聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士
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第十六話 新たなる戦い!
カグツチとの戦いから数日後、秘境・五老峰へと向かう山道。
荷馬車の荷台で寝転んでいる大河と澪の姿があった。
第十六話 新たなる戦い!
「五老峰ってまだ先なのか?」
「まだよ・・・あたしだって行った事ないんだから・・・」
荷台に揺られながら五老峰への長道を見つめる大河とそれを見ながらコンピューターをカタカタいじる澪。
あの後、疾風が持って行ってしまった鋼鉄聖衣を返してもらおうと五老峰へ向かおうとした黄金のJr.達・・・だが全員そろって五老峰へ向かう旅費が全くなかったため大河以外の3人でアルバイトをして二人分の旅費を何とか稼ぐことに成功した。
何故大河がアルバイトに参加しなかったかというと・・・
「腕治してから言え!」
「いっでぇえ!!」
カグツチとの戦いで傷を負った左腕の問題だった。
いくら大河の回復力が並の人間を上回っているとはいえ、カグツチと戦った時点で絶対安静の重傷を負わされた上に、その腕で新たなブローであるブーメランスクエアーまで放ちその反動で余計悪化していたのだ。
下手をすれば再起不能であったのだが
幸か不幸かあの試合、大河はうっかりドラゴンリストを付けたまま戦い、その負荷が本来のスクエアーの威力を低下させ大河の左腕の反動を留めていたのだ。
即ちドラゴンリストのおかげで最悪な事態は免れたようだ。
(まぁ・・・早く完治させないと・・・ドラゴンリストを外した時の本来の威力に耐えられない)
新たなるブローの覚醒に澪は頭を捻ると今度は現実的な課題に取り掛かった。
(あたし達の最大の敵って・・・実は貧乏だったりして)
あまり路銀を持っていない大河達。
五老峰へ行く為にも三人でアルバイトをしたのだが・・・シグだけは協調性も無く嫌がったが無理矢理参加させて二人分の旅費だけは稼いだ。
そして四人は共同生活を送ることになったのだが・・・
全員はみ出し者の集まりであった為か色々な苦労がありもめ事も絶えない・・・共同生活をしていて気付いたことがいくつかあった。
まずシグだが、元々は極寒の地・アスガルドの貴族だったが当人は家を出て狩人をしていたという。
山脈が多いアスガルドで狩りをしていた為か非常に聴覚が優れている。
その聴覚の為かマリシの盾のひび割れた音を聞き取り破壊できたのかもしれない。
だが当人は神経質らしく、いびきの煩い大河と岩鉄と共に寝る時は澪特注のサウンドプロテクター内蔵の耳栓を手放せない。
そしておそろしく無愛想で気のきいたセリフが言えない。
だがアスガルドで育ったためか非常に闘法に関する知識があり澪不在時の解説役ができる。
岩鉄は香取家の家業である漁師をしていたらしく大海原で暴れる魚を相手にしてきた為か視力に優れている。
それは得意の空中戦に活かされており、天高く舞い上がった相手を見極めその動きについていける驚異の動体視力を持っている。
だがいびきも煩いが寝相も悪く隣で寝ている大河やシグに蹴りを入れてしまう事もしばしばある。
しかし黄金のJr.のムードメーカー的存在である為調和を取る為に必要不可欠である。
そんなこんなで仲間達との腐れ縁が生まれた大河。
尚、シグは用件は済んだからと言ってさっさと離脱して自身の戦いへ戻り、岩鉄は砕けた大河の聖衣を直しに行くと言ってと現・牡羊座・貴鬼の元へと向かった。
そして大河と澪は五老峰へ向かう道も知らずに迷子になりかけ、しかも帰りの旅費を残すため節約し案内を呼ばなかったのだが、偶然五老峰へ向かうと言った男性が荷馬車で通りかかり同行させてもらうことになったのだ。
すると荷馬車を操っていた黒髪で長髪の男性が静かに呟いた。
「・・・そろそろ五老峰への道だ」
男性の言葉に澪が横で寝っころがっている大河を呼んだ。
「もうそろそろ五老峰へ着くって・・・」
「あ・・・」
荷馬車が止まると五老峰への入り口の前で止まった。
ここからは歩いていかなければならないようであり大河と澪は歩いていく決意をした。
荷台から降りようとすると男性が呟いた。
「五老峰へは何をしに?・・・観光かな?」
「いえ・・・ここに住んでる友達が間違えて荷物を持って行ってしまいまして」
男性の質問に苦笑いして応える大河。
すると男性は質問を続けた。
「ここに知り合いでもいるのかな?」
「知り合いって言うか・・・友達って言うか・・・そいつのお師匠さんで老体がいるとか・・・それに知り合いの親父さんもいるって・・・会った事ないですけど」
大河の言った師匠の老体という言葉に男性は表情をこわばらせると大河と澪は男性に礼をし五老峰への道へと入った。
それを見送る男性・・・いや天秤座・紫龍は・・・
「・・・彼が龍峰の言っていた大河か・・・それにこの漂う小宇宙・・・もしや」
確信を感じる紫龍は大河達の後を追う事にするのであった。
五老峰を登る大河と澪。
見た所凄まじい岩山であり険しいの一言に尽きない。
この広い山で疾風を探すのは至難の業かもしれない。
何故なら
「・・・あんたが小宇宙を感じ取れればいいんだけどね」
そう・・・大河に小宇宙を感知する能力が備わっていないのだ。
聖闘士の戦いなど微塵もやった事の無い大河は実戦で攻撃方法だけは体得していけたのだが、その他の能力については皆無といってよかった。
「・・・はぁ・・・少し休むか・・・」
「・・・そうだね」
かれこれ二時間は歩き回ったであろう大河と澪。喉が渇き持っていた水筒の水をグイッと飲む大河は澪に聞いた。
「なぁ・・・ミヨ」
「なによ?」
「お前・・・鋼鉄聖衣わざわざ取りに行かなくても別の作ればいいんじゃねえか?」
大河の言葉に澪は鉄拳をお見舞いした。
「いっで!」
「あんたね・・・それができりゃ苦労しないっつうの!!」
そう実は今の状況では澪はグラード研究所から離れた状況にある。
疾風に使用した鋼鉄聖衣はそこから大まかな部品を受け取りそこから組み上げ細かいパーツなどをアルバイトで稼ぎ部品を作り完成させた物なのだが・・・
作る場所も何もない状態すなわち0から作り直すとなると、『予算』『手間』『時間』が膨大にかかり大変なことになる。
現在の状況では新しく作る方が困難である為、疾風に渡した既存の物をカスタマイズしたほうが効率が良い。
ましてやカイザーナックルを手にし闇闘士たちが大河を狙っているなら尚更だ。
「カイザーナックル・・・この世で最も硬いと言われたオリハルコンで出来た武具か」
澪と大河がカイザーナックルの事をボケーっと考えると頭にテレパシーのような物が響き始めた。
「なんだこれ?」
「こっちに来いって言ってるみたいだけど」
思う所はあるようだが、取りあえず謎のテレパシーの示すとおりに歩むことにした。
テレパシーが言う道は道なき道のような場所が多く澪がへばり始めると大河が澪をおぶった。
「ちょっと虎?」
「良いよ・・・俺の方が体力あると思うし・・・いいトレーニングになるし」
「・・・そりゃどうも」
大河の背におぶさる澪。
そしてしばらく歩くと巨大な滝・大爆布とでもいうような場所へと辿り着いた。
「ここか・・・龍峰や疾風が修行した廬山の滝って」
「虎!」
大河が感心していると澪が大河の背中から降りその大滝の前で座している老人の姿を捕えた。
先程からのテレパシーはどうやら老人から発せられていたようだった。
その人物に対し大河は妙な確信を持ち話しかけることにした。
だが先に老人の方が話しかけた。
「ふぉっふぉっふぉ・・・よく来たのぉ・・・虎座の大河よ・・・疾風が世話になったのぉ」
「やはり・・・あなたは」
老人の言葉に大河は確信した。目の前で座している老人は前・天秤座・童虎であると言う事に・・・
「老師・・・早速で悪いんですけど・・・私の鋼鉄聖衣が何処にあるか知りませんか?」
老師に対し敬意を表しながら澪が本題へ急ぐと老師は笑いながら言った。
「ふぉっふぉっふぉ・・・まぁそうがっつくな澪とやら・・・残念じゃが今疾風は離れてしまった・・・鋼鉄聖衣も持って行ってしまった」
「そんな・・・」
がっかりする澪。
「・・・行き違いになってしまったようじゃの・・・それに大河よ同じ虎の名を持つ者同士語らいたいと思っていた事じゃ・・・」
「俺に?」
大河がキョトンとすると老師は大河の左腕を見つめ・・・次に右腕を見ると妙な力を感じ取った。
(ほぉ・・・凄まじい力を感じるの・・・これは大河にとって最大のブローとなるはずじゃが・・・今は闇闘士じゃな)
一瞬感じ取った何かの気配を胸に止め、闇闘士について話すことにした老師。
「さて・・・お前達には話しておこうかの・・・闇闘士の正体を・・・」
「闇闘士の正体?」
全く頭になかった話題だった。闇闘士は闇の小宇宙の集合体であるという事しかわかっていない。
その存在の事を知っている老師。
「・・・お前達の知っている通り・・・闇闘士は闇の小宇宙の集合体・・・その正体とは・・・かつてわし等が倒した邪悪なる者の魂・・・すなわち怨念じゃ」
「怨念?それがどうして?」
「魂が闇の小宇宙を飲み込み実態を持っただけに過ぎん・・・今のわしの用にな・・・」
理解できていない大河にわかりやすいように老師は自身の実体を輝かせ今は小宇宙の集合体としてこの世に留まっている事を確信させた。
「わしらが善の小宇宙の集合体とするなら・・・奴らは悪の小宇宙の集合体・・・」
「わしら?・・・という事は他にも?」
「そうじゃの・・・少なくともあと一人おる・・・話を戻すが闇闘士の目的は地上を手にする事その為に最も有効な武具としてお主の持つカイザーナックルの力を利用しようとした」
「・・・カイザーナックルを?」
「・・・そうじゃ」
まだ完全にカイザーナックルに認められていない大河だが、それでもカイザーナックルの重みが十分に伝わってきた。
「大河よ・・・その為にはお前はもっと強くならねばならない・・・が・・・悠長に構える時間はなさそうじゃの・・・一風変わった修行をするかの・・・紫龍よ・・・そこにおるのじゃの?」
老師が岩陰に隠れている紫龍を呼ぶと紫龍は老師の前で膝を付き礼をした。
「さっきの人!?」
紫龍の姿に驚きを隠せない大河。それを見て少し笑みを浮かべる紫龍は老師に礼を続けた。
「老師・・・お久しぶりです・・・この世界に留まっていただいていたとは」
「ふぉふぉふぉ・・・わしも嬉しく思うぞ・・・天秤座の黄金聖衣を継いでくれたのがお前で」
「恐縮です」
ニコッと笑う老師は紫龍に一つの修行方法を提示した。
「紫龍よ。天秤座の黄金聖衣を・・・そして剣を大河に」
「は!」
紫龍が天秤座の黄金聖衣を召喚するとそこから剣を取り出し大河に渡した。
「これは?」
「天秤座の剣じゃ・・・大河よ今のお前の状態を見ればわかる・・・お前は拳を使った闘い方しか体得していないようじゃ」
「!」
図星だった。ボクシング一筋であった大河はひたすら拳に磨きをかけていたがそれ以外の事はやったことが無い。
「この先・・・闇闘士との戦いでは拳以外で戦わなければならない事もあるじゃろう・・・じゃが悠長に稽古をつけている時間は無い・・・お前は戦うたびに強くなっておる・・・荒療治じゃが・・・その剣を使って戦うのじゃ・・・それに・・・剣の指南が出来る者がおるしのぉ」
「剣の指南・・・まさか」
大河の知っている剣の指南が出来る者は一人しかない。
黄金の日本Jr.伝説のいぶし銀・志那虎一城である。
老師は見ず知らずの自分が教えるよりも所縁ある者が教えた方が良いと考えたようだ。
それを聞いて澪も何か思う所があるようで先程から黙って何かを考えていた。
「わかりました・・・老師!お借りします!」
そう言うと紫龍が天秤座の剣の刃に巨大な布をしっかりと巻き付けた。
「若き聖闘士よ・・・闇闘士は頼むぞ・・・わけあって我々は手を貸すことができない」
「はい・・・大丈夫です!俺には腐れ縁が居ますから!」
天秤座の剣を背負うと澪と共に志那虎の元へ向かうべく歩むのであった。
一方高嶺ボクシングジムでは竜児が神妙な表情である手紙を見つめていた。
それは
「黄金のJr.への挑戦状か」
新たなる戦いの予感を感じ取った竜児だった。
志那虎さんの元へ向かう途中俺は山へ迷い込んでしまった!澪と共に川沿いを行くとそこで釣りをしている男の姿は・・・お前は一体・・・風魔一族!?
聖闘士星矢Ω 虎座の聖闘士 風魔の里!伝説の聖剣使い
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