の剣士も頼むな」
微笑んでだ、中田は聡美達に他の三人の剣士達戦うことを決意している剣士達に話した。
「そっちもな」
「はい、わかっています」
「頼むな、まあとにかくな」
「戦いから降りられることはですね」
「いいことだよ」
中田は笑いながら話す。
「それじゃあ今はな」
「どうされますか?」
「家に帰って飯食うか」
日常の生活だった、彼が今しようと考えていることは。
「それで風呂入って寝るか」
「そうですか」
「今日は牛丼なんだよ」
それを作って食べるというのだ。
「他人丼ともいうけれどな」
「牛丼と他人丼ですけれど」
豊香がその二つの丼についてだ、話す中田に尋ねた。
「どう違うんですか?」
「さっき一緒みたいに言ったな」
「はい、それは違うんですか?」
「違うんだよ、牛丼は吉野家とかにあるだろ」
まずは牛丼からだった、中田が今話すことは。
ページ上へ戻る