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久遠の神話

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第八十話 残る四人その一

                   久遠の神話
               第八十話  残る四人
 スペンサーは三つの身体を持つ巨人と対していた、その彼に。
 巨人達は早速攻撃を仕掛けてきた、その三本の槍をそれぞれ繰り出してくる、それで彼を刺し殺そうというのだ。
 だがスペンサーはその槍を右に左にかわす、その動きを見て智子が言う。
「あの動きは」
「剣術の動きではありませんね」
「ええ、スポーツの動きね」
 それだとだ、智子は豊香に答える。
「それになるわ」
「現在のスポーツですね」
「アメリカンフットボールよ」
 スペンサーが親しんでいるそのスポーツだというのだ。
「それの動きよ」
「アメリカンフットボールですか」
「だから、左右にかわすだけでなく」
 それだけではなかった、確かに。
「前にも出ているのよ」
「突進する様に」
「それがあのスポーツよ」 
 アメリカンフットボールだというのだ。
「かなり激しいスポーツよ」
「動きを見ていますと」
 豊香はその彼の今のかわすと共に果敢に動くその姿を見て言った。
「スポーツというよりは」
「戦いですね」
「それに近いですが」
「そうよ、アメリカンフットボールというスポーツはね」
 それはどういったものかということもだ、智子は話すのだった。
「球技だけれど最も格闘技に近い球技だと言われているわ」
「格闘技、ですか」
「それにね」
 最も、というのだ。
「近いと言われているわ」
「だからですか」
「ええ、今の様な動きをするのよ」
「そうしたスポーツなのですね」
「ラグビーもそうよ」
 この球技もだというのだ。
「重厚な身体と身体がぶつかり合ってね」
「そうしてボールを奪い合うのですか」
「それがアメリカンフットボールでね」
 ラグビーだというのだ。
「それの動きね、彼の動きは」
「そうですか、では」
「このままね」
 スペンサーはだ、どうするかというと。
「激突するわね」
「ゲーリュオンとですね」
 実際にだ、スペンサーはゲーリュオンの槍をかわしてそしてだった。
 三身の巨人に激突した、そしてそのうえで。
 巨人の一身体の胸に己の剣を突き刺した、だが。86
 巨人の胸は瞬時に、彼が剣を抜くとすぐに傷が癒えた。スペンサーは既に後ろに跳び退いて間合いを取っていたがそこで言うのだった。
「傷が」
「ゲーリュオンは三つの身体を持っていますが」
「一つを倒してもですね」
「倒れません」
「そうみたいですね。回復力が尋常ではないですね」
「はい、そうです」
「一つを潰しても」
 他の二つの身体がある、その二つが生き残ってだ。
 それでだ、こう言ったのである。
「その一つもすぐに回復する」
「ですから三つ共ですか」
「同時にです」
 倒さなくてはだ、ゲーリュオンを倒せないというのだ。
「身体の一つの心臓を貫いても駄目です」
「今の様にしてもですね」
「ですから」
「では」
 ここでだ、スペンサーはその剣を上から下まで一閃させた。それで身体の一つの頭を上から落とした重力で潰した。
 だが、だ。それでもだった。
 その頭がすぐに復活した、まさに瞬時に元に戻ったのだ。スペンサーはそこまで見てから聡美に再び話した。 
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